「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

星空へのぼる列車や桜咲く 小幡浩子 「滝」6月号<滝集>

2012-06-22 06:26:31 | 日記
 夜の桜を見上げる作者の視野には星空が一緒に広がってい
る。幻想的な桜の夜。のぼって行くのは銀河鉄道なのでしょ
う。美しさの中に儚さを秘めた桜と、御霊の姿として語られ
る星。私にはプロのカメラマンが撮った一枚の写真のように、
作者の黒い影、白く見える桜、藍色の星空、のぼる列車が見
えてくる。桜はいつもと同じに咲いている。しかし作者の心
には重い悲しみがあるのかも知れないと思った。それは多分
「のぼる」がそう思わせるのだろう。東日本大震災が頭を過
った。大切な人を失ったのでなければいいのですけれど・・
・。(H)