KAITO「クロス・マネジ」2巻読了。
この辺のエピソードを読んでて思うのは、やっぱりしっかりと段階を踏んでいるなあという事で
最後の公式試合のお話を読めば分かると思うんですけどそれまでの練習描写で培った色々な技術や助言・・・
深空の長所だったり野沢さんの粘り気のあるディフェンスだったり能登さんのパスの精度だったりと
一つ一つのエピソードに無駄がなく、
かつそれがしっかりと結実や成長に繋がっていく堅実なセンス
それをフルに味わう事が出来る最新刊になっていたのではないでしょうか
深空の成長も、櫻井の必死な頑張りも部員達の底上げとその成果も含めて
正しくスポ根漫画として面白くなっている印象で読み応えもまた相当に高かったですね
がむしゃらで誠実な少年漫画が好きならば絶対に気に入ってもらえる漫画になってるかな、と
この漫画は他のどのジャンプ漫画よりも丁寧に丁寧に過程を描いている作風なので
必然的に浮いてしまったり展開を急かすナンセンスな読者等不遇な状況に置かれがちなんですけど
2巻をじっくりと読み込んでいたら、この方向性はこの方向性で間違ってない
こうやって順序を飛ばさない作風だからこそ
しっかりと得ることが出来るカタルシスがあるんだなと強く思えて
その意味でも読んでいて本当に気持ちが良い新刊に仕上がってました。しっかりと決意を固めて絆深めて
その後ちゃんと練習して、ちゃんと無理もして(ここ重要)、その成果をちゃんと掴むという
一連の美しい流れに思わず唸ってしまったくらいの出来栄えでしたね
一つ一つのエピソードもしっかりと存在感あったし、
心の底からいいなあ、と思える作品に仕上がっているのは個人的な感覚として強く思います
その一因としてこういうスポ根漫画ではみんな根性論できつい練習や状況を乗り越えてしまう
そういう補正が働いている漫画が特に少年誌のスポーツ漫画では多いんですが
この漫画はしっかりと付いていけない連中に関しても描かれてる
でも、少年誌的に言えばそういうのすっ飛ばしてもっとイージーに強くなっても文句は言われないと思うんですが
それを許さないのが「クロス・マネジ」の確かな長所であり同時に人気が出にくい理由(笑
でも改めて単行本で読むとそっちの展開のがある種真っ当だなあ、とも思えて
その後の復帰も含めて見守るような気持ちで読むことが出来ました。
三連休のエピソードはこの漫画の良さが凝縮されてる名エピソードだと思うんですけど
結局は自分の力量だとか自分で決め込んだ不可能に溺れていても
いつかは向き合わなきゃいけない時が来る、
それを先延ばしにしてるよりも
やるなら今なんだ、と そういうがむしゃら感と先が見えない中でも頑張ろうとする必死な想い
それこそがこの漫画の一番の長所だと思ってるのでその意味じゃやっぱ心に残るエピソードでした
無理難題を突きつけたのはまず達成感を味わってもらって「出来ない」を覆して欲しかったからだと思うし
それまで足手まといだと自分を卑下していたからこそ一緒に頑張って勇気付けたかった
そういう想いだったり確かな後押しの感情が伝わって来て、
不可能を可能にする楽しさを知って・・・
努力すれば何もかもが上手く行くとは思わないし思えないですけど
でも頑張った分だけ何らかの達成感や足跡がついてくるのも事実ですから
そういう子供にも大人にも伝えたいメッセージ性が良く出ていて個人的には満点のエピでした
もう一つ、「楽しむ為にやるのか、それとも勝つ為にやるのか」というテーマも提示されてた内容でもあって
楽しむだけでも十分糧になるじゃないか、というメッセージも作中ではありましたが
でも楽しい事ばっかり、自分にとって楽な方ばかり選んでいては
楽しくない事をやった後の至上の喜びを得る事は出来ない
はっきりとそう描かれてた訳ではありませんが、個人的にはそういう更なるメッセージも感じられて
その意味でも中々考えさせられる内容になっているな・・・と そう感じました
確かにその場だけの気楽な楽しさもある程度の糧にはなってくれますけど
それ以上の喜びだったり豊かさを手に入れるためにはやりたくないことだってやらなくちゃいけないんですね
そういった「面倒臭い」に打ち勝ってこそ立派な大人という気もしますから
その意味でもこれは大事なメッセージを描いてるんじゃないかなあって
如実に思う事が出来たのも良かったです
振り返ると、早見先輩のエピソードでは未練を断ち切ってもう一度再生を目指す強さだったり
加藤さんらのエピソードでは自分は不出来、という邪念を振り払って努力する事の尊さだったり
龍兄ちゃんとのエピソードでは足掻き続ける事で生まれる可能性の提示だったりと
