保健福祉の現場から

感じるままに

医療機関立入検査

2017年08月31日 | Weblog
メディウォッチ「2017年度立入検査、事故事例教訓とした業務改善の共有や特定看護師業務などを重点に―厚労省」(http://www.medwatch.jp/?p=15522)。<以下引用>
<2017年度に実施する医療機関への立入検査では、▼医療事故事例に基づく改善策の院内での共有▼偽造医薬品対策▼個人情報の保護▼特定看護師の業務―などの項目を重視してほしい—。厚生労働省は25日に、通知「平成29年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」を発出し、こういった点を都道府県知事らに要請しました。重点項目を踏まえ、医療機関も業務の自己点検を 医療法第25条第1項では、▼都道府県知事▼保健所設置市の市長▼特別区の区長―に、必要に応じて、医療機関に立入検査(人員、清潔保持、構造設備、診療録、助産録、帳簿書類など)を行う権限を与えています。今般の通知は、2017年度の立入検査における重点事項を示すものです。逆に医療機関においては、示された事項について、適切な管理がなされているのかを自己点検することが求められていると言えるでしょう。厚労省が2017年度立入検査の柱としているのは、(1)安全管理体制の確保(2)院内感染防止対策(3)最近の医療機関における事件などに関連する事項(4)立入検査後の対応その他―の4本で、これは例年と同じです。まず(1)の安全管理体制に関しては、▼安全管理体制の確保に関する指導▼日本医療機能評価機構への適切な医療事故・ヒヤリハット事例報告が行われているのかの確認・指導▼医療事故調査制度(予期せぬ死亡事故の報告)に関する院内体制が確保されているのかの確認・指導▼医療事故防止対策の取り組み強化に向けた指導▼ドクターヘリに関する安全確保がなされているかの確認・指導▼アスベスト対策に関する指導・命令―を行うよう求めています。とくに「安全管理体制の確保」に関しては、▼事故事例に基づき、改善策が立てられ、院内全体で情報共有できているか▼医薬品業務手順書に基づく予約がなされているか▼緊急を要する医薬品安全性情報などを迅速に取得するためにPMDAメディナビを利用しているか▼医薬品を譲り受ける際に本来の容器などに収められているか▼医薬品の譲り渡し人が販売業許可などを有し、適切な流通経路で入手しているか―などを確認し、不備があれば指導を行うよう要請。特定機能病院(群馬大学病院、東京女子医科大学病院)などにおける事故の発生や、偽造ハーボニー(画期的なC型肝炎治療薬)の流通などの事例を踏まえた内容となっています。また(2)の院内感染防止対策については、MRSAやVRSAなどへの感染防止を徹底するために▼院内感染対策マニュアルの作成・見直しなどが適切に行われているか▼個人用防護具(手袋、マスクなど)の適正使用、処置前の手指消毒の励行などの標準的予防策が、職員に徹底されているか—などを確認し、必要な指導を実施するよう求めています。(3)の最近の事件などに関連する事項としては、▼集団食中毒▼無資格者による医療行為▼臨床研修修了者の医籍などへの登録▼非営利性の確認▼定員超過入院▼診療用放射線の安全管理対策▼診療用放射線の防護▼職員の健康管理▼電子カルテの不具合による薬剤誤投与▼防火対策▼個人情報の適切な取り扱い▼インフォームド・コンセント―などの項目を掲げ、重点的な確認・指導を行うよう要望しています。このうち個人情報の取り扱いについては、改正個人情報保護法に則り、適切に匿名加工などが行われているのか、十分に注意する必要があります。またインフォームド・コンセントについては、とくに自由診療を行う美容整形外科など(例えばレーシック手術や脱毛施術)においてトラブルが多発いていることを踏まえ、▼施術に係る費用や解約条件▼施術の有効性や安全性—などを説明しているか、医学的な必要性が認められないにも関わらず即日施術を強要していないかなどを確認し、適切に指導を行うよう強く求めています。さらに(4)の立入検査後の対応では、「立入検査後に改善状況を逐次把握する」よう求めているほか、▼系列病院・同系列とみなせる医療機関へは同一日に立入検査を行えるよう都道府県間で連携する▼広告などに関して医療法などを順守していない場合には適切な対応を講じる▼診療などに著しい影響を与える業務(検体検査、医療機器などの滅菌消毒、食事提供、患者などの搬送、医療機器の保守点検、医療ガスの供給設備の保守点検、寝具類の洗濯、施設の清掃)の委託先が、医療法施行規則で定める基準に適合しているかを確認する▼医師などの包括的指示の下で一定の医療行為を実施できる「特定行為研修を修了した看護師」が必要な研修を修了しているか、手順書(プロトコル)が作成されているか、特定行為研修の修了者であることが患者・家族・医療関係者などに分かるよう配慮されているかを確認し、適切な指導を行う—ことを要請しています。>

通知「平成29年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170825_03.pdf)が出ているが、少々気になる点が2つある。一つは「診療所の立入検査」である。「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=419341)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000155420.pdf)p97【医療の安全に係る立入検査の実施について】で「都道府県、保健所設置市又は特別区における立入検査については、「平成28年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」(平成28年12月19日医政発1219第18号)及び「医療法第25条第1項の規程に基づく立入検査要綱の一部改正について」(平成28年12月19日医政発1219第1号)に基づき実施しているが、特に医療機関において発生した医療事故について再発防止策が院内に周知されているとともに、遵守されていること 医薬品の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医薬品の安全使用を目的とした改善のための方策を講ずることなど医療安全に関する項目について厳正に確認し、必要に応じて指導方お願いする。」「立入検査は、全ての病院に対して少なくとも年1回、診療所・助産所に対しても、3年に1回程度、実施するようお願いする。」とある。また、平成28年度全国薬務関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000152351.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000153580.pdf)p17~「医療用麻薬・向精神薬等については、不正ルート等への横流れ等を防止するため、医療機関等への立入検査等を通じ、指導監督の強化を改めてお願いしたい。」とあり、薬事監視からも診療所を含む医療機関への立入検査が要請されている。総務省「医療安全対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000245532.pdf)p34で「診療所に対する立入検査の実施頻度については、特段の規定がないことから、都道府県等によって区々となっている。調査した37都道府県等(診療所を立入検査の対象としていない1都道府県等を除く。)のうち、有床診療所に対しては、3年に1回としているところが21都道府県等、無床診療所に対しては、特に規定していないところが15都道府県等、5年に1回としているところが14都道府県等となっている。」とあるように、自治体における立入検査の実施状況はかなり異なっていた。二つには「併設施設への立入検査」である。事務連絡「第7期介護保険事業(支援)計画における療養病床、介護医療院等の取扱いに関する基本的考え方について」、「第7次医療計画及び第7期介護保険事業(支援)計画の策定に係る医療療養病床を有する医療機関及び介護療養型医療施設からの転換意向の把握について」(https://www.zenhokan.or.jp/pdf/new/tuuti317.pdf)が出ているが、現状の病院の一部が介護医療院をはじめとする施設に転換されることが想定される。介護医療院が「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170825_03.pdf)の対象外となった場合の対応はどうなるであろうか。
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薬剤耐性対策と感染防止対策加算

2017年08月31日 | Weblog
キャリアブレイン「カルバペネム耐性菌、医療機関で相次ぎ検出 専門家が調査、手指消毒など徹底も 」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20170830180026)。<以下引用>
<病棟の患者から薬剤耐性菌のカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)が検出されるケースが相次いでいる。発症した場合、有効な抗菌薬が限られているため、治療が難しくなる可能性もある。患者からCREが検出された医療機関では、職員の手洗い・手指消毒の徹底に加え、患者ごとに使い捨て手袋やガウンを着用するといった対応を実施している。CRE感染症は、感染症治療薬の“最後の切り札”とされるカルバペネム系抗菌薬などに耐性を示す腸内細菌科細菌による感染症の総称。肺炎などの呼吸器感染症、尿路感染症、手術部位や外傷部位の感染症、敗血症、髄膜炎などを起こす。CRE感染症と診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出る必要がある。患者からCREが検出された医療機関は警戒を強めている。国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)は今月10日、複数の患者からCREを検出したと発表。「いずれの患者も感染症の発症には至っておらず、CREが住み着いているだけの状態(保菌状態)」などと説明。院内感染によるものかどうか、感染対策の専門家と連携して調査を進めている。患者からCREが検出された北九州市の病院も、▽患者ごとに使い捨ての手袋・ガウンを着用して接触する▽手洗いや手指消毒を徹底する▽清掃回数を増やす▽入院患者受け入れを制限する―といった対策を講じているという。CREの保菌者が発症するケースも絶えない。国立感染症研究所がまとめたCRE感染症の今年の患者報告数(今月20日時点)は、前年の同期と比べて99人多い985人。都道府県別では、東京が128人で最も多く、以下は福岡(85人)、大阪(81人)、神奈川(79人)、愛知(58人)、千葉(50人)、兵庫(39人)、埼玉(38人)、長崎(26人)、新潟(25人)、広島(24人)などの順だった。厚労省は今年3月、医療機関からCREなどの届け出があった場合、地方衛生研究所で検査を行うよう都道府県に通知しており、感染症発生動向調査の枠組みの中で遺伝子情報を収集、解析する体制の整備を進めている。将来的には、院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)と組み合わせて活用することも視野に入れており、質の高い情報を医療機関に提供してCREの拡大防止につなげたい考えだ。>

