オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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名前通り天国のようなHeavenly(埼玉県羽生市)に感謝を

2023年12月17日 18時33分25秒 | ロケーション

Heavenly」は、埼玉県の北東部、群馬県に接し栃木県にもほど近い羽生市にある、極めて特殊なロケーションです。ワタシは昨日(12月16日)、こちらを訪問してまいりました。

赤い点が羽生市の位置。ワタシの家(青い点)からは電車を乗り継いで2時間ほどかかる。

Heavenlyには百数十台のピンボール機があり、全て無料で遊ぶことができます。Heavenlyは風俗営業の許可を得ていないので、お金を取ってしまうと違法な無許可営業となってしまうからです。

実はHeavenlyは、個人のピンボールコレクターが「個人的には無料でもピンボールをやってもらえたら楽しいなぁみたいなフワっとした動機」で始めた(Heavenlyの公式ブログより)という、まさに神様のような篤志家が、これに賛同する天使のようなボランティアスタッフと共に運営している、その名の通り「天国のような(Heavenly)」ロケーションなのです。

ただ、Heavenlyはいつでもだれでも入場できるわけではありません。オープンする日は不定期で、概ね月に1回を目安として予めSNSなどで告知されるので、入場を希望する者はメールなどで申し込んでおきます。

また、Heavenlyはゲーム施設として作られているわけではなく、供給できる電気のアンペア数に限りがあるため、利用者はゲームを終えたら筐体下面の電源スイッチを切り、遊びたいゲームがあれば自分で電源を入れることがお約束となっています。さらに、ピンボール機が並ぶ1列に付き概ね6台までの稼働に留めたいとのことで、稼働中の機械が多いラインは空くまで他のラインで遊んでいるという気づかいが必要です。

Heavenlyの場内。5つのレーンにピンボール機が並んでいる。意外にもピンボール世代には見えない若い人が多く、ご婦人も5-6人見かけた。人がまばらに見えるのには理由がある。この画像には入っていないが古いビデオゲームも若干ある。

Heavenlyに設置されているEM機は、ラスベガスの「ピンボール・ホール・オブ・フェイム」にも無い貴重な台が多く、その点でもまさにHeavenlyなところです。ワタシは昨年9月以来2回目の訪問でしたが、今回もたくさんのEM機を楽しみました。中でも、「Doodle Bug (Williams, 1971)」は思い入れの強い機種で、前回に続いて今回もさんざん挑戦してきました。

Doodle Bug (Williams, 1971)を正面から見たところ。

「Doodle Bug」には、そのバージョン違いを除いて他の機械では採用された例が無い、(拙ブログでおなじみの、カナダのCaitlynよりコメント欄にて1981年にBallyからリリースされた「Fireball II 」にも搭載されているとの指摘をいただいたので削除・2023.12.23)Doodle Bug Feature」という特異なフィーチャーがあります。これは、プレイフィールド中段にある5つのターゲットのうち中央のターゲットにボールを当てると、プレイフィールドの下に埋め込まれているキャプティブボール(封入されていてプレイフィールドには出てこないボール)が上下に往復運動を始め、キャプティブボールの通路中央にあるボタンを踏むたびに得点が得られるフィーチャーです。キャプティブボールの往復運動は、プレイフィールド上の「STOP DOODLE BUG」ボタンを踏むか、ボールが中段左右のロールオーバーを通過するか、またはボールがアウトになるまで延々と続きます。

プレイフィールド中段に埋め込まれている「Doodle Bug」フィーチャーとその周辺。5個あるターゲットのうち中央にボールを当てると、キャプティブボールが往復運動を始める。1から4のターゲットを番号順に4まで当てると、「Doodle Bug SCORES」が一段階アップする。

Doodle Bugはフリッパーの配置にも特徴があります。通常、フリッパーは「スリングショット」と呼ばれる三角形のバンパーの下端に付いているものですが、この機械ではフリッパーとスリングショットの間にやや大きな隙間があります。こうすることで、Doodle Bugフィーチャーが起動している最中にボールをホールドトラップ(フリッパーを上げて、スリングショットとの間にボールを留めるテクニック)ができないようにしていますが、この隙間からボールがアウトに抜けてしまうことも良くあります。

