「グラフィックカラー昭和史・第10巻」研秀出版 1987発行より転記。
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昭和史対談「遊女屋通いの青春」
五味康祐 この遊女屋というのは、どんな階級の者でも一度はくぐらねばならない関門だったのです。五木寛之流にいうと青春の門とうわけです。
戦争というものが目の前に待っている。国民の男子としてなさねばならないことがある。そんなとき安逸な女性関係におぼれる罪の意識みたいなもは、当時の青春時代を迎えた人たちに共通にあったことだと思います。
一方、遊女屋の方には、貧しい農家に育った娘たちが親兄弟のために売られてきている。心ならずも身を苦界の底に沈めているわけです。
この両者が一夜を共にし、何か共通の心情的なものを温め合うというものがあったと思うのです。
僕らの頃は、21才になると入隊する。出征するとなると町中をあげての見送りになるわけですが、その前の入隊祝賀会の席で、その青年がまだ童貞であった場合には、おおむね女郎屋に引っ張っていかれるんですね。
戦前には庶民感情の中に相当深く浸透していたのではないでしょうか。
サトウサンペイ 一種の通過儀式のようなものですね。人間が成長してゆく過程での。
僕らの頃は、素人に手を出すのはいけないことだ、というようなモラルがありました。変なモラルでーー(笑)。
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