富谷教会ホームページ・礼拝説教

富谷教会は宗教法人の教会です。教会は礼拝室と二つの茶室からなる和風の教会です。ゴルフ場に接する自然豊かな環境にあります。

「ヘロデ王と神のみ旨に従ったヨセフ」

2015-01-11 14:25:25 | 聖書

     ↑  イエスの家族がエジプト滞在していた期間の一時期住んでいたと言われる、エジプトのオールド・カイロにある聖セルギウス教会の地下。(カイロの南327kmのアシュート州にあるガバル・カスカム(Gabal Qussqam)の麓の西側に、アル・ムハラク修道院があります。聖家族は6ヶ月以上、ここの洞窟に滞在したという伝説があります。後にこの洞窟には聖母教会が建てられました。この場所は、聖家族が滞在した中でも重要な場所の一つで、第二のベツレヘムとも呼ばれています。)

        〒981-3302宮城県黒川郡富谷町三ノ関字坂ノ下120番地12 TEL:022-358-1380 FAX:022-358-1403

日本キリスト教 富谷教会 週報

年間標語 『いつも喜び、絶えず祈り、どんなことにも感謝しましょう。』

聖句「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝をこめて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。」 (フィリピ4:6)

  降誕節第3主日   2015年1月11日(日)    5時~5時50分

礼   拝    

前 奏              奏楽 辺見トモ子姉

讃美歌(21)  355(主をほめよ、わが心)

交読詩編      46(神はわたしたちの避けどころ)

主の祈り    93-5、A

使徒信条    93-4、A

聖 書  マタイによる福音書2章13~23節       

説 教 「ヘロデ王と神のみ旨に従ったヨセフ」   辺見宗邦牧師

讃美歌(21) 358(小羊をば、ほめたたえよ)

献 金

感謝祈祷          

頌 栄(21)     24(たたえよ、主の民)

祝 祷

後 奏

                           次週礼拝 1月18日(日)夕礼拝 午後5時~5時50分 

                           聖 書  ルカによる福音書3章15~22節

                            説 教  「イエスの洗礼」

本日の聖書 

 13占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」14ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、15ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。

16さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。17こうして、預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した。18「ラマで声が聞こえた。激しく嘆き悲しむ声だ。ラケルは子供たちのことで泣き、慰めてもらおうともしない、子供たちがもういないから。」

19ヘロデが死ぬと、主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて、20言った。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」21そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。

 22しかし、アルケラオが父ヘロデの跡を継いでユダヤを支配していると聞き、そこに行くことを恐れた。ところが、夢でお告げがあったので、ガリラヤ地方に引きこもり、23ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレの人と呼ばれる」と、預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった。

本日の説教 

  クリスマス・シーズンが終わりました。クリスマス・シーズンは、教会暦では12月25日のクリスマスの前の待降節(アドベント)から始まり、クリスマスの日から数えて12日後にくる1月6日の公現日までとなります。待降節はクリスマス(降誕日)を迎えるための準備期間であり、クリスマスの4回前の日曜日から始まります。(11月26日に一番近い日曜日。この日を第一主日といいます。)クリスマスから公現日までの降誕節は、御子の御降誕を祝う期間です。

 1月6日の公現日(栄光祭・エピファニー[顕現の意味])のルーツは、東方教会で、イエスの誕生から少年時代を経て、バプテスマのヨハネによる洗礼、カナでの最初の奇跡までを祝う祭りでした。キリストの出現により、神の栄光が世界に現されたことを祝ったのです。西方教会では、この日を、東方の占星術の学者たちがキリストを礼拝した日としました。

 今日の聖書の個所は、東方から来た占星術の学者たちが、ヘロデのところへ帰るなと夢でお告げがあったので(マタイ2:12)別の道を通って自分の国へ帰って行った後の話です。

学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れ、「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている」と告げました。

   ヨセフは、起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、ヘロデが死ぬまでそこにいました。これは主なる神が預言者を通して言われた、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」(ホセア書11:1)と言う預言が実現するためであった、とマタイは記しています。

