「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

風に書の捲れる五月来たりけり 平川みどり 「滝」6月号<渓流集>

2015-06-10 04:19:38 | 日記
 窓を開け放つと気持ちのいい風が入ってくる。さきほど開
いておいたページが変わっていた。場面の設定はさまざま想
定可能であるが、焦点は風に対する執着にある。「捲れる」
の一語によって瞬時の美学が結晶した。風に動かされた物で
風の姿を表した。本という物の存在は、感覚に与える実体の
ない効果にすぎないようだ。(石母田星人)