駅前には列車が出る何時間も前から、乗客が大勢集まって来ます。
■ここで、感動的なナレーションを読み上げている「宮本隆治」アナウンサーの名前が画面の右下に出ます。駅舎の階段に所在無げに坐っているチベット服の人々をカメラは追いますが、どうして11月の寒空に駅舎に入らないのだろう?と視聴者は不思議に思うでしょうなあ。最大の理由は駅舎内の待合室に置かれている椅子の数が圧倒的に不足している事。それから、人と荷物が集まっている場所には泥棒が必ず居るからです。隠れた理由としては、民族融和が実際には成功していないという悲しい事情も有ります。
■駅舎の近くには長距離バスのターミナルが有りまして、本当は許可証が必要なラサ行きの客を、「いろいろな工夫」をして運んでくれる業者が熱心に呼び込みをしていまして、駅舎向って右側にある降車口前では、激しい客の取り合いが演じられていたものですが、撮影時には到着列車が無かった模様です。
青海省や四川省で暮らすチベット族の人達です。
■何だか「珍しい生き物」の撮影に成功したかのような言い方が気になりますが、画面を注意深く観ますと、若い夫婦はチベット服を着ているのに、連れている幼い2人の男の子は、日本のガキンチョと変わらない服装をしています。さっぱりした服に見えますから、一張羅のはずですが、民族服ではない所に注意して頂きたい!それから若い父親は子供を放り出して、右手に持った携帯電話でメールをやっている様子にも御注目!牧民や農民が暮らしている広大な地域のほとんどは、今でも「圏外」なのに、不思議と無理してでも購入するチベット人が増えているようですなあ。
観光だけでなく、巡礼や出稼ぎなど、さまざまな目的を持った人々がこの列車を利用します。
■極当たり前のナレーションです。まさか、窃盗犯罪や密輸などの話は出来ないでしょうし、「出稼ぎ」にしても合法か不法かに関して深入りする訳にも行かないでしょうなあ。画面は社会主義国の名物、薄暗い駅舎内に変わります。高い天井に貧弱な照明、作りっ放しのメンテナンス知らずの設備ですから、化粧直しをしてからまだ4年程なのに、あちこち支障が出ている事でしょうなあ。薄暗い場所ですから、回族が被っている白い帽子が目立ちます。ちらりと画面の隅に映る灰皿付きのゴミ箱は、「禁煙」エリアなのに平気で置かれているものです。うっかり愛煙家がぬか喜びすると大層に怒られますぞ!駅舎内は以前に増して、座席が少なくなっているようです。画面には、公安警察の姿もちらりと映っています。駅舎でも列車内でも、拳銃を携行した警察官が居ますから、利用者は行儀良くして下さい。
■是非とも、駅舎内の最新式「トレイ」にもカメラが入って欲しかったですなあ。何処も同じようなものなのですが、駅のトイレは乗降客の数をまったく考慮しない設計になっていて、殺気だった利用者が喧嘩していることも多いようです。伝統的なチャイナ・トイレにはドアや仕切りの無いので、駅舎が新しいからと言って気楽に入ると仰天する場合が有りますから、ご用心願います。西寧駅の改装工事が終った直後、折角の水洗式なのに排水口が異物で塞がれて、男子トレイ内は大変な惨状になっていましたが……。
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