THE BACK HORNのニュー・シングル「シリウス」を聴く。
気がついたら1年半ぶりの音源なんですね。物凄く久々な感じがします。
そんな「シリウス」がどういう作品になっているのかと言うと、去年の震災から一年経ちましたが
こと詞に関しては完全にそこからの流れを汲んでいて一つのコンセプト作品みたいになってるな、と。
シングルとはいえ4曲収録ですし、
何気に流れも出来てるのでミニアルバムと形容してもいいくらいの内容なんですけど
ありとあらゆる価値観が崩れていく世界で、
何が出来るのか
どう生きるべきなのか。
完璧に答えは示唆されてないものの、テーマ的にはほぼ全曲そういった考えさせられる内容になっていて
露骨に震災以降の状況だったり感情を反映させた楽曲観の統一性に関しては
どの曲もブレがなくて、またがむしゃらさも当然あって、見事にコンセプチュアルに作り上げたなという印象。
ただ単に応援云々ではなく、そこに付随する無力感だったり、虚無感だったり・・・
そういった感情もごまかさずに音に乗せて奏でた、
非常にストレートな感情が突き刺さるシングルだな、と。
ただ格好付けてるだけじゃ何も変わらない、
それよりも無様でも不恰好でも自分のすべき事を、やるべき事を。
そんな意志の強さ、再生へと向かう勢いがコンパイルされた誠意のあるシングル。
凶暴的な印象こそ控えめですけど、
あのアルバムや去年の情勢を踏まえて出されるシングルとしてはある程度納得は行く作品ですね。
疾走感も往々にして強いのでバックホーンのストレートなナンバーが好きな方には是非と云いたい作品。
当然ながらライブで聴いても盛り上がりそうな曲ですね。
カップリングの「一つの光」含めて。
相変わらずバッキバキのバンド演奏も見事なもので。
多分アルバムには入らないと思いますけど、
カップリングの「クリオネ」がまた良い曲ですね。
なんていうんだろう、ポップで爽やかだけど、懐かしい感じもするような。
有り体に言えば90年代前半っぽいエッセンスの漂うある意味新境地とも言える楽曲
ここまでふんわりしてて、
でもシュッとしてる雰囲気の曲ってあんまなかったように思います。
一見優しい曲ですけど
その裏には切なさなんかも垣間見えたりして
この時期の微妙に虚ろな感触ともきれいにマッチングするような、そんな曲です。
さり気にリピート率が高かったりする優れた楽曲に仕上がってますね。
この後に壮大な「舞い上がれ」が来るので
ますますシングルってよりはミニアルバム的な感じがするっていう。
そんな今現在の世界から目を反らしてない堂々たる傑作シングル、中々に面白い作品でした。
「全てを愛せないから あなたを愛せた」 (一つの光)
何かを嫌いになる、憎むって事は裏を返せばその分信じるものがある、とも言える訳で。
だから言ってしまえば愛せないものも必要と言えば必要なんでしょうね。
自分の心にはいつでも素直でいるべき、っていう。