Doodle Bugの、フリッパーとスリングショットの間にボールが通り抜ける間隔が空く独特な配置。

このようなフリッパー配置は、他には「Gold Rush (Williams, 1971・1P用はKlondike)」でも使われましたが、そちらではフリッパーとスリングショットの間にピンを立てて、ボールがアウトにならないようにされていました。

Gold Rush(この画像はその1P版であるKlondikeのもの)のフリッパー配置。スリングショットとのすき間にピンが打たれている。

ワタシは、一度でいいから「Doodle Bug SCORE」を10000点まで上げてDoodle Bugを起動させてみたいと50年以上前から思い続けているのですが、1000点まですらアップさせたことがありません。今回も100点まで上げるのがせいぜいでした。

Heavenlyにはどれだけ感謝の言葉を並べても足りません。この度は本当にありがとうございました。今後も機会があればお伺いさせていただきたいと思います。
なお、拙ブログをご高覧くださるみなさまには、Heavenlyは法律上ゲーム料金は取れませんが、なんらかの寄付をすること自体は違法ではないことはお伝えしておきたいと思います。また、Heavenlyの母体は斯界では有名なレトロPCゲーム専門店「BEEP」(ウェブサイトはこちら)とのことですので、今後もBEEPをご支援くださいますようお願い申し上げます。

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (EM好きおじさん)
2023-12-18 20:57:49
nazox2016様、お久しぶりです。

「Heavenly」、すごい所があるんですね。行ってみたいな。これだけの台数ともなるとメンテナンスが大変なはずで、費用もかかるのによく無料でやっていると思います。不定期開催なのも仕方ないですよね。
"Doodle Bug"、これはよくプレイしました。キャプティブボールが上下動を始めてスコアがチャカチャカ上がると興奮しますが、Doodle Bug SCORESが10点では大して得点は増えず100点・1000点と上げたいけれどもそう簡単には行かない所がうまくできていました。なおDoodle Bug SCORESが一桁上がる時、同時に中央のターゲットにExtra Ballが点灯した様な気がします。
最上段のキックアウトホールが稼ぎ所で、入れるとターゲット番号が進んでくれるし、得点が500点・黄ポップバンパー点灯・500点・緑ポップバンパー点灯・5000点の繰り返しで変わるので5000点は大きいし、両色ポップバンパーを点灯させると紫の1000点ポップバンパーが点灯する…だったと思います。
そしてスリングショットとフリッパー間のギャップは本ゲームの機能上必要ですが、ここをボールがすり抜けてしまう事が意外に多く「ギャップの所にUp-Postと連動するMini-postが欲しい…」と何度も思ったものでした。
それにしてもWilliamsはなぜ"Gold Rush"や"Klondike"に同じ構造を使ったのでしょうか。しかもたいていのマシンはギャップを塞いでいないのでプレイする気がおきませんでした。

それでは。
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Unknown (nazox2016)
2023-12-19 21:13:30
EM好きおじさん、コメントをありがとうございます。

Doodle Bugのご認識はパーフェクトです。上段のキックアウトホールに入ってもターゲットの番号は進みました。Heavenlyの台はキックアウトホール左右のラバーの跳ね返しが弱くてホールに入りにくく、その分難度が上がっていました。エクストラボールのチャンスもご記憶の通りです。

フリッパーとスリングショット間のギャップにピンが無いGold Rushは、小学生のころDoodle Bugと共に目黒駅ビル屋上で熱心に遊びました。実は、本当にピンが無かったかどうか記憶があやふやになっていたので記事本文では言及していませんでしたが、お話を聞いて確信できました。当時からスロットマシンに痺れていたワタシにとって、このギャップは遊ばない理由になりませんでした。

Heavenlyの開催情報は、ツイッター(現X)でフォローするか、もしくは記事本文の最後の方でご紹介している「ウェブサイトはこちら」のリンク先で確認できますので、フォローもしくはブックマークをお勧めします。
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Fireball II (1981) (caitlyn)
2023-12-21 04:35:57
その特別な機能を使用したゲームがもう 1 つあります。
Fireball II (1981)
https://www.ipdb.org/showpic.pl?id=854&picno=40271&zoom=1
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Unknown (nazox2016)
2023-12-21 21:44:21
Thank you Caitlyn. Oh my gosh.
I have forgotten the Fire Ball II completely.
I saw and played this machine in that released time but not so impressive to me.
I think I probably had a strong memory of the predecessor.
Still, it's interesting that it was installed on Bally's machine rather than Williams'.
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