前回記事「【衝撃】セガ製Mills機、実は海賊版だった!?」において、「拙ブログでこれまで『セガは米国Mills社から金型と権利を買い取ってコピーした』との言説を事実として流布してきていたがその根拠とする資料が見つからない」と述べました。
しかしその後必死に捜索したところ、やっとその根拠を発見しました。それは米国在住の英国人、フレディ・ベイリー(Freddy Bailey)氏という方から受け取ったメールでした。てっきり雑誌の記事だとばかり思い込んでいたため、発見がここまで遅れてしまいました。
フレディ・ベイリー氏。米国の地域ケーブルテレビ「SOMATelevision」が放映する「Nostalgia Alley」と言うシリーズ番組でのインタビューより。
彼は長くAM業界で活躍してきた大ベテランで、ご本人は「Coin Machine Historian」と名乗られ、「歩く百科事典」と評する人もいます。ワタシは彼から「Freddyと呼んでくれ」と言われているので、畏れ多くも敢えて以下は「フレディ」とします。
フレディは、ワタシが拙ブログを始める以前にウェブ上で公開していたセガの古いスロットマシンのフライヤーを見てメールをくださり、以降現在に至るまで貴重な資料や知識をシェアしてくださっています。
問題のメールは2012年12月13日に受け取ったもので、セガの部分のみを要約すると、
1950年のジョンソン法成立後、Millsは工場をシカゴからリノに移し、マーティ・ブロムリーはシカゴにあったMillsのツール(予備の在庫だった)を購入した。
とのことです。ジョンソン法とは、州を超えてスロットマシンやその部品を運ぶことを禁じる法律です。これにより、当時の大手スロットマシンメーカーは、海外に拠点を移したり、廃業したりなどしましたが、Millsはギャンブルが公認されているネバダ州に移転しました。
「ブロムリーが購入したツールはシカゴにあった予備の在庫(原文は'Marty bought the Mills tooling that they had in Chicago, this was the back-up tooling that Mills had in stock.')」などは知らなければ言及できることではなく、またフレディ自身もブロムリーとは50年代の昔から深い付き合いがあったことから、十分信ずるに足る証言と思われます。
ただ、ブロムリーがミルズからツールを購入したことは事実だったとしても、それがどのような契約内容のうちに行われたものかは定かでありません。Service GamesとMillsにはそれぞれ見解が異なる部分があるようですが、どちらが合理であるかは今のワタシには判断が付きません。とりあえずは、前回の記事の趣旨へのカウンターとしてこのような言説もあるということを記録することが今回の趣旨です。
なお、フレディは現在も「Game World」という会社を運営し、元気に活躍されています。末永く頑張っていただきたいものです。
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