■ 総選挙が終わったばかりのこの時期に、選挙中はまったく見向きもされなかった「拉致問題」に関する報道が出始めるのは、やはりNHKも民放も地上はデジタル波を頂戴した御礼がわりに、自民党有利のお祭り報道を画策していた反動なのでしょうか?その動機とやり方には大いなる問題が有るにしても、「日朝国交正常化」を打ち出して、二回も訪朝した小泉さんにとって、「丸投げ」「やりっ放し」の典型例となる朝鮮外交は、選挙中には触れて欲しくはないテーマでした。しかし、政権を奪いたい民主党の中には無責任で腑抜けな自民党候補を嘲笑うような過激な人も居る一方で、社会党在籍中にヤヤコシイ接待や援助を受けてしまった古傷を持っているような人まで居るようで、「アジアとの友好」を漠然と口にする岡田代表が率先して対北朝鮮外交の大失敗を攻撃する事は出来なかったのでしょうなあ。
■袋に詰め込んで運び去った5人とその家族を帰しただけで、拉致問題は解決したと言い張る北朝鮮側の立場は、何が有ろうとも「テロ国家」とだけは呼ばれてはならないというもので、ビルマのラングーンに有るアウンサン廟を爆破したのも、アンダマン海の上空で大韓航空機を爆破したのも、全部大韓民国の自作自演でなければなりません。万一、尻尾を掴まれてずるずると証拠が出て来るような事にでもなれば、イラクを叩き潰した米国は同じ理由で平壌を制圧しなれければ、あれは単なる血生臭い石油商売だった事になりますから、アルカイダみたいにテロ工作員をせっせと養成していた事など一切有ってはなりません。
■いよいよ深刻な泥沼化の様相を呈し始めたイラクに加えて、六カ国協議再開の日程が本決まりになると同時に未曾有のハリケーンがニューオーリンズを壊滅させたのは、北朝鮮にとっては正に神風でしょう。しかし、イラクだけでも内政軽視と明確に非難の声が上がる民主国家の米国は、今、北朝鮮が相当な事をやっても第二のバグダットを想定するのは無理でしょうから、皮肉な事に今回のハリケーンは、バヅダッドと平壌を同時に攻撃する自滅的選択を回避する口実を得たとも言えそうです。
■複雑な国内事情を抱える韓国と共同歩調を取って拉致事件の解決を強行に迫れない日本は、そんな米国の背中越しにうろうろしているしか無いのですから、選挙直後にマスコミに流れ出した拉致被害者の供述内容は、六カ国協議に対するせめてもの援護射撃のように見えます。ずっと前から提出されていた情報を、恥ずかしげも無く、今頃になって小出しにしている日本のマスコミは本気になって同胞を救おうとも思っていないし、長年、平壌から流れてくるヨタ話を垂れ流していた前科を悔いてもいないようです。以下に引用する新聞記事には、新しい情報はほとんど含まれていません!雑誌や救う会が出した本の中で何度も指摘されていた話ばかりです。
拉致被害者の蓮池薫さん(47)が、北朝鮮で工作員に対して行っていた日本語教育の仕事が、87年11月の大韓航空機爆破事件の後、突然中止されたと関係者に話していたことが分かった。
関係者によると、蓮池さんは一対一で日本語教育をさせられていた。爆破事件後の88年に「もういい」と当局から言われ、仕事が文献の日本語翻訳に変わった。蓮池さんは「今から考えると、事件の影響ではないか」と話しているという。
田口八重子さんや横田めぐみさんも、蓮池さんらと同じ集落に住んでいた80年代前半に、工作員向けの日本語教育をしていたことが分かっている。毎日新聞 2005年9月16日
■そして、似たようにほとぼりが冷めるのを待ち続けていた発表が文化庁から出ました。やはり、総選挙後のごたごた騒ぎが起こるのを待っていたとしか思えないタイミングです。
キトラ古墳:壁画はぎ取り「10月にも」 文化庁見解
高松塚、キトラ両古墳(奈良県明日香村)の極彩色壁画がカビなどで汚染されている問題で、文化庁は16日、専門家3人を派遣し、内部の状態を調査した。同庁は、年明けに再開予定のキトラ古墳の壁画はぎ取りについて「10月にも始めたい」との見解を示した。