厚生科学審議会感染症部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=127717)で協議された、抗微生物薬適正使用の手引き(http://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/yobo/kiki/yobo/kansen/idwr/information/tsuuchi/documents/tebiki.pdf)は、医療費適正化の観点からも積極的に推進すべきである。薬剤耐性ワンヘルス動向調査(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000156502.pdf)では「都道府県別の抗菌薬使用量や耐性率の公表」とあったが、どうなっているであろうか。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000037464.pdf)p191にあるように、感染防止対策加算1ではJANISへの参加が必須であり、参加医療機関(https://www.nih-janis.jp/hospitallist/index.html)は増えているであろうが、感染防止対策加算2でもJANISへの参加が必須と感じる。カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症;CRE(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-140912-1.html)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症;VRSA(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-13-01.html)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症;VRE(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-14-01.html)、薬剤耐性アシネトバクター感染症;MDRA(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-140912-4.html)は、感染症法の5類全数届出感染症(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html)である。WHOの専用HP(http://www.whocc.no/atc_ddd_index/)もあるように、病院のサーベイランスとして、ATC/DDDシステム;Anatomical Therapeutical Chemical Classification/Defined Daily Doseも普及したいところかもしれない。感染防止対策加算(https://2016.mfeesw.net/?page_id=2273)は療養病床でも算定可能であるが、施設基準(https://2016.mfeesw.net/?page_id=4902)は現状の療養病床にとっては少々ハードルが高いかもしれない。例えば、比較的院内感染リスクの高い療養病床用に、感染防止対策加算3があってもよい感じがしないでもない。感染防止対策加算算定機関同士の年4回の会合は、医療機関のネットワーク化にも役立つであろう。
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厚労省概算要求

2017年08月31日 | Weblog
メディウォッチ「2018年度、医療・年金などの経費は6300億円増に抑え、29兆4972億円に—2018年度厚労省概算要求」(http://www.medwatch.jp/?p=15478)。<以下引用>
<厚生労働省は25日に、来年度(2018年度)予算の概算要求を行いました。年金や労働保険などの特別会計を含まない一般会計は31兆4298億円を要求する見込みで、前年度当初予算に比べて7426億円・2.4%の増額要求となります。このうち年金・医療など社会保障に係る経費については、前年度に比べて6300億円の増額要求を行っています。2018年度は、「2020年度におけるプライマリーバランスの黒字化に向けた集中改革期間(2016-18年度)」の最終年度に当たり、社会保障関係費の増額は3年度で1兆5000億円に抑えるよう指示されています。これから年末の予算編成に向けて、6300億円をどう圧縮していくのか、注目が集まります。データヘルス改革やAI活用、がん対策などを重点分野に 厚労省の2018年度予算概算要求の枠組みを見ると、▼年金・医療などに係る経費について、「高齢化などに伴う増加」として前年度から6300億円増を見込む▼義務的経費は前年度並み▼その他の経費(裁量的経費・公共事業関係費)は公共事業関係費などを前年度から10%削減する▼「新しい日本のための優先課題推進枠」(以下、推進枠)として別途2005億円を見込む—という形になっています。また2018年度に予定される診療報酬改定・介護報酬改定・障害報酬改定などに関する経費は、今後の予算編成過程で検討することになります(12月下旬に改定率などが決定される)。2018年度に厚労省は、(1)働き方改革の着実な実行(2)質の高い効率的な保健・医療・介護の提供の推進(3)すべての人が安心して暮らせる社会に向けた環境づくり—の3つを重点分野に位置付け、各分野を推進することで「生産性の向上や、成長と分配の好循環を拡大していく」考えを打ち出しています。このうち(2)の質の高い効率的な保健・医療・介護の提供について、具体的な項目を見てみると、▼データヘルス改革の推進(保健医療データプラットフォーム構築に向けた環境整備)92億円▼医療系ベンチャーの振興9.4億円▼医療分野などの研究開発の推進(AMEDにおける革新的医薬品創出などに向けた支援)661億円▼保健医療分野におけるAI開発の加速3100万円▼地域医療確保対策などの推進(医療介護総合確保基金による機能分化連携・基盤整備小児・周産期医療体制の充実に向けた施設整備など)1091億円▼介護保険の保険者機能強化などによる自立支援・重度化防止に向けた取り組み推進6.7億円▼新オレンジプランの推進(認知症高齢者の見守りネットワークの普及・広域化など)94億円▼がん・肝炎・難病対策(がんゲノム情報管理センターや新たな難病医療提供体制の構築など)153億円―などが盛り込まれました。また、推進枠(2005億円)の中では、生産性向上・人材投資に関する事業として▼介護事業所における生産性向上推進(サービスの種類ごとに経営の専門家による調査研究を行い、生産性向上・業務改善に向けたガイドライン作成など)9億円▼介護ロボット開発等加速化6億円▼医療従事者の勤務環境改善(医師も罰則付き時間外労働規制の対象となることを踏まえた、都道府県医療勤務環境改善支援センターによる支援)3億円ほか▼医師不足地域における若手医師のキャリア形成支援(休日代替医師の派遣、複数医師によるグループ診療、テレビ電話などを活用した診療支援などのモデル実施)8億円▼介護事業所におけるICT化普及促進3億円―なども要求される見込みです。糖尿病性腎症の重度化予防など「予防・健康管理」を重視 次に2018年度厚労省予算概算要求の主要事項のうち、医療・介護分野に関連の深い事項を拾ってみましょう。まず「予防・健康管理の推進」に向けて379億円が要求され、ここでは次のような事項が目を引きます。▼糖尿病性腎症患者の重症化予防の取り組みへの推進(推進枠):6300万円(医療保険者と医療機関が連携した保健指導の推進)▼後期高齢者医療広域連合における後発医薬品使用促進の支援(推進枠):3.5億円(後発品を利用した場合と、先発品を使用した場合とで患者負担がどれだけ変わるのかの「差額通知」送付など) ▼重複・頻回受診者などへの保健師などによる訪問指導、高齢者の低栄養防止などの推進(推進枠):12億円 ▼医療等分野におけるID導入:43億円(2018年度から段階的運用開始、2020年度からの本格運用を目指す) ▼データヘルス改革における保健医療記録共有サービスの実証(推進枠):1.1億円(患者情報や健診情報などを、医療機関の初診時などに「本人同意」の下で共有できる『保健医療記録共有サービス』の2020年度からの本格稼働に向けた技術的課題の整理など) ▼データヘルス分析関連サービスの構築に向けた整備(推進枠):17億円(『保健医療データプラットフォーム』構築に向けたデータ分析環境の整備やセキュリティ検証など) ▼全国保健医療情報ネットワークのセキュリティ対策に係る基盤整備(推進枠):4.7億円 新専門医制度のスタート、特定看護師養成などにも注力 また「質が高く効率的な医療提供体制の確保」として588億円が要求されており、ここでは次のような項目が盛り込まれました。▼専門医に関する新たな仕組みの構築に向けた取り組み:4.8億円(新専門医制度の地域医療への影響をチェックする都道府県協議会の経費増、医師不足地域医療機関への指導医派遣経費など) ▼地域の医療政策を担う人材の育成:1400万円(地域における主体的な医療施策の企画立案能力の向上に向け、地域医療構想をはじめとする地域の医療施策や診療データ分析などに精通し、都道府県を支援できる専門家人材の育成) ▼特定行為に係る看護師の研修制度の推進(一部推進枠):4.3億円(指定研修機関の確保、研修修了者の計画的養成、指導者育成のための支援など) ▼在宅医療の推進:4300万円 ▼人生の最終段階における医療の体制整備(一部推進枠):8300万円(人生の最終段階における医療に関する患者の相談に適切に対応できる医師・看護師の養成など) ▼在宅看取りに関する研修事業:2200万円(2016年6月に閣議決定された規制改革実施計画を踏まえた、「医師による死亡診断などに必要な情報」を報告する看護師を対象とした法医学研修などの実施支援) ▼医療安全の推進:11億円(医療事故調査・支援センターの運営に必要な経費などの支援) ▼救急医療体制の整備:4.2億円(救命救急センターなどへの財政支援) ▼小児・周産期医療体制の充実(一部推進枠):7.3億円(周産期母子医療センターのNICU・MFICUなどへの必要な支援、無産科2次医療圏などに新規開設する分娩取扱施設などへの施設・設備整備、産科医派遣費用の支援) ▼へき地保健医療対策の推進(一部推進枠):73億円(無医地区などから高度機能を有する医療機関への患者を長期輸送する航空機(メディカルジェット)運行経費や、へき地診療所への医師派遣経費の支援など) ▼災害医療体制の充実(一部推進枠):123億円(DMAT事務局体制の拡充や、JMATなど民間医療チーム養成の支援など)  さらに「安心で質の高い介護サービスの高い介護サービスの確保」に向けては、次のような施策が行われます。▼地域支援事業の推進:1569億円(高齢者の社会参加、介護予防に向けた取り組み、配食・見守りなどの生活支援体制の整備、在宅医療・介護連携、認知症高齢者への支援などを一体的に推進する) ▼介護・医療関連情報の「見える化」推進:3.1億円 ▼自立支援・重度化防止に向けた科学的介護の実現に係る取り組みの推進(一部推進枠):5.6億円(「科学的に自立支援などの効果が裏付けられた介護」の実現に向け、システム開発経費を確保する) また「がん対策」として386億円が要求されており、具体的には▼がん予防180億円(個別のがん検診受診勧奨などの実施、子宮頸がん・乳がん検診の初年度対象者へのクーポン配布など)▼がん医療の充実179億円(がんゲノム医療中核拠点病院などの体制整備、希少がん中央機関への支援など)▼がんとの共生26億円(がん患者・経験者による相談支援の充実など)―が行われます。>

厚労省概算要求(http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/)には一応目を通しておきたい。今後、①年末の予算編成でそれぞれの事業がどうなるか(概算要求事業が外されたり、縮小されたりする)、②診療報酬改定・介護報酬改定・障害報酬改定などに関する経費がどうなるか、が注目されるが、それ以上に注目されるべきと感じるのは、各自治体の予算編成であり、その前提として、今年度策定される、平成30年度からの1)医療計画、2)医療費適正化計画、データヘルス計画、3)介護保険事業(支援)計画、4)障害福祉計画・障害児福祉計画、5)がん対策推進計画などでの目標設定と具体的政策が重要と感じる。いくら法律を改正し、通知・事務連絡が発出されても自治体で取り組まれなければ全く意味がない。やはり、自治体単位での保健・医療・介護・福祉の「見える化」が最優先で取り組まれるべきかもしれない。
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医療機関のウェブサイトの監視体制

