野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

2022鈴鹿8耐で感じた事(その2)

2022-08-08 08:13:47 | モータースポーツ
「鈴鹿サーキットツイッター」
3年ぶりに開催された鈴鹿8耐の優勝はホンダワークスHRCだった。
レースはまさにホンダHRCの圧勝。ホンダ広報によると「ホンダにとって8年ぶり、HRC創立40周年を独走優勝で飾る 」とあった。また、#鈴鹿8耐 記者会見に臨んだTeam HRCの3人 長島選手は「うれしいという以外に表現ができない。ここまでやるのか、という強いHondaをまた見せることができた」と話していた。8時間をテレビ観戦したが、まさしくその通りのレースだと思う。ホンダの過去にあった、ホンダHRCの、あの本来の強さを日本最大の二輪レースで見ることができ、逆に言えば、8年間、ホンダは何してたんだろうと思う。ここ数年、モータースポーツ発表等の記者会見等がある度に、「レースに勝つことはホンダのDNA」と公言する度に、その結果は寂しい結果に終始してきたただけに、8年ぶりに優勝した事を素直に評価したい。今回の8耐レースで見せつけられのは、ホンダはミスなくレース展開できたのもさることながら、ホンダHRCマシンの戦闘力の凄さで、他チームは全く勝負にならないほどだった。そして、最後に8時間をきっちりと正確にゴールしたマシンが縦列を組んで祝福を受ける姿こそが本来の耐久レースの面白さだと改めて感じた。

レース展開はテレビとパソコンでライブタイミングを同時観察しながら、その間にFB等に流れる現地のコメントを読みながら楽しく観戦できた。ホンダHRCはトップを一度も譲ることなく、2位に付けていたカワサキワークスやヤマハYARTとの差を広げつつ、二度目のSCがホンダとカワサキの間に入ったことで、その差は30数秒から1’16秒へと一気に広がった。その後も現役最高クラスの選手を揃えたカワサキの猛追を受けるも、格下と思われたホンダの選手はその差を縮めさせることもなくむしろ広がる一方で逆に、カワサキのNO1ライダージョナサン・レイ 選手のミス・転倒もあって、中盤にはカワサキを直線路で一気にラップして一周遅れにした。コーナーで抜かれても直線でスリップに入れると簡単に抜いてしまうホンダのマシンを見せられると、多くのファンはホンダマシンの速さをただただ実感してしまったと思う。暫定のレース結果は、1位ホンダワークス、2位は一周遅れのカワサキワークス、3位はヨシムラスズキだった。ヤマハのトップチームYARTは終盤まで2位でカワサキワークスと好勝負を展開していたが、燃費が悪く8回ピットの上(実際は10回ピット)、ピット作業ミスや188周目ごろの転倒も重なり最終的には5周遅れの7位に終わったが、とても優勝を狙えるレベルにはないと感じた。

8年ぶりのホンダ鈴鹿8耐優勝は素直に評価したいが、80~90年代のあのホンダの凄さを知っているファンの一人としては、その間のホンダの体たらくには本当にガッカリしていた。例えば、2017年ホンダのモータースポーツ活動計画の記者会見ライブで、「ホンダは勝ちに拘る」とか「鈴鹿8耐では2年続けての惨敗だった」と何度も語ったわりには、勝ちに拘った具体的な対策・体制も構築せず、今年は鈴鹿8耐40周年の記念の年なので必勝を期したいと言う言質についても、ホンダの現計画でヤマハワークスに勝てるのかの記者質問についても苦笑いするのみで、大いに失望した。結局、昨年の屈辱から打倒ヤマハを目指してきたはずのホンダは3年続きの自滅と言う形での返り討ちにあった。

