超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

ぽちゃぽちゃ水泳部 2巻/遠山えま

2012-04-07 23:22:00 | 漫画(新作)





遠山えま「ぽちゃぽちゃ水泳部」2巻読了。





今回も相変わらずカツ代はカツ代のままなんですが
基本的に彼女の体型ネタをやってる方が面白い気はしますね(笑)。
弟と妹を連れて来て子供生まれたの?って言われたネタが一番ニヤリと来たんですけど
進歩がないようでたまにちょこっと痩せたり進歩もたまにはあって
でも基本的にはポーク体型のままなので
安心してぽちゃ娘の可愛さを堪能出来る、っていう。まあこの漫画の本当の意味でのヒロインは
部長ではあると思うんですけどね(笑)。雑誌ではいつもカツ代がメインですけど
単行本では常に部長がメイン表紙なところが
いかにも商業臭くて個人的には嫌いじゃないぜ!実際一番可愛いと思うし。
性格は正に残念美人って感じなんですけど
それでもその行動の一つ一つがきちんと笑えるものになってるから良し、まったり系というには
程遠いくらいのハイテンションっぷり、なのでまったり部活ものを期待されると
ちょっと違うってなるかもしれませんが
その分漫画らしい漫画ではあるなあと感じた最新刊
若干カツ代の存在に慣れてしまって1巻ほどのインパクトはなかったのが正直な所ですが
それでもレビューを書きたくなる位には面白かった、っていうのもまた本音。
基本的にネタの地力のある作家さんなので当たり外れは少ないですから。
結構人気のあるタイトルっぽいので
これからも頑張ってぽちゃ娘旋風を吹かせて欲しいものです。

で、個人的にそうやってちょくちょく体型メインのネタが入ってくるっていうのは
慣れさせない為なんじゃないかって思うんですよね。
恒常的になってくると
彼女の存在自体が薄れてきちゃうきらいがあるので
敢えて彼女の存在が異常であるって描き方のネタを挿入する必要性があって
それを考えるとネタもそうですけどこと構成に関しても割とよく練られてるなあ・・・って感じます。
決してキャラ主体なだけの漫画じゃない節がある。
キャラ立てに関しては常に見事で
そもそもが出オチのような主人公ですから
巻数を重ねるごとにインパクトが薄れるのはある程度仕方のない事ではあるんですけど
それでもこうやって飽きさせない、普通にさせない努力がみられるからこそ
ギリギリ鮮度を保っていられるっていうか
恒常的にならない感覚があって。
そこが個人的にすっごく上手いなと感じました。だから、ずっと飽きずに読めるっていうか。
何気にセンスのある作家さんだな~と改めて思えた新刊でしたね。
太りすぎて水着が裂けるとか、
いかにも漫画チックなネタですけどこの漫画にはこういうののが合うやね(笑)。
その分まったり成分は乏しいけど、この作品は常に騒いでるくらいがちょうどいいんじゃないかと。





にしても1巻が出た時、4コマ+部活ものってことで
某軽音部作品を引き合いにしてるブログレビューを見たんですけど
あまりにも的外れっていうか
そもそも作品の性質自体が違うだろ、って思わずツッコミたくなりました。
この漫画読んでてまったりって感じることないですからね(笑)。
そもそもが少女漫画出身の人ですし。良い具合にその癖が緩和されてる今回も面白い一冊に仕上がってます。




イモリ201 2巻/今井ユウ

2012-04-07 00:02:58 | 漫画(新作)






今井ユウ「イモリ201」2巻読了。





これは、正直好き過ぎますね(笑)。
なんでしょう、ものすごくしょっぱいんですよ。
ある意味コンプレックスだらけの漫画といいますか
基本ギャグだったりラブコメだったり、エロだったりする明るい作風なのにも関わらず
根底に流れてるのは圧倒的な他人への劣等感、羨望だったりするんですよね。
井森さんが一人ぼっちでお祭りの夜に人の群れを眺めてるシーンで
もうどうしようもないくらいの孤独感、
輪に入れない苦しみを感じたり
それが子供の時から持続しているっていう感覚も個人的にはまた堪らない感じで。
要するに他人ズレし過ぎていい歳こいてもぼっちです、っていう。
だからこそ川島の存在が大切になって来てるんでしょうね。
なんだかんだで構ってくれてますからね。