  この預言は、イスラエルの民がエジプトを脱出して、国を形成したことを語っています。本来はメシア預言とは無関係だったこの聖書の個所を、マタイは、イスラエルの民がその歴史の始めに経験した出エジプトをイエスも経験するメシアとなることを表します。ホセア書11章2節には、「わたしが彼らを呼び出したのに、彼らはわたしから去って行き、バアルに犠牲をささげ、偶像の香をたいた」とあるように、最初の出エジプトでは、イスラエルの民は神に不従順でした。ところがイエスは、神に全く従順であることによって、イスラエルの不従順を克服し、イスラエルを真の神の民として下さるメシアとなり、ホセア書11章1節の預言が成就するためであった、と記したのです。

  エジプトの首都カイロの発祥の地、オールド・カイロにあるコプト教の聖セルジウス教会の地下にある洞窟が聖家族(イエス、マリア、ヨセフ)が避難した時に過ごした場所とされています。そこを訪ねたとき写真撮影が禁じられていたので、求めた絵葉書の写真を始めに載せました。

  5世紀にその洞窟の上に教会が建てられ、何度も焼失しました。現在の聖セルジウス教会の建物は12世紀のものです。コプトの伝承によると、ヘロデの殺戮を避けてエジプトに避難した聖家族は、ヘロデが亡くなる紀元前4年まで、三年間エジプトに住んでいたということです。この伝承に従えば、イエスの誕生はヘロデがなくなる三年前の紀元前7年という事になります。

   さて、一方のヘロデ王ですが、占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒りました。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させました。当時のベツレヘムの人口は凡そ500人位、1000人未満とみて、二歳以下の男の子は、10人位、多くても20人ぐらいだろうと思われています。幼児殺害という残虐な事件ですが、聖書の記録以外に、このことを記した記録はありません。だが、ヘロデが、ユダヤ人(ハスモン王朝)の血を継ぐ二人の息子、アリストブロスとアレクサンドロスを処刑した時期とベツレヘムの幼児殺害事件が重なっています。

   こうして、「預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した」とマタイは記します。ここでは主が言われたことが実現したとは言っていません。結果的には旧約の言葉どおりになったのですが、ヘロデの残忍行為までが神の計画であったのではないということです。神が警告されていたことが、罪深い人間の手によってその通りにおこなわれてしまったということです。

  実現したエレミヤのことばは、エレミヤ記31章15節に記されています。「ラマで声が聞こえた。激しく嘆き悲しむ声だ。ラケルは子供たちのことで泣き、慰めてもらおうともしない、子供たちがもういないから。」

   「ラマ」は、エルサレムの北約8キロにある町で、伝説によれば、ここにラケルの墓がありました(サムエル記上10:2)。彼女はヨセフとベニヤミンの母なので、北イスラエル王国住民の祖先であり、したがって北王国の滅亡によってイスラエルの人々が捕虜となってラマを通過したとき、墓の中のラケルが子孫の悲劇のために泣いた、という悲しみが表現されています。他方、彼女の墓の所在地については別の伝承があり、それによれば、「ラケルは死んでエフラタ、すなわち今日のベツレヘムへ向かう道の傍らに葬られた」(創世記35:19)とあり、ラケルの墓はエフラタ(ベツレヘム)にあったことになります。ベツレヘムはエルサレムの南約7キロの地ですから、ラマとは全く別であり、ラケルは南のベツレヘムの住民(ユダ族)の祖先ではないはずですが、マタイはこの伝承に従い、ヘロデによるベツレヘムの悲劇をエレミヤ書の文と関連づけ、ラケルの泣いた悲劇が再び繰り替えされたとしたのです。しかし、このラケルのについての悲嘆の表現は、新しい契約(エレミヤ書31:31~34)を含む、未来の希望に満ちた章の中に置かれています。

