「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

砲身の歳月たんぽぽ低く咲き 牧野春江 「滝」6月号<渓流集>

2012-06-11 05:23:51 | 日記
 砲身は大砲の弾を込めて発射する円筒形の部分を言い、ど
うしても戦争を思い浮かべることになり戦争経験をされた方
にとっては、身のすくむ思いになるのでしょうね。低く咲く
たんぽぽにそんなこと思いましたが、「砲身の歳月」は、展
示され、平和の尊さを伝えてきた歳月と思いたい。咲いてい
るのは、まだ寒さの残る頃に地面に這いつくばって咲いてい
るたんぽぽなのでしょう。一枚一枚重ならないように葉を広
げて、太陽の光を少しでもたくさん受け止めて一生懸命名の
みの春に咲いている。大きさの対比、質感の対比、色の対比。
そして心にも対照的な思いを広げる句。(H)