オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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【訂正・追加等】メダルゲーム ジャトレ「TV21」の開発元が判明!

2019年06月30日 13時21分58秒 | 訂正・追加等
前回に続いて、今回も過去記事のフォローです。

ワタシは、およそ2年前の2017年07月08日に、「メダルゲーム『TV21』(ジャトレ・1977)の謎」と、続く2017年07月17日 に、「メダルゲーム『TV21』(ジャトレ・1977)の謎 その後」という記事をアップしました。その概要は、

・1977年ころ、ワタシは「ジャトレ」と言うメーカーが発売した「TV21」というビデオメダルゲームにハマった。
・この頃はまだビデオのメダルゲーム機はあまり例がなく、非常に先進的であった。
・しかし「ジャトレ」にはさほど技術力に優れたメーカーという印象はなく、真の開発元は未だに謎である。
・ひょっとしたらIGTの前身である「SIRCOMA」もしくは「A1 SUPPLY」が元ネタと思われるが、確たる証拠はまだ掴んでいない。
・IGTの創業者である「サイ・レッド」の伝記本を発見したので買ってしまった(が、英語表記なのでまだ読んではいない)。


というもので、果たして「TV21」は誰が作ったのかという疑問に対する結論はまだ出ておりませんでした。

しかし、この6月よりネット環境さえあれば誰でも参照できるようになった業界紙「ゲームマシン」のバックナンバーを読み込んでいたところ、1977年5月1日号に掲載されたジャトレ社の広告に、ワタシのこの長年の謎に対する答えが書いてありました。

紛らわしいコピー商品について
 本商品TV21は「米国A1サプライ社」が開発し、日本では(株)ジャトレのみが同社にロイヤルティを支払って国内生産を許可されている世界的な商品です。コピー商品・類似商品が出回るとの噂もありますが、当社はA1サプライ社より、企業防衛上権益保護の断固たる処置を委託されておりますので、ユーザーの皆様にはこの旨あらかじめお知らせ申し上げ、あらぬご迷惑がかからぬよう、くれぐれもご留意お願い申し上げるものです。



ゲームマシン1977年5月1日号に掲載された「TV21」の広告から、警告文の部分。

ジャトレは、月二回刊であるゲームマシン紙においては、「TV21」の広告を1977年1月1日号から同年12月1日号までの23回にわたって掲載しており、このうち9回目である5月1日号から14回目である7月15日号までの6回に、この警告文を追加記載しています。

この警告文が述べる「コピー商品・類似商品」が指すものは明らかにされていませんが、類似するゲームと言えば「ジャックロット」以外に思い当たるものはありません。その「ジャックロット」は、ゲームマシン紙では1977年7月1日号の「話題のマシン」でデータイーストの商品として取り上げられています。


ゲームマシン1977年7月1日号に掲載された「ジャックロット」の紹介記事。

しかし、ゲームマシン紙上で「ジャックロット」の広告が掲載されたのは、紹介記事掲載から二か月半後の9月15日号に、「チェスト」というディストリビューターのものが初でした。データイーストが自ら広告を掲載するのは記事掲載から4か月後の11月1日号からで、それは「ジャックロット」の改良版である「Mark-II登場、10月下旬発売」を告知するものでした。


ゲームマシン1977年11月1日号に掲載された、データイーストによる「ジャックロットマークII」の広告。

ここまでを整理します。

77年1月1日号 「TV21」の広告が初めて掲載される(以降12月1日号まで掲載は続く)
77年5月1日号 「TV21」の広告に、警告文が追記されるようになる(以降7月15日号まで続く)
77年7月1日号 「話題のマシン」欄に「ジャック・ロット」の紹介記事が掲載される。
77年8月1日号 「TV21」の広告から警告文が消える。
77年9月15日号 「ジャックロット」の広告初掲載。掲載した企業は「チェスト」というディストリビューター。
77年11月1日号 データイースト、「ジャックロットマークII」の広告を掲載。
77年12月1日号 「TV21」の最後の広告を掲載。

ジャトレが自社の広告に警告文を追記していた期間中に「ジャックロット」の紹介記事が掲載され、警告文の記載をやめてから「ジャックロット」の広告が掲載されています。そして、ジャトレが「TV21」の広告をやめた後も、「ジャックロット」の広告は継続して掲載されています。ひょっとして。ジャトレとデータイースト、もしくはその他の業者と何らかの話し合いが行われて解決したのかもしれませんが、それを示す証拠はまだ見つけられてはおりません。

ともかく、「TV21」の開発元が「A1 SUPLLY」であれば、シグマの「TVポーカー」(関連記事:ワタクシ的ビデオポーカーの変遷(1)」が「TV21」とそっくりな画面だったのも当然のことでした。

ワタシの心の中で40年以上引っかかっていた謎が、ゲームマシン紙のおかげで解くことができました。前回の記事でも言及いたしましたが、「ゲームマシン」をアーカイブ化された関係者と篤志家の方々に、心よりの賞賛を捧げます。