いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

一般人と一変。 general person and a sudden change

2017-02-19 19:53:33 | 日記
 (1)「テロ等準備罪」という共謀罪が一般人(general person)も犯罪対象になるとして、国会審議で問題化、議論されている。安倍首相はそれが犯罪者として「一変」(a sudden change)しなければ一般人は対象にならないと説明しているが、「一変」することと「準備」との関連性があいまいで、つまり一般人も対象になる可能性は残る。

 (2)何しろ当初のテロ等準備罪というのは700近い犯罪例を対象として、中には業務上過失罪のように事前に準備して犯罪行為を行う概念のものでないものまで含まれていて、政府の法案意図が2020年東京五輪開催の安全、犯罪取り締まりに名を借りた犯罪詰め込み式の目的が国民監視社会を前提とした概念罪であることがあきらかだったので、冒頭のような国会審議でのやり取りとなった。

 (3)監視社会は戦前の特高警察による国民の思想、信条、主義の取り締まり、摘発を連想させるもので、テロ等準備罪は2020年東京五輪開催に向けた口実として国民監視社会の再来を目指すものだ。

 近年は個人の権利、人格権尊重からプライバシー保護社会が原則論となって、これは私人関係論であるはずが公人、法人としての政府の特定秘密保護法まで成立させて、逆に国民に国、政府の重要情報を隠して公表しない制度までつくってしまった。

 (4)公人、法人にも守るべきプライバシーはあるのかの議論はあるが、私人と違って国民全体の利益を代表する組織として国民の理解と協力が求められて、そのための判断として情報公開性が基本であり、個人のプライバシー保護理論とはあきらかに概念論からも国民の理解と協力を拒む情報隠しの法理論であり、民主主義、議院内閣制政治に反する制度であった。

 安倍政権の特定秘密保護法から共謀罪から名前は替わってもテロ等準備罪までの流れは、戦前の国民監視社会への思想回帰につながるもので注意、懸念される。

 (5)冒頭のように700近い犯罪例をあげてその中にそぐわないものまで内包していては、全体像が国民には把握できずに安倍首相は一般人を対象とするものではないといくら説明してみせてもとても利益限定的に精査されたものと理解できる内容とはいえない。
 
 普通の生活の一般人にとっては、共謀罪、テロ等準備罪が成立したからといって別に政府に監視されたからといっても何もたじろぐこともなければ、驚くこともないわけだが、一方でプライバシー保護法、尊重社会、理念の中で個人の生活、権利が何かと制限される恐れ、危惧があるというのは、政府の相反する二重基準、方針の不合理、不条理(unreasonableness)を示すものだ。

 (6)何よりも国、政府から何かにつけて監視される社会という居心地の悪さは、自由主義、民主主義国の姿ではない。
 2020年東京五輪の安全開催を考えるとしても、同法案について自由主義、民主主義理念にもとづいて政府はもっと論点整理、情報公開性を高めなければならない。

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