富谷教会ホームページ・礼拝説教

富谷教会は宗教法人の教会です。教会は礼拝室と二つの茶室からなる和風の教会です。ゴルフ場に接する自然豊かな環境にあります。

「洗礼のヨハネの出現とイエスの洗礼」

2015-01-18 15:39:43 | 聖書

                      ↑ ヘロデ大王死後の領地の四分割統治

〒981-3302宮城県黒川郡富谷町三ノ関字坂ノ下120番地12 TEL:022-358-1380 FAX:022-358-1403

   日本キリスト教 富谷教会 週報

年間標語 『いつも喜び、絶えず祈り、どんなことにも感謝しましょう。』

聖句「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝をこめて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。」(フィリピ4:6)

降誕節第4主日      2015年1月18日(日)  5時~5時50分 

        礼   拝    

前 奏                  奏楽 辺見トモ子姉

讃美歌(21)  495(しずけき祈りの)

交読詩編      46(神はわたしたちの避けどころ)

主の祈り    93-5、A

使徒信条    93-4、A

聖 書   ルカによる福音書3章1~22節       

説 教 「洗礼のヨハネの出現とイエスの洗礼」   辺見宗邦牧師

讃美歌(21) 441(信仰をもて)

献 金

感謝祈祷          

頌 栄(21)     24(たたえよ、主の民)

祝 祷

後 奏

             次週礼拝 1月25日(日)夕礼拝 午後5時~5時50分 

             聖 書  ルカによる福音書5章1~11節

             説 教  「イエスの最初の弟子たち」

本日の聖書 

1皇帝ティベリウスの治世の第十五年、ポンティオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、その兄弟フィリポがイトラヤとトラコン地方の領主、リサニアがアビレネの領主、2アンナスとカイアファとが大祭司であったとき、神の言葉が荒れ野でザカリアの子ヨハネに降った。3そこで、ヨハネはヨルダン川沿いの地方一帯に行って、罪の赦しを得させるために悔い改めの洗礼を宣べ伝えた。4これは、預言者イザヤの書に書いてあるとおりである。

「荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を整え、その道筋をまっすぐにせよ。5谷はすべて埋められ、山と丘はみな低くされる。曲がった道はまっすぐに、でこぼこの道は平らになり、6人は皆、神の救いを仰ぎ見る。』」

7そこでヨハネは、洗礼を授けてもらおうとして出て来た群衆に言った。「蝮の子らよ、差し迫った神の怒りを免れると、だれが教えたのか。8悔い改めにふさわしい実を結べ。『我々の父はアブラハムだ』などという考えを起こすな。言っておくが、神はこんな石ころからでも、アブラハムの子たちを造り出すことがおできになる。9斧は既に木の根元に置かれている。良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。」10そこで群衆は、「では、わたしたちはどうすればよいのですか」と尋ねた。11ヨハネは、「下着を二枚持っている者は、一枚も持たない者に分けてやれ。食べ物を持っている者も同じようにせよ」と答えた。12徴税人も洗礼を受けるために来て、「先生、わたしたちはどうすればよいのですか」と言った。13ヨハネは、「規定以上のものは取り立てるな」と言った。14兵士も、「このわたしたちはどうすればよいのですか」と尋ねた。ヨハネは、「だれからも金をゆすり取ったり、だまし取ったりするな。自分の給料で満足せよ」と言った。

15民衆はメシアを待ち望んでいて、ヨハネについて、もしかしたら彼がメシアではないかと、皆心の中で考えていた。16そこで、ヨハネは皆に向かって言った。「わたしはあなたたちに水で洗礼を授けるが、わたしよりも優れた方が来られる。わたしは、その方の履物のひもを解く値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。17そして、手に箕を持って、脱穀場を隅々まできれいにし、麦を集めて倉に入れ、殻を消えることのない火で焼き払われる。」18ヨハネは、ほかにもさまざまな勧めをして、民衆に福音を告げ知らせた。19ところで、領主ヘロデは、自分の兄弟の妻ヘロディアとのことについて、また、自分の行ったあらゆる悪事について、ヨハネに責められたので、20ヨハネを牢に閉じ込めた。こうしてヘロデは、それまでの悪事にもう一つの悪事を加えた。

21民衆が皆洗礼を受け、イエスも洗礼を受けて祈っておられると、天が開け、22聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降って来た。すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえた。