個人的にすっごく感心してしまったのが、寂しがり屋で、かまってちゃんなのにも関わらず
川島の為に関係を自粛した事、自分の欲望を犠牲にしてまた一人になったこと
一人ぼっちが何より嫌いな彼女のはずなのに
他人の為を想って行動出来た
それ即ち彼女の一つの成長でもあるって話なんですよね。確かにちょっと気になってた部分なだけに
ちゃんとそれに対する一つの想い、行動で示すって事柄が描かれていて感心したのと同時に
既に川島くんにとっても井森さんとの下らない日常っていうのが
一つの重要なパーツにもなってて
正論云々では決して語れないような事実でもあって。
この漫画1巻の時にも思ったけど尻上がりで一気にドラマチックに変化するから困ります(笑)。
最終的には一つの物語の目標なんかも出来たりして相当に好印象のまま終わった印象のある2巻
前も思いましたけど、この奇妙なモラトリアムっぷりは本当に面白いですね。
現実逃避は現実逃避なんですけど
ちょっと小ばかには出来ない程度のリアルさなんかもあったりして。
でも、二人の共通の目標、ゴールも出来たみたいなんでダラダラやりつつもちょっとでも
少しずつでも頑張っていけたら良いですよね。
基本的に男性向けのエロコメ、ラブコメディだとは思うけど
女子キャラの多い日常作品でもあるけど
それ以上に本当にダメ人間の、モラトリアム人間の為の漫画になってるんですよね。この作品。
そこが単純なサービス作品との一番の違いなんだろうな、と。
読んでて楽しいのに、笑えるのに
でも時折無性に寂しい気持ちにもなったりする、そんな絶妙な笑いと哀愁のさじ加減が大好きな作品で。
2巻でようやくこの主役の二人が大好きなんだって確信が持てた気がする。
賛否分ける漫画だとは思うけれど
やっぱり個人的にはフェイバリットなのは間違いないですね。
何かもう半永久的にぼーっと眺めていたい感じの作品の一つです。


そして、まさかの年上ライバルキャラの登場(笑)。
ぶっちゃけJK好きの変態云々の下りで呆れられるかな・・・って思ってたんだけど
流石は婚期逃して必死な楓先生
そんなことで引き下がる玉ではなかったですね。
顔が幼いのである意味通用しちゃってるところが面白いなあ。
嫉妬は嫉妬でも、今度のはある種本気の相手といえば相手なので
井森さんの反応も実直でなんだか可愛い。
嫉妬するって言うのは一つの愛情のサインでもありますからねえ。魅力的であると同時に
恋愛方面のライバルキャラがこれまた川島より年上の相手、っていうのが何とも。
これもまた絶妙な設定だなあって思うんですよ。
これが年下の若い子だったら
変なリア充感覚を与えちゃうだろうけど
自分より一回りも離れた結構な年上の女性ですからね。
そういったキャラクターの設定や関係性の練り込みもまた上手いなあとか思った新刊
キャラ同士の繋がりって観点でも十分に楽しめる作品でもありますよね。
羨ましいんだか羨ましくないんだか。
そんな変態たちに囲まれて、ストーンよもっと転がれ、って事で。大満足の2巻目でした。ごちでした。






借金してまで手に入れた貴重なファンアイテムを手放してまで
井森さんの劣等感の解消の為に、
好きな人の為に
駆け回れた川島くんは何気に格好良いですね!ナチュラルに人を笑わす能力のある井森さんも
今はダメ人間だけど案外潜在能力は何気に高かったりするのかも?
そんな救いのような描写も、また秀逸だったと思えますね。


イモリ201 1巻の感想はこちら