長年の謎が解明したと思ったら、時をおかずに追加情報に触れるということはたまにあることです。今回はスロットマシンのスイカシンボルの謎がそうでした。
前々回の記事「【訂正・追加等】スロットマシンのスイカ・初登場時期が判明!」で、スイカシンボルがスロットマシンに初めて取り入れられたのは1937年であるということを、ラスベガス近郊の「クラーク・カウンティ・ミュージアム(Clark County Museum)」と言う博物館の展示から突き止めたと述べました。ただ、博物館の展示には、それがどこのメーカーのなんという機種だったかまでは記述されておらず、謎を完全に解明したとまでは言えない状態でした。
しかし、GWだと言うのに「STAY HOME」で外に出られないこの機会に、手元にある英語表記のスロットマシン関連書籍を苦労しながら読んでいたところ、この最後の謎について更に詳しい記述を発見してしまいました。
それはカリフォルア州アルカディアにかつてあった「Post-Era Books」という出版社が1979年に刊行した「MILLS of the THIRTIES」という本の中にありました。
Slot Machines of Yesteryear MILLS of the THIRTIESの表紙。
このP.127に、おそらくはその機種の広告と思しきイラストと宣伝文句が掲載されています。
おそらくは新機種の広告かと思われる。イラストには「david green」との署名? が見られる。
(以下、文面の超訳)
熟したスイカ同様にジューシーなミルズの新製品メロン・ベルは、プレイヤーへのアピールが滴り落ちています。人々はあっさりとこのマシンに熱狂します。いまだかつてない最高にリッチなベルマシンです! (人物のセリフ)ああ、スイカだ!
つまり、初めてスイカシンボルを採用した機種の名は「メロン・ベル(Melon Bell)」と言うようです。
余談ですが、米国では「スイカ(と、フライドチキン)は黒人の食べ物」と言う固定観念があるそうで、これらの食べ物は差別を意図した表現に使われることもしばしばあります。このイラストがそうであったとは思いませんが、「カルピス」のシンボルマークのように、今ではちょっと使えない表現だと思います。
さらに、このページをめくった次のP.128とP.129では、見開きで製品の説明と筐体の画像が続きます。
本文にはこれらの画像についての説明がないが、おそらく前ページの画像と併せて「メロン・ベル」のフライヤーではないかと思われる。
(以下、左ページ文面の超訳)
従来のフルーツシンボルに新たなキャラクター、緑と赤がみずみずしいスイカが加わりました。従来のキャラクターもリール上にあり、それらはすべて従来通りの当たりと標準的なジャックポットを提供しています。スイカは、「メロン・ジャックポット」という、ベルマシンに新たに加わった更なる大当たりのためのシンボルです。
メロンベル
巨大なメロンジャックポットを搭載
このジャックポットは手で補充し、コインで$10を収納します。前に張り出した美しく洗練された枠はマシンの前面全体を支配しているため、コインだけが目に入ります。スイカシンボルは、3つのリールに頻繁に現れますので、プレイヤーはいつもハンドルを引くたびにジャックポットを意識してスイカシンボルに注目するようになります。
スイカジャックポットがヒットすると、ロケーションのオーナーは開錠し、中身の全てがプレイヤーの手に入ります。つまりこれは装飾用のダミーではありません。それは現実の賞金で、夢ではありません。そして、実際に直接プレイヤーに払い出されることはプレイヤーにとってプレイする強い動機になります。
ジャックポットがヒットするたびに、オペレーターのみが参照できる内部機構に記録されます。そして賞金のコインを補充すると機械は再びワイルドなマネーメイキングレースを開始します。あなたはこれほどまでに素早くお金を稼ぐものを他に見ることはないでしょう。
スイカシンボルに関するファイナルアンサーをまとめます。
・スイカシンボルが初めて登場したのは1937年。
・初めてスイカシンボルを採用した機種は、Mills社の「Melon Bell」。
・スイカシンボルが揃うと、$10分のコイン(200枚)が払い出された。
ところで、実は、今回の出典とした本は、AM業界の生き字引と言っても過言ではないある方が、「スロットマシンの歴史に触れている拙ブログの資料に」とお譲りくださった何冊かのご本のうちの1冊でした。おかげさまでまた一つ、謎を解明することができました。これからも大事に使わせていただきます。本当にありがとうございました。
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