小林立「咲-Saki-」9巻読了。
中々にサクサク進む全国大会、あっという間に和の出番になりましたが
その過程も過程で随分と面白いなあって感触でした。
まずはやっぱり個性豊かな新キャラ達の動きが面白いといいますか
割と手早く試合自体は終わったりするんですけど
その中でもどのキャラも振り返ればそれなりに印象強い部分は往々にしてあって、
それを眺めてるだけでも楽しくて賑やかで盛り上がって、おまけに試合のオチもそれぞれ納得の出来る形だったので
次の和や咲の爆発の一歩手前、バトンって観点から考えると非常に抜群の9巻だったんじゃないでしょうか。
前巻も前巻で嵐の前の静けさ、って感じでとっても楽しめた印象だったんですが
今回はそこに全国の重みや壁がのしかかってきて
それを手玉に取るキャラだったり
大舞台での緊張にやられてしまうキャラだったりと
既にキャラが動くだけでどんどん展開が面白く進んでいく印象なので
安定といえば安定
でもその中にも突出したハッタリ描写があったりで順当に読める、真っ当に楽しめる
総合するとそういう巻だったかな、って思います。
それでもまだ全国大会は始まったばっかり
前段階でここまで面白いんだから
極まった時のワクワク感は尋常ではなさそうですよね。これからの展開に想いを馳せるのも楽しいんですが
進むペースが速くなってる分、その時々のキャラの個性も見逃せない感じで
爆発の前触れ的な印象はあれどこの巻もこの巻で非常に重要
隅から隅まで楽しめた印象の新刊でした。
何気に神代さんが凄く好きなんですけど(笑)。また出番も欲しいっすなあ。
個人的に初期から思ってたんですけど
部長はやや自信過剰過ぎるっていうか
不敵な印象がどうしてもあって、でもそれが彼女の持ち味でもあるとは思うんですけど
人間らしさって観点からすると物足りない部分はどうしてもあって
それでもそれで他のキャラが輝いてたから全然OKだったんですが
でもここで、こうやって彼女の内面
彼女もまたいち女子高生であるって部分が大きくクローズアップされるとそれはそれで新鮮っていうか
ここでより部長の存在を身近に感じられるようになった節は絶対にありますよね。
自信家にもちょっと見えていた彼女の混乱不調
でも、結果彼女を揺さぶり起こしたのは他ならぬ彼女自身
それ即ち本当に自分の事を決起させられるのは自分でしかないって事実の裏づけでもあって。
誰かの為に、体裁の為にやる試合ではなく、あくまで基本は自分が楽しむ為
それを忘れたら何もかもが義務になるだけ――――
そんな思想が込められてた気もして
ここに来てようやく部長の試合で本気で感情移入出来るものが来て個人的には嬉しかった。
やっぱり人間上下あってこそ、ですからね。
その他にも相変わらず効いてるハッタリ描写は部長の気合を取り戻したシンボルとしても描かれてたり
和の試合が始まる前の不穏な空気がこれからの嵐への期待感を煽ってたり
本質的な部分はやっぱり少年漫画なんだなー、っていうのが
如実に感じられたのもまた面白かった9巻。
本格的な試合だけの巻も結構久々に読んだ感触なので、その意味でもまた盛り上げてく気が満々の
それでいてキャラ描写も相応に濃い中々の出来の新刊だったんではないでしょうかね。
この引きだと、また10巻に関しても期待をせざるを得ない感じで(笑)。楽しみです。
しかし、この漫画目の保養には本当に良い作品ですよね。
扉絵がみんな傑作レベルの作画です。
その上で少年誌の方法論で漫画進めてるその欲張りっぷりは相変わらず最高って話で。
余談ですが142ページ目の部長の表情は可愛すぎです!(笑)。
こんな表情も出来るんじゃないか。初めてグッと来た気もしましたね。美少女的に。