いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

科学者パラダイム。 paradigm of scientist

2017-02-06 19:41:04 | 日記
 (1)これまで戦後一貫して拒否してきた軍事研究に取り組むのかどうかを検討する研究科学者集団の日本学術会議のフォーラムが開かれて、これまでどおり拒否する意見が相次いだ。

 戦前、科学者が戦争協力して国内外に多大な犠牲を及ぼした戦争への反省から、戦後日本学術会議は軍事研究を行わないと決議し、これが科学者の良心、倫理として受け継がれてきた。

 (2)兵器の近代化にともない、政府はこれまで武器輸出禁止3原則(共産圏など利益相反する地域への輸出禁止)を見直して、防衛装備移転3原則として技術力向上、継承を理由に外国との武器技術開発に参加して武器輸出解禁をなし崩しに進めてきた。

 この政策推進の中で防衛省は高い研究補助金を出して大学機関に軍事開発研究を依頼して、研究費の不足に悩む大学機関では高い研究費配分目当てで軍事研究に取り組む姿勢変化がみえてきた。

 (3)この傾向を受けて日本学術会議でも戦後の軍事研究拒否の決議を見直すべきか検討に入った。安倍政権になって軍事力強化を進める政策推進の意図、影響を受けたものでもあるのだろう。

 ニュース映像を見るとこれまでの軍事研究拒否の意義を科学者が机をたたいて訴える中で、一方でそれでは我々(科学者)がこれを引き受けないで誰が軍事研究すればいいのかと問いかける場面もみられた。

 (4)一見わかりやすい論理(logic)のようにみえるが、それは国、政府の規律の問題であり、科学者の使命、責任、パラダイム(paradigm)とは関係ないことだ。

 つまり「弾道ミサイルと宇宙ロケットは同じ。軍事利用と民間利用の間に境界はなく悪用されないために何をすべきかが重要だ」(報道)という意見も聞かれた。北朝鮮が人工衛星と称してミサイル発射実験をくり返すのと同じ危惧だ。

 (5)そもそも根源問題は、武器輸出禁止3原則をなし崩しにして輸出解禁を進めた政府方針の転換にあり、さらに研究費不足の大学研究事情を考慮した国、防衛省の補助金配分方針だ。

 戦後の平和憲法で戦力を持たずに交戦権を有しない日本が、戦争の反省から非核3原則(もたず、つくらず、もちこませず)、武器輸出禁止3原則を堅持すべき原則論、社会正義パラダイムでありながら、沖縄返還密約、技術力向上、継承を理由にいづれもなし崩しに方針を変更、放棄している不条理、不合理性(unreasonableness)だ。

 (6)平和憲法を維持する日本として、また唯一の戦争被爆国として平和、軍事面で国際協力すべき、できる範囲は自ずと特定、限られるものであり、政府が国際協力の名のもとに不条理に足を踏み外すのであれば、せめて科学者の良心、パラダイムとして日本学術会議がこれにストップをかける見識、良識を示すべきことが使命、責任でなければならない。

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