海底に潜む大魚や春の星 谷口加代 「滝」６月号＜滝集＞

大魚はどんな魚かなと読み手に思わず考えさせる句。私は
老人と海のシーラカンスではないのか。原始的な形の魚で、
生きた化石。絶滅したと考えられていたが、南アフリカ東海
岸で見つかる。又は、新潟で、「竜宮の使い」という深海魚
が捕獲された。この魚は頭部の背びれがとさか状に伸びてい
る。竜宮城へ連れていってくれるのだろうか。よく見えない
大魚が春らしさを感じさせる。海底と星との対比があってス
ケールの大きな句。滝誌６月号の巻頭句である。（八島　敏）