保健福祉の現場から

感じるままに

救急隊の感染防止対策と危機管理

2019年03月29日 | Weblog
消防庁「救急隊の感染防止対策マニュアル」(https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/2dc170661c3fee7f3f4c5dd337102e95efa0a853.pdf)p1「職員の血中抗体検査及び必要時にワクチン接種が強く推奨される感染症は、麻しん、風しん、流行性耳下腺炎、水痘、B型肝炎、破傷風である。」とあり、採用時にチェックしておきたい。できれば、結核患者と接触した後に行われる接触者検診に役立てるため、採用時のIGRA検査もあった方が良い。また、「救急隊の感染防止対策マニュアル」(https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/2dc170661c3fee7f3f4c5dd337102e95efa0a853.pdf)別添2「消防機関における望ましい感染防止管理体制」で「各本部の感染防止対策に関する研修について、少なくとも年1回は研修を企画・実施」では「保健所等の協力を得る」と明記された方が良いであろう。危機管理は平常時からのコミュニケーションがポイントと思われるからである。以前の総務省「感染症対策に関する行政評価・監視-国際的に脅威となる感染症への対応を中心として-<結果に基づく勧告>」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/107317_0920_00003.html)の勧告(http://www.soumu.go.jp/main_content/000522251.pdf)p50「① 全国の感染症指定医療機関を対象として、実効性のある診療体制等が構築されているかとの観点から、各感染症指定医療機関における感染症患者等の受入れ可能病床の状況、受け入れた感染症患者等の診察、検査等を行う医療従事者の状況、運営費補助金の交付状況、感染症患者等への対応を適切に行うために必要となる医療施設・設備の状況等について、都道府県と連携して実態把握を行うこと。② 上記①の実態把握の結果、個々の感染症指定医療機関に関し、感染症患者等の受入れ・診療体制等の実効性が確保されていないと認められるものや院内感染防止等の観点から現行の指定基準等に照らし問題があると認められるものについては、当該感染症指定医療機関や都道府県等の関係機関とも連携して、その改善に向け的確に対応するとともに、感染症指定医療機関の診療体制等の整備について推奨すべき取組事例を積極的に収集し、感染症指定医療機関に対し、情報提供すること。③ 上記②の措置では実効性のある診療体制等が確保できないと認められるものについては、医療機関における体制面・財政面の実態、感染症の発生状況等にも留意しつつ、現行の感染症指定医療機関制度の枠組み、指定基準等について見直しを検討すること。」、p54「① 保健所等における感染症患者等の感染症指定医療機関への移送手段の確保状況について確認すること。また、その確認の結果、移送手段の確保が不十分な保健所等については、その理由・実情を把握した上で、都道府県等を通じて、当該保健所等が必要な改善措置を講ずるよう助言を行うとともに、都道府県等のみでは改善できないような特段の事情がある場合については、離島からの感染症患者等の移送に係る関係機関等との調整を含め、その改善に向けた対応について、必要な支援を行うこと。② 消防機関との連携により感染症患者等の感染症指定医療機関への移送を行うこととしている保健所については、その適切な移送を確保するため、消防機関との合同訓練が定期的に実施されるよう、効果的な訓練の取組事例を紹介するなど、都道府県等を通じて必要な助言を行うこと。」は真剣に受け止めたい。ところで、首相官邸「感染症対策特集~様々な感染症から身を守りましょう~」(http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/index.html)は「最終更新日:平成29年12月19日」である。
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中高年ひきこもりと8050問題

2019年03月29日 | Weblog
NHK「中高年のひきこもりは推計61万人余り 39歳以下を上回る」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190329/k10011865371000.html?utm_int=news_contents_news-main_005)。<以下引用>
<長期間自宅に閉じこもる、いわゆる「ひきこもり」の人は、40歳から64歳までの年齢層の1.45%、推計で61万人余りに上ることが、内閣府の調査で明らかになりました。これは4年前の調査で推計された39歳以下の「ひきこもり」の人数より多くなっていて、対策が急がれます。内閣府は「ひきこもり」の実態を把握するために、若者を対象に調査してきましたが、長期化する人が増えていることから、去年12月、40歳から64歳を対象とする初めての調査を行い、全国の男女5000人のうち3248人から回答を得ました。調査で、「自室からほとんど出ない」や「趣味の用事の時だけ外出する」などの状態が半年以上続いている人を広い意味での「ひきこもり」と定義した結果、これにあたる人の割合は1.45%となりました。これにより、40歳から64歳で「ひきこもり」の人は、推計で61万3000人に上り、4年前に15歳から39歳を対象にした調査で推計した54万1000人より多くなりました。男女別では男性が4分の3以上を占めたほか、ひきこもりの期間が「5年以上」と答えた人は半数を超えていて、中には「30年以上」と答えた人もいて、対策が急がれます。内閣府は「『ひきこもり』は若者だけでなく、中高年でも想像以上に多いことがわかった。支援対象を拡大するなど、効果的な施策を打ち出していきたい」としています。>

生活困窮者自立支援及び生活保護部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=443308)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000164399.pdf)p14「内閣府関係調査;広義のひきこもり状態にある者54.1万人、狭義のひきこもり状態にある者17.6万人」「厚生労働省関係調査;ひきこもり状態にある世帯数約26万世帯」とあったが、40代以降のひきこもり者はめずらしくはなく、8050問題(http://www6.nhk.or.jp/baribara/lineup/single.html?i=76)のケースもみられる。ネットでは「引きこもりから脱出するためのサイト」(http://noukara.com/)、「全国引きこもりKHJ親の会」(http://www.khj-h.com/)もあるが、悩んでいる本人・家族は少なくないように感じる。「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006i6f.html)(http://www.ncgmkohnodai.go.jp/pdf/jidouseishin/22ncgm_hikikomori.pdf) p26~では地域連携ネットワークによる支援が示され、教育、保健、福祉、医療等の複数の専門機関による多面的な支援が示されている。ダイアモンドオンライン「氷河期世代没落で生活保護費30兆円増、衝撃の未来図」(http://diamond.jp/articles/-/165543)を回避するために、団塊ジュニア世代に早めに備える必要がある。
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健康寿命

2019年03月29日 | Weblog
国保情報4月1日号「要介護1までの期間を公表へ 厚労省、健康寿命を補完」。<以下引用>
<厚労省は3月28日、「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」の報告書を公表した。健康寿命を補完する指標として、要介護1までの期間を表す「日常生活動作が自立している機関の平均」を、都市や2次医療圏単位で毎年公表することを打ち出した。31年度中の公表を目指す。補完的指標の算出にあたっては。「国保データベース(KDB)システムと連携していくことが望ましい」と報告書に記載、国保中央会と調整を進めている。また厚労省は「健康寿命の延伸の効果に係る研究班」の議論の整理も公表した。予防・健康づくりの推進や、健康寿命の延伸を目指す方向で意見が一致。ただ、生涯の医療費への影響は、病気になる時期が先送りになるのであまり変わらない、増加するといった意見があった一方で、抑制されるなど複数の考え方が示された。医療費は健康でもかかるのに対し、介護費は要介護状態にならなければかからないとして、「医療費に比べると、より効果が期待できるのではないか」とまとめた。地域社会・経済への影響は、個人の生きがいの向上、高齢者の社会参加や就労によるGDPを増やす効果、また税・社会保険料へ良い影響があるのではないか、と考え方を整理。ただ、高齢者が働く雇用環境の整備など留意点もある。>

国保情報4月1日号「質問票をフレイル対応に 後期高齢者の健診」。<以下引用>
<厚労省は3月28日、後期高齢者の健診などで用いる質問票について、フレイルなど高齢者の特性を把握するものに変更することを決めた。低栄養を把握するため「6か月間で2~3キログラム以上の体重減少がありましたか」との項目を加えるほか、認知機能や社会参加に着目した質問を設定した。特定健診の「標準的な質問票」に代わる位置づけのものとして、KDBにデータを収載して活用する。2020年度から実施する。質問項目は、高齢者の負担を考慮して15項目に絞った。主に健診時に活用するが、介護保険の通いの場などでの活用も想定する。例えば国保の前期高齢者など、後期高齢者以外に活用することもできる。>

