いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

将棋連盟の出直し。 call again of japan shogi league

2017-02-07 19:56:15 | 日記
 (1)棋士を見ていると一様に若くから常識感覚に優れた応対、礼儀正しく、沈着冷静なのに驚かされる。将棋の持つ「考える力」に多分に受け継がれてきた偉大な先輩棋士からの礼節心、指導力のたまものが大きいのではないのか。見上げたものだと尊敬の念を持たされる。
 A級棋士の佐藤康光九段が新しい日本将棋連盟会長に就任して出直し(call again)の舵を取る。

 (2)今回のプロ将棋最高クラスのA級棋士の対局中のスマホ将棋ソフト不正使用疑惑(その後の第三者委員会の調査で疑惑はなかったと結論)では「純粋培養」(cultivation of purity)性が対応を誤って問題を深刻にこじらせてしまった。

 将棋はプロ棋士ともなると数百手ともいわれる「先」を読む読解力がすばらしく視野の広さ、深さが特徴だが、今回の「事件」では深読みが効かずに短絡な結論にはまってしまった。

 (3)意外と純粋培養の「弱さ」が出てしまった結果であった。今回の「事件」での日本将棋連盟の対応、検討も、正式な手続き会議を得たというよりはタイトルホルダーの有力棋士たちが理事個人の自宅に集まっての(報道)話し合いが持たれたといわれており、透明性を欠いた。

 パラドックス(paradox)として冒頭のような人格者集団として想定もしない「事件」に見舞われて、対応のレシピもなく普段は沈着冷静な深読み、考える集団でありながらあわてた、戸惑ったとみられて、純粋培養型のもろさが出てしまった。

 (4)まるで大学などの学者、研究者集団が社会の常識、しきたりに無頓着で一般社会人としての対応が苦手な人が多いのと似ている。現在のトップ棋士は若いころからコンピュータ分析ソフトを駆使して腕を磨いて実力をつけてきた世代であり、対局にも参考手が見られるのは不思議とは思わない。
 疑惑をかけられたA級棋士も同じ様な釈明証言をしていた。

 (5)大学入学試験のように全国でただ「ひとつ」の答えに対して情報機器で答えをやり取りする不正行為と違って、将棋の戦法は無限ともいわれるほどの多様性(diversity)があり、たとえ対局中にでもスマホの将棋ソフトを見たとしてもただ「ひとつ」の有効な「手」とはいえない次元の違う深いものと書いてきた。

 (6)対局中は人間(棋士)対人間(棋士)の頭脳の闘いではあるが、その実力を磨いたのはコンピュータ将棋ソフトということであれば数あるブレーン(brains)の中から参考にするのはあり得ることだ。
 そもそも数百手先を読むコンピュータ頭脳の持ち主の棋士がコンピュータ将棋ソフトを参考にするだけのことだ。

 現代はコンピュータAI棋士が人間プロ棋士と対局する時代に(それでは対局中に見てはいけない相手のAI将棋ソフト自体をどう見て人間プロ棋士は対局するつもりなのかむずかしい)本来の広い視野、深読み、考えがあってもよかった。

 (7)そういうものに打ち勝って、淘汰してこその真の実力将棋ということだ。日本将棋連盟の対応の中に伝統と文化と寛容の広い沈着冷静な心が見たかった。

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