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日本キリスト教 富谷教会 週報
年間標語『主はわたしの羊飼い、わたしには何も欠けることがない。』
聖句「神は神を愛する者たち、すなわち、ご計画に従って召された者
たちと共に働いて、万事を益となるようにして下さることを、
わたしたちは知っている。」(ロマ8:28)
降誕前第九主日 2014年10月26日(日) 5時~5時50分
礼 拝
前 奏 奏楽 辺見トモ子姉
讃美歌(21) 540(主イエスにより)
交読詩編 85(主よ、あなたは御自分の地を)
主の祈り 93-5、A
使徒信条 93-4、A
聖 書 ハガイ書2章1~9節
説 教 「この神殿を栄光で満たす」 辺見宗邦牧師
賛美歌(21) 505(歩ませてください)
献 金
感謝祈祷
頌 栄(21) 24(たたえよ、主の民)
祝 祷
後 奏
次週礼拝 11月2日(日)夕礼拝 午後5時~5時50分
聖 書 ゼカリヤ書
本日の聖書 ハガイ書2章1~9節
2:1 七月二十一日に、主の言葉が、預言者ハガイを通して臨んだ。2:2 「ユダの総督シャルティエルの子ゼルバベルと大祭司ヨツァダクの子ヨシュア、および民の残りの者に告げなさい。
2:3 お前たち、残った者のうち、誰が、昔の栄光のときのこの神殿を見たか。今、お前たちが見ている様は何か。目に映るのは無に等しいものではないか。
2:4 今こそ、ゼルバベルよ、勇気を出せと、主は言われる。大祭司ヨツァダクの子ヨシュアよ、勇気を出せ。国の民は皆、勇気を出せ、と主は言われる。働け、わたしはお前たちと共にいると、万軍の主は言われる。
2:5 ここに、お前たちがエジプトを出たとき、わたしがお前たちと結んだ契約がある。わたしの霊はお前たちの中にとどまっている。恐れてはならない。
2:6 まことに、万軍の主はこう言われる。わたしは、間もなくもう一度天と地を、海と陸地を揺り動かす。
2:7 諸国の民をことごとく揺り動かし、諸国のすべての民の財宝をもたらし、この神殿を栄光で満たす、と万軍の主は言われる。
2:8 銀はわたしのもの、金もわたしのものと、万軍の主は言われる。
2:9 この新しい神殿の栄光は昔の神殿にまさると、万軍の主は言われる。この場所にわたしは平和を与える」と、万軍の主は言われる。
本日の説教
バビロニヤ帝国のネブカドネツァル王の攻略により、ユダ王国の民がバビロンに捕囚民として、最初に連行されたのがB.C.596年のことでした。B.C.586年にはエルサレムは陥落し、暫定政権のユダ王国も滅亡し、二度目のバビロン捕囚がありました。
B.C.539年になると、新王国ぺルシアのキュロス大王(キュロス2世)は、バビロンを滅ぼし、その翌年の538年に、捕囚民がエルサレムに帰国して神殿を再建することを許しました。捕囚民は、59年~48年の長い捕囚期間を経て、ようやく解放されたのです。
キュロス大王は、それまでの覇者のような民族の強制移住による反乱の防止,人材の登用という占領政策を廃して、むしろ捕囚になっていた諸民族を帰国させ、それぞれの宗教を尊重することによって,国の平穏を図る政策を採用したのです。キュロスは、神殿の再建を許可したばかいではなく、ネブカドネツァルによって奪われていた神殿の宝物も返還するよう命じました。さらには、神殿再建に対して経済的な援助も約束したのです。
538年に、第一陣の帰還者がシェシュバツァルに導かれエルサレムに帰りましたが、この時の人数は明らかでありません。彼らは帰国後すぐにエルサレム神殿再建工事を始めましたが、先住民の妨害や人員や建築資材の不足などによって工事はほとんど進展せず、中断状態で、廃墟のままでした。
最初の帰還者に続き、17年後の521年に第二陣のエルサレム帰還が総督ゼルバベルと大祭司ヨシュアに率いられて行われました。第一陣よりかなり数の多い捕囚民が第二陣として帰国しました。第一陣の人数を含めた数と思われますが、エズラ記2:24によると、ユダヤ人42360人、他にしもべとはしためが7337人、歌を歌う男女200年が帰国しました。
