水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

古今集(66)

2015-02-24 09:43:58 | 古今和歌集
468 花のなか目にあくやとてわけゆけば 心ぞともに散りぬべらなる
「はをはじめ、るをはてにて、ながめをかけて時の歌よめ」と人のいひければ、よみける
僧正聖宝

見てるうちの飽きるだろうと思って、花の中に入っていったのですが、(あまりの見事さに)心がおどってしまいました。


巻第十物名の最後に採録されている歌で、題詞に注目。
春の「ハ」と「ル」を、それぞれ、最初と最後に使い、なおかつ、眺め「ナガメ」、を途中に入れた歌、と出題された。

僧正聖宝:832~909、真言宗の高僧


真言密教を究めるために努力・精進している、深窓の僧侶であっても、世俗の支配階級の人々とのつきあいは欠かせなかった、のだろうと想像します。「こんなくだらぬ、遊びなんてやってられるか!」と、心中でつぶやいたのではないでしょうか。

でも、インテリジェンスを試されているわけですから、まともな歌を作らねばなりません。
結果、面目をつぶさず、さぞやほっとしたことでしょう。


もうすこし俯瞰の位置を高くして考えてみると、このような、一見くだらぬ「言葉遊び」が、実は、日本語の深みを増してきたのかもしれません。