23日の日経WEBに「カステラの福砂屋、創業400年息長く成長 百貨店が原動力」と言う記事があった。福砂屋は長崎に本拠地があるカステラで有名な菓子屋。日経が福砂屋を取り上げる理由は何だろうと読んでみた。
● 1624年創業のカステラの「福砂屋」が誕生から400年を迎えた。2024年は百貨店を主な販路とする東京拠点の売上高が過去最高を更新する見込みだ。料亭への配送から百貨店を販路の中心へと切り替え、販売店を通じてブランドの価値を伝える手法で市場が縮む中でも右肩上がりの成長を続けてきた。
● 取引先の視点から百貨店ビジネスの可能性を探った。百貨店は我々(取引先)のこだわりやブランドを大事に考え、いいものをしっかり届けようという思いがある。
● 1952年、東京での販売を始めた。当初は赤坂などの料亭の土産物として販売を始めたが、53年に東京駅の土産物店街に出店。54年には大丸東京店(東京・千代田)に店を出して百貨店との取引を開始した。以降70年にわたって百貨店を中心に販売網を強化し、新型コロナウイルス禍などを除いて売上高で右肩上がりの成長を続けてきた。
● 成長の理由は職人の「手わざ」による変わらない味と販売拠点の百貨店を通じて高めたブランド力だという。「味だけは落とすな」という創業の教えを受け継ぎ、創業から400年、卵を割るところから泡立て、生地の混合、かくはん、焼き上げまで一連の作業をひとりの職人が一貫して行う「一人一貫主義」による製造を守り続けている。
● 宣伝は一切してこなかったが、職人の手作業にこだわり味を守り続けてきたことで、徐々に消費者の認知度や口コミが広がり、出店機会が増えたほか、百貨店売り場の中での立地もより良くなった。
● 市場が縮小する中でも、販路としての百貨店を重要視する企業はなお多い。百貨店と取引先、また取引先同士がウィンウィンの関係を築いて新たな価値を提供する。老舗企業と百貨店でつくるこうしたビジネスモデルは、持続的な成長を目指すあらゆる企業へのヒントになる。
等々、福砂屋のカステラが400年も続いた理由が書いてあったが、近くの神戸大丸にも阪急でも販売しておらず、なぜ日経が記事にしたのか格段なものはなし。
そう刷り込まれてきたので、法事などでは殆どが福砂屋のカステラがあった。長年、しかも幼少の頃に食べた記憶、ふくよかで、ねっとりとした上質感のある味とザラメが美味しいのは福砂屋だと舌が記憶してしまっている。だから、何時までたっても、これがベースにあるのでどうしようもない。あくまで個人的な主観なんだが、福砂屋のカステラの底に付いたザラメは特に旨く、これを最後に舐める、何にもなかった大昔、これがカステラの旨さ基準だと覚えてしまっている。
「数年前、田舎の法事が終わったとのことで送られたきた、福砂屋のカステラ」
ところで、カステラといえばコマーシャルが浸透したせいか文明堂がカステラ本舗として有名になり、神戸でもどこでも簡単に手に入る。これはこれで美味しいのだが、長崎県出身からすると、長崎カステラの元祖と呼ばれる長崎市の福砂屋のカステラの方が更に上等だと思っている。カステラそのものは大好きなので、両方とも甲乙付けがたしと言いたいが、しかし、あくまで個人的な主観で言うと、ふくよかで、ねっとりとした上質感のある味とザラメが美味しいのは福砂屋。故郷での引き出物のカステラは福砂屋製がどちらかと言えば多かった。福砂屋のカステラを貰えば、田舎では納得するのである。で、福砂屋のカステラの底に付いたザラメは特に旨く、これを最後に舐める。
ちなみに、福砂屋のHPには、
「長崎カステラの元祖といわれている。1624年(寛永元年)創業。『カステラ本家』を商標登録している。中国でめでたい動物と言われる蝙蝠を商標とし、看板には蝙蝠が使われている。・・・福砂屋のカステラは創業以来手作業による製造を行い、添加物を使用せずに生成している。出来上がったカステラは底に角の取れた粗目(ザラメ)糖があり、食べるときに独特の食感を生み出している。長崎カステラといえば、東京などでは文明堂が有名になっているが、本場の長崎では、ザラメ入りでしっとりとした福砂屋のカステラを食べるのが、通とされている」と書いてあり、競争相手の文明堂との比較を書いてあるが、元はと言えば、文明堂(創業1900年)は福砂屋で修行した職人が出て店を作ったものと、田舎では広く知られているので、今でもカステラと言えば「福砂屋」なのである。