2017年08月30日 | Weblog
キャリアブレイン「医療機関サイト虚偽表示、都道府県が指導を 厚労省が事務連絡」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20170829170823)。<以下引用>
<厚生労働省は、医療機関のウェブサイトの監視体制に関する事務連絡を都道府県などに出した。厚労省は24日から委託業者によるサイトの監視を行っており、虚偽・誇大な「不適切な表示」を行っている医療機関の情報を委託業者から提供された場合、必要に応じて指導を行うよう求めている。美容医療サービスを提供する医療機関のサイトに不適切な表示があるといった指摘などを踏まえ、厚労省は、医療機関のサイトを監視する事業を始めた。委託業者による調査に加え、電話やメールでの通報も受け付けている。事務連絡では、委託業者が不適切な表示を行っている医療機関に対し、「医療機関ホームページガイドライン」の周知を行い、表示をやめるよう働き掛けても改善しなかった場合の対応を記載。都道府県と政令指定都市は、委託業者から情報提供された内容を確認の上、必要があれば医療機関を指導するよう促している。>

「「医療法等の一部を改正する法律」の公布について(通知)」(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170616G0250.pdf)が出ているが、影響が小さくないのは「医療に関する広告規制の見直しに関する事項」で、「① 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告をしないこと。 ② 誇大な広告をしないこと。③ 公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告をしないこと。」の明確な基準が必要と感じる。「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=419341)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000155420.pdf)p15~18「医療機関のウェブサイトの情報提供の適正化等」で、p18「医業等に係るウェブサイトの監視体制強化」が出ていたが、「誇大な広告」や「公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告」では曖昧である。法改正によって、「医療広告ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/dl/shishin.pdf)や「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000117472.pdf)が改訂されるであろうが、医療現場に周知徹底する必要がある。医療広告の罰則規定を設けるのであれば、今後、ホームページ公表されている医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)だけではなく、各医療機関のホームページのチェックが必要となるであろう。医療機関広告の取締(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/)は、医療法(http://www.ron.gr.jp/law/law/iryouhou.htm)第六条の八で、「都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関する広告が第六条の五第一項、第三項若しくは第四項又は前条各項の規定に違反しているおそれがあると認めるときは、当該広告を行つた者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、当該広告を行つた者の事務所に立ち入り、当該広告に関する文書その他の物件を検査させることができる。2 都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関する広告が第六条の五第一項若しくは第四項又は前条第一項若しくは第三項の規定に違反していると認める場合には、当該広告を行つた者に対し、期限を定めて、当該広告を中止し、又はその内容を是正すべき旨を命ずることができる。」と規定されており、保健所長に事務委任されている自治体も少なくないであろう。なお、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000077058.pdf)p28~「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題」があったように、エステサロンの取り締まりも考えるべきと感じる方が少なくないかもしれない。美容所(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO163.html)と違って、基本的にエステサロンは取り締りの対象にはない。エステ・美容医療に関しては、健康被害や無免許対策、衛生管理等の面から、医事所管部局と生活衛生所管部局との連携が欠かせないであろう。また、美容医療に関する相談窓口として、「医療安全支援センター」(http://www.anzen-shien.jp/)の役割がますます重要になるように感じる。
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HPVワクチンと職域女性がん検診

2017年08月30日 | Weblog
キャリアブレイン「子宮頸がんワクチン慢性痛、認知行動療法が効果 厚労省研究班が報告、精神科医が協力も」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20170828194900)。<以下引用>
<子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)を接種した人に原因不明の痛みなどの症状を訴える人が相次いだ問題で、厚生労働省の研究班は28日、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会などに対し、精神疾患などの治療で使う「認知行動療法」で状態が改善したケースを報告した。研究班は患者が通院している医療機関の精神科医の協力を得ながら、今後も認知行動療法の効果を探る方針だ。認知行動療法は、患者の内面(認知)に働き掛けて気持ちを楽にする精神療法。うつ病や不眠症、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、摂食障害などの精神疾患の治療で効果を挙げており、がんなどの痛みの軽減にも用いられている。研究班は、HPVワクチン接種後に頭痛や胸痛、関節の痛みなどがあった患者に対して、ワクチン接種と症状との因果関係を追究する方法ではなく、認知行動療法的なアプローチを実践。生活パターンの改善や体づくりが必要なことや、日常生活のリズムを整え、痛みがあっても「できること」を増やしていくことを指導した。学校生活を続けることを第一に、部活を含めて普通に身体を動かすことを推奨したところ、初診から約6-9カ月後、痛みのため通学できなかった患者が、痛みがありながらも毎日学校に行けるようになったり、痛みと上手に付き合えるようになったりしたという。>

予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=284075)で、 「HPVワクチン(サーバリックス)の副反応疑い報告状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000175576.pdf)、「HPVワクチン(ガーダシル)の副反応疑い報告状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000175577.pdf)、「HPVワクチン接種後の失神関連副反応疑いについて(企業提出資料)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000175578.pdf)、「HPVワクチン接種後に多様な症状を生じた患者のうち 治療効果のあった症例の報告(概要)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000175579.pdf)が出ている。HPVワクチンについて、桃井座長「接種再開の議論は多様な症状に対する委員の理解とともに、一般国民の一定の理解がなければ始められない」の発言が報道されている(保健衛生ニュース8月7日号)が、どうなるであろうか。一方で、「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=458290)のスケジュール案(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000170609.pdf)によると、来年夏頃に「職域におけるがん検診に関するガイドライン(仮称)」が発出される。資料「全国健康保険協会におけるがん検診受診率の現状と問題点」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000170612.pdf)p8「がん検診の受診率(被保険者)」をみれば、乳がん検診、子宮頸がん検診の受診率は2割にも満たないことがわかる。がん情報サービス(http://ganjoho.jp/public/index.html)の「全国がん罹患モニタリング集計 2011年罹患数・率報告(平成27年3月)」(http://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/mcij2011_report.pdf)p64~「表32 全国推計値 年齢階級別罹患数; 部位別、性別」では、勤務世代で圧倒的に多いがんは「乳がん」、次いで「子宮がん」であることは認識しなければならない。例えばこれまで、3月の「女性の健康週間」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/woman/index.html)では、「職域における女性がん検診」はどれほど啓発されてきたであろうか。子宮頸がん検診に従事する産婦人科医の負担を少しでも軽減するために、特定行為に係る看護師の研修制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html)を踏まえて、看護職が子宮頸がん検診(検体採取)にも従事できるようにすべきと感じる。以前の看護業務実態調査結果概要(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000sk2r-att/2r9852000000sk5k.pdf)では、子宮頸がん検診(検体採取)について、医師回答では「看護師が実施可能」の割合が高い結果が出され、平成23年9月29日の子宮頸がん検診セミナーで、「専門看護師による細胞採取の実施」が提案(保健衛生ニュース平成23年10月24日号)されていたことについて、行政施策として前向きに考慮すべきであろう。女性による検体採取が普及し、かつ、がん検診単価も引下げられるであろう。全国各地で不足しているといわれる産婦人科医の負担も軽減できるではないか。政府の規制改革(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/)では議論されないのであろうか。女性の社会進出や規制改革を強調する有識者の方々には格好のテーマと感じるのであるが...。どうもマスコミでは中学生に対するHPVワクチン(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/)ばかりが強調されているように感じるのは気のせいであろうか。
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医療費・介護費の地域格差

2017年08月30日 | Weblog
メディウォッチ「2015年度1人当たり医療費、最高の福岡と最低の新潟で1.38倍の地域格差—厚労省」(http://www.medwatch.jp/?p=15455)。<以下引用>
<2015年度の1人当たり医療費(市町村国保+後期高齢者医療)は全国では53万7000円だが、都道府県別に見ると最高の福岡県(64万1000円)と最低の新潟県(46万6000円)との間では1.38倍の格差がある。また「西日本で1人当たり医療費が高く、東日本で低い」傾向は変わっていない—。厚生労働省は25日に、2015年度の「医療費の地域差分析」を公表し、こういった状況を明らかにしました。入院医療費で地域格差が大きく、「在院日数の短縮化」が地域差是正の鍵 1人当たり医療費は年齢との関係が強いため、地域差を分析する際には「地域ごとの年齢構成(高齢者割合など)の差」を調整することが重要です。市町村国保加入者と後期高齢者医療制度加入者を合計した1人当たり年齢調整後医療費を見てみると、全国では53万7000円ですが、都道府県別に見ると、最高は福岡県の64万1000円(全国の1.194倍)で、高知県63万7000円(同1.186倍)、佐賀県62万7000円(同1.168倍)と続きます。また最低は新潟県の46万6000円(同0.867倍)で、千葉県47万7000円(同0.888倍)、静岡県47万8000円(同0.890倍)などとなっています。最高の福岡県と最低の新潟県では1.38倍の開きがあります。入院医療費を▼1日当たり医療費▼1件当たり日数▼受診率—の3要素に分解して、地域差にどの要素が影響しているのか(寄与度)を見てみると、入院医療費の高い地域(高知県、福岡県、鹿児島県など)では「受診率と1件当たり日数が医療費を高める方向に寄与し、1日当たり医療費は低くする方向に寄与している」傾向が、逆に入院医療費の小さな地域(静岡県、新潟県、千葉県など)では「受診率や1件当たり日数が医療費を低くする方向に寄与している」傾向があることが分かります。ここから、「入院回数が多く、入院日数の長いことが1人当たり入院医療費の高騰を招いている」と伺えます。入院外医療費(調剤を含む)について、同様に▼1日当たり医療費▼1件当たり日数▼受診率—の3要素に分解した寄与度を見てみると、入院外医療費の高い地域(広島県、香川県、佐賀県など)では「受診率と1件当たり日数が医療費を高める方向に寄与し、1日当たり医療費は低くする方向に寄与している」傾向が、逆に入院外医療費の小さな地域(新潟県、沖縄県、富山県など)では「受診率や1件当たり日数が医療費を低くする方向に寄与している」傾向があることが分かります(入院と同じ構造)。「頻回の医療機関受診が、入院外医療費の高騰につながっている」ことが伺えます。さらに「入院では地域格差が大きく(最高と最少の格差は1.75倍)、入院外では地域格差が小さい(同1.20倍)」ことも踏まえると、医療費の地域差是正に向けて「在院日数の短縮」が最重要テーマ(入院外では頻回・重複受診などの適正化)であることを再認識できます。1人当たりの実績医療費、高知県の自治体が上位を独占 市町村別に1人当たり実績医療費(年齢調整をしていない)を見てみると、最も高いのは高知県馬路村で102万1965円。次いで高知県大豊村96万5906円、高知県北川村87万9101円、高知県奈半利町84万7872円、高知県大川村83万8166円となり、上位5市町村を高知県の自治体が独占しています。逆に1人当たり実績医療費が低いのは、下から東京都小笠原村25万5304円、長野県川上村31万7842円、東京都御蔵島村32万643円、沖縄県竹富島35万1008円、長野県南牧村36万7825円などで、離島や山間地が目立ちます。また年齢構成を調整した上で、医療費が全国平均からどれだけ乖離しているのかを示す「地域差」を市町村別に見てみると、もっとも高いのは高知県馬路村の1.49で、高知県奈半利町1.41倍、北海道壮瞥町1.36、高知県芸西村1.36、高知県大豊町1.35と続きます。逆に地域差が低い自治体は、福島県檜枝岐村0.67、長野県王滝村0.68、長野県天龍村0.68、岩手県九戸村0.69、山梨県小菅村0.70となっています。>

