保健福祉の現場から

感じるままに

特定健診・保健指導の懸念 ~被用者保険の被扶養者~

2006年07月31日 | Weblog
平成20年度からの特定健診・保健指導はどうなるであろうか。先日、国の審議会委員による研修を受ける機会があった。標準的な健診・保健指導プログラム暫定版に自信に満ち溢れているようであった。各医療保険者において、プログラムに基づき、適切に実施されるならば、政策目標である「生活習慣病有病者・予備群の25%減少;平成27年度」に近づけるかもしれない。問題は市町村国保及び被用者保険者が被保険者及び被扶養者に対して、適切に実施できるかどうかである。特に被用者保険者はこれまで被扶養者に対する健診・保健指導をほとんど実施してきていない。被用者保険者から国保に実施委託できるものの、費用負担及びデータ管理は委託する側の医療保険者が行わなければならない。また、今年度から65歳以上に対して基本健診と合わせて生活機能評価が実施されているが、平成20年度から基本健診は特定健診に移行する。この連携も懸念されるところである。今年度から、標準的な健診・保健指導プログラムに基づき、モデル的な準備事業が実施される。この際、様々な不安をぜひ払拭してもらいたいものである。
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制度変更と周知徹底

2006年07月30日 | Weblog
老年者控除廃止・公的年金等控除縮小により高齢者の税負担増がなされた(http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200606170073.html)。全国各地で広報されている(http://www.town.kushiro.hokkaido.jp/kakuka/zeimu/minzei/tyomin.htm)が、通知を受けた高齢者は一様に驚いている。先日、高齢者の方々に医療制度改革に伴う負担増(①医療費自己負担割合の引き上げ、②療養病床食費・居住費負担の増加、③医療費自己負担限度額の引き上げ、④後期高齢者医療制度の新たな保険料納付など)について話す機会があった。「いつの間に決まったんだ」という声が上がったが、もっと周知を徹底する必要があるのはいうまでもない。本年4月からのリハビリ医療日数制限に対しても唐突な実施に批判が巻き起こっている(http://www.craseed.net/)。最近感じるのは、各種制度変更の周知期間が非常に短くなっていること、経過措置や特例等があり制度が非常に複雑になっていることである。障害者自立支援法に係る制度変更、平成20年度からの健診・保健指導の変更もそうである。大きな制度変更の割には準備期間が極端に短いのである。まさに「激動と混迷の地域保健・医療・福祉」である。
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電話応対

2006年07月28日 | Weblog
地域保健の現場では、相談や苦情の電話で業務がストップしてしまうことがある。当然、所内や関係機関と協議を重ねるのであるが、すぐに解決しないことも多い。電話の相手によっては担当者は聞き役に徹しなければならない。頻回の長時間電話で担当者は大きなストレスを感じるのであるが、その担当者自身の相談相手の確保が大切であることを実感している。電話応対といえども、重要な地域保健業務である。
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複雑な制度

2006年07月27日 | Weblog
最近の福祉制度は複雑である。例外・特例規定が多く、短期間で制度が変わる。例えば、障害者の介護給付・訓練等給付に係る様々な配慮措置である(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushienhou13/pdf/02e.pdf)。本年10月から工賃控除が見直しされることになった。また、国のパンフレットには記載されていないが、個別減免や社会福祉法人減免は3年間の経過措置であり、制度が定着する頃には見直しされる。今、地域で話題になっているのは、リハビリ医療日数制限の除外規定である(http://kaitei.com/reha/)。本年4月からの診療報酬改定でリハビリ医療の算定日数が制限されたが、失語症や高次脳機能障害等の除外規定がある。さらに、脳卒中では「麻庫や後遺症を呈している患者であって、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合」の除外規定が後日追加された。改善の見込みについては医師の客観的判断とされるが、医師によって判断が異なるであろう。最近思うのは教科書はあてにならなくなったということである。それほど古くなくても制度が変わってしまっているからである。そのうち福祉制度にも賞味期限表示が必要になるかもしれない。
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国保と被用者保険と民間機関と衛生部門と福祉の連携

2006年07月26日 | Weblog
本年10月の障害者地域生活支援事業の法定実施に向けて、市町村担当課では9月補正予算や条例制定に向けて大変な状況のようである。障害者自立支援法自体が昨年11月に公布された(しかも仕切り直し)のに加え、一連の要綱や通知が遅く、年度当初にはとても間に合わなかったからである。なかでも必須事業である地域活動支援センター事業と相談支援事業については基礎事業(地方交付税)と強化事業(国庫補助)の二階建てであり、調整に齷齪している。相談支援事業は、民間機関への委託の必要性はわかるが、委託には相応の予算が必要となる。また、施設の利用者は広範囲(特に精神障害者)にわたり、施設所在の市町村だけの問題ではないが、広域的な調整は容易ではない。さて、平成20年度からの医療保険者への被保険者・被扶養者対象の特定健診・保健指導義務付けに関して、国保と被用者保険と民間機関と衛生部門と福祉の連携(かつ広域的な連携)の必要性がさけばれている。おそらく、現状の障害者施策以上の調整能力が求められるのは間違いないであろう。
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特定健診・保健指導の懸念 ~高齢者の保健事業~

