「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

黎明の蝶が呪文を出てゆきぬ 石母田星人 「滝」6月号<瀬音集>

2015-06-17 04:20:16 | 日記
 蜻蛉は筋肉で飛ぶのでなめらかで、飛ぶ先も予想できるが、
蝶は胴体で飛ぶので、ぎこちなく、近くの花に止まると思っ
ても別の花へ、飛ぶ先の予想が難しい。蝶は「薄くてひらひ
らした羽根を持つ虫」の意味。夜が明けるまだ寒さの残る空
気には白い蝶が似合っている。誰の呪文か分からないが、そ
の呪文から解き放されたように飛ぶ蝶も白が似合う。春の季
節感が爽やかに感じられる句でした。(八島 敏)