市町村国民健康保険における保険料の地域差分析(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/hoken.html)が出ているが、介護保険とセットで評価する必要がある(特に入院医療費)。地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)、「地域包括ケア「見える化」システム等を活用した地域分析の手引き」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000169786.html)は常識としたい。また、保険者インセンティブ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000163331.pdf)p15市町村国保「平成28年度 保険者努力支援制度 都道府県別平均獲得点(速報)」、「後期高齢者医療における保険者インセンティブ (平成28年度前倒し分)の結果(詳細)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000163337.pdf)が出ていることは知っておきたい。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「医療・介護をはじめとする社会保障制度改革の推進に向けて」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0412/shiryo_03-1.pdf)p2「診療行為の地域差(SCR)を2017年度中に見える化」とあったが、すでに、評価・分析ワーキング・グループ(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg5/290417/agenda.html)の資料「医療提供状況の地域差」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg5/290417/sankou.pdf)で、外来約2,200項目、入院約2,800項目の診療報酬項目のSCRが一般公開(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg5/290406/shiryou2-2.xls)されていることは認識したい。医政局「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)、老健局「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)、保険局「国保データベース(KDB)システム」、「NDBオープンデータ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)等がしっかりと使いこなせなければいけない。できれば、分析データをわかりやすく整理し、市町村健康づくり推進協議会等で積極的に示されてもよいように感じる。資料「経済・財政一体改革 (社会保障改革)の取組状況」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/1021/shiryo_04.pdf)p1で、糖尿病重症化予防(全国的に取組推進+平均以上は差を半減) 【▲約800億円】、特定健診・保健指導実施率(全国目標:各70%、45%)【▲約200億円】の平成35年度の効果額が示されているように、健康増進による適正化も重要である。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p11~15、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)では、それぞれ保健事業による大幅な医療費適正化事例が紹介されているように、保健事業による医療費適正化はけっして夢物語ではない。全国高齢者医療主管課(部)長及び国民健康保険主管課(部)長並びに後期高齢者医療広域連合事務局長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=252919)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000148235.pdf)p153~154「個人のインセンティブ事例」で「1人あたり6か月で約1万5千円の医療費削減効果」が注目された。また、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000126549.pdf)p7~p16で介護予防の取り組みによって要介護認定率が低下した事例が紹介されている。ところで、第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)では、特定健診結果について都道府県別の性・年齢階級別のデータが出ており、数値がかなり悪い勤務世代が少なくない。例えば、公務員の「共済組合」(http://www.kkr.or.jp/)(http://www.chikyoren.or.jp/)や大企業が多い「健康保険組合」(http://www.kenporen.com/)が率先して、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)をはじめとする「健康増進による医療費適正化」に取り組み、模範とならなければいけない(特に公務員)。この際、社会全体で、勤務世代の健康管理の取組如何が、国保、後期高齢者医療、介護保険に影響する認識を持ちたいものである。
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肝炎・肝がん対策

2017年08月29日 | Weblog
NHK「肝臓がん患者の医療費 負担軽減制度開始へ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170829/k10011116211000.html?utm_int=news_contents_news-genre-new_005)。<以下引用>
<B型やC型の肝炎ウイルスに感染して肝臓がんになった患者を経済的に支援するため、厚生労働省は来年度から所得が低い患者を対象に医療費の負担を軽減する制度を始めることになりました。これは28日、都内で開かれた国会議員や患者団体の関係者が集まった会合で厚生労働省が明らかにしたものです。B型やC型の肝炎ウイルスに感染し肝臓がんになった患者は国内でおよそ10万人と推定され、このうち予防接種での注射器の使い回しや血液製剤の投与によって感染したと認められた人には最高で4000万円の給付金が国から支給されます。しかしカルテが残っていないなどの理由で感染経路が特定できない人は給付金を受けられず、患者団体などから経済的な支援を求める声が上がっていました。厚生労働省は肝炎ウイルスが原因で肝臓がんになった人のうち所得が370万円以下で、年間の入院期間が4か月を超えるなどの要件をすべて満たす人に対し、来年度から医療費の自己負担の上限を1か月1万円とする制度を始めることになりました。対象者はおよそ1万人となる見通しで、厚生労働省は来年度の概算要求に13億円を盛り込んでいます。「日本肝臓病患者団体協議会」の山本宗男代表幹事は「新たな支援制度ができるのは評価できるが、条件がつき、一部の人に限られているので、今後、対象の拡大を検討してほしい」と話しています。>

肝炎治療費公費助成(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/080328_josei.html)の拡充と認識すべきなのかもしれない。ところで、通知「肝疾患に関する診療体制及び肝疾患患者に対する支援体制の整備について」(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170407H0090.pdf)(http://www.toyama.med.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/04/osirase_iryoukikan_kansikkan.pdf)p2「医療機関で治療等や出産の前に行われる肝炎ウイルス検査について、検査を実施した医療機関(の担当医師)は、その結果を本人に伝え、陽性の場合には専門医療機関等に紹介する。」とあった。肝炎対策の推進に関する基本的な指針改正(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/pdf/hourei-27.pdf)で「肝がん罹患率の減少」が目標とされており、「ウイルス性肝炎患者等の重症化予防推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/pdf/141203-02.pdf)(http://www.pref.gunma.jp/02/d2900386.html)の対象(初回精密検査費用の助成)について、妊婦健診や職域健診での陽性者に拡充されないといけないであろう。平成29年度の政府予算で、肝炎対策について「概算要求の段階では、自己負担限度額の1000円への引下げ、肝硬変・肝がん患者の助成回数4回への増加を要求していたが認められなかった。初回精密検査の助成対象拡大も認められなかった。事業者が行う定期健診で労働者が自治体による無料の肝炎検査を同時に受検できる仕組みを構築する方針だったが、予算案には盛り込まれなかった。」(保健衛生ニュース平成29年1月30日号)と報道されていた。なお、厚労省の肝炎総合対策ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/index.html)では昨年8月2日を最後に情報が出なくなってしまった。せめて、肝炎情報センター(http://www.kanen.ncgm.go.jp/)とリンクし、積極的に情報公開すべきである。
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医療的ケア児支援

2017年08月28日 | Weblog
朝日新聞「呼吸器必要な子、学校で看護 厚労省、4都県で支援へ」(http://www.asahi.com/articles/ASK8W5FKVK8WULBJ003.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<人工呼吸器をつけた「医療的ケア児」が学校に通える機会を広げようと、厚生労働省研究班が東京、埼玉など4都県の特別支援学校などで支援を始める。保護者に代わって看護師がケアを担えるようにし、来年度にも制度化につなげたい考えだ。おなかに穴を開けて胃に管で栄養を入れる「胃ろう」や人工呼吸器などが必要な医療的ケア児が、公的医療保険で訪問看護を受ける場所は自宅に限られる。学校などは対象外なため、親が学校に付き添って、たんの吸引など医療ケアを行っていることが多い。文部科学省は2013年度から自治体が看護師を雇って特別支援学校に配置する費用を補助したり、12年度から教員が医療的ケアを行えるよう研修制度を導入したりしているが、人工呼吸器をつけた医療的ケア児の通学は広がっていない。研究班は、人工呼吸器をつけた医療的ケア児が親の付き添いがなくても通学できるよう、①日ごろ自宅で看護をしている訪問看護師が学校に付き添う②医師の指示の下で、訪問看護師がケアしている子どもの看護の注意点を特別支援学校などに配置された看護師に伝える③普段は学校の看護師がケアし、昼食の前後など忙しい時間帯は訪問看護師が学校でケアしつつ注意点を伝える、の3パターンに分けて実際にケアしながら課題を整理する。>

昨年6月3日の通知「医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について」(http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/h280603/renkei_suishin.pdf)p6「医療的ケア児とその家族を地域で支えられるようにするため、保健、医療、福祉、教育等の医療的ケア児支援に関わる行政機関や事業所等の担当者が一堂に会し、地域の課題や対応策について継続的に意見交換や情報共有を図る協議の場が必要である。そのため、地域において協議の場を設置し、定期的に開催することをお願いする。協議の場については、(自立支援)協議会、医療的ケア運営協議会、慢性疾病児童等地域支援協議会、地方版子ども・子育て会議等の既存の会議の枠組みを活用することも考えられる。また、都道府県単位の設置・開催だけでなく、二次医療圏や障害保健福祉圏域、市町村単位の設置・開催も想定されるので、地域の実情に応じて検討することをお願いする。」とされた。障害保健福祉関係会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/index.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0308044.pdf)p204「現在の自治体における医療的ケア児支援の協議の場の状況は、都道府県においては約6割、市町村においては約2割という状況であり、各都道府県及び市町村においては、早急に、医療的ケア児支援のための関係機関の協議の場を設置し、対象児童の把握も含め、各関連分野が共通の理解に基づき協働する総合的な支援体制を構築されたい。」が下線で強調されている。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0308044.pdf)p216、p218「平成30年度末までに、各都道府県、各圏域及び各市町村において、保健、医療、障害福祉、保育、教育等の関係機関が連携を図るための協議の場を設けること」は認識したい。せめて自分たち自治体のことは把握しておきたい。医療的ケア児(http://iryou-care.jp/problem/)支援の「見える化」が必要かもしれない。
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超高齢者にどこまで高額医療か