「「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」の報告書及び「健康寿命の延伸の効果に係る研究班」の議論の整理」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04074.html)が出ている。議論の整理(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000495324.pdf)の「生涯の医療費については健康寿命が伸びた場合にはも疾病にかかるタイミングを先送りしているとの考え方からあまり変わらない又は増加する可能性が高いとする考え方」「健康で働き得る高齢者が増えたとしても雇用環境が整わなければ実際の就業につながらない」の否定的な意見は興味深い。この際、年金も含めたトータルの議論が必要であろう。さて、「今後の社会保障改革について ー 2040年を見据えて ー」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000474989.pdf)p2「2040年を展望した社会保障改革についての国民的な議論の必要性」は同感であるが、それぞれの地域において徹底した情報公開が不可欠である。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)-概要-」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0521/shiryo_04-1.pdf)p22~23「医療・介護の1人当たり保険料・保険料率の見通し」が出ていたが、自分たちの自治体ではどうなのか、関係機関・団体と共有することが不可欠で、例えば、市町村健康づくり推進協議会で共有することも考えられるかもしれない。3年ごとに実施される「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)や「在宅介護実態調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000154928.html)が積極的に活用されなければならない。そもそも介護保険法で規定されている、データ分析や情報公表にしっかり取り組まないようでは、地域包括ケアの推進はあり得ない。平成30年度から、第7次医療計画(6年間)、第7期介護保険事業計画(3年計画)、第3期医療費適正化計画(6年間)、第2期データヘルス計画(6年間)、第5期障害福祉計画及び第1期障害児福祉計画(3年間)、第3期がん対策推進計画(6年間)が一斉にスタートした中で、健康増進計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf)が浮いている感じがする。例えば、平成33年度あるいは平成36年度から、健康日本21は12年サイクル、健康増進計画は6年サイクルとする方法はないものであろうか。そうすれば、医療計画、介護保険事業(支援)計画、医療費適正化計画、データヘルス計画、障害(児)福祉計画、がん対策推進計画と健康増進計画のサイクルが揃い、指標評価も整合しやすくなるであろう。全世代型の社会保障には行政計画の一体的推進が不可欠であり、都道府県レベル、圏域レベル、市町村レベルの重層的な推進フレームが必要と感じる。国レベルの「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakaihosyou_306350_00001.html)がそれぞれの地域での取り組みにつながらなければ意味がない。そういえば、財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「財政健全化に向けた取組みについて~長期財政試算を踏まえて~」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300514/01.pdf)p7「ベースシナリオ;少なくとも17%までの消費税率引き上げ」・p8「リスクシナリオ;少なくとも22%までの消費税率引き上げ」が示されていたが、「お金」ばかりの視点から展開できないものであろうか。健康寿命の延伸は「幸福感」に貢献する割合が高いような気がするからである。
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レセプト審査の精緻化

2019年03月28日 | Weblog
国保情報3月25日号「国保連の審査で検査員が改善要請」。<以下引用>
<会計検査院は19日、都道府県国保連合会の診療報酬審査業務に関し、国保総合システムのコンピューターチェック項目の一部が省略され、査定される可能性のある電子レセプトが審査されていないなどとして、所管する厚労省に国保中央会への指導を要請した。省略された項目で疑義付箋が漏れていたり、独自の審査方針で疑義を提示しない取扱いがされているとして、コンピューターチェックを活用した審査が、適切かつ効率的、効果的に実施されていない事態は適切ではないとした。そのうえで、厚労省に対し、国保総合システムのチェック項目の整理・精緻化に取り組むよう中央会への指導を要請。記載要領等におけるコード化推進等の加速化と併せ、提供するチェック項目が採用され、効果的なコンピュータチェックが統一的に実施される方策の検討を求めた。25国保連合会と国保中央会を実地検査した。30年4月の審査時点で国保総合システムが設定するコンピュータチェックは5136で、全項目を採用する国保連合会はなく、平均3940項目(76.7%)だった。25国保連合会の全てが採用するのは770項目(14.9%)で、「提供されたチェック項目がレセプト審査に十分活用されていない」とした。査定漏れにつながっていないかを50項目選定して確認したところ、25国保連合会で延べ1250項目のうち688が採用されず、140項目で疑義付箋漏れのレセプトが発生していた。独自システムで傷病名等を登録する国保連合会もあり、一部のチェック項目で内容の精緻化が十分ではないと指摘した。さらに、国保連合会が算定基準等の解釈と合致しないと判断した項目については、独自の審査方針として疑義を提出したい取り扱いとしており、適切とは認められないとしている。厚労省は「実態を把握したうえで、国保中央会、国保連合会と統一化に向けて話をしていく」としている。>

会計検査院「国民健康保険団体連合会におけるコンピュータチェックを活用したレセプト審査の実施について」(http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/31/h310319.html)(http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/31/pdf/310319_zenbun_01.pdf)は25都道府県の調査結果であるが、他の22県の実態が気になる方が少なくないかもしれない。そういえば、規制改革推進会議の医療・介護ワーキンググループ(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/iryou/20181029/agenda.html)の支払基金資料(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/iryou/20181029/181029iryou03-1.pdf)(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/iryou/20181029/181029iryou03-1.pdf)が出ていたが、支部固有のルールが多いことはおかしい。社会保険診療報酬支払基金の見直しに関する意見」(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/opinion1/290425iryou1.pdf)p3「「地域の顔が見える関係を土台」とした審査は、他方で、審査する側とされる側が同じ地域の医師であることから生じ得る利益相反の批判も招いてきた。」はしっかり認識したい。そもそもレセプト審査の地域差解消が図られなければ、医療費適正化計画での「医療費の地域差半減目標」は色褪せてしまう。診療行為で「A県では保険診療が認められたのにB県では認められない」状況が放置されるのはよくない。保健医療分野AI開発加速コンソーシアム(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kousei_408914_00001.html)では、レセプト審査の精緻化としてAIの活用は検討されないであろうか。
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地域診断とデータ活用

2019年03月28日 | Weblog
地域診断には、内閣府「経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)のほか、統計ダッシュボード(https://dashboard.e-stat.go.jp/static/error)や日本医師会「地域医療情報システム」(http://jmap.jp/)も有用である。医学書院の保健師ジャーナル(http://www.igaku-shoin.co.jp/journalPortal.do?journalPortalId=664)では、保健医療福祉計画データウエアハウス(http://www.jmedicine.com/)が連載されており、様々な行政の統計調査(http://www.e-stat.go.jp/)がDWH化されていることは知っておきたい。
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診療報酬と異なる仕組み

