超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

Syrup16g全曲レビューその52「Heaven」

2012-04-26 21:31:47 | Syrup16g全曲レビュー





Syrup16g全曲レビューその52「Heaven」です。







Heaven               アルバム「delayedead」収録







この曲は、ずっと前から書きたかった一曲です。
なんといってもよくよく聴けば良いメロディーを奏でてるのに
そこに乗るサウンドが非常にぶっきらぼうっていうか、荒々しいものになってて
そのミスマッチ感が面白いのと同時に
過度に無力感と諦めを感じさせるフレーズの威力もまた凄く、
またそれが逆説的な励ましにも聴こえるのも流石だなあと思える一曲で。

とにかく、ベースの暴れっぷりが半端ではなくてですね
この曲を聴いてるととにかくベースが弾きたくなるっていう
シロップの楽曲の中でも特にベースをフィーチャーした楽曲なのでは?、と
聴いてて思っちゃうくらいにノイズと形容してもいいくらいの破壊力を含んだベースサウンドが響いてて
そこに絡まるこれまた良い意味でラフで、暴力的なギターサウンドとの調和もまた素晴らしい
けど、そこで鳴っているメロディはやっぱり、すごくポップなんですよね。

要するに、暴力的なロックサウンドと耳馴染みの良いグッドメロディを同時に味わえる
殺し合わずに共存してる感覚が非常にユニークかつ格好良い楽曲に仕上がってて
その両方楽しめる良いとこ取り感覚っていうのは
他の曲では感じられない個性の一つだと思っていて
コアでマニアックな音作りながらキャッチーな部分もあって、尚且つシロップらしさ全開の歌詞って事で
個人的には一つの代表曲にしてもいいんじゃないかって思うくらい大好きな曲なんですよね。
ただ単に暴れてたりポップだったりする曲でもなくて
そこに付随する意味と併せて聴くとめちゃめちゃ感情移入も出来る
その隙の無さがなによりSyrup16gらしいな、と思えるナンバー。
そんな確固たるポップ・イコンの一つですね。学生時代もよくお世話になった楽曲の一つです。






【隕石が俺の頭をかすめても 他人事みたいな顔さ】

物凄く退廃的というか何というか。
隕石って言うのは大きな出来事だったり、目を背けられない事実の比喩であって
それがもう他人事のように思えるっていうのは
あまりにも現実が辛過ぎて
耐え切れなくて
感覚が麻痺しちゃってる証拠だとも思えるんですけど。悪い意味で慣れて、何の驚きもなく
色々な経験を通過した挙句にちょっとやそっとの事を全く気にしなくなってしまった
それは一見悪い出来事のようにも思えるんだけど。



【すべてわかっても嫌んなって すべてを忘れるよ】

真実や正解を知る度に、その裏側を垣間見る度にすべての事柄がどうでもよくなっていく
何かを知って、何かを経験しても知りたくなかった事実ばかりが目に付く
だから、そこから逃れる為に忘れようと
記憶から消そうとする
だから結局は全て無に帰するっていうか、でもそれって決して悪い事ではなく
観て来た色々を忘れたり、離れたりするから、また人はもう一度前を向いて歩ける訳でもあって
一見悲しい事の様に思えるけど、それもまた人の生きる術の一つなのかな、って。
だから完全に退廃的な歌にもなっておらず、
これはこれでまた一つの救いでもあるんだなあとも思える。
そんな暴力性や無力感を含みながらも、それが生み出す希望もまた逃さずに描いてる
聴く人によっちゃ確かな救いにもなりえる、そんな力強いアパシーに向けてのアンセム・チューン。
単純に、何もかもがバカバカしい気分の時だったり
軽く失望してる時に聴くと
ある程度は助けてもらえるような、そんなナンバーになっていると思います。名曲だと思う。






【生きてるのさえ微妙さ】

こういう言葉を聴くと、酔うのではなくむしろ今現在の立ち位置を認識出来るようなパワーがある。
そういう自分を見つめなおせるいいキッカケっていうかね。

強靭なリズムも、現実を切り裂くような歌も、両方恍惚だって思えるような至高の一曲ですね。
ギターソロの引きつった格好良さもまた最高に痺れる楽曲です。




感謝の気持ちを込めて。

2012-04-26 06:03:41 | 雑記






今から6年前の秋に某アマゾンでカスタマーレビューを開始しまして、
その頃はもうあんまりネット自体活用しなくなってて、自分の為のページを作る意味合いだったり
作品に対して自分の考えを述べる事が微妙に楽しくてズルズル続けて
気が付けば2年以上も継続して続けているという
日記すら全然続かなかった自分が、ここまで一つの事柄を続けられているのが嬉しくて
その辿って来た道を眺めるのもまた振り返って考えるって意味でも面白いなあとか思い始めてたあの頃。