2017年08月28日 | Weblog
朝日新聞「膨らむ高齢者の医療費 治療、どこまで?」(http://www.asahi.com/articles/ASK8V23T0K8VUBQU004.html)。<以下引用>
<日本は世界に誇る長寿国となった一方、それが医療費を膨張させている。薬や医療機器の高額化も進むなか、高齢者への医療はどうあるべきなのか。■相次ぐ、画期的医療技術 西日本のある病院に昨年末、90代後半の重症心不全の女性が運び込まれた。心臓から血液を全身に送るための弁が硬くなり、呼吸困難に陥った。本来なら胸を切って人工弁を埋める外科手術が必要だが、高齢過ぎて体力的に耐えられない。そこで、太ももの血管から細い管を通して人工心臓弁を届ける「経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI(タビ))」という治療が行われた。体への負担が少ない最先端の技術で費用は700万円ほど。保険が利くので患者負担は少ないが、保険料や公費の負担は大きい。治療は成功して女性は無事に退院したが、その数カ月後に肺炎で亡くなった。治療を担当した医師は振り返る。「症状が悪化するまで畑仕事をしており、『もう一度元気になりたい』という思いが強かった。高齢になるほど肺炎や脳梗塞(こうそく)のリスクは高くなるが、発症するのか予測は難しい」 TAVIは国内では2013年に保険適用され、8千例以上行われた。だが、比較的余命が短い「超高齢者」にどこまで使うのか、医療現場は模索している。北里大学では、95歳の患者まで対象としたことがある。阿古潤哉教授は「体力や認知能力などから適応をしっかり選んで実施している。国民皆保険がこのまま持つかどうか懸念はあるが、年齢だけで区切っていいのか難しい」と漏らす。TAVIの費用対効果は高いとされるが、合併症を起こす可能性が大きい高齢者には費用対効果が低いという海外の研究もある。TAVIの関連学会協議会の事務局を務める鳥飼慶・大阪大講師は「手術できない高齢者にとってTAVIは福音となる技術。ただ、超高齢者にどこまで適応をするかは、医療費の観点も含めて議論していく必要があるのではないか」と話す。日本人の平均寿命は伸び続け、16年は女性が87・14歳、男性が80・98歳になった。一方、高齢になるほど医療費はかさみ、14年度の医療費(約41兆円)の3分の1以上にあたる約14兆円は、後期高齢者医療制度に入る75歳以上が使った。大島伸一・国立長寿医療研究センター名誉総長(71)は、こう訴える。「平均寿命を超えたら超高額な薬は使わないことや、治療内容によっては自己負担割合を引き上げることなどを本気で考えないと、医療が崩壊するかもしれない」 とはいえ、高齢者の医療費を削減する議論は、命に直結する問題だけに容易ではない。とりわけ多くの医療費がかかる延命治療のあり方は難題だ。患者の意思が確認しづらく、望まない延命治療が行われる場合もあるとされる。そこで京都市は4月、患者の意識が明確なうちに延命治療をするかどうかなどを決めておく「事前指示書」を約3万部つくり、配布を始めた。すると「生命を軽んじている。国の医療費抑制に同調しているのでは」といった反発が出た。政府は08年4月に、医師が延命治療などの相談を受ければ報酬を加算する仕組みを導入したが、「高齢者は早く死ねということか」といった強い批判を受け、3カ月後に凍結。10年4月に廃止された。国立がん研究センターは4月、高齢の進行期がん患者は抗がん剤による延命効果がみられない可能性があるという研究結果を公表し、波紋を広げた。同センターの中釜斉(ひとし)・理事長は「研究の狙いは医療費抑制ではない。体力が乏しく副作用のリスクも大きい高齢者に最適な治療を考える研究の一環だ」と説明。症例数が少ないため、より大規模な研究が検討されている。>

東京新聞「高齢者の抗がん剤治療指針を作成 延命効果を調査 厚労省方針」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017042802000115.html)では「肺がんでは、七十五歳未満で抗がん剤治療による明らかな延命効果が見られたが、七十五歳以上は抗がん剤治療を受けた患者と受けていない患者の生存期間に大きな差はなかった。(中略)胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんでも調べたが、統計的に意味のある結果は出なかった。」と出ていた。肝炎治療費公費助成(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/080328_josei.html)でも80代、90代の方々がみられるが、はたして高額薬剤の延命効果のエビデンスはどうなのであろうか。日本老年医学会「高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言」(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/proposal/pdf/definition_01.pdf)では、「75歳~89歳を高齢者」「90歳以上を超高齢者」と提言されているが、エビデンスがはっきりしない高額薬剤について、公費助成や公的医療保険のあり方について検討されても良い感じがする。「がん対策加速化プラン」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107743.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000107766.pdf)p11「診療ガイドラインに記載されている標準的治療は、一般的ながん患者に推奨できる治療法を示したものであり、高齢者や他疾患を持つ患者が増えている中、これらの患者に対して実施された場合の有効性・安全性等の検証は十分に実施されていない。」とある。日経メディカル「高齢者肺炎を「治療しない」選択肢に踏み込む」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201605/546975.html)も注目された。
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小規模公立病院

2017年08月28日 | Weblog
キャリアブレイン「小規模公立病院、経営環境改善に何が必要か? 内閣府が調査リポート公表」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20170828155746)。<以下引用>
<内閣府は、小規模な公立病院の経営課題をまとめた調査リポートを公表した。病床数が200床未満の公立病院に対するヒアリングの結果が盛り込まれており、経営環境の改善については、自治体と良好な関係を構築することが「必要条件」などと指摘。自治体から派遣されている職員が病院事業の経験を積み、経営トップをサポートすることや自治体とのパイプ役を務めることが経営改善につながる可能性があるとしている。リポートは、公立病院や地域医療に詳しい伊関友伸・城西大経営学部教授、島崎謙治・政策研究大学院大教授らが加わった研究会の意見や調査結果を基にまとめたもので、小規模な公立病院の経営課題を明確化している。2007年度から14年度までの間、組織形態を変えずに継続的に事業を実施してきた605病院の病院規模別などの医業収支を分析したところ、収支の悪化した病院は、小規模病院であるほど「収益と費用が共に減少」したケースが多かったことが判明。DPC制度の導入に関しても、小規模な病院は病床や医師数などの経営資源に制約があるため、DPC制度のような経営政策に取り組むことは困難としている。また、分析サンプルとして抽出した小規模な公立病院(406病院)を不採算地区指定の有無などを基に4つのタイプに分類。近隣に病院がない地域に立地し、1日当たりの平均外来患者数や病床稼働率が分類中で最も低い水準の病院に該当する場合は、「医療機能の維持のための支援も必要」とした。この4つのタイプからそれぞれ1病院を選び、インタビュー調査を行ったところ、いずれの病院も自治体との関係が良好であったことから、「経営改善の条件として、自治体と良好な関係を構築することは、必要条件である可能性が高い」と指摘。「自治体の職員が、病院事業の経験を蓄積し、経営トップのサポートや自治体とのパイプとしての役回りを十分果たすことも、経営改善に良効果をもたらす可能性がある」としている。>

総務省「公営企業の経営戦略及び新公立病院改革プランの策定状況」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000173.html)が出ていたが、「「地域医療構想を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」 」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)も注目である。「新公立病院改革プラン」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135068.pdf)と「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)が具体的に進まないのに、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)は進まない。「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chiikiiryou_kakuho/index.html)の報告書案(http://www.soumu.go.jp/main_content/000501354.pdf)には目を通しておきたい。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「公立病院経営に関する分析平成28年度「公立病院の経営改革による経済・財政効果に関する調査」報告より」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg5/290417/shiryou3.pdf)p8「小規模病院の立地状況と収支」では、総病床200床未満である406病院が、「不採算地区外病院(124病院)」と「不採算地区病院(282病院)」で分けられ、p10「不採算地区外病院競合有り(89病院)」、「不採算地区外病院競合無し(35病院)」、p11「不採算地区病院競合有り(130病院)」、「不採算地区病院競合無し(152病院)」とマッピングされていた。資料(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg5/290417/shiryou3.pdf)p9不採算地区病院は「150床未満の一般病院で「最寄りの一般病院まで15㎞以上」又は半径5Km以内人口が3万人未満」である。「地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「調整会議における議論の進め方について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000168626.pdf)p8「病床過剰地域において、病床を稼働していない場合」の対応を優先すべきであろう。
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発達障害

2017年08月27日 | Weblog
NHK「発達障害の早期診断 体制拡充へ診断できる医師養成」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170827/k10011114091000.html?utm_int=news_contents_news-main_004)。<以下引用>
<他人とのコミュニケーションがうまく取れないといった発達障害について、早期に診断する体制を広げようと、厚生労働省は地域のかかりつけ医などが研修で専門的な知識を学び、診断を担えるようにする取り組みを全国で実施していくことになりました。発達障害の人の中には、他人とのコミュニケーションがうまく取れないことで学校や職場で孤立する人も多く、いち早く診断を受けたうえで障害の特性にあった支援を受けることが重要とされています。しかし、総務省がおととし全国27の医療機関を対象に初診の予約を受けてから実際に診察を行うまでの期間を尋ねたところ、平均で3か月以上と答えた医療機関が半数を占めたということです。このため厚生労働省は早期に診断する体制を広げようと来年度から都道府県と政令指定都市ごとに発達障害を診断できる医師を養成していくことになりました。専門的な医師のいる医療機関で地域のかかりつけ医などを集めた研修を実施し、発達障害の知識や診断方法などを身につけてもらうことにしています。厚生労働省は研修などに必要な費用として来年度予算案の概算要求に1億5000万円を盛り込んでいます。>

