M3「「患者が減少、病院間の格差も」2014年度診療報酬改定の調査、日本病院会」(http://www.m3.com/news/iryoishin/298270)。<以下引用>
<日本病院会が2月25日に開催した記者懇談会で、2014年度の「診療報酬等に関する定期調査」(12月13日概要を公表)について、調査を担当した同会理事の宮崎瑞穂氏(前橋赤十字病院院長)が解説した。宮崎氏は回答した病院の診療収入について「全体として増収しているにも関わらず、減益になっている。特にこれまで有利だった(病床数の多い)病院が不利になっている。器材費が高い病院が特に消費税増税の影響を受けているようだ」と指摘。「患者数も顕著に減少した。増税による受診抑制も考えられる」と話し、消費増税が病院経営を圧迫し病院間の格差も広がっているとの懸念を示した(調査結果は日病のホームページに掲載)。調査は日病の会員施設が対象で、2014年7月から9月にかけてインターネットを通じて、2014年6月と2013年6月の月別の診療収益、1人1日当たりの診療収入、延べ患者数などの前年比を聞いた。有効回答数は688病院(有効回答率は93.6%)。宮崎氏は、調査結果の特徴を大きく二つに分けて紹介した。一つは大規模病院の経営状況が厳しくなっている点。全体の63.5%の病院は診療利益が増収したが、経常赤字の病院も58.2%から66.3%に増加した。費用増が収益増を上回ったのが原因。特に大規模病院や急性期病院は、収益も伸ばしたものの高額化する診療材料費に圧迫され、より厳しい状況になっているという。調査によると、赤字病院の割合は、300床以上の大規模病院で大きく増加。1~99床の病院では、前年から引き続き赤字病院と黒字病院の割合はほぼ拮抗しているが、300床以上の病院では、前年の赤字病院の割合が60%台だったのが、昨年は70%台に大幅に増えた。また、急性期病院も相対的に経営状況が悪化。一般病棟入院基本料別の経常利益では、13対1入院基本料で赤字病院の割合は50.0%にとどまったのに対し、7対1入院基本料では70.6%に上った。病床区分で見ると、一般病院で赤字病院の割合が目立ち、71.0%で、療養・ケアミックスの病院がほぼ半分、精神病院は61.5%、その他は55.6%だった。次に宮崎氏が挙げたのが、入院患者数の減少と外来患者数の増加。入院患者数は病床規模や病院機能に関わらず減少していて、中央値は3.31%減の6943人。60.8%の病院が入院患者数は減少したと回答した。一方で外来患者数が増えた病院は61.9%だった。同席した土浦協同病院名誉院長の藤原秀臣氏は「経済と医療の受診状況は影響している」と話し、受診抑制が原因だとの見方を示した。また、患者数が減少したのに増収になった原因として、1人当たりの診療単価が増えていることを踏まえ、「診療器材が非常に高くなっていて診療報酬は上がっていないので、外科手術をして高額な器材を使えば使うほど赤字になる、という例もある」と話し、診療単価の増加が病院の利益に必ずしもつながっていない状況を指摘した。>
昨年12月、日本病院会「平成26年度診療報酬等に関する定期調査-集計結果報告書(概要)-」(https://www.hospital.or.jp/pdf/06_20141213_01.pdf)が出ていたが、特に自治体病院の経営状況に関しては、当該住民が関心を持つ必要がある。公立病院改革(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)とも絡んでくるからである。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)では「2025年の医療需要の推計」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000068534.pdf)が注目されるが、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/t-page.asp)では、平成22(2010)年10月1日から平成52(2040)年10月1日までの30年間(5年ごと)について、市区町村別の将来人口推計(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson08/5-sai/shosai.html)が行われており、まずは、それぞれの地域において、少子高齢化を前提にした認識が必要と感じる。また、病院の入院患者増・通院患者増が必ずしも住民の幸福につながらないことも認識したい。例えば、自治体の健康づくり推進協議会では国保データベース(KDB)システムの分析結果を公表し、自分たち自治体の医療費の実態を知ってもらうことも重要であろう。
