「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

ポシェットの頓服薬や遠蛙 鈴木幸子 「滝」5月号<滝集>

2013-05-27 05:15:36 | 日記
頓服薬しは、新明解国語辞典によると「何回かに分けて飲
むのではなく、その時一遍だけ服用する薬で、多くは解熱剤、
又は鎮痛剤」とある。頓服薬を持ち歩かなければならない健
康上の不安をかかえているそぶり等、全く見せず進んで句会
のお世話をなさっている作者に、改めて感心させられた。
 今日は頓服薬を飲まずに過ごせたと、作者のほっとした感
謝の気持ちが「遠蛙」から察しられる。(遠藤玲子)


ポシェットの頓服薬や遠蛙 鈴木幸子
「滝」5月号<滝集>
頓服薬は即効性の薬物や剤形で、症状を速やかに緩和する
目的で使われる物で、解熱剤、鎮痛剤、睡眠剤、狭心症発作
を抑える薬などがそれにあたります。身から放さずにいるポ
シェットに入っているとなると、作者がちょっと心配になり
ますが、「と」の韻を踏んでいるせいか、あまり深刻な病気
ではないような気がします。それとも、遠蛙の季感がそう思
わせるのでしょうか。抜歯した時にもらう、たった一錠の鎮
痛剤が、出番のないまま入りっぱなし・・・。そんな感じで
しょうか。(H)