超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

鏡の国の針栖川 2巻/叶恭弘

2012-03-02 20:17:43 | 漫画(新作)





叶恭弘「鏡の国の針栖川」2巻読了。




単行本派だったので早期の連載終了はちょっと驚きましたが
2巻読んでたら納得も納得、これ初めから長く続ける気なかったっぽいですね。
それが証拠に嫉妬とかライバルの登場とか、三角関係とかそこに至るまでの流れだとか
ラブコメのお約束が一つ一つ順調にこなされていって
過不足がないように思えます。
だからおいしい部分はどれも拾ってくれてる感覚っていうか、すごく満足出来るんですよね。
ラブコメディとしては順当に面白くなってる印象の2巻目、
やはり叶恭弘の漫画ってすっごく楽しい。

なんで楽しいのか、って部分を自分なりに考えてみたところ
どのキャラも筋が通ってるといいますか行動の一つ一つにちゃんと理由があって
事情もあったりして、単純に嫌なキャラを作ってない部分ですね。
これに関しては過去作よりも磨かれてるかも。
須田も実際良い奴ですし
ヒロインズの好感度の高さは勿論主人公の針栖川がめっちゃいいやつなんですよね(笑)。
自分を犠牲にして女の子の事を守って、
松川の言うとおり一途で頼もしくて。叶作品の主人公の誠実さはこの作品でも健在ですけど
それに加えて須田も本当にいいやつでね、
恋に揺れるヒロインの行動原理とか反省も良く分かるし
みんながみんな良い人で、それもあって気持ち良く読める快感さがある。
松川もすっかり正ヒロインっぽくなってて
読者人気も高そうですけど
何気に事情を知ればきちんと謝れる真桜もポイントは高いですよね。
鏡の中に閉じこもったままだと基本協力がメインになるので
決定的な仲違いとか作れないのでは、って思ってたけど案外なんでもやれるなっていうか
ラブコメのお約束をバンバンこなせてる技量に感服したりと
根本的なポテンシャルの高さを感じる事の出来た2巻目でした。前述の通り引き伸ばしなしって事で
少年誌ならではの良質なラブコメディが読みたい方には是非って作品ですね。

しっかし個人的に思ったのは、鏡設定があるのならば
風呂場覗きも楽チンだなっていうか
肝心な所で入れ替わればいいんだからある意味ではし放題だなー、とも思いました。
とはいっても協力してくれる相手がいれば・・・の話ですけどね(笑)。
相手が誰でも無理な気はするけど、
プリティフェイスの番外編のお話のようなテンションであれはあれで面白かったなあ、と。
その他にも男目線とは言え揺れ動く女の子の気持ちも存外に描けてる印象もあるので
サービス以外にも切なさの表現にも着目してもらってもいいかな、と。
急ぎ足どころか
ちゃくちゃくと展開をこなしていってるスムーズさが気持ち良かった2巻目
最後はきれいにまとまると思うので次の最終巻も楽しみですな。
取り合えずダブルヒロインは天使レベルです、って事で。





どうでもいいけど15話冒頭の松川の妄想の中のもじもじしてる真桜が可愛い(笑)。
そんな風に思う自分もまた一種の変態なのだろうか。



ギルティクラウン 第19話「贖罪:rebirth」 感想

2012-03-02 02:34:32 | アニメ





死を覚悟した主人公。





何も知らないのならまだしも、使ったら死ぬと言われてるのに使うってことはそういう事だ。
自らの罪や他人からの憎悪を全部引き受けて、自らが破滅に向かう事で清算しようとする主人公。
だけど、不思議と・・・開き直ってる感はゼロだったりで
自らその役割を引き受けたように感じる。
全て失って
空っぽになって、ようやく出したその答え。顔付きからして今までとは違う、主人公の顔で。
先週いのりがやっとヒロインらしい役割をこなせたかなって思ってたら
今週で集も始まって以来最高潮に主人公としての役割を果たせてた訳だ。
それも無償で、だとか健気な気持ちでとか
そんな潔癖な決意ではなく
今までの過ちを全て消す為に、っていう背徳感が何とも言えず格好良い。
嘘界の目的って今となっては最早知る由もないけれど
結局は本当の意味でのヒーローを求めてただけなのかもしれない。酸いも甘いも散々吸い尽くした集
他人から憎まれても他人を憎んでも最終的には生まれ変わる事が出来た、
そんな彼の「贖罪」に本気で期待しています。

前々から素直な成長物語にはならないな、って思ってたら
こういう展開を描く為だったのですね。
納得したし、
ある種の正しさも感じるんですけど、それ以上に批評眼が冴えてるなって思って。
他人に押し付けてばっか、文句ばっかで自分では何もしないくせに偉そうで傲慢な人々
蓋を開ければ下らない足の引っ張り合いで自分で泥を被ろうともしない
以前の情報過多による危険性のお話でもそうだったけど
何気にそういう批判的な要素っていうか
反面教師的な意味合いが込められてる気がして。このアニメ。だから余計に面白く感じる。
集の存在はある意味無責任に対するアンチ精神のようにも感じられて
今の彼自身が責任を取れる人間のメタファーにも思えて
なんか色々と面白いです。
とはいえ単純に覚醒シーンの勢いなんかも普通に格好良くて魅入ってしまったんですけどね。
そういった「単純に格好良い」場面の見せ方が上手いアニメでもありますよね。
最後の最後で贖罪のヒーローになった集、
これまでのルサンチマンを全て解消する為にも頑張って欲しいですね。
全ての憎しみにカタを付ける為に。

正に、この時代に合ってるアニメ、って個人的には観てて感じられました。そんな19話でしたね。





自分なりに考えてみると様々なメッセージ性があるように感じられるこのアニメ
いのりの化け物化も初期から複線は貼られていたし、
コンプレックスに感じてる描写もあったりして
あれもあれで決意の表れだったんでしょうね。最後くらいはせめて二人幸せになって欲しいものです。

そして集の周りの人間たちが、全てが終わった後どういう反応を取るのか・・・にも注目ですね。