  「主はこう言われる。泣きやむがよい。目から涙をぬぐいなさい。あなたの苦しみは報いられる、と主は言われる。息子たちは敵の国から帰って来る。あなたの未来には希望がある、と主は言われる。息子たちは自分の国に帰って来る。」(エレミヤ書31:16~17)このように、慰めと救いが約束されいるのです。おそらくマタイは、ラマの悲しみを、メシア待望の希望の中に置いているのです。

  ヘロデが死ぬと、主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて言いました。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来ました。しかし、アルケラオが父ヘロデの跡を継いでユダヤを支配していると聞き、そこに行くことを恐れました。

  ヘロデ王(在位:紀元前39年~4年)は紀元前4年に死んでいます。69歳で死んだとされています。ヘロデの死後、ローマ皇帝はパレスチナ全体を三つに分割して、ヘロデの三人の息子たちに分割統治させました。アルケラオにはユダヤ・イドマヤ・サマリヤを与えたが、その地位は王ではなく、領主としました。異母兄弟であるアンティパスをガリラヤとペレヤの領主(ルカ3:1)とし、フィリポを北方のイトラヤとトラコン地方の領主としました。

  ユダヤの領主となったアルケラオは暴君で、残酷な統治をしたため、在位10年にしてガリアに追放されます。ヘロデ大王の孫にあたるアグリッパ一世(ヘロデ大王によって処刑されたアリストブロスの子)がユダヤだけでなくヘロデ王時代の支配地を任され、統治します。アグリッパ一世の死後は、ユダヤはローマ総督の直轄下になります。

   ヨセフ一家はイスラエルに戻ろうとしたのですが、夢でお告げがあり、ガリラヤ地方に引きこもり、ナザレという町に行って住みました。マタイは、「『彼はナザレの人と呼ばれる』と、預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった」、と記しています。

   しかし、メシアがナザレの町に住み、「ナザレ人と呼ばれる」と告げた預言書は旧約聖書の中にはありません。

  イザヤ書11章1節に記されているメシアについての「エッサイの若枝」の「若枝」を表すヘブライ文字の<ネーツェルנֵצֶר>と、ギリシア語の「ナザレ」をヘブル語に訳すと「ナーツラット」(נָצְרַת)となりますが、実は同じ語根(נצר)なので、「ナザレ人」とは「ダビデの若枝」とも言えるのです。マタイはこのことを、「預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった」と記したとも解されています。

  また、イエスはユダヤ人たちから「ナザレ人」と呼ばれました。この表現は、単にナザレの出身者と言う意味だけでなく、「ナザレから何の良いものが出るだろう」(ヨハネ1:46)と言う軽蔑の意味が込められていました。イザヤ書53章に見られるように預言者たちは、人々に侮られるメシアを預言しました。マタイは、イエスがナザレに住まわれた事実の中に、預言者たちの「僕(しもべ)としてのメシア」の成就を見たものとも思われます。更に、南部の純血を尊ぶ厳格なユダヤ人から」<異邦人のガリラヤ>と言われたナザレに行くのは、彼が将来において異邦人のためのメシアとなることをも預言の成就としたと思われます。

  ヘロデ王は、その権力によって、幼子イエスを殺そうとしましたが、その目的を果たすことなく死にました。御子を守ったのは、神のみ旨に即座に、しかも従順に従ったヨセフでした。ヨセフもマリアも御子イエスの負う十字架を、共に担う苦難にあずかったのです。神の救いのご計画が着実に実現していきました。その過程に、速やかに神のみ旨に従ったヨセフの姿勢と行動があったことを、わたしたちは学ばなければなりません。悲劇的な出来事も、<預言者によって言われたことが実現するためであった」というように、神の救いの御業に取り込まれていったことは、大きな慰めと希望を私たちに与えます。

 パレスチナ難民、シリア難民、内戦を避けて国外に避難する難民が、世界には大勢いることを思うとき、平和な世界になることを望まずにはいられません。主イエスは私たちすべての者と共にいますために来られた方です。難民の方々とも共にいてくださるのです。このキリストにより頼み、世界を支配したもう神を信じ、希望を持ち続けていきたいと思います。

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