いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

作家の心理。 psychology of novelist

2017-02-13 19:57:41 | 日記
 (1)言葉、言語というものは、つくづく「生きもの」(a living thing)だと感ずる。作家川端康成の自筆の草稿原稿が半世紀余りをすぎて発見公表された。
 報道によると「昔、知人にもらった」(報道)という男性所有のものだそうだが、そろそろ公表しても騒ぎに巻き込まれることもなくいいのかと思ったのか、こういうものは時が経つほどに作家個人への思いが強く価値観も高く強くなるものだけによろしいようだ。

 先日も作家三島由紀夫の自死半年前のインタビュー録音テープが発見されて、三島の死生観、文学観が色濃く語られていた貴重なものといわれる。

 (2)自筆の原稿や言葉に時を経て触れると、言語が人格を持って生きて語りかける不思議な力を感じる。活字だとそうはいかない。
 なかなか文豪、著名作家の自筆の原稿となると所有者にとっては公表する決意、時、意味について相当の決断を要して、踏み切ることがむずかしいだろう。

 没後早々ではあまりにも生々しくて社会的関心、興味も高くて記憶も鮮明なだけに、騒動に巻き込まれる懸念が先に立ち踏み切れないこともある。

 (3)まだまだ眠っている文豪、著名作家の記念すべき、記憶すべき自筆の原稿はあるのではないのか、調査、公表に期待したいところだ。文豪、著名作家の時代の息吹が感じられるだろう。

 最近、江戸城の詳細な配置原図が発見されて、姫路城の二天守閣構造に熊本城の進攻を防ぐ迷路を備えた堅固な城(報道)だったことがあらたにわかった。大阪城攻略を控えて徳川家康が自城を強固に固めたものとみられている時代考証だ。
 歴代天皇稜の現地調査研究も許可されて、今後貴重な歴史遺産の発見も期待される。

 (4)現在の作家は多くが最新の情報機器を使った文章作成方法で、そういう意味では記憶性、生命性、人格性、時代の息吹からみるとかけ離れた存在だ。
 冒頭の発見公表された川端康成自筆の草稿原稿では書き直し、推敲の跡も随所にあり(報道写真)、作家の意図、こだわり、意思、変化、息吹、心理が読み取れて、ことさらに言語、言葉が「生きている」実感が伝わってくるものだ。

 (5)情報機器による書き込みだと余程のことがない限り設定操作をしないと、こうはいかない。推敲には便利だが記録、記憶としての作家の文筆軌跡、変化、心理が読み取れない味気なさが残る。

 もちろん作品の完成度が求められる練り上げた完成本が価値を持つ作家の意思としては、それまでの準備、過程というのは表舞台に出ることを想定しないものではあるが、それが文豪、著名作家のものとなると多分に本人が意図しない準備、過程の公表もそれなりに興味、関心も高く、記録性、記憶性、背景性からも価値のある創造物ともなる。

 (6)冒頭例のようにどういう意図で経緯で文豪、著名作家の自筆の原稿が人づてに後世に伝えられることになったのかはわからないが、ひょっとして著作活動の心の深さ、変化、本心を解くきっかけとしてテーマとして本人が後世に残したい作家心理(psychology of nvelist)、意図があるのかもしれないと思わせる。

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