石室に入った杉山純多・東京大名誉教授などによると、キトラの朱雀、十二支像・寅(とら)を覆っているゲル状の物質は、バクテリアの分泌物の可能性があるという。今後、両古墳で採取したサンプルを分析し、対処法を検討する。またキトラでは、カビ処置用のエタノールを栄養源とするバクテリアも確認されたことから、これに代わる薬剤の選定を急ぐ。
キトラ壁画のはぎ取り作業は、石室内温度が上昇する夏場は中断し、年明けの再開が決まっていた。しかし微生物が増殖したため、担当する東京文化財研究所の三浦定俊・協力調整官は「はぎ取る順序や時期を再検討する必要がある。早ければ10月にも作業を再開したい」と話した。毎日新聞 2005年9月16日
■新聞は、「専門家」などと暢気に書いていますが、高松塚古墳が発見された直後からこうした事態は充分に想定されていたのにもかかわらず、お得意の縦割り行政と庁内の縄張り争いと責任の押し付け合いで、立派なハコ物作りにばかり熱心で、古文書を読んでいるだけの「専門家」を指名して、微生物学者にはまったく声も掛けずに素人仕事をしていたのです。予算の執行上、途中経過を発表しなければならなくなる度に、「万事順調」という大本営発表を続けていたのです。文化庁の中でも、文部科学省の中でも、誰も責任を取らぬまま、「文化財」が腐って消えていくのです。商売であれば、絵に描いたような「職務怠慢」「背任罪適応」なのですが、お上の仕事は常に正しい!と言い逃れる裏口を沢山持っているものですから、お役人と御用学者の地位は安泰で、貴重な文化財だけが消えて行く訳ですなあ。
■大衆向けの「歴史小説」を現代のビジネスに活かそうと、強引な文章を毎回掲載している『プレジデント』などの非歴史雑誌が有りますが、我が国の首相は、それと本当の歴史学をごっちゃ混ぜにして平気な、余り教養の無い方なので、今回のキトラ古墳崩壊のだ事件も、「大したことじゃない!」と言っているのでしょうなあ。音痴なくせにオペラ道楽やって見せている場合ではないのですが、あんな程度の素人趣味に感心する有権者もおられるようですから、日本の文化行政が本物になる事などまだまだ先なのでしょうなあ。外交能力を身に付けるのと、文化財の扱い方を知るのと、どちらが先なのでしょうか?
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雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い
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■袋に詰め込んで運び去った5人とその家族を帰しただけで、拉致問題は解決したと言い張る北朝鮮側の立場は、何が有ろうとも「テロ国家」とだけは呼ばれてはならないというもので、ビルマのラングーンに有るアウンサン廟を爆破したのも、アンダマン海の上空で大韓航空機を爆破したのも、全部大韓民国の自作自演でなければなりません。万一、尻尾を掴まれてずるずると証拠が出て来るような事にでもなれば、イラクを叩き潰した米国は同じ理由で平壌を制圧しなれければ、あれは単なる血生臭い石油商売だった事になりますから、アルカイダみたいにテロ工作員をせっせと養成していた事など一切有ってはなりません。
■いよいよ深刻な泥沼化の様相を呈し始めたイラクに加えて、六カ国協議再開の日程が本決まりになると同時に未曾有のハリケーンがニューオーリンズを壊滅させたのは、北朝鮮にとっては正に神風でしょう。しかし、イラクだけでも内政軽視と明確に非難の声が上がる民主国家の米国は、今、北朝鮮が相当な事をやっても第二のバグダットを想定するのは無理でしょうから、皮肉な事に今回のハリケーンは、バヅダッドと平壌を同時に攻撃する自滅的選択を回避する口実を得たとも言えそうです。