2006年07月25日 | Weblog
平成20年度からの後期高齢者医療制度について明らかになってきた(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk05-03.pdf)。運営する広域連合は平成19年3月までに設立する必要があり、準備が進められている。しかし、公務員削減の中で、広域連合に派遣すべき市町村職員には余裕がないかもしれない。さて、高齢者医療確保法125条に基づき、後期高齢者医療広域連合は、健康教育、健康相談、健康診査その他の被保険者の健康の保持増進のために必要な事業(保健事業)を行うよう努めなければならないこととされている。標準的な健診・保健指導プログラム(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk15-01.pdf)では、メタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導は40~74歳対象とされているが、75歳以上の保健事業はどのようなものであろうか。今年度からの介護予防事業(特定高齢者把握事業)は、65歳以上に対して基本健康診査と一体的に実施されている(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/topics/051221/dl/03a.pdf)。生活機能評価だけ分離して実施することは認められていない。健診結果を生活機能低下の早期発見及び安全管理に活用することになっている。この論理でいけば、75歳以上の健診も必須のはずであるが、なぜか「努力義務」規定である。果たして、広域連合では平成20年度からの保健事業について準備が進められるであろうか。
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ワーキングプア

2006年07月24日 | Weblog
昨夜のNHKスペシャルでは「ワーキングプア(働いても働いても豊かになれない)」が特集されていた(http://www.nhk.or.jp/special/onair/060723.html)(http://www.anti-rothschild.net/link/animation.html#new1030)。今や3人に1人が非正規雇用で働いているという。管内の世界的な大企業でも派遣職員が数多く採用されている。全国からやってくるのであるが、契約が切れれば渡り歩くという不安定な生活である。労働安全衛生法に基づく健康診断はきちんと行われていない。さて、平成20年度から医療保険者に対して被保険者・被扶養者の特定健診・保健指導が義務付けられる。その費用負担は莫大であり、非正規雇用の増加が懸念されるところである。そのような声が囁かれている。
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ジニ係数

2006年07月23日 | Weblog
6月28日、平成17年の国民生活基礎調査の概況が発表された(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa05/index.html)。今回は所得等の状況が厚生労働省のHPに公開されている。1世帯当たり平均所得金額は前年に比べて増加している(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa05/2-1.html)。しかし、所得五分位階級別にみた1世帯当たり平均所得金額では、Ⅰ~Ⅲ段階がダウンしているのに対して、Ⅳ~Ⅴ段階はアップしている(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa05/2-2.html)。つまり、所得格差が拡大しているのである。また、生活意識について、「苦しい」と答えた世帯の割合は年々増加している(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa05/2-5.html)。厚生労働省HPでは触れられていないが、平成16年のジニ係数は全世帯で0.3999(前年0.3882)までにアップした。「ジニ係数」とは、イタリアの統計学者ジニが考案した、社会集団の中に存在する所得、資産分配の格差を示す指数のことで、ジニ係数が0.3を超えると格差が目立つといわれている(http://seiji.yahoo.co.jp/guide/yougo/seiji/26.html)。NHK特集番組(http://www.nhk.or.jp/korekara/nk01_kakusa/index.html)では「所得の不平等度」とされた。わが国は完全に「格差社会」なのである。これについて、先日、経済協力開発機構(OECD)が「対日経済審査報告書」(http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/macroeconomics_pdf/20060720japansurvey.pdf)を公表し、所得水準の低い「相対的貧困層」の割合が先進国で米国に次いで2番目に高く、「不平等の度合いが増している」と指摘したことが報道されている(http://www.sankei.co.jp/news/060720/kei080.htm)(http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20060720/eve_____kok_____001.shtml)。地域保健福祉の現場でも格差を実感する場面が多くなっている。これから益々そうなるのであろうか。
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メタボリックシンドローム

