eラーニングの現状と展望

ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

中国の教育サービス市場

2008-11-20 13:41:53 | eLearning in China
中国の社会人教育は、1991年に教育訓練サービス業への民間の参入を認めるようになってから急速に拡大する。この年の各種の職業技術学校は1万6000校、在校生は600万人。

1993年に中国政府は「会社法」を施行し、市場経済の目標を打ち出した。この年に、「国営企業」は「国有企業」へ名称も変更されている。

1994年7月5日、「労働法」が公布され、95年1月1日に施行された。職業訓練の事業を発展させ、労働者の職業技能を開発し、労働者の就業能力や業務遂行の能力を増強させるという内容だ。民間の教育訓練サービス業への参入を法的に保障するものであるとともに、「職業技能の訓練を受ける」ことが労働者の基本権利とされたことが注目される。

1996年には、「企業労働者教育訓練規定」が公布施行された。これらの規定は、2008年1月1日に施行された「中華人民共和就業促進法」にもりこまれた。第五章には、企業が従業員の教育経費をつみたて、労働者に対して職業技能訓練と継続教育訓練をおこなうべきことが明文化されている。

中国最大手の社会人教育機構の新東方教育科技集団は、1993年に英語教育からスタートし、はやくからeラーニングなどにも取り組んでいる。現在、中国の各地に32の学校を設立し、115の学習センターを運営している。2006年末までに400万人に教育訓練を実施した。

2003年段階で、企業の経営管理を中心に教育訓練をおこなう機構は約1,000社、企業が教育訓練に支出した費用は約400億元だった。

中国政府の計画によると、2006年から2010年までの5年間に約5,000万人に就職前の教育訓練を実施する。また、3,000万人に職業技能訓練をおこなう。

分野別に市場の状況をみると、2003年の英語学習者は2,000万人で、英語教育の学校は約5万校といわれる。2010年の市場規模は、利益ベースで約300億元。5年間で倍増する。リーマンブラザーズのレポートでは、2010年の中国の語学学習市場は39億ドルに達するとみられている。日本は、およそ60億ドル市場である。

中国のインターネットユーザ数は、すでに世界一だが、2012年には6億人に達する見込みだ。

IT教育の市場は、2008年は60.3億元、2010年は89.3億元と予想されている。

学校についてみると、2006年の生徒数は3.2億人、学校数は62万校。大学への進学率は、すでに22%になる。中国の職業訓練は、これまでは学校教育の制度の中でおこなわれてきた。

中国民間の「培訓機構」の数は、2006年で2万3470社、年間教育をうけた人数は約1.5億人。そのうち、企業の年間教育訓練サービスの受講者は9,100万人。

企業トップの経営管理教育市場は、約40億ドル。

社会人教育機構についての外資に対する規制は、1980年代後半から解禁されるようになった。その結果、米国系の外資などが教育訓練サービス市場に参入している。

中国最大手の新東方教育科技集団は、ベンチャーキャピタルからの出資をうけて、2006年9月にニューヨーク証券取引所に上場した。会長の資産は、200億円ちかい。すでに同社は日本へも進出し、IT教育にのりだしている。

上記の内容は、産能大学の紀要2008年9月号(29巻1号)掲載の論文からまとめたものです。著者は、周偉嘉、内藤洋介、欧陽菲の3氏。








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