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貫禄のライオン

2006年03月24日 | 映画
久々にファンタジーを観た。

「ナルニア国物語」・・C・S・ルイス(指輪物語)のファンタジーを映画化。
第2次大戦下あたりのお話。4人の兄弟姉妹が魑魅魍魎とした生き物が支配してしまった氷の世界へ迷い込んでしまうという出だしで、そこからいろんな冒険が始まる。ハリウッドならではの豊富な資金の元に壮大なスケールで物語は展開する。
なにしろライオン(第一話の主役)の存在感が際立っている。
初登場する際のワクワク感を引き出すシーンが上手い。立て髪をなびかせて巨きな容姿の有り余るほどのカッコ良さ、優雅ともいえる落ち着いた動作、哲学者のような思慮深さを湛えた顔立ち。
ライオンが少々屈折した次男に説諭するセリフなしの何秒かほどの映像シーンは、ズシンと重みがあり印象に強く残ります。
私が子どもの頃に抱いたイメージのライオンにやっと出会えた気分(苦笑)
(工藤直子さんの「哲学のライオン」(児童書)も愛すべきキャラですが)
末っ子のルーシーは文句なく愛らしく、勇敢で知的?ですらあります。
この子は上手い!洋画の子ども達は芸達者な子が多いなぁ。
監督は「シュレック」のアンドリュー・アダムソン。
   
追記・・シネスィッチ銀座より至近距離に<教文館ナルニア国>という充実した品揃えの児童書専門店があります。


「サマリア」韓国 2005年作品監督・キム・ギドク
女子高生が旅行費用を稼ぐため援助交際、というよりあえて後からそんな目的を当てはめて虚無感を埋めるようなこころの在りようから援助交際をする一人の少女。もう一人は引き止めながらも見張り役を引きうけることに。
ある日、援交の少女(ソ・ミンジョン)が警察の取り締まりの手から逃れようと2階の窓から飛び降りて死んでしまう。見張り役だった少女は(クァク・チミン)自分を責めて、貯めたお金を相手の男たちに自分を売りながら返していく。
偶然、娘の行為を知ることになる少女の父親(刑事 イ・オル)は深く苦悩する。
母親を亡くし、娘を細やかな愛情で見守ってきた父とその父の穏やかな愛情に支えられけっして危ない方向に屈折してはいない娘。ある時期の少女独特の感性に引きずられてしまったということなのか。
父は娘にナゼ?と問い質すことをしない。日々、娘の行動を追い、そのことによって改たに事実を知り次第に壊れていく父親。全ての憤りを相手の男たちに向け、だんだん復讐の様相を帯びついには相手を殺してしまう。

母親の立場からは遂にこの父親の気持ちに寄り添って考えることはできなかったが(修羅場になっても娘を止める)そこを離れると、この父の抑えた佇まいに曳かれる。大事に育てた娘が女として買われていたことの衝撃は、母親とはまた微妙に違うのか。怒声を張り上げるでもない、静かな所作の中に溜まっていく怒りのマグマの深さがより一層感じられ哀しい。
最後に父は残された時間の中で娘に車の運転を教える。その練習中に父は連行され、何も知らない娘はたどたどしい運転で父を追いかけるシーンで作品は終わる。このラストシーンは、秀逸です。セリフを極力抑えてこれだけ深い愛情を湛えたメッセージをしっかり伝えられる手腕は素晴らしい。
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