2019年03月28日 | Weblog
メディウォッチ「生活習慣病の予防・重症化防止、診療報酬と異なる仕組みでサービス提供を―経産省・江崎政策統括調整官」(https://www.medwatch.jp/?p=25601)。<以下引用>
<高齢化が進む中では疾病構造が大きく変化し、「生活習慣病」対策が重要となってくる。そこでは、「予防」「重症化」対策がとりわけ重要となるが、公的医療保険制度では効果的な予防サービスの提供が難しい。生活習慣病の予備軍や軽症者が自ら主体的に「予防」「重症化防止」に向けて行動できるように、公的保険外のサービスを活用することを目指す必要がある―。経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループの江崎禎英商務・サービス政策統括調整官が、3月23日の日本病院会社員総会でこういった内容の特別講演を行いました。生活習慣病の予防・重症化防止に向けて、公的保険外のサービス構築を 江崎政策統括調整官は、良質な医療を安価な費用で利用できる、我が国の医療保険制度のすばらしさを強調します。例えば、血友病などの遺伝子疾患患者では、1か月当たり(1年ではない)1億円を超える医療費が必要となるケースもありますが、我が国の公的医療保険制度では、定率負担(年齢や所得に応じて1-3割)と高額療養費制度があることから、自己負担は年間100万円程度にとどまります。こうした方へ適切な医療提供を継続するためにも、「我が国の公的医療保険制度を堅持しなければならない」と江崎政策統括調整官は訴えます。一方で、例えば運動不足や食生活の乱れなどで生活習慣病に罹患した患者でも、公的医療保険制度を利用でき、その数は増加を続けています。江崎政策統括調整官は、「豪華客船」と言える我が国の公的医療保険制度に、生活習慣病患者が次から次へと乗船し、運航が難しい状況になっていると見通しています。生活習慣病は、かつての「治る病」(感染症など)と異なり、▼内因性である▼ファクター(疾病の要因)が複数ある▼予防・進行管理が重要だが、そこでは「患者本人の関与・行動」が不可欠である―という特徴があることから、「患者本人の行動変容」を促すようなサービス提供を行う必要があると強調します。具体的には、▼潜在的な患者(生活習慣病予備軍や軽症者)を早期に発見する▼予防・重症化防止を基本とする健康・医療サービスを提供する―ことを提案。この点、40-74歳を対象とした「特定健康診査」(特定健診、いわゆるメタボ健診)が2008年の改正健康保険法等で創設され、生活習慣病予備軍を早期に発見する仕組みが設けられていますが、実施状況は低調です(2017年度の実施率は全体で53.1%、市町村国保や船員保険では40%未満)。また、特定健康診査で「生活習慣改善の必要がある」と判断された被保険者に対しては、「特定保健指導」(被保険者の状態等に応じて、1回のみの動機づけ支援と、継続する積極的支援)が行われますが、実施状況はこちらも極めて低調です(2018年度は対象者への実施率は19.5%)。こうした特定健診等の取り組みを推進していくことはもちろん重要ですが、江崎政策統括調整官は、医療保険とは別の仕組みで▼潜在的な患者(生活習慣病予備軍や軽症者)の早期発見▼予防を基本とした健康・医療サービス提供―にドライブをかけていくことが必要と訴えます。前者の「早期発見」については、例えば「特定健診等を受診しない被保険者(本人)へのペナルティ」よりも、「上司へのペナルティ」(上司がしつこく受診を指示する)などが効果的である提案。また後者への「予防・重症化防止サービス」については、公的医療保険(診療報酬)で効果的な取り組みを行うことは困難とし、民間保険などを活用することを提唱しています。公的医療保険で重症化防止を行おうとすれば(予防は保険給付対象外)、「被保険者本人が定期的に医療機関を受診し、医師の問診を受け、必要な指導や治療を受ける」形となります。しかし、江崎生活統括調整官は、生活習慣病予備軍・軽症者の特徴として、冗談交じりに▼他人の言うことをきかない▼出世する―の2点をあげ、「医療機関への受診は仕事よりも優先度を低く捉え、重症化するまで医療機関にかからない」ケースが多いと見通します。ここでも、前述した「上司へのペナルティ」が効果的となります。この点、民間保険等で「自ら積極的に参加したくなる」ような魅力的なサービスを創出することが期待されます。江崎政策統括調整官は、一例として「フィットネスクラブの人気コーチのクラスに優先的に参加できる権利」を付与した民間保険などを創設したところ評判になっていることを紹介したほか、▼東京丸の内の就業者を対象とした健康増進事業▼新潟県長岡市で実施されているヘルスケアタウン事業▼介護保険のデイサービス(通所介護)事業所への、一般住民も利用可能なフィットネスブースの設置(要支援・要介護から脱した人も、通い慣れた事業所で介護予防を継続できる)―など、各地・各主体(民間、自治体を問わず)が工夫を凝らしたサービスメニューを展開していることも示しました。さらに、予防・重症化防止サービスでも、当然、科学的な根拠(エビデンス)が必要となります。経産省では、「糖尿病重症化予防プロジェクト」を展開し、約700人の糖尿病軽症者(ヘモグロビンA1c(HbA1c)6.5以上)を対象に、運動などの「健康づくり」の効果を測定・分析しています。その結果、投薬治療がなくとも、運動などの「健康づくり」を実施した人たちでは、HbA1c値が、実施前には平均6.99でしたが、3か月後には平均6.43となり、0.56ポイントも低下したことが分かりました(HbA1cの値が6.5以上の場合、糖尿病の恐れありとして医療機関受診が勧奨される)。なお、「血糖をコントロールする医薬品の投与」でも同様の効果が得られますが、運動などの「健康づくり」では、血糖値低下だけでなく、▼体重減▼血中脂質の減少―などの総合的な効果もあり、「要因が複数ある生活習慣病」対策としてより有効ではないかと江崎政策統括調整官は指摘しています。こうしたエビデンスをもとに、自治体や企業がさらに効果的な予防・重症化防止サービスのメニューを充実していくことが期待されます。なお、こうした取り組みにより生活習慣病の医療費が適正化できれば、公的医療保険の財源を重症患者等に集中することができ、医療保険制度の維持可能性が高まります。ただし、これは「公的医療保険の規模」が縮小することを意味し、診療報酬を主な収入源とする保険医療機関にとっては「収益源」となる可能性も孕んでいるのです。このため医療機関では、収益を確保するために、前述のような予防・重症化防止サービスにも積極的に取り組んでいくことが重要でしょう。医学的知見に裏打ちされた予防・重症化防止サービスは、高品質であるとともに、「重症化した場合にその医療機関で診てもらえる」という安心感をも生みます。認められた附帯業務の中で工夫を凝らし、新たな収益源を探ることも、今後の医療機関経営にとって極めて重要な視点と考えられます。65歳以降は「余生」ではなく、第2の社会活動期と捉えた社会の構築を なお、江崎政策統括調整官は高齢化問題について、「お年寄りは弱く、支えられるべきもの」との考えから、「最期まで自立した生活を目指す存在」へと認識を変えることが重要と指摘しています。例えば、「介護リスクがあるので、何もさせない」「レクリエーションに参加してもらう」「食事、入浴、排せつの介助」という介護サービスから、「新たな活動を行う場所に積極的に出向いてもらう」「地域の世話役やボランティアとして活躍してもらう」「やりたいことをサポートする」「周囲から『ありがとう』と感謝されるような役割を果たしてもらう」という介護サービス・システムへの転換を提唱。高齢者の基準を、日本老年学会等の提唱する「75歳以上」とすれば、バランスのとれた社会が今後も続き、決して「少子化・高齢化が進み、高齢者を支え切れなくなる」と悲観する必要はないとも江崎政策統括調整官は指摘。「65歳以降」を余生と捉えるのではなく、64歳までの生産年齢期に続く「第2の社会活動期」とし、▼緩やかな経済活動への参加を可能とする機会を設ける▼高齢者を「病人」としない高齢者住宅を整備する▼軽度認知症でも可能な仕事を創出する▼医療介護分野において予防・重症

国保情報3月25日号「「保険者努力支援制度の抜本強化を」安倍首相が指示」。<以下引用>
<安倍晋三首相は20日、政府の未来投資会議で、健康寿命の延伸などを図るため、医療や介護の保険者インセンティブ制度の拡充を図っていく考えを示した。首相は「具体的には、まず病気の予防における国保の保険者努力支援制度の抜本的強化と配分のメリハリ強化だ」と強調。根本匠厚労相に「世耕大臣と協力して、今年夏にとりまとめる成長戦略の実行計画に向けて、具体的な強化策について検討を進めるように」と指示した。政府は、31年度予算案で1000億円となっている保険者努力支援制度の財源規模を拡充したい考えだ。未来投資会議事務局幹部は、市町村国保財政に占める保健事業費の割合は0.8%にとどまると指摘。「できるだけ充実強化したい」などとしており、32年度以降の予算で増額をめざす。根本厚労相は同会議で同制度の見直しの方向性を提示。①生活習慣病の重症化予防や個人のインセンティブ付与につながる指標の配点割合を高める、②自治体ごとの差異が小さい指標の配点割合を低くする、③特に重要かつ基本的事項の評価はメリハリを強化する、④成果指標の導入拡大の検討-を揚げた。>

財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「新たな財政健全化計画等に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/index.html)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/06.pdf)p106「薬剤自己負担の引き上げ」、p107「受診時定額負担の導入」、p108「ケアプランの利用者負担」、p113「多床室の室料負担」、p123「後期高齢者医療の負担割合」、p124「介護保険の利用者負担割合」が出て、年末の「経済・財政再生計画改革工程表等 における医療保険関係の主な検討項目」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000363209.pdf)で様々な負担増が検討されている。また、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)-概要-」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0521/shiryo_04-1.pdf)p22~23「医療・介護の1人当たり保険料・保険料率の見通し」に出ていた。今年10月には消費税10%も予定され、まさに負担増ラッシュの感じである。一方で、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「経済・財政一体改革 (社会保障改革)の取組状況」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/1021/shiryo_04.pdf)p1で、糖尿病重症化予防(全国的に取組推進+平均以上は差を半減) 【▲約800億円】、特定健診・保健指導実施率(全国目標:各70%、45%)【▲約200億円】の平成35年度の効果額が示されているように、メタボ対策による医療費適正化が提言れていることは認識したい。特定健診・保健指導の医療費適正化効果の検証のためのワーキンググループ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_129200.html)の取りまとめ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000203564.html)とともに、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p11~15、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)では、それぞれ保健事業による大幅な医療費適正化事例が紹介されているように、保健事業による医療費適正化はけっして夢物語ではない。そういえば、経済産業省からは昨年「「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」報告書を取りまとめました~人生100年時代を見据えた、高齢者の就労を含む社会参加の促進に向けて~」(http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180409004/20180409004.html)が出ていた。「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakaihosyou_306350_00001.html)の「2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000370137.pdf)で「予防」が前面に打ち出されている。また、すでに「「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集」(保険外サービス活用ガイドブック)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000119256.html) (http://www.meti.go.jp/press/2015/03/20160331007/20160331007.html)が出ているが、厚労省「地域包括ケアシステムの構築について」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/health/dai3/siryou3.pdf)p18「生活支援体制整備事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115401_1.pdf)が積極的に実施され、地域包括支援センターが民間の公的保険外サービスもしっかり把握し、調整できるようにすべきであろう。すべてを公的保険でまかなう時代ではないように感じる。未来投資会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/)の資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai25/siryou1.pdf)p16「後期高齢者支援金の加減算制度(企業健保組合);○後期高齢者支援金の加減算の幅を2017年度の0.23%から2020年度に両側に最大10%まで引き上げることで、保険者(企業健保組合)の予防・健康インセンティブを強化する必要。○予防・健康づくりの成果に応じて配点割合を高め、優れた民間サービス等の導入を促進する必要。」は注目である。
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医師確保計画と外来医療計画