第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の地域医療計画課長通知「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制構築に係る指針」p48~「精神疾患の医療体制構築に係る指針」p53「第7次医療計画においては、発達障害に対応できる医療機関を明確にする必要がある。また、発達障害に対応できる専門職の養成や多職種連携・多施設連携の 推進のため、地域連携拠点機能及び都道府県連携拠点機能の強化を図る必要がある。この際、平成 28 年度から実施している「かかりつけ医等発達障害対応力向上研修」を活用すること。」とあり、p63「(1) 地域精神科医療提供機能、(2) 地域連携拠点機能、(3) 都道府県連携拠点機能」の機関が示されることになっている。平成29年1月20日の総務省行政評価局「発達障害者支援に関する行政評価・監視<結果に基づく勧告>」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/110614.html)では、①発達障害の早期発見、②適切な支援と情報の引継ぎ、③専門的医療機関の確保について勧告されたが、昨年8月施行の「改正発達障害者支援法」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/1377400.htm)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000128814.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000128829.pdf)に基づき、しっかり対応する必要がある。まずは、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000128829.pdf)p2に示す発達障害者支援法における国・都道府県・市町村の役割を理解し、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000128829.pdf)p12に示す都道府県「発達障害者支援地域協議会」を通じて、組織横断的な対策が講じられなければならない。「障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業の提供体制の整備並びに自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針の一部を改正」(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160374&Mode=0)では「障害児支援の提供体制の整備等」で、①平成32年度末までに、児童発達支援センターを各市町村に少なくとも1カ所以上設置することを基本とする。②平成32年度末までに、すべての市町村において、保育所等訪問支援を利用できる体制を構築することを基本とする。③平成32年度末までに、主に重症心身障害児を支援する児童発達支援事業所及び放課後等デイサービス事業所を各市町村に少なくとも1カ所以上確保することを基本とする。④平成30年度末までに、各都道府県、各圏域及び各市町村において、保健、医療、障害福祉、保育、教育等の関係機関等が連携を図るための協議の場を設置することを基本とする。」に関する「見える化」が欠かせないように感じる。いくら法律が改正されても自治体で取り組まれなければ意味がない。
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入退院支援の地域診断を

2017年08月26日 | Weblog
メディウォッチ「入院前からの退院支援、診療報酬と介護報酬の両面からアプローチを—入院医療分科会(3)」(http://www.medwatch.jp/?p=15422)。<以下引用>
<退院支援加算1と2の算定対象である「退院困難な患者」について、「家族問題などで支援が必要な状態」や「在宅サービス利用や再調整が必要な状態」なども含まれることを明示してはどうか。2018年度診療報酬改定後に「地域連携診療計画加算」の算定件数が大きく減少していることから算定要件の見直しを検討してはどうか―。24日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」では、こういった議論も行われました。2018年度には診療報酬・介護報酬の同時改定となるため、退院後の円滑な介護施設入所を促進するためにも、診療報酬と介護報酬の両面からのアプローチを求める意見も出ています。退院支援加算の算定対象である「退院困難患者」、より具体的に示すべき 病院からの円滑な退院により、▼医療安全の確保▼患者のQOL向上▼医療費の適正化—などの効果が望めることから、診療報酬でも「退院支援」に力を入れる病院を評価しています。2016年度の前回診療報酬改定では、従前の「退院調整加算」を見直し、「退院支援加算」に組み替えています。具体的には、▼施設基準を厳格化(病棟に地域連携連中の看護師などを配置する)した【退院支援加算1】▼従前の退院調整加算に該当する【退院支援加算2】▼新生児の退院調整・支援を評価する【退院支援加算3】―の3区分となっています。ところで退院支援加算は、すべての退院患者に算定できるわけではありません。加算1と2では主に「退院困難な要因を有しながら、在宅療養を希望する患者」が算定対象で、具体的には▼悪性腫瘍、認知症、誤嚥性肺炎などの急性呼吸器感染症のいずれか▼緊急入院▼要介護認定の未申請▼排泄の要介助▼入退院を繰り返している—などのほかに、「その他、患者の状況から判断して上記に準ずると認められる場合」も含まれます。厚労省は24日の入院医療分科会に、この「その他、患者の状況から判断して上記に準ずると認められる場合」として、病院側が具体的にどういう状態と考えているのか調べ、次のように整理して示しました。【入院早期から把握し、速やかに関係機関と連携し、入院中から支援する必要があるケース】▽家族からの虐待や家族問題があり支援が必要な状態 ▽未婚などで育児のサポート体制がないため、退院後の養育支援が必要な状態 ▽生活困窮による無保険、支払い困難な場合▽保険未加入者であり市町村との連携が必要な場合 など【入院早期に「入院前に利用していたサービス」を把握し、退院後に向けた調整が必要なケース】▽施設からの入院で、施設での管理や療養場所の選択に支援が必要な状態 ▽在宅サービス利用の再調整や検討が必要な状態 この具体像について神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は、「2018年度の次期改定では、悪性腫瘍などと同じように明示すべき」と要望しました。診療報酬点数表などには、同様の「その他、●●に準ずる場合」と記載されることがよくあります。患者の状態などはさまざまで、すべて列挙することは不可能な、こういった記載が用いられますが、可能な限り具体化したほうが、医療機関にとっても、審査支払機関にとっても分かりやすくなると考えられます。入院前・入院早期からの退院支援により、円滑な退院に有用 退院支援加算を算定するためには、入院後早期に前述の退院困難な患者を抽出し(加算1では3日以内、加算2では7日以内)、早期に患者・家族と面談し(加算1では7日以内、加算2ではできるだけはやく)、早期に多職種による退院支援に向けたカンファレンスを実施する(加算1では7日以内)ことが必要です。さらに、一部の病院では「入院前」から、退院支援に向けた取り組みを行っており、それが円滑な退院に効果をもたらしているといいます。例えば高齢者の予定入院において、外来診療の中で「この患者は入院が必要な状態だが、退院後に在宅介護が必要になるであろう。果たして要介護認定を受け、退院後すぐに介護保険サービスを受けられる状況にあるであろうか」といった点を考慮し、ケアマネジャーと連携することなどが考えられます。厚労省の行った調査によれば、7対1病棟・療養病棟の2割程度、10対1病棟・回復期リハビリ病棟の3割程度、13対1・15対1病棟の4割程度、地域包括ケア病棟の5割弱では、入院前から担当ケアマネがおり、半数超で「ケアマネからの情報提供が有用であった」と感じていることが分かりました。また、個別事例について自治体との連携状況を見ると、7対1では7割弱、10対1では5割弱、地域包括ケア病棟では6割弱が連携しています。さらに地域ケア会議(自治体職員、ケアマネ、介護事業者、医師、看護師、リハビリ専門職などが集い、個別の困難事例支援などを通じて▼地域支援ネットワーク構築▼高齢者の自立支援に資するケアマネジメント支援▼地域課題の把握―などを行う)への医療機関の参加状況を見ると、病棟の種別で若干の差はあるものの「5割前後が参加」している状況が分かりました。また外来患者が自院に入院する際に、6割超の病院では「連携のための部署・窓口」を整備しており、3割超の病院では「看護師などが調整を行っている」ことも分かりました。ほとんどの病院で、入院前からの退院支援に向けた一定の取り組みを行っていることが伺えます。このように、ケアマネや自治体などと連携した「入院前からの退院支援」などが円滑な退院に有効であることが示唆されており、厚労省は▼入院前▼入院早期—からの効果的な退院支援を診療報酬でどう評価していくか、検討を要請しています。この点、武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会相澤東病院看護部長)は、▼外来と入院をつなぐ「入退院センター」の設置▼薬剤師による入院前の使用薬剤把握—なども含めた評価を検討するよう要請。筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)は、「2018年度は同時改定になるので、診療報酬と介護報酬の双方からのアプローチ(情報連携した場合、医療機関もケアマネも報酬で評価される)を行ってほしい」と要望しました。神野委員も同旨の考えを述べています。厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、診療報酬を担当する保険局医療課と介護報酬を担当する老健局老人保健課とで連携を図っていることを強調しています。また池端幸彦委員(医療法人池慶会理事長)は、▼高齢者の入院時に病院側がケアマネに連絡し、ケアマネから情報提供を受ける(ケアマネがいない場合には、病院側が要介護認定申請を支援する)▼入院中には病院とケアマネで情報連携する▼退院支援が開始されたら病院からケアマネに連絡し、ケアマネがケアプラン作成などを始める—という福井県退院支援ルール(福井モデル)の有効性を説明するとともに、「入院時の情報連携の評価充実」が重要と強調しています。地域連携診療計画加算の算定が大幅減、算定要件の見直しを求める声も ところで2016年度の前回診療報酬改定では、退院支援加算の創設に合わせて、従前の地域連携診療計画管理料(B005-2)、地域連携計画加算(A238退院調整加算の加算)などを、A246退院支援加算の加算【地域連携診療計画加算】に整理・統合しました。いずれも、いわゆる地域連携パスを用いた連携を評価するものです。この点、厚労省が算定状況を調べたところ、2016年度改定後に算定件数が大幅に増加していることが判明しました(合計はもちろん、改定前の地域連携計画加算のみと比べても減少)。この原因の1つとして、地域連携診療計画加算は『退院支援加算1と3の加算』という点がありそうです(退院支援加算1・3を届け出ていなければ、地域連携診療計画加算は算定できない)。牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)は、例えば回復期リハビリ病棟では、患者の身体機能回復状況を踏まえながら退院支援困難者の抽出や多職種カンファレンスを行う実態などを紹介し、「回復期リハビリ病棟で大急ぎで退院支援する(退院支援加算1の取得につながる)必要があるだろうか。地域連携診療計画加算の退院支援加算1と3への限定は疑問だ」と述べ、次期改定での算定要件見直しを求めています。再入院率、病棟で提供する「医療の質」を図れる指標として注目 なお、7対1病棟や地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟の施設基準である「在宅復帰率」について、厚労省は「評価の趣旨を踏まえた整理が必要」と考えています。24日の入院分科会でも、多くの委員から「7対1では自宅以外に、地域包括ケア病棟や療養病棟への転院でも在宅復帰率にカウントされる。『連携率』などの名称に見直してはどうか」といった指摘がなされています。また神野委員は「7対1を早期退院して、他の状態にあった病棟へ移ることを評価すればよい」とし、7対1における在宅復帰率は「廃止すべき」とコメントしました。本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)も「形骸化しており廃止すべき。継続するのであれば『自宅への退院』を手厚くカウントすべき」と求めています。これに関連して、厚労省は「再入院率」のデータを提示。1年間における再入院率を見ると、20%以上30%未満の病院がもっとも多く、また「同一疾患での6週間以内の再入院率」は10%未満がほとんどとなっていますが、一部には再入院率が40%を超える病院もあります。十分な治療をせずに早期退院のみを追い求めれば再入院が多くなるため、再入院率は「医療の質」を図る重要指標の1つと言えます。平均在院日数や退院支援などと併せて、再入院率の評価を組み合わせれば、「適切な医療を提供しながら、早期退院に力を入れている病院」を抽出して評価できるため、今後の検討に注目する必要がありそうです。>