       本日の説教 

 福音書記者ルカは、イエスの先駆者ヨハネの活動を記すにあたって、当時の歴史的状況の中に、ヨハネ登場の年代を記します。

  ローマ皇帝ティベリウスは、初代皇帝アウグストゥス(治世:B.C.27~A.D.14/8/15)の後を継いだ2代目の皇帝で、その治世は、A.D.14~37年でした。その治世の<第十五年目>は、紀元27~28年になります。ポンティオ・ピラトは、サマリアを含めて<ユダヤの総督>だったのは、A.D.26~36年でした。

  ヘロデ大王が紀元前4年に死んだあと、皇帝アウグストゥスはヘロデ大王の王国を四つに分割し、三人の息子たちとヘデの妹による4分割統治にしました。

アルケラオ(ヘロデ大王と妻マルタケとの子)は王の称号は与えられず、民族指導者として、ユダヤ、イドマヤとサマリヤを統治しました。アルケラオは他の兄弟たちより悪評が高かったので、紀元6年に、在位10年にしてガリア[ローマの属州:フランス南西部]に追放され、ユダヤはローマ皇帝の直轄領となり、総督がローマから派遣されていました。

ヘロデ・アンティパス(イエス誕生当時のヘロデ大王とサマリヤ人の妻マルタケとの子)は,B.C.4~A.D.39年までガリラヤとペレヤ(ヨルダンの東岸地方)の領主でした。

フィリポはアンティパスの義兄弟(ヘロデ大王と妻マリアンメ二世との子)で、レバノン地方の<イトラヤ>と、ダマスコ南方の<トラコン(トラコニティス)>の領主となり、」紀元34年に死去しています。

④ヘロデ大王の妹だったサロメ1世は、地中海に面したヤブネなどを含む地域と、エリコの北のヨルダン川西岸のごく狭い土地(現ヨルダン領)を相続しました。サロメ1世の娘がアリストブロスと結婚したベレニケ(ヘロデ大王の姪)です。その息子が、使徒言行録12章に出てくるヘロデ・アグリッパ1世です。ヘロデ・アグリッパ1世は王の称号を皇帝ティベリウスから与えられました。

  ダマスコ北西のシリア州<アビレネ>は、リサニア(ヘロデの家系とは関係ない人)が継承しました。

  アンナス紀元6年から紀元15年まで大祭司であったが、人心はアンナスを死ぬまで真の高位祭司としました。

    

          ヘロデ大王の領地の四分割統治

  彼の後を継いだ義理の息子カイアファは紀元18年から36年まで大祭司でした。アンナスの影響が大きかったので、二人の名を挙げられています。ヨハネによる福音書でも、イエスはその裁判の場で、アンナスとカイアファの前に現れています。(ヨハネ18:12~28)

   この二人が大祭司だったとき、神の言葉が荒れ野にいたザカリア(ルカ1:59)の子ヨハネにのぞみました。                                             ヨハネはヨルダン川沿いの地方一帯に行って、罪の赦しをさせるために悔い改めの洗礼を宣べ伝えていました。

        

   「荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を整え、その道筋をまっすぐにせよ。谷はすべて埋められ、山と丘はみな低くされる。曲がった道はまっすぐに、でこぼこの道は平らになり、人は皆、神の救いを仰ぎ見る。』」(イザヤ書40:3~5)      

   ヨハネの宣教は荒れ野の中で用意され、イザヤ書の預言は成就されます。ヨハネは、イエスの先駆者として、異邦人を含めた全人類のキリストによる救いを預言します。

  洗礼を授けてもらおうと出て来た群衆に<蝮(まむし)の子等よ>とヨハネは呼びかけます。神の選民の資格を失った神の敵対者だという弾劾(だんがい)のことばを、イスラエル全体に向けて語ります。そして<悔い改めにふさわしい実を結べ>とせまり、ユダヤ民族の血縁を誇るなと告げます。

   <斧は既に木の根元に置かれている>(イザヤ書10:33~34)は、悔い改めるのは、神の怒りがまだ起こっていない今がその時だ、今でしょう、と語ります。そこで群衆は、<では、わたしたちはどうすればよいのですか>と尋ねました。

   ヨハネは、生活につながる具体的な改心の実を結べと語り、改心の具体化は、自分の周囲の人との関係を愛と公正によって律することだと、社会正義を要求しました。ヨハネのメッセージは、無実であるという思いや、罰を免れることが出来ると思っている人々に対して、生活と行為が、実らない木という運命から逃れさせてくれるのだ、と説いたのです。ヨハネはただ単に非難して叫んでいるだけでなく、群衆を、罪を意識し、畏れを抱くようにしているのです。

  民衆は皆、ヨハネをメシアではないかと思いますが、ヨハネは民衆に向かって言いました。「わたしはあなたたちに水で洗礼を授けるが、わたしよりも優れた方が来られる。わたしは、その方の履物のひもを解く値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。」