ワンエピソード毎にしっかりとしたテーマと着地点が用意されてる気がして
その意味でも一つ一つ噛み締めながら読めるその奥深さが非常にたまらない出来栄えになってますね
その完成度の高さに関しては敢えて「間違いない」と言い切りたいところであります
とにかく読めば何かを感じられる事は必至、
無関心では済まされない
そういう強い主張と想いをまじまじと感じさせる1巻と同じくらいに夢中になって読めた2巻目でした
今本誌では加速度的に熱さもドラマも更に増して来てるので続巻も是非、って感じですね
足掻き続ける事の意義と意味がしっかりと描かれていた価値ある新刊
最後の一話にその成果の全てが集約されてる構成含めて
「週刊連載をまとめたもの」ではなく一つの本としてしっかりと芯が通っている感覚がまた素敵でした
1巻で垣間見せたリアリズムは2巻でもこれ以降でもずっと健在のまま進んでいくので
その点でもテコ入れの心配もせず(笑 藤丘の軌跡を追い続けてもらえば・・・と願っています
ちょうど今、本誌でめっちゃいいとこなんで(笑)。
過去最高に熱い展開が繰り広げられてるのでよければ本誌でも応援して下されば嬉しいです
こうやって一歩一歩段階を踏んで地道に地道に強くなっていく・・・
それが進めば進むほど更に良い景色が拝めそうで今最も先が楽しみな連載の一つです
グッと来る名シーンも多数収録されてるので是非味わって欲しいですね。
個人的には、最高の内容でした!!
あと本誌のリアルタイム感想でも当ブログ的に反響が大きかったちょいドキショッピングの模様も収録
早見先輩のエピソードでの深空の純粋な好意の表現も併せて
ラブコメ好きにとっても最大限にニヤニヤ出来る仕上がりになっております(笑
普段が普段だからこそ恋に目覚めかけの描写はインパクトがあって無条件に楽しいですね
櫻井も深空も反応があまりにいじらしすぎて初すぎて、そういう過度なピュアさもまた見所です
スポーツ描写の堅実さと面白さは勿論恋愛描写も絶好調とポテンシャルの高さを往々にして感じる事が出来ます
クロマネでも屈指の青春エピソードなのでこの回はじっくりと味わって触れてみて欲しいですね
反応のリアルさもまた掛け値なしにグッと来るものがありましたね
恋愛描写に関しても堅実なのがまた素晴らしい(笑
きっと琴線に触れると思うので。
そういったドラマパートがしっかりと面白いのもクロマネが大好きな一要因だったりします
深空の長所を見つける為に四苦八苦して頑張ったからこその発見後の櫻井の表情の感動だとか、
櫻井と深空が絆を紡いだからこその早見先輩の切ない表情の妙だとか、
一回抜けられて実直に落ち込む櫻井の繊細さ
だけど小松さんに肯定されたからこそ自分を信じる事が出来た櫻井の描写だったり
誰もが誰も一人じゃない、一人で頑張ってる人間が一人もいない・・・という構図もまた
この漫画ならではの確かな長所でありリアルな部分だと思います
現実じゃ一人で頑張れるわけないですからね(笑
そういう支えて支えられての関係性もまた友情を感じる事が出来て改めて素敵だな~、って思いました。
心に残る場面が多いというのは漫画として優れている証拠だと感じます
その正しさが是非評価されますように。
祈りを込めて。
最後に、おまけページについて触れようと思います
空きページは1巻と同じく各キャラのプロフィールが中心ですね
それとアシさんの書いた4コマも収録されてますがこれがまたキャラの特徴を生かしてて面白い(笑
加藤さんの黒歴史がプロフィールの中では一番の収穫だったかなあ。道理で、ね。
カバー裏にはアシ一同が描き下ろしたクロマネキャラと
あとはスペシャルサンクスの記述等、折り返しにはキュートな早見先輩のカラーイラストと
裏には龍兄ちゃんコンビのカラーイラストなどがあって中々おまけも楽しめます
何より帯の書店員さんたちのコメントが非常に熱い!
ジャンプコミックスの帯でこういうの見た事なかったんですが、
でもやっぱり地道に支持してくれてる方の多い漫画なんだなあ・・・としみじみ思えて
目頭が熱くなるようなコメントの数々でとっても嬉しかったです
そういう支えてくれる人の想いが結ばれて
これからもどんどんどんどん育ってくれれば、と祈らざるを得ない心境ですね
取り合えず、この2巻の内容はほぼ鉄板しか詰まってないので。読んでる間ずっと気分が良かった新刊でした。
ここまで実直に感情移入が出来る作品も珍しいので、今後もフルパワーで応援し続けます。
いつも感想を読んでくれたり、コメントをくれる皆様にもこの場を借りて感謝を。
いつも助けられてます!ありがとうです。