2019年03月27日 | Weblog
メディウォッチ「医師偏在対策を了承、各都道府県で2019年度に医師確保計画を策定し、20年度から実行―医療従事者の需給検討会」(https://www.medwatch.jp/?p=25569)。<以下引用>
<厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」(以下、検討会)と、下部組織の「医師需給分科会」(以下、分科会)が3月22日に、医師偏在対策を柱とする「第4次中間とりまとめ」を了承しました。この中間とりまとめをもとに、厚労省は3月中(2018年度中)に「医師確保計画」作成などに関する指針を都道府県に提示(関係省令の公布や通知発出等を行う)。都道府県は来年度(2019年度)に「医師確保計画」を作成し、2020年度から実施することになります。医師少数の地域では「医師多数の地域からの医師確保」が可能 地域の医師偏在が大きな課題として指摘される中で、分科会では改正医療法・医師法に基づく「医師偏在対策」を昨秋(2018年秋)から精力的に議論してきました。対策の内容は、これまでメディ・ウォッチで詳しくお伝えしてきましたが、改めてポイントを眺めてみましょう。都道府県の作成する「医師確保計画」には、(1)医師確保の方針(2)目標医師数(3)具体的な医師確保に関する施策―を盛り込むことになります。まず(1)の医師確保方針については、▼「医師多数」の都道府県・2次医療圏▼「医師少数」の都道府県・2次医療圏▼医師多数でも少数でもない都道府県・2次医療圏―でそれぞれ立て方が異なり、次のように整理することができます。【都道府県(3次医療圏)】▽医師少数:医師多数の都道府県からの医師確保を方針に定めることが可能▽医師多数:他の都道府県からの医師確保を方針に定めることはできない▽それ以外:管内に「医師少数」の2次医療圏がある場合に、医師多数の都道府県からの医師確保を方針に定めることが可能 【2次医療圏】▽医師少数:医師多数の2次医療圏(医師多数区域)からの医師確保が可能▽医師多数:他の2次医療圏からの医師確保は行わない▽それ以外:必要に応じて医師多数区域からの医師確保を行える これらを組み合わせて、例えば「医師少数県にある医師少数2次医療圏(医師少数区域)」では、他県(医師多数県)から医師確保を行い、「医師多数県にある医師少数区域」では、同県(医師多数県)の医師多数区域から医師確保を行う、などの方針を立てることになります。「医師多数」「医師少数」は、人口10万対医師数に地域の性・年齢別人口(年齢や性別によって受療率は大きく異なる)や性・年齢別数(医師の年齢や性別によって医療提供量が大きく異なる)などを加味した、新たな「医師偏在指標」に基づいて、上位3分の1を「医師多数」、下位3分の1を「医師少数」と定めています。どの地域が医師少数なのか、多数なのかについては、すでに「候補」が厚労省から示されており、今後、各都道府県で「患者の流出入」の調整を行い、2019年度早期に最終決定がなされます。【医師少数の都道府県】(候補)▼岩手県▼新潟県▼青森県▼福島県▼埼玉県▼茨城県▼秋田県▼山形県▼静岡県▼長野県▼千葉県▼岐阜県▼群馬県▼三重県▼山口県▼宮崎県―の16県【医師少数の2次医療圏】(候補)▼秋田県北秋田▼北海道宗谷▼北海道日高▼山梨県峡南▼鹿児島県曽於▼岩手県宮古▼茨城県鹿行▼茨城県筑西・下妻▼愛知県東三河北部▼静岡県賀茂▼鹿児島県熊毛▼北海道南檜山▼福島県相双▼北海道根室▼熊本県阿蘇▼石川県能登北部▼岡山県高梁・新見▼島根県雲南▼秋田県湯沢・雄勝▼千葉県山武⾧生夷隅▼茨城県常陸太田・ひたちなか―など112医療圏 産科・小児科では全国的に医師が不足、医師少数でない地域でも医師確保が可能  なお、産科・小児科については、全国的に医師が不足しているため、「多数」という概念を設けず、相対的に医師が不足している区域(やはり下位3分の1、「相対的医師少数」)を定め、▼医療圏の見直し▼医療圏を超えた連携―による対応をまず進め、その上で医師確保対策(医師派遣調整や産科医・小児科医の養成数増加要請など)を進めます。また、相対的医師少数でない地域においても、将来を見越した「医師確保」策を進めることも可能です。3年後に「医師少数」から抜け出せるような医師確保目標を設定し、これを繰り返す  次に(2)の目標医師数設定は、主に「医師少数」の都道府県・2次医療圏で重要となります。具体的には2036年までに偏在対策が解消されることを最終目標とし、まず「3年後に、現在の下位3分の1ラインをクリアできる」ように目標医師数を設定します。医師確保計画は3年を1期としており(2020年度からの当初計画のみ4年計画なので4年後)、当該計画の終了時点で「下位3分の1を抜け出す」ような目標を立てるイメージです(もちろん、各地域で医師確保を進めるので必ず3分の1から抜け出せるというわけではない)。例えば2次医療圏の下位3分の1ラインは「医師偏在指標147.0」となっており、医師少数区域では「147.0」を確保できるように目標医師数を設定します。最下位の秋田県北秋田医療圏(医師偏在指標69.6)では、その差が「77.4」なので、2020-23年度の4年間で約78人分の医師を確保するという目標を立てるというイメージです。現在、医師が少数の地域では、医師派遣等の「短期的施策」で医師を確保 こうした目標を達成するための施策を(3)に盛り込むことになります。ところで医師確保策は、大きく医師派遣調整などの「短期的施策」と地域枠設置要請などの「長期的施策」に分けられます。現時点で医師少数の場合には「短期的施策」のみで対応し(医師の育成には10年近くかかり即効性がないため)、将来(2036年)時点で医師少数の場合には「短期的施策」と「長期的施策」の両方で対応することになります。短期的施策は、例えば医師多数の都道府県に対し、「医師の派遣」を行ってもらえるよう要請することなどが考えられます。厚労省では、どの地域に派遣を要請すればよいのかが分かるように「医師のキャリアなどを可視化した全国データベース」を構築する考えです。また、「医師少数区域等での勤務」(6か月以上が要件だが、1年以上の勤務が望ましい。またベテラン医師では断続勤務も可能)を厚生労働大臣が認定し、この認定資格を「医師派遣機能などを有する地域医療支援病院の管理者(主に院長)要件とする」仕組みも設けられています。2020年4月以降に初期臨床研修を受ける医師が対象となります。さらに、医師少数の都道府県では、医師派遣を要請するとともに、「医師が勤務したくなる」ような支援(「若手医師が医師少数区域等で勤務する環境整備」のためのプログラム整備など)を積極的に行うことも求められます。将来も医師少数の地域では、医学の地域枠等設定養成などの長期的施策も実施 長期的施策では、「都道府県知事から大学医学部へ地域枠や地元枠の設置を要請する」ことが中心になり、その概要は次のように整理できます。【将来、「医師少数」となる都道府県】○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠(恒久定員:上記青色部分)の設置・増員▼地元者枠の設置・増員▼地域枠(臨時定員:下記赤色部分、詳細は今後議論))の設置・増員―を要請できる○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県→該当なし【将来、「医師多数」となる都道府県】○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠の設置・増員(恒久定員:下記青色部分)のみ要請できる(後述するように「地元枠」設置は不可)○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県→地域枠等の設置・増員要請はできない 地域枠と地元枠とは次のように性質が異なります。▼地域枠:専ら「地域の特定の2次医療圏の医療機関に勤務する」ことを条件に奨学金等を貸与する→都道府県の中で「医師少数の2次医療圏」における医師確保(2次医療圏間の医師偏在を是正する)機能を持つ▼地元枠:地元出身者を対象とした入学枠で、奨学金等の貸与はない(地元出身者は奨学金等がなくとも、地元の医療機関に定着する)→各都道府県で医師を確保する(都道府県間の医師偏在を是正する)機能を持つ このため、地域枠は「医師少数の2次医療圏(医師少数区域)」がある場合に、地元枠は「医師少数の都道府県」において設置要請が可能となります。外来医療の見える化を行い、外来医師多数地域での新規開業には条件を付す ところで、分科会等では、従前より「医師偏在が大きな問題となっているのは、病院の入院医療である。これは自由開業制が医師偏在を助長していると考えられる」との指摘がありました。このため一部には「自由開業制を一定程度制限すべき」との強い指摘もありましたが、まずは「診療所の設置状況等の可視化から始める」ことで落ち着いています。具体的には、▼外来医師(クリニック)の状況を見える化する▼外来医師が多数な地域での新規開業には、「在宅医療」「初期救急(夜間・休日の診療)」「公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)」の機能を求める▼地域において外来医療のあり方を議論する―仕組みが創設されます。もっとも、こうした仕組みによっても「自由開業が医師偏在を後押ししている」と考えられる場合には、さらなる措置(自由開業制の一部制限など)が検討されることになるでしょう。「地域医療体制の在り方をまず決め、それに沿った医師偏在対策をすべき」との指摘も こうした第4次中間とりまとめ内容について、3月22日の検討会・分科会では、主に検討会の構成員から異論が複数出ました。相澤孝夫構成員(日本病院会会長)は、「人口当たり医師数でみると、我が国はさほど医師が不足しているわけではない。しかしベッド当たり医師数になると、我が国は極端な医師不足となる。これはベッドが過剰であることを意味しており、医師偏在対策の前に、あるべき医療提供体制の姿を議論する必要がある」「2次医療圏単位の議論を全国一律の指標で行えば、大きな誤りが出るのではないか。2次医療圏単位の議論は都道府県に委ねてはどうか」と指摘。また山崎學構成員(日本精神科病院協会会長)も、「我が国には医師が絶対的に多数な地域はないのではないか。さもなくば医師紹介業などは成り立つはずがない。医師派遣もうまく進まないのではないか。外来についての話し合いなどを行っても、新規の開業医がそれを遵守するわけがない」と厳しく指摘しています。こうした指摘に対し、厚労省は「医師偏在対策は、地域医療構想の実現、医師の働き方改革と連環し、一体となって進めるものである」旨を説明。また分科会のメンバーである今村聡構成員(日本医師会副会長)や小川彰構成員(岩手医科大学理事長)は、「これまで人口10万対医師数のみで議論してきた医師偏在対策について、限られた情報の中で画期的な精緻化を行っており、スタートラインに立つことができた。さらに、医師確保計画は進捗状況を見て3年に一度見直していく」「都道府県が計画を定め医師確保を進める上で、一定の目安が必要となる」旨を説き、相澤構成員や山崎構成員に理解を求めました。検討会では最終的に、第4次中間取りまとめを了承しており、厚労省は3月中(2018年度内)に中間取りまとめ内容に沿った「医師確保計画」作成に関する指針などを各都道府県に示します。その後、計画作成(2019年度)・計画実行(2020年度から)段階に入りますが、その時点で的確な計画実行等が進むよう、厚労省は相澤構成員や山崎構成員らの指摘を踏まえたチェック等を行うことになるでしょう。さらに、2023年度の第1期計画終了時点の状況を見て、相澤構成員や山崎構成員の懸念が現実化しているような場合には、より大きな見直し(例えば自由開業制の一部制限など)が検討される可能性もあります。>

