「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

トンネルの出口を蝶の昼と思ふ 菅原鬨也 「滝」6月号<飛沫抄>

2015-06-16 03:36:43 | 日記
 山形に行く途中の関山峠に長いトンネルがある。そこは薄
暗く、じめじめしている。早く出口が見えないかと車のスビ
ードを上げ、出口の光が見えた時にはほっとする。川端康成
の代表作の雪国は「国境の長いトンネルを抜けると雪国であ
った。」を思い出した。トンネルの出口から物語が始まる。
 主宰の句は出口を蝶の昼と思ふと言い切っている。蝶々は
一斉に飛び出すか、あるいは、北限を越えて来る珍しい蝶一
頭かもしれない。光を頼りに飛ぶ蝶。トンネルの出口こそ色
々なことを想像できると示唆しているように思う。(八島 敏)