2006年07月22日 | Weblog
メタボリックシンドローム対策が強調されている。国民健康・栄養調査(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/05/h0508-1.html)では、40~74歳におけるメタボリックシンドロームの有病者数は約940万人、予備群者数は約1,020万人、併せて約1,960万人と推定されている。メタボリックシンドローム対策は医療費適正化計画の柱の一つとされ、政策目標として生活習慣病有病者・予備群を25%減少(平成27年度)が掲げられている(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou04.html)。このため、平成20年度から医療保険者(国保・被用者保険)に対し、40歳以上の被保険者・被扶養者を対象とする、内臓脂肪型肥満に着目した健診及び保健指導の事業実施を義務づけられることになった。さて、いつも感じることは、自分(たち)ができない(していない)ことを指導(強要)していないだろうか、という点である。少なくともメタボリックシンドローム対策の推進責任者は、家族(扶養者)を含めてメタボリックシンドロームではないのであろう。健診・保健指導の受診率は100%のはずである。喫煙者もいるはずがない。また、医療制度改革の推進責任者は、率先して在宅医療・介護を選択するはずであろう。
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哀しき現実

2006年07月21日 | Weblog
京都での認知症母殺害事件で被告に執行猶予付きの判決が出された(http://www.asahi.com/national/update/0721/OSK200607210028.html)。マスコミでも大きく取り上げられている。6月28日のNHKクローズアップ現代(http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku2006/0606-5.html#wed)で特集されているように、類似の悲劇が相次いでいるようだ。何とかしなければならないが、しかし、今後ますます増える可能性がある。今、地域の現場では医療制度改革の話題で持ちきりである。高齢者の負担増、リハビリ医療制限(http://www.craseed.net/)、療養病床削減等に不安の声が相次いでいるのである(http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/medical_treatment_system/)。順次、制度が切り替わる(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou04.html)ため、目立たないのかも知れないが、負担増が本格化する平成20年4月までには、広く実感されるはずである。後期高齢者の新たな医療保険料も注目されるであろう。
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小児急患センター

2006年07月20日 | Weblog
国は診療時間外の対応をかかりつけ医機能にし、小児救急医療分野における医師偏在問題にかかりつけ医機能の見直しで対応するという。小児科開業医が少ない地域で、小児の時間外診療体制の確立は大変であろう。さて、昨年、管内で365日開設の小児急患センターが開設されたが、開設まで紆余曲折あった。まず、小児科開業医だけで対応するのは不可能であり、小児科標榜開業医も進んで参画いただいた。それだけでも足りないため、管内公的病院の小児科勤務医に全面的に参画いただき、さらには圏域外から、大学や国立病院の小児科医の応援をいただいた。診療に係る医師間の調整だけではなく、設置場所、開設費用、運営費等について、管内市町との度重なる調整もあった。医師不足の中で、医師の集約化が必要とされるが、医師を引き上げられる病院、地域との調整は容易ではないことを痛感したところである。今後、他の分野の調整は果たして順調に進むのであろうか。
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地域連携クリティカルパス

2006年07月19日 | Weblog
地域の現場では「地域連携クリティカルパス」が話題となっている。クリティカルパスとは、良質な医療を効率的、かつ安全、適正に提供するための手段として開発された診療計画表であり、「地域連携クリティカルパス」は急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような診療計画を作成し、治療を受ける全ての医療機関で共有して用いるものである。これによって、診療の標準化、根拠に基づく医療の実施、インフォームドコンセントの充実、業務の改善、チーム医療の向上などの効果が期待されるが、最大の目的は在院日数の短縮であろう。今般の医療制度改革でもその推進が強調されているところである(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou03.html)。厚生労働省のHP(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/10/s1024-8c.html)でも様々な連携事例が紹介されている。4月の診療報酬改定では地域連携クリティカルパスの導入が手厚く評価されており、その推進が期待されるところである。しかし、問題は、地域の医療従事者にクリティカルパスの概念が十分浸透していないことである。また、系列医療機関どうしではスムーズにいっても、複数の公的病院、複数の医師会において面的に推進できるかということも課題である。それぞれでバラバラのパスを使用していては混乱を招く恐れがある。さらに、リハビリ医療の日数制限(http://www.craseed.net/)に伴い、高齢者リハ関連疾患では、地域連携クリティカルパスには介護保険サービスも加える必要がでてきている。先般、管内の3つの公的病院、2つの医師会、そして介護保険関連施設からも参画していただいて、介護保険サービスまで組み込んだ共通の地域連携パスの導入を図る協議会を発足させた。先日の基礎研修会も盛況であった。第一弾の大腿骨頚部骨折の共通様式案も作成された。管内地域リハビリ関係機関のメーリングリストもうまく機能している。今後の展開が楽しみである。
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療養病床再編

