NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその8「業々」です。
8.業々
この曲は、「THE BUNGY」系統の聴き手のケツを思いっきり引っ叩くようなナンバーなんですけど
なんとハードロックか、ってくらいへヴィで荒々しいサウンドで鳴らされていて
歌詞もまた微妙に攻撃的なもんだから
余計に新境地っていうか、ここまでゴツゴツしたサウンドで鳴らすのは珍しいなあって思える
これまた今までのNICOには無かったタイプのエッセンスの楽曲で。
どことなくマッドカプセルを彷彿させる音でもあるけど
でも感触的にはきっちりNICOの音じゃん、って思える個性も健在で
中々に隙間を上手く突いたな、と実直に感じれる異色にしてある意味王道のナンバー。
単純に気合付けだとか、自身の確信の後押しに役立つような自己啓発型ロックンロール。
インディーズバンドの音源か?ってくらい音が割れてるのもまたこの曲のユニークさの一つです。
出る杭は打たれる、って言葉に代表されるように
ビッグマウスは叩かれ、謙虚だと褒められ
必然的におとなしくしている事が一番だとかそんな風に決められてるこの世界ですけど
そんなもんクソ食らえっていうか、間違ってようが間違ってなかろが
自分の心に、誰の言葉も聞く耳持たず笑われる覚悟で行けよ、っていう。
そんな強引な応援ソングなんですけど
逆にここまで一方的にまくしたてられると相応のカタルシスなんかもあったりして
無我夢中で聴けてしまうような勢いとか張りはやっぱり光村龍哉ならではのものだと思います。
「調子に乗ってるくらいが案外フツーです」幸せを制限される事に対してのアンチ精神。
単純にハードロックの要素云々って曲ではなく
そこに込められた意味や意思も相当に尖ってて格好良くて
それ即ち他人に左右されるな、ってメッセージ性なんかも含んでたりして。
それがまた良い具合に「ロール感」を煽っていて色々な観点から素敵って思える一曲に仕上がってますね。
「ご意見ご要望ございましたら どうぞおまとめの上 一昨日言いな」
単純に聴いててスカッとするフレーズ。同時にシンパシーなんかも感じたりして。
ここまで言い切れる光村龍哉ってやっぱり生粋のロックスター気質であるとも思うんだ。
それはもう初音源を聴いた時から一切変わらないですね。
それが未だに自分の中で持続してきている事が何より嬉しいな、と。
他人に影響されて自分を失くすのなら、
誰に笑われても下らない自分を守った方が全然マシっていう。
ある種今欠けてる思想の一つでもあるんじゃないかと。