ずっと同じ事を続けていると、刺激が欲しくなって来る節があって
その頃の自分はもうちょっとまだまだなんかやりたいなー、って気分で
他のレビュアーさんのページ眺めてたら何気にブログをやっている方がチラホラ目に付いて、
自分ももし定期的に自分のレビューを読んでいてくれる方がいるならば
ブログに着手するのもまた一つの手なんじゃないか、って思って。


ちょうどライブレポ等を書けないって事や書いても常に即掲載ではないって不便な面が
その頃になると歴も長いからちょこちょこ不満としても溜まって来る頃合で
更に「いつも見てます」的なコメントを2009年の初頭あたりに初めてもらって、それでちょっと決意して。
ブログを開設する事で、自分の世界を広げてみようじゃないか、と。
これが俗に言うブログを始めてみようと思ったきっかけで
要するに別館的な意味合いの強い、
本拠地が別にあるのを前提にした遊び場的なイメージで作ったここだった訳ですけど。

当時は、もう同業者(カスタマーレビュアー)のレビューしか読んでないような状態だったので
ブログ関連とかどのサイトが人気とか全く分からずに
本で買って調べて
使うブログサービスもただ単に適当に目に入ったところを何も考えずに選択するっていう
完全に無知な状態からのスタートだった訳ですけど、その選択が正しかったのかどうなのかっていうのは
今となっては正直よく分かりません(笑)。ただ、そんなにストレスは感じてないですが。

だから、このブログ単体でどうにか~って気持ちが当時は全然なくて
ここをきっかけに尼さんのプロフィールページにって目的でやってた訳だから
当然宣伝らしい宣伝は一切せずに、
どころか初期は完全にリンク自体を拒んでた時期もあったくらい
もうここを大きくしようとか、見てもらおうって気持ちには一切ならなくて
その中でも記事自体はどれも当時の本気で制作してましたが、
それでもやっぱりどっちに気合を込めるかって言ったらやっぱり尼さんの方だったかな、とは思います。


このブログは基本的に毎日更新なので、毎日コンスタントに書いてると
所謂常連の方々も徐々に徐々に増えてきて
「これだけの人数が毎日観てくれるなら、もっと気合込めていこう!」って事で
初期にやってたような雑記日記を排除し、より作品のレビューを増やし始めたのが2010年あたりで
元々ブログ設立時に目標として掲げてた毎週のアニメ感想を
初めてちゃんと実行出来てきたのもこの時。
それに伴って更に閲覧数や訪問者数が増えていくようになりました。

そうやって観てくれる人をちょっとづつ増やしていくと、増える度にやる気は上がっていき
毎日のメニューを楽しみながら考えるように、ブログ更新に使う時間が増えて行き
必然的に元々の居場所であった尼さんのレビューは減って行き
2011年に入って、むしろ「このブログがメインじゃないのか・・・?」という一つの思いが生まれた。

だけど、そうなるならそうなるで別に全然良いなあって感じもあって
尼さんを辞める訳でもないし
一応はコンスタントにレビューも出来てたので、
本末転倒な感じになってもそこまで気にする事でもないかな、と。
気まぐれっていうか、実験で始めた事が予想以上に長続きしちゃって
むしろそっちに愛着が生まれてしまったっていう。
まあサービスを使ってるとは言え、完全に自分で管理出来るし自由も効くので
ある意味更なる適所を見つけたって事になるのかなあ。


ある意味そんな方向性を決定付けたのが去年の一連の出来事で
まあ偽者/変な脅迫/嫌がらせ等尼さん関連で一気にモチベの下がる出来事が連発してて、
もうブログあるしある程度は観て貰えてる環境もあるからって事で
ここで一回気持ちの糸が切れちゃって、
もうブログ一本で行くぞ!という決意と発表をしたんですけど。

そしたら、それに対して結構な数のコメントを貰いまして。中には記事まで書いてくれた人もいた。
それを眺めてたら・・・その決意が簡単に揺らいじゃったんですよね。長年の方、
自分のレビューを観て始められた方、
中にはなんと現役の漫画家さんからも名前を伏せてコメントもらいました。
名前を伏せたのは気を効かせて提灯になってしまう事を防ぐ為だったんだと思いますが
とにかくまあ、こんな自分でもそれなりに小さな反響があったのが嬉しかった。
今でも読み返すくらいそれらのコメントは一つの財産で、
作り手に伝わる事もあるんだ、って
確信が得られたのも大きかったし、やっぱり多くの人が見る場所だけあって
影響力も相応に高いんだなあ・・・と個人的に実感したりなんかもして
それもあって、また更に色々考えまして。

何より、その時点で5年弱書いてきてたんですが、その5年が決して無駄ではなかった
ちゃんと意味のあるものだったんだ、ってしっかりと確信出来たんです。
これも正直大きかった。


その結果、実験的にレビューを様子を観ながらポツポツ再開させました。
更新の合間にコツコツ書き溜めていき、
今では停止宣言時の「トラウマ量子結晶」からかなりの数のレビューが上がってますが
未だに当時のような嫌がらせが一切発生してはいないので、
まあ・・・
正直、再開宣言をするにはいい頃合だと思うんで、はっきりと書きますが
またここからマイペースではありますが、尼さんでの活動も続けて行きたいと思いますね。