「入院医療等の調査・評価分科会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128166)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000175150.pdf)p65「○ 入退院支援に係る診療報酬上の評価と算定状況や、退院困難な要因に係る分析を踏まえ、入院前あるいは入院早期からの効果的な支援の取組みについて、どのように考えるか。 ○ 地域連携診療計画に係る評価について、改定前後の変化について、どのように考えるか。 ○ 在宅復帰率については、病棟の種類により、退院先の違いで評価方法が異なっているが、評価の本来の目的を踏まえ、評価方法等について整理が必要ではないか。その際、内容がより適切に表現されるような名称についても検討してはどうか。」の行方が注目されるが、p38~p39現状の「退院に向けた支援・連携に関する主な評価」とともに、介護報酬の「入院時情報連携加算」(http://www.baycom.zaq.ne.jp/bgbxh102/newpage366.html)、「退院・退所加算」(http://www.baycom.zaq.ne.jp/bgbxh102/newpage375.html)は常識としたい。それぞれの地域において、入退院支援にかかる診療報酬や介護報酬の算定状況がどうなっているか、評価できるようにしなければならない。地域包括ケアは国単位や都道府県単位のデータで論じる時代ではないであろう。医政局の「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)について、平成29年8月9日付の厚生労働省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室の事務連絡「平成28年度版医療計画作成支援データブックの改訂について」、平成28年9月14日医政局地域医療計画課事務連絡「医療計画作成支援データブック【平成27年度版】の利用について」、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」では「国が定める誓約書」による厳格な規制がかかっており、医療計画に直接かかわらない行政職員すら閲覧できないでいる。厚労省が公表している「NDBオープンデータ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)には在宅医療関連をはじめ、様々なレセプト分析データが出ているのであるが、なぜか都道府県単位どまりである。もう一つ、入退院支援の地域診断で重要と感じるのは、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)である。「地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「病床機能報告の項目の追加・見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000166638.pdf)p3「報告項目の追加・見直しについて(案)」では「「入院前・退院先の場所別の患者数」、「退院後に在宅医療を必要とする患者数」について、報告対象期間を、現在の1か月間から、1年間に見直してはどうか。」とあり、今後、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)のデータベース化による病棟単位の詳細な分析が普遍化されるように感じる。
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地域包括ケア病棟の差別化と病院の機能分化・連携

2017年08月26日 | Weblog
メディウォッチ「地域包括ケア病棟、初期加算を活用し「自宅からの入院患者」の手厚い評価へ—入院医療分科会(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=15404)。<以下引用>
<地域包括ケア病棟では、6割強の入院患者に対して【救急・在宅等支援病床初期加算】が算定されており、現在は「自宅などからの入院患者」でも「急性期病棟からの転院・転棟患者」でも算定可能となっている。しかし、両者では患者の医学的状態や検査実施状況などに違いがあり、これをどう考えていくべきか—。24日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)では、こういったテーマでも議論が行われました。自宅などからの入院患者のほうが、急性期後の転院患者よりも状態が不安定 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会や入院医療分科会では「地域包括ケア病棟の機能分化」が論点の1つとなっています。主に「急性期病棟からの転院・転棟患者」を受け入れている病棟(post acute機能)と、「自宅などからの入院患者」も積極的に受け入れている病棟(sub acute機能)とがあり、後者のほうが「状態が不安定」な傾向があることから、報酬上でも両者を分ける必要があるのではないか、という議論です。24日の入院医療分科会では、厚生労働省から新たに次のようなデータが示されました。急性期後患者を「自院における転棟患者」と「他院からの転院患者」に分けてみています。▼患者の主傷病を見ると、骨折の割合が、「自院の7対1などからの転棟患者」(26.0%)では、「他院の7対1などからの転院患者」(16.5%)、「自宅などからの入院患者」(16.1%)に比べて高い ▼患者の医療的な状態を見ると、「安定している」患者の割合が、「自宅などからの入院患者」(67.1%)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(76.2%)、「他院の7対1などからの転院患者」(70.7%)より低い ▼医学的な要因以外で退院できない患者の割合を見ると、「自院の7対1などからの転棟患者」(17.3%)では、「他院の7対1などからの転院患者」(10.6%)、「自宅などからの入院患者」(8.2%)に比べて高い ▼状態が不安定で急性期治療を行っているので退院できない患者の割合を見ると、「自宅などからの入院患者」(26.7%)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(8.6%)、「他院の7対1などからの転院患者」(3.2%)よりも高い ▼検体検査や生体検査、X線撮影などの実施状況を見ると、「自宅などからの入院患者」(生体検査では13.4%)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(6.0%)、「他院の7対1などからの転院患者」(7.7%)よりも高い 改めて「自宅などからの入院患者」では、「急性期病棟からの転院・転棟患者」よりも状態が不安定で、医療の必要性が高いことが伺えます。牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)は、こうした状況を踏まえ「自宅などからの入院患者を多くい受け入れれば、それだけ病院には負荷がかかることになる。加算などで評価してはどうか」と提案しています。「自宅などからの入院患者」の評価、初期加算の算定対象限定という手法も では、具体的にどういった評価方法が考えられるのでしょう。例えば、▼外形に着目し7対1病棟などを持つ病院の地域包括ケア病棟では、入院料の減額などを行う(逆に、7対1などを併設していなければ入院料の増点や加算新設などを行う)▼入院患者に着目し、「自宅などからの入院患者」割合が一定以上の地域包括ケア病棟では、入院料の増点や加算新設などを行う(逆に、「急性期後患者」が一定割合以上の地域包括ケア病棟では、入院料の減額などを行う)―ことなどが思い浮かびます。この点について厚労省は【救急・在宅等支援病床初期加算】(以下、初期加算)に注目しているようです。この初期加算は、(1)急性期を担う他院の一般病棟(2)自宅・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど(3)急性期を担う自院の一般病棟—からの患者について、14日まで、1日150点が入院料に上乗せされるものです。2016年6月のレセプトからは、件数ベースで63%、回数ベースで36%の患者に初期加算が算定されています。この初期加算の算定対象を、例えば(2)の「自宅などからの入院患者」に限定すれば、患者1人当たり最大2100点(2万1000円、150点×14日)の格差を設けることができます。また、上記の案では、「外形だけでは入院患者の状況を適切に反映できない」「自宅などからの入院患者割合などは変動するため、基準をどう設定するかが難しい」などの課題がありますが、初期加算を活用すれば、こうした課題はそもそも生じず、報酬体系上の「簡素で分かりやすい」と言えます。厚労省は「初期加算を活用する」といったコメントはしていませんが、有力候補の1つと言えそうです。なお、地域包括ケア病棟の患者像をより適切に把握するために、武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会相澤東病院看護部長)や筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)は「重症度、医療・看護必要度におけるB項目」(患者の状況等、いわばADLを評価)の導入を提案しています。>

