未だ何も信じたことはなかった
ただ疑わなかっただけの話さ (dogma)
このミニアルバムを一言で表現すると「冷徹」。
とにかく冷めた目で聴き手を睨んで来るようなヒリヒリした感覚が突き刺さるアルバムであり
そこにポップさや聴きやすさなんてものは一切存在していない驚くほどに辛口な作品になっています
正直初めて聴いた時はそのあまりの感情のない冷徹な音像に「えっ?」って思ったくらい
多分このミニアルバムは絶対に入門にしちゃいけない類の作品だと思う(笑
それくらいディープでコアなアルバムに仕上がっています
ポップさが無いと言う事はイコール取っ付き易さもないという事で
正直馴染むまでに何度も通して聴いたのが事実の一つです
しかし、何度も聴いて楽曲が身体に馴染んでくるとどんどんと楽曲に対する愛着が沸いてきて
最終的にはこの音像に病みつきになってしまう、そういうスルメ的な中毒性を含んでいるのもまた事実
これはあくまで個人的な感想であって
ここまでポップさを排除してると馴染めない人もいるかも、ですが
その分自分の中で消化出来た時に感じたカタルシスがめちゃめちゃ大きかったのは記しておきたいですね
今や全曲大好きだって堂々と思えるのがまた面白いアルバムだなあ、と(笑
私は言っても絶望するだけに留まらず毎日何とか希望を棄てずに生き残ってる訳ですけど
それでも絶対に残念な気分に陥ったり何にも触れたくない無気力な時間は度々やってきます
そういう何もかもが滑稽に思えた時に必要な音楽・・・といいますか
前作が一歩前に進む手伝いをしてくれた作品だとしたら
今作はその一歩で躓いた時に側にいてくれる作品という感じですかね
残酷な気分に浸らせてくれる作品というか
ただ単に穏やかなアルバムと怒りのアルバムという風に安易に対照付けた訳ではなく
実直に人生の陰と陽をあぶりだし、そして両方とも本質は前に進む為の感情の一つであるという
相反する部分と重なる部分がある故に本当の意味で二つで一つなんだと思えるのが何より素晴らしくて
今作もまた私にとっては大切で何度も何度も聴いていたいアルバムになりました
またも恐ろしいクオリティの作品を仕上げてくれた感覚ですね
私自身何度も聴いて本当の良さを理解出来たように
この作品は何度も何度も時間を費やして溶かしていってもらいたい長く付き合える作品だと思うので
その意味ではじっくりと聴き込む事を推奨しておきたいアルバムですね
最初はやたら冷たく無感情に感じるかもしれないですが
自分の中で馴染むと、
その距離感が段々と癖になってきて面白いです
自分の中のひんやりした感情を抉り出してくれる作品というか
必ずこの作品ならではの聴き応えを発見出来るアルバムだと思っています
その淡々とした激情と水面下で煮え滾っている憤りのエナジーに触れるのがとてつもなく快感な作品
これが売れるなんてことは個人的には到底思えない完全に我を貫き通したアルバムですけど
だからこそこのテンションがハマれば相当に堪らなく感じれると思います
非常に冷徹な印象の強いアルバムですが
歌詞をよく読めばこれもまた聴き手の意思に協力してくれる内容だとも感じる
その独特のテンションに気が付けば虜になっていた事実もまた個人的にグッと来る作品でした。
個々の楽曲を取り上げると、
リード曲とは思えないほど無愛想な印象の「dogma」のストイックさがまず最高ですね
最初に聴いた時はリード曲なのにポップさがねえ!って感じてしまったんですが
何度も聴いてるとこの見下すような妖艶な感触が心地良いと思えてきました
そして意外とメロディもきれいで素晴らしいんです
「primal」はこの中では唯一?最低限の聴きやすさは残ってる勢いのある英詞ロック
でもやっぱりクールな印象の方が強くて、その無機質さの一貫性は通して聴くには最高ですね
勿論単体で取り出しても気分が高まる一曲
「Fiedel」は神妙なアレンジがとにかく気持ち良い一曲
最初はどこか不気味な印象もしたけれど、不気味なのは慣れれば快感に変わってくる(笑
この曲もメロディがとても繊細で美しい楽曲ですね
「Observer effect」もこれまた辛い印象のロックナンバー
ジャリンジャリンと鳴る鉄の匂いがするイントロから無感情で憤りを歌うような冷徹さがある楽曲
最後の叫びもハードコアを直に感じさせる音像で今までよりも更にコアに踏み込んだ一曲だと思う
「Dream of Venus~children」は正に組曲!
ほぼ同じタイプのメロディなのにグッと印象が変わるサウンドスケープは感動ものです
この曲は、特に「children」の方は前作が好きな方にも通じると思います
この曲があるのとないのとではまるで違かったと思う。
総評としては今作も今作で傑作の粋だと思う。
それくらいこの盤でしか得られない感情の表現が強かった作品、
音楽にゾクッとするくらいの残酷さや冷徹さを求める人、また求めたい時にはうってつけです。
もしくはそういう感情の実は美しく後押ししてくれる側面を知る為にも、是非。