2006年07月18日 | Weblog
現場では療養病床の再編が大きな話題になっている。今月から、医療療養病棟について、医療区分・ADL区分等に基づく患者分類を用いた診療報酬上の評価が導入されたからである(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/ryouyou02.html)。入院患者の多くを占める医療区分1では診療報酬が大幅にダウンし、経営に大きな影響がでているという。国は療養病床の転換施策は医療費適正化計画の中枢部と位置付け、国の「地域ケア整備指針」を踏まえ、来年夏までに都道府県が療養病床の転換プランを盛り込んだ「地域ケア整備構想」を策定することになっている。これは、第4期介護保険事業支援計画(H21~23年度)・医療計画(H20~24年度)・医療費適正化計画(H20~24年度)の先導的なものであるとされる。しかし、現場では悠長な状況ではないという。今月からの診療報酬改定に加え、昨年10月からの介護療養病床に引き続き、今年10月から医療療養病床に入院している70歳以上の食費・居住費の負担引上げの影響が懸念されている(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou04.html)。さらに、今年4月からのリハビリ医療の日数制限(http://www.craseed.net/)も影響しているという。つまり、医療機関側、患者側双方からの不安が増大しているのである。こうした中、療養病床再編に関して、都道府県に、患者や住民、医療機関等からの相談・照会に応じる相談窓口が開設されることになった(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/ryouyou-saihen01.pdf)。疑問や不安解消のため、マスコミを通じて周知徹底する必要があると思うのであるが、どうなっているのであろう。
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リハビリ日数上限

2006年07月17日 | Weblog
リハビリ診療報酬改定を考える会(多田富雄代表)が6月30日、リハ日数制限撤廃求め44万4千人の署名を厚生労働省に提出した(http://www.craseed.net/)。声明文は次のごとくである。「本年4月の診療報酬改定では、必要に応じて受けるべきリハビリ医療が、原則として、発症から、最大180日に制限されてしまいました。個々の患者の、病状や障害の程度を考慮せず、機械的に日数のみでリハビリを打ち切るという乱暴な改定です。それも、国民にほとんど知らされることなく、唐突に実施されてしまったのです。障害や病状には,個人差があります。同じ病気でも、病状により、リハビリを必要とする期間は異なります。また、リハビリ無しでは、生活機能が落ち、命を落とすものもいます。障害を負った患者は、この制度によって、生命の質を守ることが出来ず、寝たきりになる人も多いのです。リハビリは、私たち患者の、最後の命綱なのです。必要なリハビリを打ち切ることは、生存権の侵害にほかなりません。こうした国民の不安に対して、除外規定があるから問題はない、と、厚労省は言います。しかし、度重なる疑義解釈にも関わらず、現場は混乱するだけで、結果として大幅な診療制限になっているのです。このままでは、今後、リハビリ外来や、入院でのリハビリが崩壊し、回復するはずの患者も、寝たきりになる心配があります。リハビリ医療そのものが、危機に立っているのです。さらに、厚労省は、医療と介護の区別を明確にした、と言います。しかし、医療のリハビリと、介護のリハビリは、全く異質なものです。介護リハビリでは、医師の監視のもとで、厳格な機能回復、維持の訓練のプログラムを実施することは出来ません。リハビリは、単なる機能回復ではありません。社会復帰を含めた、人間の尊厳の回復なのです。リハビリ打ち切り制度は、人間の尊厳を踏みにじるものです。私達、リハビリ診療報酬改定を考える会は、この、打ち切り制度の撤廃をめざして、5月14日から、全国で署名活動を行いました。その結果、わずか40日余りで、40数万人もの署名を集めることができました。これは国民の300人に一人が署名したことになります。この、国民の声は、もはや圧殺できるものではありません。厚労省は、非人間的で、乱暴な、この、制度改定を謙虚に反省し、リハビリ打ち切り制度を、白紙撤回すべきであります。私達は、これを、強く要請します。」。行政側にとっては何とも辛辣な文言ではないか。代表の多田富雄氏は世界的な免疫学者であるが、昨年12月4日のNHKスペシャル「脳梗塞からの“再生”~免疫学者・多田富雄の闘い」で報道されている(http://www.nhk.or.jp/special/onair/051204.html)。署名活動は相当なインパクトがあったはずであるが、マスコミではあまり報道されていない。不思議な感じがするのは小生だけであろうか。
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健診受診率

2006年07月16日 | Weblog
健康診査の受診率が高いことは本来喜ばしいことである。しかし、地域保健の現場では様々な意見を耳にする。「受診率増加で健診予算が足りなくなってしまった」「健診で疾患が見つかり、かえって医療費が増加してしまった」等である。平成20年度からの医療保険者による特定健診の義務化でも同様な声がでるかもしれない。勤務者は事業主による労働安全衛生法の健診もあり、特定健診との一体的な実施が進むであろう。問題は、被扶養者や退職者である。これまでの老人保健事業の基本健診が各医療保険者に実施主体が移行するのである。医療保険者は新たに健診費用を負担しなければならない。果たして受診率にどのような声があがるであろうか。そして、医療費が下がるであろうか。
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