超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

かんなぎ 7巻/武梨えり

2012-04-28 07:56:05 | 漫画(新作)





武梨えり「かんなぎ」7巻読了。






う~ん約3年半ぶりの新刊という事で・・・感無量でございます(笑)。
その3年半前にもレビュー書いてるし、アニメが始まる前に既にレビューを書いてた作品なので
個人的なレビュー歴の中でも特に思い入れの深い作品でして。
やっぱ好きな漫画が人気になると嬉しいものだけど
反面寂しく思う感情もやっぱりあるもので、
でも今頃になって再びフラットに読める状況なんかもあったりして。ある意味皮肉は皮肉ですけど
超久々の新刊とあって内容も相当に濃い、溢れ出るクライマックス感に私的なワクワクが止められない。
待っただけの甲斐はある、シリアスだけど感じる部分はいっぱいある極上の新刊に仕上がってました。


基本アクションや複線張り主体の巻ですけど
そこに付随する登場人物の熱い思いも相応に胸を打つもので。
7巻が出たタイミングでありますから、既刊全部読み直してから読んだんですけど
案外変わってない、そのままの「かんなぎ」の世界がここにはあって
まずそれが嬉しかったっていうのが第一ですかね。
絵柄も変わってないし、
作風もそのまま。そこは凄く安心したんですけど
やっぱり長期休載の原因が大病って事は、以前の絵柄やテンションが戻らない可能性もあった訳で。
単行本に書いてありますが、真面目に危険性の高い病気であっただけに
よくぞここまで元に戻ったなあ・・・と
特に内容と関係ない感動がまず先にあったんですけど(笑)。いや、ホントあそこでどうにかなってたら
未消化の複線が明かされぬまま終わってたので、でもそれ以前に武梨さんの作風が好きなのでね。
ベタやサービスはあれど必要以上にそっちに染まらない感じ?
だから、本当にお帰りなさいって感じですよねー。

その未消化の複線に関していよいよ着手し始めるのがこの巻です。
ナギ様の過去、大東という存在の本質、そして「上位人格」という設定の真実等
この巻ではそのさわり、前触れ程度しか分かりませんけど
過去に大事な出来事があったっていうのは分かる。
それを探っていくのがこの先であり、
それらが全部判明した時こそがこの物語のクライマックスなんでしょうけど・・・。
いやはや、復活したのはいいんですけど、如実に猛スピードで終わりに向かっていく様を読んでると
ちょっと寂しい気持ちも沸いたり、でも一番先に来るのは秘密を知るワクワク感だったり。
原因は大東の方なのかな?とか読んでる内に思ったんですけど
意外と深い部分を突いてくるのがこの作品でもあるので
そんな単純明快な話でもないんでしょうね。ただ、一つ分かることは元々幸せな存在では無かったという事、
だからこそ仁との日常が大切で、いとおしいものだったということ・・・。


そんな過去騒動の結果、ナギ様は全てを清算しようと大東を取り込み
ざんげちゃんに自分を祓うように命じる
恐らくは
そんな上位人格の力にざんげちゃんは支配されていたのか、それとも別の何かがあったのか。
結果的にナギ様はお祓いを受け、それに激怒した白亜によってざんげちゃんも意識から取り払われ・・・
と最終的には二人の神様がいなくなってしまうという最悪の結末を迎える訳ですけど。
やっぱり、贖罪的な意味合いもあったのかなあ?
そんなナギ様の顛末も気になりますが、自分の意図せぬ所で悪者にされてしまった
個人的にはお気に入りヒロインのざんげちゃんの今後も気になります。って気になる事だらけじゃねーか!
まあ構成に関しては丁寧な作者なので何の心配もないですけど、
結果的にハッピーエンドになればそれがいいなあ。
ヒロインが消えて終わりっていうのもよくある手段ですけど、この漫画にはあんまり似合わないと思うから。
本編では色々謎な部分も垣間見せてたざんげちゃんですけど
何気に姉の過去を気にしてたり、
本当は悪い部分だけを一生懸命払うつもりだったり、
根は本当に良い子なんだなあ・・・っていうのも個人的には伝わっていて欲しいですね。
何気に美しく変身するシーンなんかもあって眼福ものでしたよ。いつまで経っても素敵なヒロインです。

さて、6巻のレビュー(尼さんの方ね)では
仁の活躍に期待する、とか書いてましたが
途中までは本当に格好良い奴でした。告白の決意だったり、先延ばしのさの字もない
ハーレムと見せかけて実は一途な恋愛漫画「かんなぎ」の主人公らしい男らしい振る舞い
でも、やっぱり力足らずで、頑張ったけど操られてるざんげちゃんからナギ様を救えなくてね。
だからこそ、最後に力強くナギ様奪還宣言を叫んだ彼の「これから」に期待したいです。
それはナギ様を救える/救えないもそうだけど、自分を見つけられるかって
そういう意味合いでもね。
何気に似たもの同士なだけに、最高のエンディングは望めそうな感じ。
今やつぐみとか完全に草葉の陰に隠れちゃってるけど、それもまたハーレムを捨ててる証拠なんだろうな。
様々なキャラの思惑、動きによって益々目が離せなくなっている久方ぶりの新刊
お世辞じゃなく次の8巻が今すぐに読みたくなる程面白かったです!
未だに健在な武梨クオリティに感謝しつつ。






あ、シリアス展開のみのような巻ですけど合間合間のギャグ精神は忘れてないし、
いつものように幕間のコメディエピソードも冴えてる出来ですし、思った以上にガス抜きは出来てる模様。
だからその辺も含めて良い意味で地続きな感じがファンにとっては嬉しい一冊でもありましたね。

んで、ピンナップは「ゆるゆり」のなもりセンセが登場、相変わらず旬を押さえて来てるね。
あかり~んと共になっぎ~んとナギ様が消えてますけど、
多分この巻の展開に合わせたんだろうな。
笑えるようで何げに笑えないブラックユーモア。なもり、恐ろしい子・・・!(偶然かも、だけど 笑)。
こうやって見るとなもりさんの絵って随分女性っぽいんだなあ、と個人的に思いました。