オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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ポパイ@1979年(4):その3・ビンゴ・ピンボール

2020年12月20日 21時59分18秒 | 歴史
「ポパイ」1979年4月25日号の内容記録第3回は、「ビンゴ・ピンボール」です。

ビンゴ・ピンボールが初めて日本に入ってきたのは1960年代のことのようですが、当初はアンダーグラウンドでの稼働も少なからずあったそうです。ワタシは、70年代の前半に、現在も残る渋谷のボウリング場が入るビルのゲームコーナーに10台ほども設置されているところを見た記憶がありますが、付いている客はみないい年をしたおやじ層ばかりでした。そんなビンゴ・ピンボールが陽の当たる場所に出てくるようになったのは、sigmaがビンゴ専門店「BINGO-IN」を展開し始めた70年代半ば以降ではないかと思います。

ポパイのこの号が発売された1979年ころは、まさにsigmaの「BINOGO-IN」が軌道に乗り、愛好家たちの間でたいへんな盛り上がりを見せていたころでした。ビンゴ・ピンボールもまた米国発の文化ですので、ポパイも格好のネタと思って取り上げたのかもしれません。


ポパイ1979年4月25日号の76~77ページ。見開きのおよそ1ページ半をビンゴ・ピンボールの記事に充てている。

このページ右上の画像に見える場所は、店名までは特定できないものの、sigmaのBINGO-INのいずれかであることが強く疑われます。なぜならば、バックグラスのトップにその機種の特徴を簡単に解説したボードを掲げており、こんなことをするのはsigmaしかなかったからです。


右上画像の拡大図。バックグラスのトップに、その機種の特徴を簡単に解説したボードを掲げている。

そして、どこにもクレジットはありませんが、記事本文は少なくともsigmaに取材したか、ことによるとsigmaから提供を受けた資料をポパイ文体に直して記事の体裁に整えたのではないかと思われるくらい、枝葉末節の事柄が詳細に説明されています。

しかし、ビンゴ・ピンボールという他に類例がないゲームを何の知識もない人に説明するには、この紙数だけでは到底足りるものではありません。例えるなら、限られたスペースで囲碁を説明するつもりで「コウ」とか「アタリ」とか「ノゾキ」などの細部を説明しているかのごときこの記事を読んだシティボーイたちが、ビンゴ・ピンボールをどれだけ理解できたかは疑問です。

だが人よ、責めるなかれ。sigmaも、ビンゴ・ピンボールを普及させるためにいくつものフリーペーパーを作成して頒布しましたが、スペース・インベーダーやギャラクシアンのように一般に広く浸透することはありませんでした。つまるところ、ビンゴ・ピンボールというゲームは複雑で人を選ぶゲームという事なのです。この点を無視し、無理やり一般に向けて紹介しようとしたら、何を言ってるのかよくわからないけれどもカラフルで一見楽しそうに見えるページができてしまったのだ。ただそれだけのことなのだよ。これ以上何を望もうと言うんだい?

と言うことで、楽しそうに見えるページの各部分を拡大して記録しておくことで、今回は終わりとしたいと思います。


25穴タイプと20穴タイプのビンゴカードの例。


ビンゴ・ピンボール機の例3種。「MISS AMERICA」は、ベルギーで少なくとも90年代まで類似のゲームが作られ続けた。「GALAXY」は、この当時の最新機種ではあるが、数あるビンゴ・ピンボールの中でも極めて例外的なゲーム性で、代表機種として紹介するには不適当だと思う。「ORIENT」は本文で「ハワイタイプ」と呼んでいる20穴タイプだが、普通にハワイを紹介していればよかったのにと思う。




20穴タイプの「HAWAII」を例にボールコントロールの技術を説明しているつもりなのかもしれないが、言葉足らずで殆ど役に立たない。画像はなるべく大きく表示できるように三分割している。


「ホイールタイプ」のビンゴカード。同じ色のゾーンを3カ所以上点灯させれば勝ち、というゲームだったが、あまり面白いものではなく、キャプションにある通りたった2機種しか開発されなかった。


20穴タイプのスコア表。


20穴タイプのフィーチャーの使用条件表示。


チェンジスコアフィーチャー。20穴タイプの「HAWAII」と「DOUBLE UP」に装備されているフィーチャーで、1球、もしくは2球決定後に、特定の色のスコアを2倍、その他の色のスコアを1/2に設定できる、ギャンブル性の高いフィーチャー。


レッド・レター・ゲーム、4スターゾーン、ミスティックラインフィーチャーのランプ。前者ふたつはスターゾーンに関するフィーチャー、最後の一つはビンゴカードの数字の並びを変更できるフィーチャー。

(次回(最終回)スロットマシンにつづく)