  ヨハネの<水の洗礼>は、霊によってもたらされる洗礼への準備段階としての罪からの改心の洗礼です。<聖霊による洗礼>は救いをもたらすイエスによる洗礼です。ヨハネの洗礼は、エッセネ派(パリサイ派、サドカイ派に比べ、熱烈にメシア(救世主)を待望しており、律法を学び、厳格な戒律を守り、生活の細部にわたり清浄さを保ちながら修行に明け暮れ、農業を中心とする修道院的共同生活を営む人達)が行う繰り返しなされる清めの洗礼や、改宗者の洗礼とは違っていました。<聖霊と火>は<風と火>とも訳すことができ、ヨエル書3:1の成就としての聖霊降臨の神の力強い臨在の象徴であり、また裁きのシンボルです。

  脱穀で麦をふるい分ける表現は神の裁きの表し、殻を消えない火で焼くという表現は、神の決定的な刑罰を表しています。ヨハネは、ほかにもさまざまな勧めをして、民衆に福音を告げ知らせ、イエスによる福音の準備をしました。

  ところで、領主ヘロデは、自分の兄弟の妻ヘロディアとのことについて、また、自分の行ったあらゆる悪事について、ヨハネに責められたので、ヨハネを牢に閉じ込めました。こうしてヘロデは、それまでの悪事に、ヨハネを投獄するもう一つの悪事を加えました。(マタイ14章3節で<フィリポの妻ヘロディア>とありますが、この記述は、ヘロデ大王のもう一人の息子で、エルサレム私的生活をしていたヘロデ・ポエトスという人物の名と取り違えて伝承された誤記とされています。[①現代聖書注解マタイによる福音書p.292・日基出版局発行、②聖書の世界p.281]、③ヨセフス著「ユダヤ古代誌」第18巻5章4節]

   いずれにしても、ガリラヤの領主ヘロデ・アンティパスは、自分の兄弟の妻であったヘロディアを奪って妻とした不法結婚(十戒の10番目の戒め、レビ記18:16、20:21)や、また自分の行ったあらゆる悪事のことで、ヨハネに責められたので、ヨハネを死海近くの要塞マケルスの牢に投獄しました。

  ルカ福音書では、7:18~35で、再びヨハネのことが記され、彼の偉大さがイエスによって語られます。9章9節で、ヘロデは「ヨハネなら、わたしが首をはねた」と語っています。マタイとマルコはヨハネの投獄と死とを、さらにくわしく報告しています(マタイ14:3~12、マルコ6:17~29)。

  民衆が皆洗礼を受け、イエスも洗礼を受けて祈っておられると、天が開け、聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降って来ました。すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえました。

  神の子であられる主イエスはただ一人、悔い改める必要のない、罪のない方であられます。その主イエスがどうして洗礼を受けるのでしょうか。マタイによる福音書では、ヨハネが、「わたしこそあなたから洗礼を受けるべきなのに」と言って、主イエスに洗礼を受けることを思いとどまらせようとしています。イエスが受けた洗礼は、この世に対して救い主が公に現れたことを宣言したものであり、イエスは民衆の罪を負って十字架に架かったように、ここでも民衆の罪を一身に負って、ヨハネの洗礼を受けられたものと思われます。

  洗礼を受けたイエスに、天が開け、聖霊が鳩のような姿で降って来て、イエスは聖霊で満たされました。第三イザヤは神に次のような祈りをささげました。「あなたの統治を受けられなくなってから、わたしたちは久しい時を過ごしています。どうか、天を裂いて降ってください。」(イザヤ書64:19)イザヤが、天が開け、神が出エジプトの時のように再び訪れるように祈ったのです。旧約時代の最後の預言者と言われるマラキ以後、400年以上も預言者は現れませんでしたが、ここに「預言者以上の(預言)者(ルカ7:26)」とイエスが評価した洗礼のヨハネが現れ、ヨハネが「来るき方」といったメシア・イエスが現れたのです。イザヤが待ち望んだ新たな時代が始まったのです。

  聖霊と共にイエスに与えられた天からの声は、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という詩編2篇7節の言葉です。父なる神様が、ご自分と主イエスとの間に父と子という深い愛の関係があることを明らかに示すことばです。神の御子が現れたのです。

  「わたしの心に適う者」という言葉は、イザヤ書第42章の1節のことばです。そこに「見よ、わたしの僕、わたしが支える者を。わたしが選び、喜び迎える者を」とあります。そこには、主なる神様のみ心に適う僕が選ばれ、立てられ、遣わされることが語られています。父なる神は、もっともふさわしい救い主メシアを送ってくださったのです。

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