その後の2018年も、ホンダHRCは昔のHRCではないと実感した。「ホンダは勝ちに拘る」とか「鈴鹿8耐では惨敗しない」と公言するなら、それ相当の覚悟を持って8耐に臨むべきであろう。事前合同テストの結果を見るに、ヤマハワークスにはいざ知らずカワサキの準ワークスにさえ大きく遅れをとっていることが明らかになっていた。レース本番では一時、ヤマハワークスに肉薄する場面もあったが、それもぺースカーが入った個所だけで、すぐに離されてしまった。カワサキの転倒修復でHRCは2位確保となったが、これがホンダワークスHRCが求める本来の姿では決してあるまい。

そして2019年、優勝したKawasaki Racing Teamと同一周回の走りを見せたホンダワークスの戦いは見事だったが、さしたるミスもなく淡々と耐久レースをこなした優勝チーム「Kawasaki Racing Team」と比較するとミスが目立ったように思う。ホンダワークスのエースライダー高橋の走りは見事だったものの、ホンダは勝とういう強い意志が感じられなかった。特にライダーの選択がまずい。例えば、ステファン・ブラドルは本当に走るのか本番直前まで疑問視されたと新聞にも書かれたり、本番は走行したもののさしたる速さはないまま高橋選手の稼いだマージンを食いつぶし、また、もう一人の清成選手も宇川監督の弁では、「フィジカルの問題あり」とインタビューで発言したりと、「鈴鹿8耐は勝ちに拘る」と標榜している企業のワークスチームの割には、カワサキワークスそしてヤマハワークスにも返り討ちに合って、表彰台確保するも降参に等しい。ホンダ、8耐と聞くと企業全体が目の色を変えた昔の、あのホンダはどこかに消え、鈴鹿8耐に取り組む姿勢が悪いと思う。

そして、3年後に復活した2022年の鈴鹿8耐、ホンダのNo1ライダーの言にもあるように、「圧倒的に強いホンダを見せる」ことを有言実行したのだから、これは大いに評価するべきだと思う。一方、2019年に続く2連勝を目的としたカワサキは、元チャンピオンを含む現役一流選手の頑張りはあったもののマシン戦闘力差は歴然としており、残念であった。ジョナサン・レイのコメントにもあるように「まずはTeam HRCのみんなにおめでとうと伝えたい。本当に素晴らしい走りだったと思う。すごく強いチームだ。そして今回も鈴鹿の表彰台に上がることができて本当に嬉しいよ。初めてではないけど、非常に難しいことだと思うから、このように表彰台に上がることができて本当に嬉しいし、僕たちのチームに関してはSBKの舞台から切り替えてとても忙しい日々だった。耐久レースに参加することは簡単なことではないから、みんながその忙しい状況にも関わらずに乗り越え、このように集まってベストを尽くしたと思うから誇りに思っているよ。僕らのチームは本当に素晴らしいと思っている」 、全くその通りだと思う。とかく一番でないと、坊主になれとか一気に評価を落としたりと一瞥する人もいると聞くが、誰でも一番になりたいと、ましてや二輪メーカーの看板を背負って走るワークスチームは表彰台に登れるだけでも大変なだけに、ジョナサン・レイの言質はモータースポーツの歴史を連綿と続けている欧州二輪文化の本質を見た様な気がする。

更に言えば、改めて鈴鹿サーキットの攻略にはマシン戦闘力の優位性を高める事の必要性を感じた。大昔は、鈴鹿レースに備えて一年計画を立て行動していた。冬の寒い時期は暖かい東南アジアで新年度マシンのテストを繰り返し、数秒のタイム短縮の好評価を得ても、いざ鈴鹿でテストすると思った程の改善が出来ていない事が分り愕然とすることがままあったが、それほどに鈴鹿サーキットはマシンの性能向上を大きく要求する。その点で、ホンダは鈴鹿で入念にテストを繰り返したことをホンダNO1ライダーの長島選手の言質から読み取れる。

それはそれとして、2022年は強いホンダが鈴鹿に帰ってきた事を確認できて、楽しい8時間だった。

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