保健福祉の現場から

感じるままに

重症化リスク高い軽症者に対する早期治療はどうなのか

2021年03月12日 | Weblog
R3.3.12東洋経済「イベルメクチンに超期待する人が知らない真実 コロナ治療薬?「過熱報道と臨床現場の温度差」」(https://toyokeizai.net/articles/-/416242)の「花木教授によると、イベルメクチンの治療効果に関しては、バングラデシュ、エジプト、トルコ、インドなど世界27カ国、86件の臨床試験(RCTを含む)や観察研究が行われているという。また、17件のRCTを対象にしたメタアナリシス(複数の論文を解析する研究)で、「初期治療で71%の改善」「後期治療で50%の改善」「予防投与で91%改善」という結果が出たという」「現在、北里大がイベルメクチンの第2相臨床試験を行いながら、コロナ治療としての承認を得ようとしている。だが第3波の影響で、遅れが出ていることを花木教授は明らかにした。「患者が急増して、イベルメクチンの臨床試験は事実上ストップになりました。治療が優先だからです。東京都医師会や都立病院が臨床試験に参加してくれることになりましたが、空白期間を巻き返せるかわかりません。イベルメクチンは30年以上、年間約3億人が服用して、大きな副作用もなく、価格も安い。海外で有効性が報告されているので、第2相臨床試験の結果をもって特別な承認も検討してもらいたい」」(https://toyokeizai.net/articles/-/416242?page=3)が目に止まった。R3.2.26衆議院「イベルメクチンの承認に関する質問主意書」(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_s.nsf/html/shitsumon/pdfS/a204059.pdf/$File/a204059.pdf)・R3.3.9答弁書(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b204059.pdf/$File/b204059.pdf)が出ている。R2.12.25日刊工業新聞「新型コロナ/北里大、治療薬候補「イベルメクチン」臨床終了 来年3月に」(https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00583042)(https://newswitch.jp/p/25238)では「北里大学大村智記念研究所感染制御研究センターは、抗寄生虫薬「イベルメクチン」について、新型コロナウイルス感染症の治療薬としての臨床試験を2021年3月にも終了し、製造元の米製薬大手MSDに試験結果を提供する。MSDは効果を検証しながら、承認申請を検討する見通しで、新型コロナの治療薬として認められれば、抗ウイルス薬「レムデシビル」とステロイド薬「デキソメタゾン」に続き、3例目となる。」とあったが、「イベルメクチン(ストロメクトール®)」(http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se64/se6429008.html)(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3)は国際的には熱帯病治療として馴染みがあり、パンデミックには期待されるかもしれない。さて、日本感染症学会(https://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31)の「COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第7版(2021年2月1日)」(https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_210201.pdf)p2「1. 中等症・重症の症例では薬物治療の開始を検討する。2. 高齢(およそ60歳以上)・糖尿病・心血管疾患・慢性肺疾患・慢性腎障害・肥満・悪性腫瘍、喫煙による慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態等のある患者においては、特に重症化や死亡のリスクが高いため慎重な経過観察を行いながら開始時期につき検討する。3. 無症状者では薬物治療は推奨しない。4. PCRなどによりCOVID-19の確定診断がついていない患者は薬物治療の適応とはならない。」とあり、重症化リスクがあっても早期治療は推奨されていない。R3.2.19「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4.2版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000742297.pdf)p30「抗ウイルス薬の投与が考慮される」は中等症からである。医療負荷を軽減するために、R2.10.27Web医事新報「緊急寄稿(4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアビガン承認に向けて(白木公康)」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=15763)の「急性ウイルス性疾患の治療においては,抗ウイルス薬の治療開始時期は,水痘では24時間以内,インフルエンザでは48時間以内,帯状疱疹では72時間以内というように,早期に薬剤投与による治療が開始されている。この点を考慮すると,COVID-19は,発症3~5日後までに治療を開始して,肺炎や神経系・循環器系合併症を防ぎ,後遺症を残さない治療が理想」のような「重症化リスクを有する検査陽性者での軽症からの治療」はどうなのであろうか。また、R2.11.27Web医事新報「[緊急寄稿]これからの新型コロナ対策はどうあるべきか─universal masking,PCR検査,そしてアビガン 菅谷憲夫」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=15981)の「ファビピラビルを院内感染,施設内感染対策にも使用することを考慮すべきである。」は、今後、「インフルエンザ施設内感染予防の手引き」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/tebiki25.pdf)p10「施設内感染伝播が発生している場合には、適切なリスク評価のもと、早期の抗ウイルス薬予防投薬なども考慮されうる。」、「疥癬対策マニュアル」(https://www.maruho.co.jp/medical/scabies/manual/manual04.html)の「内服薬 原則的に確定診断がついた患者に投与する。その患者と接触の機会があり、疥癬様の症状がある方に予防的投与することがある:イベルメクチン 約200μg/kgを空腹時に1回、水で内服する。」のように、クラスター発生の医療・介護施設等での予防投薬はどうなのであろうか。富士フィルム「アビガン®錠」(https://brand.fujifilm.com/covid19/jp/avigan.html)について、R2.4.4Web医事新報「緊急寄稿(3)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を含むウイルス感染症と抗ウイルス薬の作用の特徴(白木公康)」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14354)では「アビガンは,ウイルスRNA合成を阻止することと,RNA依存性RNAポリメラーゼ(Rd Rp)の共通性の高い部位に作用するため,耐性ウイルスを生じない。」とあり、変異株対策の観点からも期待されないであろうか。第4波対策として、「病床確保」(https://www.mhlw.go.jp/content/000744643.pdf)・「レムデシビル(ベクルリー®)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00021.html)、「ワクチン」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html)(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html)も悪くないのであるが...。「COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第7版(2021年2月1日)」(https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_210201.pdf)p2「 無症状者では薬物治療は推奨しない。」とあるが、R3.2.19「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4.2版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000742297.pdf)p29「中等症Ⅰ 低酸素血症があっても呼吸困難を訴えないことがある」は警戒したい。「⽇本感染症学会提⾔ 今冬のインフルエンザとCOVID-19 に備えて」(https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2012_teigen_influenza_covid19.pdf)p9「インフルエンザは早期診断に基づく、早期治療を⾏うことを推奨」であるが、新型コロナでは、たとえ、持病を有する後期高齢者の軽症であっても、「COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第7版(2021年2月1日)」(https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_210201.pdf)p2「慎重な経過観察を行いながら開始時期につき検討」なのであろうか。
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気になるE484K