「医療従事者の需給に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_315093.html)の「医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000491635.pdf)、「産科における医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000491641.pdf)、「小児科における医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000491641.pdf)、「将来時点(2036年時点)における不足医師数」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000491636.pdf)、「医療従事者の需給に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_315093.html)の「都道府県別診療科ごとの将来必要な医師数の見通し」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000491639.pdf)、「外来医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000491644.pdf)が出ており、自分たちの自治体の状況はどうか知っておきたい。全国医政関係主管課長会議(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_518295_00001.html)と医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)では、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)のほか、医師確保計画と外来医療計画(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000479929.pdf)に関する資料が出ており、目を通しておきたい。そういえば、経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「「次世代型行政サービス」への改革に向けて ~高い経済波及効果と質・効率の高い行財政改革の同時実現~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0226/shiryo_01-1.pdf)p1「まずは国の財源で国及び自治体等の情報システムやデータを集約・標準化・共同化し、原則、オープンな形で誰もが利用できるようにすべきである。」とあった。医師確保計画と外来医療計画(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000479929.pdf)を推進するために、3年ごとの「医療施設調査(静態)」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1.html)、隔年の「医師・歯科医師・薬剤師調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/33-20.html)、少なくとも毎年更新の「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)の全国データベース化が不可欠と感じる。現状では、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)は各都道府県ごとのサーバー管理で、公開項目もバラバラで非常に効率が悪い。「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)のメイン分析ツールである「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)と同様の対応が求められる。また、医政局資料(https://www.mhlw.go.jp/topics/2019/01/dl/3_isei-01.pdf)p84「患者の流出入に関しては、患者住所地を基準に流出入実態を踏まえ、都道府県間調整を行うこととしてはどうか。」のためには、「患者調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html)や「医療計画作成支援データブック」による患者住所地と医療機関所在地のクロス集計結果が活用される必要がある。「次世代型行政サービス」のためには、地域のデータ・資料に基づくPDCAが欠かせない。「地域医療対策協議会運営指針について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20180725_03.pdf)、「キャリア形成プログラム運用指針について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20180725_04.pdf)が発出されているが、「地域医療支援センター」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/chiiki_iryou/index.html)も含めて、それぞれの都道府県における取り組みの「見える化」も必要であろう。
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死亡診断書

2019年03月27日 | Weblog
「平成31年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/)は医学生の臨床実習及び初期臨床研修において周知しておきたい。「医師による異状死体の届出の徹底」(http://jshg.jp/wp-content/uploads/2019/02/6cdc843497c6a0606a76f28d97cdb3a9.pdf)も同様である。なお、医師法(http://www.ron.gr.jp/law/law/ishihou.htm)第二十条「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。」の規定の理解は、在宅医療の現場でも重要である。
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都道府県が定める児童相談所の管轄区域

2019年03月26日 | Weblog
NHK「自公 児童虐待防止法案など早期成立に向け野党側と協議へ」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190327/k10011862331000.html?utm_int=news-new_contents_latest_004)。<以下引用>
<新年度予算案が成立する見通しとなったことを受け、自民・公明両党の幹部は、幼児教育と保育を無償化する法案や児童虐待の防止策を強化する法案などの早期成立に向けて、野党側と協議を進める方針を確認しました。自民・公明両党の幹事長と国会対策委員長は27日朝会談し、一般会計の総額が初めて100兆円を超える新年度予算案が、27日午後、成立する見通しとなったことから後半国会への対応を協議しました。そして、10月の消費税率の引き上げに合わせて幼児教育と保育を無償化する法案や児童虐待の防止策を強化する法案などの早期成立に向けて、野党側と協議を進める方針を確認しました。また、早期に憲法審査会を開いて継続審議となっている国民投票法改正案の審議を進めることで一致しました。このあと、自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し「野党とよく協議しながら、後半国会を運営していきたい。児童虐待を防止するための法案は非常に大事なので、与野党が一緒になっていい法律ができればと思う」と述べました。>

今国会(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/198.html)の児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(https://www.mhlw.go.jp/content/000489914.pdf)の注目は、「児童相談所の管轄区域は、人口その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとする。」「政府は、施行後5年間を目途に、中核市及び特別区が児童相談所を設置できるよう、施設整備、人材確保・育成の支援等の措置を講ずるものとする。その支援を講ずるに当たっては、関係地方公共団体その他の関係団体との連携を図るものとする。」で、都道府県が定める児童相談所の管轄区域は平成35年4月1日である。全国児童福祉主管課長会議(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo_129064.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000484407.pdf)p103~104「児童相談所の設置に向けた検討状況(平成31年2月時点)」では、中核市(対象:52市)のうち、「設置する方向」(2ヶ所)、「設置の方向で検討中」(5ヶ所)とかなり低調であることは認識したい。資料(https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000484422.pdf)p1~4「新たなルール」を徹底するにあたって、拠点となる児童相談所の強化が欠かせない。「市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の強化等に向けたワーキンググループ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_211737_00001.html)でもいろいろ協議されてきたが、「児童虐待防止対策推進本部」・「児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000128770.html)の 「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000460144.pdf)がそれぞれの自治体でどうなっているか、問われるように感じる。いくら、国レベルで報告書が繰り返され、法律改正、通知発出、事業化されてもそれぞれの自治体で取り組まれなければ全然意味がない。「子ども虐待による死亡事例等の検証」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198645.html)が繰り返し行われてきたことをもっと重く受け止めたいものである。平成35年4月1日施行の「都道府県が定める児童相談所の管轄区域」に注目である。そういえば、「平成30年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」(https://www.npa.go.jp/news/release/2019/20190312001.html)が出ており、児童虐待の通告8万252人・検挙件数1380件で過去最多である。
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患者の意思決定過程のあり方