<日本病院会が2月25日に開催した記者懇談会で、2014年度の「診療報酬等に関する定期調査」(12月13日概要を公表)について、調査を担当した同会理事の宮崎瑞穂氏(前橋赤十字病院院長)が解説した。宮崎氏は回答した病院の診療収入について「全体として増収しているにも関わらず、減益になっている。特にこれまで有利だった(病床数の多い)病院が不利になっている。器材費が高い病院が特に消費税増税の影響を受けているようだ」と指摘。「患者数も顕著に減少した。増税による受診抑制も考えられる」と話し、消費増税が病院経営を圧迫し病院間の格差も広がっているとの懸念を示した(調査結果は日病のホームページに掲載)。調査は日病の会員施設が対象で、2014年7月から9月にかけてインターネットを通じて、2014年6月と2013年6月の月別の診療収益、1人1日当たりの診療収入、延べ患者数などの前年比を聞いた。有効回答数は688病院(有効回答率は93.6%)。宮崎氏は、調査結果の特徴を大きく二つに分けて紹介した。一つは大規模病院の経営状況が厳しくなっている点。全体の63.5%の病院は診療利益が増収したが、経常赤字の病院も58.2%から66.3%に増加した。費用増が収益増を上回ったのが原因。特に大規模病院や急性期病院は、収益も伸ばしたものの高額化する診療材料費に圧迫され、より厳しい状況になっているという。調査によると、赤字病院の割合は、300床以上の大規模病院で大きく増加。1~99床の病院では、前年から引き続き赤字病院と黒字病院の割合はほぼ拮抗しているが、300床以上の病院では、前年の赤字病院の割合が60%台だったのが、昨年は70%台に大幅に増えた。また、急性期病院も相対的に経営状況が悪化。一般病棟入院基本料別の経常利益では、13対1入院基本料で赤字病院の割合は50.0%にとどまったのに対し、7対1入院基本料では70.6%に上った。病床区分で見ると、一般病院で赤字病院の割合が目立ち、71.0%で、療養・ケアミックスの病院がほぼ半分、精神病院は61.5%、その他は55.6%だった。次に宮崎氏が挙げたのが、入院患者数の減少と外来患者数の増加。入院患者数は病床規模や病院機能に関わらず減少していて、中央値は3.31%減の6943人。60.8%の病院が入院患者数は減少したと回答した。一方で外来患者数が増えた病院は61.9%だった。同席した土浦協同病院名誉院長の藤原秀臣氏は「経済と医療の受診状況は影響している」と話し、受診抑制が原因だとの見方を示した。また、患者数が減少したのに増収になった原因として、1人当たりの診療単価が増えていることを踏まえ、「診療器材が非常に高くなっていて診療報酬は上がっていないので、外科手術をして高額な器材を使えば使うほど赤字になる、という例もある」と話し、診療単価の増加が病院の利益に必ずしもつながっていない状況を指摘した。>
昨年12月、日本病院会「平成26年度診療報酬等に関する定期調査-集計結果報告書(概要)-」(https://www.hospital.or.jp/pdf/06_20141213_01.pdf)が出ていたが、特に自治体病院の経営状況に関しては、当該住民が関心を持つ必要がある。公立病院改革(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)とも絡んでくるからである。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)では「2025年の医療需要の推計」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000068534.pdf)が注目されるが、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/t-page.asp)では、平成22(2010)年10月1日から平成52(2040)年10月1日までの30年間(5年ごと)について、市区町村別の将来人口推計(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson08/5-sai/shosai.html)が行われており、まずは、それぞれの地域において、少子高齢化を前提にした認識が必要と感じる。また、病院の入院患者増・通院患者増が必ずしも住民の幸福につながらないことも認識したい。例えば、自治体の健康づくり推進協議会では国保データベース(KDB)システムの分析結果を公表し、自分たち自治体の医療費の実態を知ってもらうことも重要であろう。