水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

古今集(61)

2015-02-10 10:58:19 | 古今和歌集
411 名にしおはばいざ事とはむ 都鳥 わが思う人は有りやなしやと
武蔵の国と下総の国との中にある、隅田川のほとりにいたりて、都のいとこひしうおぼえければ、しばし河のほとりにおりいて、思ひやればかぎりなく遠くもきにけるかなと思ひわびて、ながめをるに、わたしもり、「はや舟にのれ、日くれぬ」といひければ、舟にのりてわたらんとするに、みな人ものわびしくて、京に思ふ人なくしもあらず、さるおりに、白き鳥の、嘴と脚とあかき、川のほとりにあそびけり。
京には見えぬ鳥なりければ、みな人みしらず、わたしもりに、「これはなにどりぞ」ととひければ、「これなん宮こどり」といひけるをききてよめる。
在原業平朝臣

みやこどり、という名を持っているなら、(知っていなければなりません。)私が心配している、都の、あの人の消息はどのようでしょうか?


有名な歌だ。
書いておきたいことは二つ。

① 渡し: 現在しらひげ橋がかかっているあたりが、隅田川沿い最古の渡し場があったところ。名は「橋場の渡し」。業平が渡った所はここに違いない。言問橋や業平橋は上の歌と直接の関係はない、と思う。
昭和30年代前半、「佃の渡し」を利用していたことがある。動力船がボートを曳いていた。オリンピックのころ、佃大橋ができてなくなった。
今無性に懐かしく思い出した。

② この歌が詠む鳥は、ユリカモメ、だそうだ。ミヤコドリは背が黒いのだそうだ。ユリカモメをミヤコドリと言ってしまった、わたしもりのまちがい、と理解されているようだ。
京都・鴨川では、最近になって、ユリカモメが現れるようになったそうで、「昔見なかった」というのは事実らしい。