2019年03月26日 | Weblog
朝日新聞「透析中止判断、提言改訂へ 福生病院問題で専門医ら学会」(https://www.asahi.com/articles/ASM3T446QM3TULBJ00F.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<公立福生(ふっさ)病院(東京都福生市)の人工透析治療をめぐり、透析の専門医らで作る日本透析医学会(理事長=中元秀友・埼玉医科大教授)は25日、透析治療の中止を検討するための提言を今年中に見直す方針を明らかにした。より具体的な手続きなどを盛り込んだガイドラインをつくるという。学会のホームページで公表した。それによると、ガイドラインには、患者が家族、医療者らと、人生の最終段階(終末期)の医療やケアについて、事前に何度も話し合いを重ねて意思を決めていくことの重要性やその手順を記載する。終末期ではない患者の意思決定過程のあり方についても盛り込むという。学会が2014年に示した提言は、透析中止を検討する対象を重い合併症などのある終末期の患者らに限定。一方、昨年厚生労働省が終末期に患者本人が望む医療やケアを受けられるようにするための指針を改訂した。福生病院で透析をしないことを選んで亡くなった女性(当時44)の事例も受け、学会も作成委員会をつくり提言を見直すことにした。福生病院の件について、学会は調査は病院側からの依頼によるものだったと明らかにした。都の調査では、福生病院は女性を含めて透析を始めなかったり、中止したりした患者21人が亡くなったことが判明している。学会はさらに調査、検討を続け、5月中に調査委員会の報告と合わせて、理事会として声明を発表する予定という。>

「自らが望む人生の最終段階における医療・ケア」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/index.html)について、「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)p12「(カ)医療・介護関係者の研修」、p13「(キ)地域住民への普及啓発」において、パンフレット(https://square.umin.ac.jp/endoflife/shimin01/img/date/pdf/EOL_shimin_A4_text_0416.pdf)やリーフレット(https://square.umin.ac.jp/endoflife/shimin01/img/date/pdf/EOL_shimin_A4_text_0416.pdf)の普及が不可欠と感じる。「人生の最終段階における医療の普及・啓発等の取組に関する実態調査(自治体)結果」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000179012.pdf)p4「自治体における普及・啓発の取組(都道府県別)」をみれば取り組み格差が大きい。「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称を「人生会議」に決定しました」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02615.html)が出ていたが、普及啓発が欠かせない。今回の「終末期ではない患者の意思決定過程のあり方」の行方も注目される。そういえば、救急業務のあり方に関する検討会(http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h30/kyukyu_arikata/index.html)の「傷病者の意思に沿った救急現場における心肺蘇生の実施」(http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h30/kyukyu_arikata/02/shiryo1.pdf)p3「心肺機能停止状態である傷病者の家族等から、傷病者本人が心肺蘇生を拒否する意思表示をしていたことを伝えられた場合の対応方針について定めていない」54.4%、p6「傷病者本人が心肺蘇生を拒否する意思表示をしていたことを、家族等から伝えられた場合に用いられるプロトコル等の策定について一度も検討したことがない」地域MC協議会51.8%・都道府県MC協議会68.1%とあった。救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_540690.html)の「救急・災害医療に係る現状について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/000341601.pdf)p38「<背景・課題>本人の意思に反した(延命を望まない患者の)救急搬送が散見・<対策>患者の意思を関係機関間で共有するための連携ルールの策定支援」p41「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」意思決定支援や方針決定の流れ(イメージ図)(平成30年版)」とあるが、p20~21「メディカルコントロール協議会」においても、この問題は協議した方が良いように感じる。救急救命士による特定行為(http://www.city.fukushima.fukushima.jp/kyukyucenter/bosai/shobo/kyukyu/kouhou/tokuteikoui.html)の救急救命処置(http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/010301/files/2013042600228/2013042600228_www_pref_kochi_lg_jp_uploaded_attachment_106952.pdf)で、救急救命士による挿管も行われているからである。しかしなぜ、自らが望まない医療が普遍的に行われているか、現場の実態について、建前論ではない議論が必要かもしれない。そういえば、以前、ある人が「受け取れる年金額によって違う」といっていた。平成18年3月の事件(http://www.fujitv.co.jp/b_hp/fnsaward/15th/06-342.html)から13年経った...。
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療養病床と地域医療構想

2019年03月25日 | Weblog
国保情報3月18日号「医療療養は2.3% 介護医療院への移行予定」。<以下引用>
<厚労省が30年度介護報酬改定の調査研究事業で介護医療院への移行予定を聞き取りしたところ、医療療養病床で35年度末までに移行予定とする回答は2.3%にとどまったことが分かった。介護療養病床の52.7%は35年度末までに移行予定と答えた。調査は厚労省が14日に公表し、医療療養病床961施設(4万9818床)、介護療養病床377施設(1万4891床)が回答した。移行予定がない施設にその理由を複数回答で聞くと、「現在の施設類型が経営に最も適している」が医療療養病床で73.9%、介護療養病床で33.9%、「33年度介護報酬改定の結果をみて判断する」が医療療養病床で19.1%、介護療養病床で40.3%あった。>

病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)では、毎年、病棟ごとに2025年の予定を確認しているが、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)で、療養病床の行方を検討するに際して比較的役立つのは、①1年間/月間の退棟患者数(退棟先の場所別、退院後の在宅医療の予定別)、②急性期後・在宅復帰への支援(退院支援加算、救急・在宅等支援(療養)病床初期加算、介護支援連携指導料、退院時リハビリテーション指導料、退院前訪問指導料)、③平均在棟日数「(在棟患者延べ数)÷(((新規入院患者数)+(退棟患者数))÷2)」である。また、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)による平均在院日数や1日平均外来患者数も有用であろう。例えば、退院がほとんどなく、死亡退院がほとんどで、在棟日数が非常に長く、外来をほとんど実施しておらず、退院に向けての取り組みがない病院病棟は、医療療養としてどうなのであろうか。「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の推進にあたって、療養病床(特に介護療養)を有する病院について、介護医療院(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196478.html)等への転換を自主的に検討してもらうことが欠かせない。医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349458.pdf)p7「平成30年2月7日付け医政地発0207第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知」では「都道府県は、個別の医療機関ごと(病棟ごと)に、以下の内容を提示すること。①医療機能や診療実績 ②地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金等の活用状況 ③公立病院・公的病院等について、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報など」とあるが、各地域の地域医療構想調整会議でデータ・資料が示されているであろうか。
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外国人材と結核

2019年03月25日 | Weblog
国保情報3月18日号「外国人新制度、政省令公布」。<以下引用>
<政府は15日、外国人就労拡大の新制度に関する政省令を公布し、4月1日の開始まで残り半月で、ようやく全ての法規定が出そろった。技能実習生の劣悪な労働環境が問題になったことを踏まえ、特定技能の在留資格の外国人について、報酬額を日本人と同等以上にするといった基準を明記した。外国人に対して良好な健康状態も求めた。法務省によると、母国の病院などで、血液や尿、胸部エックス線などの検査を受けてもらい、安定的に働けると医師が診断したかどうかを確認する。>

「新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」の創設等)」(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00127.html)で、医療保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126706.html)の資料「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000468894.pdf)p7「我が国に中長期間滞在することとなる外国人に対し、我が国への入国前に自国において結核スクリーニングを受ける」とあるが、結核の潜伏期は非常に長いため、入国前スクリーニングで異常がなくても入国後に結核を発病するケースが増えるのは間違いない。このページ(http://www.jata.or.jp/rit/ekigaku/toukei/nenpou/)で公開されている「結核発生動向概況 ・外国生まれ結核(2018.10.3)」では2017年の「外国籍もしくは外国生まれの新登録患者」は1530人で増加傾向にあり、「図4 外国生まれ結核患者の入国時期別割合、年齢階層別、2017年」では若い世代で「最近5年以内の入国」の割合が高い。「表5 外国生まれ結核患者及び薬剤耐性結核の数および割合, 出生国別, 入国時期別 2017年」も気になる資料である。「薬剤耐性結核」は脅威と感じる。やはり、結核罹患率の高い国からの留学生や技能実習生に対する定期検診(問診、胸部X線)が必要と感じる。「労働安全衛生法に基づく定期健康診断における胸部エックス線検査等の対象者の見直しに関する改正」(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1001-1a.pdf)を見直し、結核罹患率の高い国からの外国人材に対しては40歳未満の胸部X線を省略しないようにすべきである。企業によっては、採用時のIGRA検査を導入し、陽性者のフォローを行うことも考えられるであろう。とにかく、結核の入国前スクリーニングだけでは弱い。結核部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_176318.html)での議論に期待したい。
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介護予防・健康づくりと保険者機能の強化