その翌年の520年に、エルサレム神殿再建の着手を訴えたのは預言者ハガイでした。ハガイ書には、預言者ハガイが神の御言葉を受けて語った4回の説教がしるされています。1章、2章1~9、10~19、20~23節です。ハガイの活動した期間は紀元前520年の八月から十二月まで、わずか三か月半に限られています。神殿の再建が完成したのは、この五年後の紀元前515年です。預言者ハガイは民の心を神殿再建に向けることに成功した預言者です。
「ダレイオス王の第二年六月一日に、主の言葉が預言者ハガイを通して、ユダの総督シェアルティエルの子ゼルバベルと大祭司ヨツァダクの子ヨシュアに臨んだ。『万軍の主はこう言われる。[この民は、まだ、主の神殿を再建する時は来ていな]と言っている。』 主の言葉が、預言者ハガイを通して臨んだ。「今、お前たちは、この神殿を廃虚のままにしておきながら、自分たちは板ではった家に住んでいてよいのか。」(1:1~4)
ハガイ書1章1節の冒頭には、バビロンの太陰暦に従った日付が書かれています。<ダレイオス王>とは、「ダレイオレス1世(治世:B.C.522~486年頃)」のことで、キ初代のキュロス大王から数えて、第4代の王です。<ダレイオス王の第二年六月一日>は、現代の暦の紀元前520年8月29日にあたります。
【キュロス大王は<アケメネス朝(ちょう)ぺルシア>の初代の王です。紀元前7世紀ころ、エラムから移動し、イラン高原のぺルシス(ラテン語ではぺルシア)に定住した小王国のアケメネス王の名に由来する王統が<アケメネス朝>です。ぺルシスは現在のイランのペルシア湾に面したファールス地方です。彼らが定住した地から<ぺルシア人>と呼ばれましたが、彼らは自らをイラン人と称しました。最初はメディア王国に従属した弱小国でしたが、B.C.550年頃、第7代の王キュロス2世がメディア王国を滅ぼし、アケメネス朝ペルシア帝国を建国し、キュロス2世が始祖(初代の王)となりました。キュロス大王とも呼ばれたキュロス2世はバビロンも滅ぼしました。】
この最初の説教の中心点は、「神殿建築」を促す話です。「この神殿を廃虚のままにしておきながら、自分たちは板ではった家に住んでいてよいのか。」と責めながら、「山に登り、木を切り出して、神殿を建てよ。」(1:8)と語ります。彼らが神殿を建てる作業に着手したのは、<六月二十四日(9月21日)」のことでした。
「七月二十一日に、主の言葉が、預言者ハガイを通して臨んだ。『ユダの総督シャルティエルの子ゼルバベルと大祭司ヨツァダクの子ヨシュア、および民の残りの者に告げなさい。お前たち、残った者のうち、誰が、昔の栄光のときのこの神殿を見たか。今、お前たちが見ている様は何か。目に映るのは無に等しいものではないか。今こそ、ゼルバベルよ、勇気を出せと、主は言われる。大祭司ヨツァダクの子ヨシュアよ、勇気を出せ。国の民は皆、勇気を出せ、と主は言われる。働け、わたしはお前たちと共にいると、万軍の主は言われる。』」(2:1~4)
<七月二十一日(10月17日)>の第二回目の説教の中心点は、「今こそ、勇気を出せ、勇気を出せ、勇気を出せ。」と三回も言い、<働け>、「わたしはお前たちと共にいる」と主なる神の言葉を伝え、<国の民の皆>を励まし、神殿建築を続行するようにさとします。
万軍の主は言われる、と4度も繰り返し、「諸国のすべての民の財宝をもたらし、この神殿を栄光で満たす」、「銀はわたしのもの、金もわたしのもの」、「この新しい神殿の栄光は昔の神殿にまさる」、「この場所にわたしは平和を与える」と主なる神は語り、約束しています。諸国民の支配者であり、金と銀の所有者である神が、栄華を極めたソロモン神殿にまさる新しい神殿を栄光に満たし、滅亡することのない平和をこの神殿の場所に与えると約束します。この世の物質の主人でもある神は、民が築く神殿をソロモンの神殿以上に美しく飾るというのです。この主の言葉は、どんなにか神殿に再建に取り組む人々に励ましを与えたことでしょう。
「ダレイオスの第二年九月二十四日、預言者ハガイに主の言葉が臨んだ。」(2:10)
