超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

となりの柏木さん 6巻/霜月絹鯊

2013-05-11 14:57:31 | 漫画(新作)
















霜月絹鯊「となりの柏木さん」6巻読了。













所謂男子向けのラブコメに於いて親友ポジションのキャラは単なる火付け役に過ぎないというか
そいつ自身にスポットが大きく当てられる事なんてほとんどないと思うんですね
青春群像劇とかならまだしも、
「となりの柏木さん」は明らかに桜庭くんの本懐を目的とした漫画だと感じるから
その意味じゃこういう流れは凄く新鮮だったし面白かったし、与えられた役割以上に頑張ってくれたなと

個人的に思ったのが和樹と福田さんメインのエピソードでも読み心地が変わらないというか
この漫画特有のコンプレックスの表現やそれに対する誠実さだったり、
不器用ながらも一途に想う気持ちの表現だったり
メイン二人と同じ感情移入の度合いで読めるというか
その一貫した丁寧な恋愛作劇の心地良さ・・・を存分に感じられたのが良かったなと
要するにサブキャラの設定だったり性格に関しても練り込まれて作られている感触が個人的にあって
そういう真面目な作風や姿勢に今巻も今巻で感銘を受ける事が出来た巻だったかな、って
和樹は当初からナイスガイとして描かれて来ましたけど
このシリーズでは、
結構に青春期の少年らしい必死さや若さが感じられたのも素直に読めた要因かなと思う。

初期のイメージでは和樹はこういうラブコメにデフォルトで存在している火付け役の友人、
福田さんはキツい性格の女性というイメージだったんですけど
6巻で如実に関係性が変化した事で
この二人も単なるサブでなくある意味主役級に存在感を発揮する感情移入必至のキャラになったな~と思うと
益々漫画としては豊かに賑やかになってきた印象で読み心地が良くて嬉しいですね
ただ単に柏木さんと桜庭くんの関係性にニヤニヤするだけじゃなく
親友の恋愛に関しても実直に楽しむ事が出来る
その懐の深さというか奥行き・・・に面白味を感じる事が出来た6巻目でした
また、可愛さを存分に見せてくれる福田さんの様子と和樹の幸せそうな姿が微笑ましいんですよね(笑
前者はツンツン期間が長かった分、後者は有り体な親友ポジションが長かった分
ここまで丁寧に進展を描写してもらえて良かったなあ、と思えますし
そんな意外性もまた楽しいです
メイン二人の描写は勿論、親友ポジの恋愛まで楽しめる真に豊かな作風に進化したな、と
しみじみと感じる事が出来た読み応えのある一冊に仕上がっていました。


当然、メインの柏木さんと桜庭くんの様子に関しても抜かりはなく
しっかりと和樹たちのエピソードの後に一話使って描いてくれています
和樹が能動的だった分、
桜庭くんも桜庭くんで懸命に頑張る姿を見せていて
彼もまた初期と比べてちょっと成長した感覚が垣間見れてその「必死さ」もまた良かったですね
勿論そんな桜庭くんのガムシャラな言葉に揺さぶられる柏木さんの姿も。

この漫画を読んでいると凄く気分が引き締まる思いになるというか
誠実さだったり、
一途な気持ちの素晴らしさだったり
その生真面目な想いの伝達具合に素直に心を打たれる節があるんです
自分から想いを伝える事の意義や必要性の描写だったり
恋愛に全力で生きる姿だったり、
そういうストレートである事を恐れない姿勢・・・というのは
個人的には今の時代ちょっと貴重なようにも思えますね
特に私の場合やれやれ系にちょっと辟易気味の今日この頃なので
余計に真っ直ぐな登場人物と真っ直ぐな想いの伝達具合が光るこの作品に惹かれている節はあります
そんなこの漫画らしさに溢れている内容にしっかりとなっていた塩梅に
変わらずほっこりと嬉しい気持ちになれた新刊、
その天然記念物的な登場人物たちの素直さに確かな豊かさを貰えた6巻目でした。
ニヤニヤ描写もまた大盛りなのでその意味でも是非、ってところですね
クラス替えの後の席交換のあたりは
特にその要素が強くて最高でしたね(笑)。
この調子でじわじわと愛情を育んでいって欲しいです。














で、個人的にもう一つ大きかったのが新キャラのティナ。
柏木さん福田さんが割とコンプレックスを抱えたキャラクターだけに
他意を全く感じさせない底抜けに明るく人懐っこいキャラクター性が個人的に新鮮でツボでした
素直に可愛いと思えたし、彼女と桜庭くんの関係性、またはそれが引き起こす新たなニヤニヤ・・・にも
存分に期待したいですね。これがきっかけで柏木さんとの関係性にも変化が生まれそうなのが
また非常に楽しみになる要素の一つ。ワクワクしながら次巻を待ってます。

それにしても、ティナもまた天使だなあ(笑)。めっちゃ可愛いわ。