2019年03月25日 | Weblog
国保情報3月18日号「「健康立国」実現の提言 月内とりまとめ/全国知事会」。<以下引用>
<全国知事会は14日、「持続可能な社会保障制度の構築に向けた会議」を開き、「健康立国」の実現へ、先進・優良事例と横展開のポイント、国への提言を盛り込んだとりまとめ案を議論した。行動する知事会として昨年8月以降、21のワーキングチームを発足するなどして議論してきた。国への提言は、ワーキングチームの検討を踏まえ21項目に整理。インセンティブを活用した健康づくりの取り組みとして、国保と被用者を区別せず、継続的に実施できる新たな財政支援制度の創設を盛り込んだ。また、特定健診・がん検診の受診率の向上に向け、職域での実施結果を医療保険者等から自治体に報告し情報を一元的に把握する仕組みの整備を提案。在宅医療・介護連携の推進では、KDBなどのデータ活用の推進を掲げた。地域の実情に応じた提供体制の整備に必要な分析に活用する。とりまとめ案は、今後の少子高齢化、人口減少を見据え、社会保障制度の持続可能性を強調。◇住民全体へのポピュレーションアプローチの展開◇かかりつけ医の普及と高度医療を担う人材等資源の集約化など集中と分散◇地域包括ケアシステムの構築―を柱に据えた。>

メディウォッチ「介護予防・重度化防止に向けた「地域支援事業」を各市町村でさらに推進せよ―介護保険部会」(https://www.medwatch.jp/?p=25532)。<以下引用>
<介護保険制度の保険者である市町村には、介護予防や重度化予防などの「地域支援事業」にも積極的に取り組むことが期待されている。しかし、その取り組み状況にはバラつきがあり、これを是正・底上げするために2018年度から「保険者機能強化推進交付金」(いわゆるインセンティブ交付金)が創設された。さらに地域支援事業を推進することが、住民の健康確保や、介護保険制度の維持など、さまざまな面で重要である―。3月20日に開催された社会保障審議会・介護保険部会で、こういった議論が行われました。要支援者の訪問・通所介護、多様なサービスに移行しても7割の利用者は状態維持 介護保険部会では、次期介護保険制度改革に向けて2月25日から議論を開始。個別サービスの改革論議を行う前に、各サービス横断的なテーマとして、次の5項目を夏までに集中的に議論する方針を固めました。【横断的検討事項】(1)介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)(2)保険者機能の強化(地域保険としての地域の繋がり機能・マネジメント機能の強化)(3)地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)(4)認知症「共生」・「予防」の推進(5)持続可能な制度の再構築・介護現場の革新 3月20日には、このうち(1)(2)について議論を行っています。未曾有の少子高齢化が進む中では、(5)の「制度の持続可能性確保」が重視されますが、例えば(1)(2)で「介護予防」が進めば、介護費用の増加スピード抑制にもつながるなど、(1)から(5)は互いに「連環する」項目とも考えられます。介護保険制度は、地域住民に最も身近な自治体である市町村が保険者となって(もちろん都道府県や国の支援を受ける)、▼サービスの基盤整備▼要介護・要支援の判定▼保険料の設定・徴収や給付の管理―などを行っています。さらに、少子化・高齢化が進行する中では、こうした業務のほかに「介護予防」「重度化予防」「健康づくり」などの広範な業務を行うことが市町村に求められるなど、いわゆる「保険者機能」の強化が求められています。さらに市町村には、介護を含めた「地域づくり」において重要な役割が期待されています。保険者機能の強化に向けては、2006年度に創設された「地域支援事業」を見直すとともに、2018年度から保険者ごとの取り組みを経済的に評価する「保険者機能強化推進交付金」(いわゆるインセンティブ交付金)が創設されています。3月20日の介護保険部会では、これらの改善向けた検討が行われています。地域支援事業について、まず見てみましょう。市町村の実施する地域支援事業は現在(2014年に改正)、次の3つの事業で構成されています。(1)介護予防・日常生活支援総合事業(単に「総合事業」と呼ぶことも多い)(▼介護予防・生活支援サービス事業(要支援者に対する訪問・通所サービス、配食などの生活支援サービス、介護予防支援事業)▼一般介護予防事業―)(2)包括的支援事業(▼地域包括支援センターの運営▼在宅医療・介護連携推進事業▼認知症総合支援事業▼生活支援体制整備事業―)(3)任意事業(▼介護給付費適正化事業▼家族介護支援事業―など) まず(1)に関しては、2014年度の制度改正において、「要支援者の訪問・通所介護」を保険給付から総合事業へ移行するとの、大きな見直しが行われました。介護資源や利用者・家族のニーズは地域でさまざまなことから、その実情を踏まえてより「多様なサービス」提供を可能とするために保険給付から総合事業への移行が行われたものです。もっとも、厚労省の調査によれば、2019年6月時点でも「従前の訪問介護・通所介護」以外の多様なサービスは一部にとどまっています。この点については、「総合事業のサービス単価は市町村と事業者が協議して設定することになっているが、実際は市町村から一方的に低廉な単価が通告されるだけである。低廉な単価では、経営が成り立つ部分に特化しようと事業者サイドは考える」(桝田和平委員:全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員会委員長)という指摘もあり、「単価の在り方」を検討していく必要がありそうです。なお、「保険給付から総合事業への移行」については、「要介護度1・2の訪問・通所介護も総合事業に移行すべき」という論点があります。2017年の制度改正に向けた介護保険部会論議では「要支援者のサービス移行について効果検証も行われていない段階で、要介護1・2の移行を検討することはできない。時期尚早である」との結論が導かれていますが、次期制度改正に向けても再度の論点となります(「新経済・財政再生計画改革工程表2018」(改革工程表)で指示されている)。この点について厚労省の調査研究では、▼多様なサービス利用者の利用日数は総合事業への移行前後で大きな変化はない▼介護予防訪問介護・介護予防通所介護から多様なサービスへ移行した利用者の2年後の状態変化を見ると、約7割が状態を維持している―ことが分かりました。サービスの質を見る際には、「総合事業へ移行した場合の要介護度等」と「介護保険給付にとどまった場合の要介護度等」を比較する必要がありますが、後者の集団はおらず(移行しているため)、限られた情報の中で判断せざるを得ません。この点、限られた情報とは言え、今般の調査研究からは、サービスの質は一定程度「維持されている」と見ることもでき、今後の具体的論議における重要資料となるでしょう。もっとも伊藤彰久委員(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)は、「多様なサービスが十分に確保されていない中で、要介護1・2の訪問・通所介護の総合事業への移行は認められない」と牽制しています。地域包括支援センターの業務は拡大、「業務整理」を行うべきか「人員強化」を行うべきか また(2)の「地域包括支援センター」は、各市町村に設置(直営または委託運営)される「住民の健康を保持し、生活の安定のために必要な援助を行う」施設です。▼保健師▼社会福祉士▼主任介護支援専門員―などが配置され、「総合相談支援」「権利擁護」「包括的・継続的ケアマネジメント支援」「要支援者のケアマネジメント」など幅広い業務を行うとともに、▼在宅医療・介護連携の推進▼認知症施策の推進▼地域ケア会議の推進▼生活支援サービスの充実・強化―に関する役割も期待され、さらに「介護離職ゼロ」に向けた新たな役割も模索されています。このように、広範な役割が期待されていますが、「人員は限られており、スタッフの負担が過剰になっている」という課題が指摘されています。この点については、「人材配置の強化」(石本淳也委員:日本介護福祉士会会長、伊藤委員)を求める意見とともに、「介護サービス事業所・施設と地域包括支援センターの一体的運営を一定程度認めるべき」(東憲太郎委員:全国老人保健施設協会会長)などの意見も出ています。一方で、過剰な業務を整理するという方向も考えられ、齋藤訓子委員(日本看護協会副会長)らは「要支援者のケアマネジメント業務はケアマネ事業所に委譲し、地域包括支援センターは地域の課題解決に特化すべき」と提案しています。「負担軽減を図るために業務を切り分ける」のか、「業務量に見合った人員強化を行う」のか、もちろん選択肢は2つに限られませんが、地域包括支援センターの在り方が1つの岐路を迎えているとも考えられそうです。2021年4月からケアマネ事業所管理者は「主任ケアマネ」に限定、研修受講推進を また(1)のうち「介護予防ケアマネジメント」(要支援者のケアマネジメント)にも関連しますが、「ケアマネジメント全般」の質を高めていくことが重要です。利用者の状態や環境、ニーズ等を十分に把握し、自立に向けてどういったサービスを組み合わせるべきか、ケアマネジャーや地域包括支援センターのスキルアップとともに医療・介護サービス事業者とのネットワークの拡大・強化が必要不可欠になります。 詳細は個別サービス論議でも議論することになりますが、3月20日の介護保険部会では「2021年4月から居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)の管理者は主任ケアマネジャー資格を保有しなければならないことになっているが、果たして間に合うのか」との指摘が複数の委員から出されました。この点について厚労省老健局振興課の尾崎守正課長は、主任ケアマネ資格取得に向けた研修を受けやすくするため、例えば▼土日や夜間の研修開催▼研修費用に関する地域医療介護総合確保基金を活用した補助―などを実施していることを説明しています。主任ケアマネがおらず、そのケアマネ事業所を閉鎖しなければならないとなれば、円滑なケアプラン作成にも影響が出てくるでしょう。積極的な研修受講、資格取得支援が求められそうです。なお、(1)のうち「一般介護予防事業」については、新たに検討会(一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会)を設置し、▼今後求められる機能▼専門職関与に向けた方策―などを議論していく(夏頃に中間報告、年内に最終報告を介護保険部会に対して行う)方針が厚労省老健局老人保健課の眞鍋馨課長から示されています。都道府県・市町村へのインセンティブ交付金、徐々に「アウトカム」に着目した指標に こうした地域支援事業の取り組み状況には、市町村間でバラつきがあります。介護保険制度は地域保険ですが、公費や若人から支援金もあり、「すべての市町村で積極的に介護予防等に取り組む」ことが求められます。介護予防に消極的で、介護費用が高騰した場合、当該市町村だけで費用を賄うわけではないからです。市町村の積極的な取り組みを促すために、2017年の介護保険制度改正で「保険者機能強化推進交付金」(いわゆるインセンティブ交付金)が創設されました。2018年度・2019年度には200億円の財源が容易され、うち10億円を都道府県に、うち190億円を市町村に振り分け、「積極的な取り組みを行う自治体に、より多くの財源を投入する」ものです。この点、2018年度は初年度ということもあり、「取り組みに着手しているか」に着目した評価が行われましたが、2019年度から、徐々に「成果」に着目した評価にシフトしていくことが厚労省から示されています。なお、2019年度からは「取り組みが不十分な市町村が管内に多い」都道府県を厳しく評価する仕組みも導入されます。これは「都道府県には市町村支援が求められる」点を踏まえたもので、厳しい評価を避けるために、都道府県には積極的に市町村支援を行っていくことが期待されています。3月20日の介護保険部会でも、多くの委員から「アウトカムに着目すべき」との指摘が多数でており、厚労省老健局総務課の黒田秀郎課長は「同じ方向を向いていることが確認できた」とコメントしています。また、河本滋史委員(健康保険組合連合会常務理事)からは「なすべきことを実施していない市町村では、何らかのペナルティを検討することも必要ではないか」との指摘が出ていますが、都道府県・市町村サイドからは「底上げが目的であり、格差が広がるようなペナルティ方策は導入すべきでない」との反論も出ています。2018年度に導入されたばかりの仕組みであり、まずは「改善」に向けた検討から進められることになりそうです。たとえば、介護予防事業などの成果を見るために、どのような項目を設定すればよいかという研究も進むと期待され、「よりアウトカム・成果に着目した市町村の評価」が進むことになるでしょう。なお、市町村の取り組み状況が見える化されるよう、「インセンティブ交付金の具体的な交付状況(どの市町村がナンバー1で、どの程度の財源が配分されたのか、など)を可能な限り公表していくことも求められそうです。>

