しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

「石の島」小与島

2023年03月15日 | 昭和で無くなったり・変わったもの(生活・暮らし・産業)

JR瀬戸大橋線の車窓から小与島を見ると、
切り残した花崗岩が海の中に突き出ている。
遺跡の島の様相だ。

瀬戸大橋の工事期間中、与島・小与島はレジャー・観光産業で新聞テレビの注目を浴び続けた。

 

・・・

 

瀬戸内の風土と歴史  谷口・後藤・石田共著  山川出版社 昭和53年発行

島にはいくつかの類型がある。


第一のタイプ
比較的水田耕作の盛んな島である。
淡路島、周防大島の西部。


第二のタイプ
畑地とともにいくらかの水田をもつ島。あるいは畑のみの島。
忽那島や生口島。


第三のタイプ
農耕の島に純漁村の付加している島。
周防大島の安下庄や因島の箱崎。


第四のタイプ
帆船の船着場として賑わい、造船技術や水夫(かこ)が多い。
安芸鹿老渡・御手洗・伊予安居島・岩城島・弓削島・備後田島・備前日比・牛窓・大多府等。


第五のタイプ
採石の島。
防波堤・石垣の築造が各地でおこってくると、花崗岩の需要が著しく増加する。
周防大津島・黒髪島・浮島、安芸大黒神島・倉橋島、備中北木島・白石島、讃岐小与島・小豆島、播磨男鹿島などが採石の島として著名である。


第六のタイプ
島を牧場ないし流刑地として利用したもの。
全島が放牧場として利用された島が意外と多い。

・・・

(与島から見る小与島 2007.10.28 香川県坂出市)

 

・・・・


「瀬戸内海を歩く」  中国新聞社 1998年発行

小与島


「橋が架かれば、観光の島よ」
与島と小与島をロープウェーで結び、一大レジャーランドにする。
そんな開発プランもあった。
殺風景な島の風景は、そのまま西部劇のロケ地としても使える、という触れ込みだった。

「橋が架かりゃあ、若者も帰ってくる。
過疎も止まり、観光の島で発展する」。
架橋前に島の誰もが描いた島の未来図は、大いに目算が狂っていた。
1950年代後半、15の採石場があり、
最盛期には190人近くいた人口も、今は30人ほどに減った。

丁場が橋脚となる与島は仕事を失い、
小与島は長大橋の眺望を売り物にした「観光の島」の構想が、石屋の心を揺さぶった。
88年、岡山市のリゾート会社が500億円を投資し、ホテル、海洋レジャー、スポーツ施設を島全体に造る構想をたて、島民に坂出市内への集団移転を持ち掛けた。
その後、バブル崩壊で計画は大幅縮小されホテルがオープンしただけにとどまった。

「夢のような話はやっぱり夢じゃった。
橋が架かかると若者もUターンして来るというたが、逆に島はさびれた」と言う。

 

・・・

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「石の島」伊予大島 | トップ | 笠岡の大仙様 »

コメントを投稿

昭和で無くなったり・変わったもの(生活・暮らし・産業)」カテゴリの最新記事