■複雑な国内事情を抱える韓国と共同歩調を取って拉致事件の解決を強行に迫れない日本は、そんな米国の背中越しにうろうろしているしか無いのですから、選挙直後にマスコミに流れ出した拉致被害者の供述内容は、六カ国協議に対するせめてもの援護射撃のように見えます。ずっと前から提出されていた情報を、恥ずかしげも無く、今頃になって小出しにしている日本のマスコミは本気になって同胞を救おうとも思っていないし、長年、平壌から流れてくるヨタ話を垂れ流していた前科を悔いてもいないようです。以下に引用する新聞記事には、新しい情報はほとんど含まれていません!雑誌や救う会が出した本の中で何度も指摘されていた話ばかりです。
拉致被害者の蓮池薫さん(47)が、北朝鮮で工作員に対して行っていた日本語教育の仕事が、87年11月の大韓航空機爆破事件の後、突然中止されたと関係者に話していたことが分かった。
関係者によると、蓮池さんは一対一で日本語教育をさせられていた。爆破事件後の88年に「もういい」と当局から言われ、仕事が文献の日本語翻訳に変わった。蓮池さんは「今から考えると、事件の影響ではないか」と話しているという。
田口八重子さんや横田めぐみさんも、蓮池さんらと同じ集落に住んでいた80年代前半に、工作員向けの日本語教育をしていたことが分かっている。毎日新聞 2005年9月16日
■そして、似たようにほとぼりが冷めるのを待ち続けていた発表が文化庁から出ました。やはり、総選挙後のごたごた騒ぎが起こるのを待っていたとしか思えないタイミングです。
キトラ古墳:壁画はぎ取り「10月にも」 文化庁見解
高松塚、キトラ両古墳(奈良県明日香村)の極彩色壁画がカビなどで汚染されている問題で、文化庁は16日、専門家3人を派遣し、内部の状態を調査した。同庁は、年明けに再開予定のキトラ古墳の壁画はぎ取りについて「10月にも始めたい」との見解を示した。
石室に入った杉山純多・東京大名誉教授などによると、キトラの朱雀、十二支像・寅(とら)を覆っているゲル状の物質は、バクテリアの分泌物の可能性があるという。今後、両古墳で採取したサンプルを分析し、対処法を検討する。またキトラでは、カビ処置用のエタノールを栄養源とするバクテリアも確認されたことから、これに代わる薬剤の選定を急ぐ。
キトラ壁画のはぎ取り作業は、石室内温度が上昇する夏場は中断し、年明けの再開が決まっていた。しかし微生物が増殖したため、担当する東京文化財研究所の三浦定俊・協力調整官は「はぎ取る順序や時期を再検討する必要がある。早ければ10月にも作業を再開したい」と話した。毎日新聞 2005年9月16日
■新聞は、「専門家」などと暢気に書いていますが、高松塚古墳が発見された直後からこうした事態は充分に想定されていたのにもかかわらず、お得意の縦割り行政と庁内の縄張り争いと責任の押し付け合いで、立派なハコ物作りにばかり熱心で、古文書を読んでいるだけの「専門家」を指名して、微生物学者にはまったく声も掛けずに素人仕事をしていたのです。予算の執行上、途中経過を発表しなければならなくなる度に、「万事順調」という大本営発表を続けていたのです。文化庁の中でも、文部科学省の中でも、誰も責任を取らぬまま、「文化財」が腐って消えていくのです。商売であれば、絵に描いたような「職務怠慢」「背任罪適応」なのですが、お上の仕事は常に正しい!と言い逃れる裏口を沢山持っているものですから、お役人と御用学者の地位は安泰で、貴重な文化財だけが消えて行く訳ですなあ。
■大衆向けの「歴史小説」を現代のビジネスに活かそうと、強引な文章を毎回掲載している『プレジデント』などの非歴史雑誌が有りますが、我が国の首相は、それと本当の歴史学をごっちゃ混ぜにして平気な、余り教養の無い方なので、今回のキトラ古墳崩壊のだ事件も、「大したことじゃない!」と言っているのでしょうなあ。音痴なくせにオペラ道楽やって見せている場合ではないのですが、あんな程度の素人趣味に感心する有権者もおられるようですから、日本の文化行政が本物になる事などまだまだ先なのでしょうなあ。外交能力を身に付けるのと、文化財の扱い方を知るのと、どちらが先なのでしょうか?
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