介護保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html)の「介護予防・健康づくりと保険者機能の強化」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000490338.pdf)p16「通いの場に取り組む市町村や通いの場への高齢者の参加率は増加傾向にあるとともに、通いの場の担い手確保や参加促進 の観点からポイントを活用する市町村も増加しているが、取組状況にばらつきがあることから、参加者の増加に向け、地域特性に応じ た更なる取組が必要である。 高齢者の参加率 約 2.7%(平成25年度)→ 約 4.9%(平成29年度) ポイント付与を行う市町村 445(平成29年度)」が目にとまった。資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000490342.pdf)p93都道府県別「通いの場(全体)への参加率 」、p94「週1回以上の通いの場への参加率」、p113「保険者機能強化推進交付金(都道府県分)」、p114「保険者機能強化推進交付金(市町村分)」をみれば大きな都道府県間格差があることがわかる。特定健診・保健指導(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161103.html)について、「2017年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000173202_00002.html)が公表され、「実施状況の詳細(保険者別の集計表)」では市町村別の数値も出ている。健康増進の各種取り組み状況は日本健康会議(http://kenkokaigi.jp/)データポータル(http://kenkokaigi-data.jp/)のデータマッピング(http://kenkokaigi-data.jp/datamap/)の地図をクリックすればわかる。介護保険の「保険者機能強化推進交付金」(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/ki/ki_v622.pdf)の評価指標結果については「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で示された方が良いように感じる。なお、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)-概要-」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0521/shiryo_04-1.pdf)p22~23「医療・介護の1人当たり保険料・保険料率の見通し」が出ていたが、全国一律ではない。医療費の地域差については、医療保険データベース(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)では、「医療費の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/index.html)、「市町村国民健康保険における保険料の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/hoken.html)が出ているほか、日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)も参考になる。また、介護費の地域差については、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で、地域別の要介護認定率、介護費用額、保険料額が公表されていることは常識である。これからの社会保障は「一人当たり医療費の地域差半減、一人当たり介護費の地域差縮減」にどれだけ取り組めるかにかかっているであろう。
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医療的ケア児支援

2019年03月22日 | Weblog
「学校における医療的ケアの実施に関する検討会議(最終まとめ)」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1413967.htm)を踏まえ、文科省「学校における医療的ケアの今後の対応について(通知)」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1414596.htm)が発出されている。医療的ケア児(http://iryou-care.jp/problem/)支援について、「医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000191192_00004.html)の「平成30年度医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議事前提出資料「取組報告」シート」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000366037.pdf)は自治体別の取り組み状況が出ていた。そういえば、一昨年に通知「医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について」(http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/h280603/renkei_suishin.pdf)が出ていたが、果たしてそれぞれの地域の取り組みはどうなっているであろうか。
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脳梗塞治療指針変更

2019年03月22日 | Weblog
NHK「脳梗塞 “血栓溶かす治療をより多くの患者に” 治療指針変更」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190322/k10011857041000.html?utm_int=news_contents_news-main_006)。<以下引用>
<脳の血管が詰まることで起きる脳梗塞について、日本脳卒中学会は、初期の患者には高い効果があるとされる「t-PA」療法と呼ばれる血栓を溶かす治療をより多くの患者が受けられるよう、治療の指針を変更しました。脳梗塞は脳の血管に血液などの塊が詰まることで起きるもので、初期の段階の患者には血の塊を溶かす薬を使う「t-PA」療法という治療が高い効果を発揮しますが、発症から4時間半を超えたら行わないとされてきました。そのため、寝ている間に発症するなど、時間の経過が正確にわからない患者には行えなかったとして、日本脳卒中学会は治療の指針を見直し、MRIの検査で脳の血管の状態がよければ医師の判断で「t-PA」療法を行うことができるとしました。脳梗塞では年間6万人以上が死亡しているとされ、今回の変更で、この治療が実施できる患者が年間、数千人ほど増えるとみられています。一方で、血管の状態が悪いとこの治療法によって脳出血を起こすリスクが上がるため、学会は、検査結果を慎重に見極めて実施することになるとしています。学会の理事長を務める京都大学脳神経外科の宮本享教授は「医師が最適な治療を選択でき、より多くの患者を救えると期待している」と話しています。>

「A205-2 超急性期脳卒中加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a205-2.html)がそれぞれの地域でどれほど算定されているかは、NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)でのレセプト件数や内閣府「経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)でのSCRをみればわかる。また、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、どの病院が脳卒中の急性期医療を担うのか明記されていることは常識としたい。rt-PA療法(http://www.jsts.gr.jp/jss19.html)には、「(1)患者・家族自身の“遅れ”,(2)救急搬送の“遅れ”,(3)到着医療機関内の診療の“遅れ”,という3つの要因」(http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02871_02)が指摘されており、地元マスコミの協力も得て、住民に対して、リスク軽減による発症予防とセットで「Act F.A.S.T.」(http://www.stroke.org/site/PageServer?pagename=SYMP)を普及させたいものである。
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