2021年03月12日 | Weblog
R3.3.11朝日新聞「新たな変異株を早期発見へ 大学・研究機関もゲノム解析」(https://www.asahi.com/articles/ASP3C62L2P3CULBJ00C.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<新型コロナウイルスの変異ウイルス(変異株)について、厚生労働省は監視体制を強化することを決めた。自民党の小委員会に11日、対策を示した。国内外で報告されている英国型、南アフリカ型、ブラジル型の3種類だけでなく、これ以外のものも素早く見つけられるように、ゲノム解析などの体制を整備する。3種類は、「N501Y」と呼ばれる変異をもち、感染力が強まると懸念されている。すべての都道府県の地方衛生研究所でPCR検査ができる体制が整っている。一方、N501Yの変異はないが、「E484K」と呼ばれる変異をもつタイプも確認されている。ワクチンなどで獲得した免疫の一部が十分に効かないおそれが指摘されていて、国内で394例(3日時点)が確認されている。感染がおさまらない中、新たな変異株が今後、発生する可能性もある。こうした現状を踏まえ、厚労省は、現在は国立感染症研究所(感染研)で行われているゲノム解析を、大学や研究機関でも実施する。民間検査機関への委託を進め、解析数を増やし、新たな変異株をなるべく早く見つけられるようにする。変異株に感染した患者のゲノム情報や症状、治療の経過などは、国立国際医療研究センターと感染研が連携し、データベース化。変異株の感染力やワクチンの効果などを検証できるようにする。治療薬やワクチンの開発、重症化の原因を見つけ出す研究開発にも役立てる。>