三回目の説教は、<九月二十四日(12月18日)>になされました。ハガイは祭司に<律法>について問います。<浄(きよ)さと汚れについて祭司の指示を求め、その指示を利用して、<この民>、<この国>はまさにそのように汚れてり、<彼らの手の業>、そのなすことが汚れている、と神の宣言を伝えます。「この民、この国」とは、神殿再建に取りかかる前のユダヤ人を指すという見方がりますが、異国の民も住んでいて、異教化が進んだサマリアを指すと見た方が良いと思われます。神殿再建の参加を申し出たサマリアに対してゼルバベルは申し出を断っています。理由は、「わたしたちの神のために神殿を建てるのは、あなたたちにではなく、わたしたちに託された仕事です。ペルシアの王キュロスがそう命じたのですから、わたしたちだけでイスラエルの神、主のために神殿を建てます。」(エズラ記4:3) <九月二十四日(12月18日)>神殿の基が置かれたこのときから、主は災いに変えて祝福しよう、と言われます。
第四回目の説教は、同じ月の同じ日に、主の言葉が再びハガイに臨んだときに行われました。それはユダの総督ゼルバベルを勇気づける言葉でした。「ユダの総督ゼルバベルに告げよ。わたしは国々の王座を倒し、異邦の国々の力を砕く。」(2:21、22a)
神が<天と地を揺り動かす日>、軍事力に代表される人間的な力が神によって無力なものとする、という終末的なことばです。「その日には、と万軍の主が言われる。わが僕、シェアルティエルの子ゼルバベルよ、わたしはあなたを迎え入れる、と主は言われる。わたしはあなたをわたしの印章とする。わたしがあなたを選んだからだ」と万軍の主は言われる。」(2:23)
ヘブライ人への手紙12:26~28)には、ハガイ書のことばが引用されています。「わたしはもう一度、地だけではなく天をも揺り動かそう。」と約束されているから、「わたしたちは揺り動かされることのない御国を受けているのですから、感謝しよう。」
「その日には、…わたしはあなたを迎え入れる。…わたしはあなたをわたしの印章とする。わたしがあなたを選らんだからだ。」(2:23)
ゼルバベルは神の印章を受けた者であり、彼が職務を行えば、その働きは神の印章が押されたものとなる。ゼルバベルにダビデ王朝の復興を託したのです。ゼルバベルはダビデ王の系図を継いでいます。マタイ1:12のイエス・キリストの系図にもその名があります。ゼルバベルは、イエス・キリストを指し示す人物とされていると思われます。
ハガイは神殿再建を呼びかけた預言者ですが、神殿は単に建物ではありません。ハガイは、エルサレムの新しい共同体が存続していくためには、神殿が不可欠だと考えたのです。民族の信仰の再建が大きな課題だったのです。ハガイは行動による信仰の証を求めたのです。
民族的象徴としての神殿は、政治の地からによって崩壊させられます。その後ヘロデ大王のよって補修されたエルサレム神殿は、78年後のA.D.70年にローマ帝国のティトゥスによって破壊されました。主イエスは、「あなたがたはこれらの物に見とれているが、一つの石も崩れずに他の石の上に残ることのない日が来る。」(ルカ21:6)と神殿の崩壊を予告しました。エルサレム神殿から開始された建築の働きは、一つの民族の枠を超えて、地のはてまでも神の国を建設する計画となり、その遂行はキリスト教会に委ねられているのです。神の住まわれる神殿について、使徒パウロは次のように言っています。
「あなたがたはもはや、外国人でも寄留者でもなく、聖なる民に属する者、神の家族であり、使徒や預言者という土台の上に建てられています。そのかなめ石はキリスト・イエス御自身であり、 キリストにおいて、この建物全体は組み合わされて成長し、主における聖なる神殿となります。 キリストにおいて、あなたがたも共に建てられ、霊の働きによって神の住まいとなるのです。」(エフェソの信徒へに手紙2:19~22)
神の神殿であるのは、信仰者個人ではなくて、「あなたがた」つまり信仰者の群れである教会です。教会こそが神の建物、神の神殿なのです。それは教会堂という建物のことではありません。教会とは建物ではなく、信仰者の群れです。神の宮、神殿に連なる者とされている私たちは、このような幸いの中にいるのです。