やっぱりね、制限されてる方が書きやすいパターンもあるので(笑)。
まだまだ頑張れるな自分って最近素直に思いまして。
精進したいなって思います。

もうね、約6年も同じことずっとやってるんだから、もう特に止める理由も浮かばないですね(笑)。
このままあと4年、10年続けたら何が残るのか、何が見えるのか・・・
そういう景色をちゃんと眺めたいと思います。
そんな訳で、ちょっとしたお知らせと自分語りでした。忙しさに負けずに、色々頑張ります。
なので、いつもの場所で待ってます、というオチで。
その場所も今は結構増えちゃってますけど、
まあその辺は適当に見てやって下さい。更新は、ぼちぼち続けていくので。





また、よろしくお願いします。





ランクヘッド「青に染まる白」全曲レビューその4「潮騒」

2012-04-26 00:05:02 | 音楽(全曲レビュー)






ランクヘッド「青に染まる白」全曲レビューその4「潮騒」です。







4.潮騒






この曲は、メロディはポップですけど実際は重い一曲ですね。
過去に起こった忘れられない痛み、別れの記憶、後悔のビジョン、
時が経てばそんな経験も水の泡みたいにどんどんと消えていくものですけど
そんな事実だったり事象に対して逆らう一曲というか
それが痛みであろうと、苦しみあると、忘れたくない、いつまでも抱いていたい・・・という
個人的にはある意味男にしか書けない類の楽曲なんじゃないかって思いますけど。その未練に心打たれる。

特別じゃない出会い、特別じゃなかったあの日々
だからこそ、今も特別じゃないこの日常の側に誰もいないのが違和感というか
いつかひょっこりと顔を出してきてくれる、
また分かり合えるんじゃないかと
そんな淡くて情けない希望が胸の中に渦巻いて止まらないっていう冷静なようで冷静じゃない心境を
落ち着いているようで落ち着いてはいないそういう白濁した感情を歌っている曲で
それもまた経験によって青く染まってしまった心
その心の揺れ動きを描くって点では
実に今作にピッタリな曲なんじゃないかなあ・・・となんとなく感じる一曲です。
物憂げな雰囲気と、切実な心の痛みの表現が胸を刺す、後悔の果てで佇むようなセンチメンタルなナンバー。
そんな楽曲の背景を考えると更にのめり込んで聴くことが出来る秀逸な楽曲ですね。

ライブで聴くと、思った以上にダンサブルなアレンジになるのもまた面白かったなあ、と。





【僕らはいつも不満そうに笑っていた】

笑っていた、だけならば何も引っかからないところですが
「不満そうに」って表現を付け加えることによって何倍も感情移入の幅が広がるのが流石だな、って思う。
ただ笑っていただけじゃない、ただ嬉しかっただけじゃない
そこには胸の内に隠してる
言葉では言い表せない傷や痛みや黒さもあって
純粋に笑えてた訳じゃない、何一つの不満もなく嬉しがれてた訳じゃない。
けど、笑えていた事もまた事実は事実でもあって・・・。そんな切なさの表現にグッと来る。
傘の中に二人入ると必ず濡れる部分が発生するように、
こと人間関係に関してもはみ出す部分や濡れる部分は抑え切れない訳でして
それを考えるとこういうフレーズに通常以上に感化されてしまう自分も居たりしますね。
笑ってた、でも不満もあった、けど笑えてたっていう。その痛みも感情も全部残そうと努力する曲。
あの日あの時の出来事を引き摺って、もう二度と後悔なんてしないように・・・と。



【掴んだ砂が音もなくこぼれた】

砂っていうのが実に上手く関係性を表現出来てて良いですね。
砂でしかない、形なんてあってないようなもので、絆なんてあってないようなもので。
油断してたら、ボケてる内にすぐに手の平から零れ落ちていくものだって。
本当ならばその砂が零れ落ちないように努力すれば良かったのに、
気付ければ良かったのに、
大人になれれば良かったのに、っていう。
音もなく、っていうのもある日突然前兆もなく決別が訪れるって事柄の比喩のみたいで
そんなセンチメンタルな後悔や感情を広げて浸らせるにはピッタリのフレーズだと思って。
この歌自体の目的はそんな悲しみや痛みを引き連れて歩くって事だと思うけど、
同時にそんな誰にでもある後悔や感傷の感情に浸らせてくれる
気持ちを解消させてくれる役割もあるなあ、と。
そんな風に改めて聴き込んでみて如実に感じたりしたのでした。サウンド等は随一にポップなんですが
その分「こんなにも~」の部分で哀愁を込めていたり、ただポップって形容だけでは済まない
奥深さが底辺に漂ってると感じられるような、そういう一曲です。憶えたい一曲。