R3.3.9国立感染症研究所「日本における感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルスの新規変異株症例について(2021年2月26日時点)」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/10221-covid19-37.html)は「501Y」に関するものである。R3.3.5日刊ゲンダイ「コロナ死1万人増の最悪シナリオ 逃避変異に感染研が警鐘」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/285974)の「厚労省は「感染性や重症度が深刻ではなく、ワクチンが無効になるわけではないため、都道府県別に(逃避変異株を)モニタリングする状況ではない」(結核感染症課)」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/285974/2)について、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00216.html)のR3.3.3「新型コロナウイルス感染症(変異株)への対応」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000748323.pdf)p1「上記のほかに「N501Yの変異はないがE484Kの変異がある変異株」を、現在、我が国では、93例(国内91件、空港検疫2件)確認している。」は不気味で、p3「免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が指摘されている変異株やその他の株についても、迅速に発生状況を把握する必要が生じた場合に備え、• 国立感染症研究所において、複数の変異を迅速に検出する検査方法の開発 • 国立感染症研究所においてゲノム解析を実施などに取り組む」とある。変異ウイルスの感染力だけではなく、病原性はどうか、ワクチンの有効性はどうか、抗ウイルス薬の有効性はどうか、など、いろいろ気になるところかもしれない。R3.2.25「新型コロナウイルス変異株流行国・地域に滞在歴がある入国者の方々の健康フォローアップ及び SARS-CoV-2 陽性と判定された方の情報及び検体送付の徹底について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000745204.pdf)で「新型コロナウイルス感染症(変異株)の発生動向等については、HERSYS を活用して集計を行う予定であり、HER-SYS において変異株であることをチェックできる項目(①変異株 PCR 検査結果・②ゲノム解析結果)が3月5日から追加される見込みです。つきましては、以下の要領で入力の程御願いいたします。なお、3月15日より集計を開始する予定です。」とあるが、E484Kの発生動向が気になるところかもしれない。
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家庭内感染の防止

2021年03月12日 | Weblog
R3.3.12NHK「県が医療的ケア児受け入れ支援へ」(https://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/20210312/5060008880.html)。<以下引用>
<たんの吸引など、医療的ケアが必要な子どもの親が新型コロナウイルスに感染してケアができなくなった場合に備えて、県は専門の施設で受け入れる態勢を整備しました。受け入れるのは、宮崎市にある「県立こども療育センター」です。この施設は、もともと医療的ケアが必要な子どもが入所しているほか在宅でのケアの支援も行っていて、今回、病床3床を新たに確保しました。医療的ケアを受ける子どもは、感染すると重症化するリスクが高い一方、親が感染した場合は『濃厚接触者』にもあたるため一般病棟とは別の棟で受け入れ、施設内での感染拡大を防ぎます。受け入れにあたっては、ほかの医療機関から看護師を派遣してもらうなどして24時間態勢で必要なケアにあたるということです。県によりますと、県内では医療的ケアをうけながら自宅で生活する子どもは100人余りいて、親から万が一、感染した際の子こどものケアを心配する声が寄せられていたということです。県立こども療育センターの所長で医師として診察にもあたる川野彰裕さんは「子どもたちが不安にならないよう、家族と綿密に連絡をとってできる限り自宅と同じようなケアが行えるよう心がけたい」と話していました。>

基本的対処方針(https://corona.go.jp/news/news_20200411_53.html)のR3.3.5基本的対処方針(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_20210305.pdf)p32「都道府県等は、患者が入院、宿泊療養、自宅療養をする場合に、その家族に要介護者や障害者、子供等がいる場合は、市町村福祉部門の協力を得て、ケアマネジャー、相談支援専門員、児童相談所等と連携し、必要なサービスや支援を行うこと。」について、自治体向け事務連絡(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00214.html)で明確に示されても良いように感じる。R3.2.5「病床ひっ迫時における在宅要介護高齢者が感染した場合の留意点等について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2021/210208_3.pdf)、R3.2.16「在宅で生活する障害者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合の留意点等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000740623.pdf)は家庭内感染が前提であってはならない。
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転勤とワクチン接種

2021年03月12日 | Weblog
新型コロナワクチン(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html)(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html)(https://www.pc-covid19.jp/article.php?ckbn=8)のワクチン供給(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_supply.html)で、R3.3.10「医療従事者等向け接種を実施するための新型コロナワクチンの出荷(第2弾)について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000751724.pdf)が発出されている。3月中の供給量は限定されているが、4月になればそれなりに供給され、医療従事者向け優先接種(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_iryoujuujisha.html)は順調に進みそうである。人事異動を考慮すると、4月からの本格接種も案外悪くないかもしれない。Q&A(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_iryoujuujisha.html)の「Q5. 1回目の接種と2回目の接種の間に転勤や退職する場合、2回目の接種はどうなりますか。 A.転勤される場合は、転勤先で2回目の接種を受けてください。一旦退職し、別の勤務先で引き続き医療従事者等として従事される方も同様です。2回目の接種以降まで、医療従事者等として従事を予定されている方が医療従事者等としての接種の対象です。2回目の接種までに退職される予定の方は、対象ではありませんので、年齢等に応じた接種順位で接種を受けていただくことになります。やむを得ず1回目の接種後に急に退職し、医療従事者等でなくなる場合は、元の勤務先にご相談ください。」は少々悩ましいかもしれない。
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