メディウォッチ「「在宅・生活復帰支援のアウトカム評価」導入で、稼働率に依存しない地域包括ケア病棟に—地域包括ケア病棟協会」(http://www.medwatch.jp/?p=15442)。<以下引用>
<現在の診療報酬体系では、「在宅・生活復帰支援に力を入れ平均在院日数を短縮する地域包括ケア病棟」と「稼働率維持のために平均在院日数を伸ばす施設」との経営面を比べると、前者のほうが高コストで利益が出にくくなっている。今後、在宅・生活復帰支援に関するアウトカム評価を行い、地域包括ケア病棟が「病床稼働率に依存しない」経営を目指せるようにすべきである—。地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長・安藤高朗副会長は24日、厚生労働省にこういった提言を行いました。あわせて、2018年度の次期診療報酬・介護報酬改定に向けて、「緊急時の受け入れ」や「入退院支援」の評価を充実するよう要望しています。緊急での患者受け入れ、入院前からのケアマネとの連携を評価せよ 地域包括ケア病棟協会では、2016年度・17年度に「地域包括ケア病棟の機能等に関する調査」を実施(17年度には616病院、地域包括ケア病棟を届け出ている1894病院の32.5%が回答)。そこから、「地域の医療ニーズに応えたいが、地域包括ケア病棟の届け出が難しい」「在宅・生活復帰支援の充実が難しい」といった課題が浮かび上がりました。仲井会長・安藤副会長は、この課題を深掘りし、次のような対応を図るよう厚労省に要望しています。(1)地域包括ケア病棟に緊急入院した患者の1割超が救急搬送されており、他の患者よりも医療資源投入量が多いと考えられる。より積極的な「緊急患者の受け入れ」を進めるために、「緊急で受け入れ、在宅・生活復帰を促す」点についてプロセス評価・アウトカム評価を行うべき (2)ほとんどの地域包括ケア病棟では「発症前・入院前のアセスメント」を行っており、これが▼在宅・生活復帰支援のゴール▼元の暮らしに戻るための基準▼予測医療資源投入量の把握—となる。アセスメントに伴い、「入退院前後で、生活支援の程度を重くしない、軽減させる」点についてプロセス・アウトカム評価を行うとともに、「入院前・入院後超早期に医師などからケアマネジャーに『介護福祉情報』提供を依頼し、それに基づく『予後』『在宅医療介護福祉サービスの変化予測』を含めた診療計画のケアマネジャーらへの提供を評価するべき (3)「在宅・生活復帰支援に力を入れ平均在院日数を短縮する地域包括ケア病棟」と「稼働率維持のために平均在院日数を伸ばす施設」との経営面を比べると、前者のほうが高コストで利益が出にくくなっている。今後、在宅・生活復帰支援に関するアウトカム評価を行い、地域包括ケア病棟が「病床稼働率に依存しない」経営を目指せるようにすべき (4)全国統一の院内・地域内共通のアセスメント票を開発し、それに基づく評価データの提出をプロセス評価すべき。これにより、▼地域包括ケア病棟で、どのような患者を受け入れているのかの実態を精緻に分析し、地域医療構想の実現に貢献できる▼2020年度以降のデータヘルス改革にも結び付けられる▼人材養成課程の見直しにも活用できる—といったメリットがある (5)地域によって求められる病院機能は異なり、大規模病院が複数の地域包括ケア病棟が必要な地域もある。地域特性に配慮し、「地域包括ケア病棟と高度急性期病床との組み合わせに関する診療報酬上の制限」を緩やかにし、地域医療構想調整会議において「大病院における地域包括ケア病棟の複数設置の可否」などを話し合ってはどうか アウトカム評価により、病床削減しても収益を確保できる構造に このうち(3)は、メディ・ウォッチでもたびたびお伝えしている「平均在院日数を延伸して、病床稼働率を維持する」動きを牽制するものです。平均在院日数の減少は医療安全の確保やADLの維持などのメリットがありますが、新規患者の獲得などができなければ病床稼働率の低下(つまり収益の悪化)につながってしまいます。地域では人口、つまり入院患者数そのものが減少し、新規患者の獲得が難しいところも出てきています。このため病床稼働率(つまり収益)を維持するために平均在院日数を延伸させる病院も出てきていると予想されます。特に包括報酬が設定されている地域包括ケア病棟では、この傾向が強くなります。このため「病床削減」や「近隣病院との統合・再編」を視野にいれた病床戦略が必要になりますが、仲井会長は「アウトカムに着目した評価を導入すれば、病床削減への抵抗感が薄れる」と予測。「在宅・生活復帰支援」のアウトカム評価を導入し、成績の良い施設へのプラス評価を行うべきと強く求めています。地域によっては「大病院における複数の地域包括ケア病棟設置」も認めよ また(5)は、例えば東京などの大都市では、病院が多く「機能分化・連携の推進」が可能ですが、例えば「公立病院が高度急性期から慢性期まで幅広い機能を持たなければいけない」地域も少なくありません。しかし後者の地域では、▼許可病床数500床以上の病院▼救命救急入院料・特定集中治療室管理料・ハイケアユニット入院医療管理料・脳卒中ケアユニット入院医療管理料・小児特定集中治療室管理料を届け出ている病院―において「地域包括ケア病棟は1病棟のみ」との設置制限があり、適切な医療提供体制の確保が難しいとの指摘もあります。そこで仲井会長は「制限を緩やかにし、地域医療構想調整会議で『大病院における複数の地域包括ケア病棟設置』を議論してはどうか」と提案しています。2018年度の次期診療報酬改定で実施可能な提言(例えば(5)の設置制限緩和)と、数年かけての検討が必要な提言(例えば(4)の共通指標構築)とあり、今後、厚労省や中央社会保険医療協議会、社会保障審議会・介護給付費分科会でどう取り扱われるのか注目したいところです。なお、2018年度の次期診療報酬・介護報酬改定に向けて、▼「緊急時の受け入れ」の評価充実(例えば【救急・在宅等支援病床初期加算】の充実など)▼「入退院支援」の評価充実(例えば入院前・入院後超早期の支援に対する【退院支援加算】での評価、ケアマネジャーの【入院時情報連携加算】の充実など)―も要望しています。>

「入院医療等の調査・評価分科会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128166)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000175150.pdf)p68「 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)について、求められる機能に応じた医療の提供を推進する観点から、例えば、 ・ 急性期病棟等と連携して患者を受け入れる機能と、・ 自宅等から患者を受け入れ在宅療養を支援する機能、 といった点に着目しつつ、患者の状態や医療の内容に応じた評価を検討すべきではないか。」、p85「地域包括ケア病棟の入院患者について、入棟前の居場所が、自宅等から入院する患者と、急性期病棟から転棟・転院する 患者とで区別して分析すると、患者の状態、入院の理由、検査等の実施状況等に関して、その傾向に一定程度の差があるこ とについて、どのように考えるか」の行方が注目であるが、「入棟前の居場所が、自宅等から入院する患者と、急性期病棟から転棟・転院する 患者とで区別」だけではなく、病院の機能分化・連携の観点から、p64「在宅復帰率の算出方法」で、例えば、7対1病棟での分子「地域包括ケア病棟」について、自施設か他施設か、での差別化があっても良いように感じる。
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デンスブレスト

2017年08月25日 | Weblog
朝日新聞「乳がん見つかりにくいタイプの女性、実態調査へ」(http://www.asahi.com/articles/ASK8R74FJK8RUBQU013.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<乳がん検診でがんが見つかりにくい「高濃度乳房」について厚生労働省は、初の大規模な実態調査を始める。近く研究班を設置し、高濃度と判定された女性に通知する体制を整備。乳がんの見落としを減らすことにつなげる。乳がんは、女性がかかるがんで最も多い。国は40歳以上の女性に2年に1度、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)検査の受診を推奨し、自治体ごとに検診が行われている。母乳を作る乳腺が張り巡らされた乳房は、乳腺密度が高い順に4段階に分類される。最も高いのが「高濃度」で次が「不均一高濃度」。高いほど画像に白く写り、同じく白く写るがんを見つけにくい。一部の自治体のデータから日本女性の4割は高濃度との推計がある。また、高濃度乳房は乳がんになりやすいとの指摘もあるが、正確な実態は分かっていない。>

すでに保健指導リソースガイド「乳がん検診は今後はどう変わる? 「高濃度乳房」の実態調査を開始」(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2017/006208.php)が報じられている。がん検診のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128563)の資料「乳がん検診における「高濃度乳房」への対応について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000166903.pdf)では「今後の対応の方向性(案)」として、「高濃度乳房に対しても高い感度で実施できる検査方法について検討してはどうか(その一つとして、乳房超音波検査併用検診の感度等について検証する)、高濃度乳房の判定基準の検討を行ってはどうか、高濃度乳房の実態調査を実施してはどうか、受診者が高濃度乳房を正しく理解できるよう、通知すべき標準的な内容を明確にしてはどうか、検診実施機関において、受診者に対し、あらかじめ乳房の構成の通知に関する希望の有無について把握してはどうか」とあり、デンスブレスト対応の検討には時間がかかりそうである。すでに「川崎市の乳がん検診における乳房の構成に関する通知の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000158050.pdf)のように、デンスブレストに取り組んでいる自治体もある。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000158058.pdf)「高濃度乳房の頻度」の「高濃度乳房=極めて高濃度+ 不均一高濃度」の割合は認識したい。「対策型乳がん検診における「高濃度乳房」問題の対応に関する報告書」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000158057.pdf)の考案では「対策型検診において乳房の構成を一律に通知することは、今後検討が進み対象者に検診後の対策(検査法等)を明示できる体制が整ってから実施されることが望ましい。しかし、一方で、乳房の構成は受診者個人の情報であり、基本的には受診者の知る権利が尊重されるべきである。」とあり、方向が定まっていない。そういえば、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001tpur-att/2r9852000001tq0j.pdf)で、「現状のマンモグラフィによる40代の乳がん検診では約3割のがんが発見できない」とあった。がん検診のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128563)の中間報告書(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000098765.pdf)p3「マンモグラフィは乳腺濃度の高い乳房では相対的に診断精度が低下するため、高濃度乳腺が多い日本人女性において、特に乳腺濃度の高い40歳代の検診におけるがん発見率の低さや偽陽性率の高さが指摘されている。このため、乳がん検診において、40歳代の女性を対象に、マンモグラフィに超音波検査を併用する群とマンモグラフィ単独群とのランダム化比較試験が実施されており、マンモグラフィと超音波検査の併用群は、マンモグラフィ単独群に比べ、感度及びがん発見率においてその有用性が示されたが、死亡率減少効果については、引き続き検証を行っているところである。超音波検査については、将来的に対策型検診として導入される可能性があり、検査機器の仕様や検査方法、読影技術や診断基準の標準化等、評価体制や実施体制についても、引き続き検討していく必要がある。」とあり、行方が注目である。「がん検診における過剰診断」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000137845.pdf)p15「対策型検診と任意型検診の比較」、p16「利益・不利益バランス」にあるように、任意型のがん検診では個人レベルで判断することになるが、医療技術の進歩によっても、がん検診は変化するように感じる。また、ブレストケアグラブ(http://icst.jp/products/breast/)(http://www.ndy-u.info/beaudrug/dtbs/itm/bcg06.html)のような自己触診補助用具の普及も図りたいものである。乳がんの危険因子(http://www.sutaa.net/nyugan/0001/0104/5.php)も勘案したいところかもしれない。
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厚生連病院

2017年08月25日 | Weblog
キャリアブレイン「地域医療構想踏まえた病院機能も検査対象に 農水省が厚生連検査マニュアル案」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20170824163638)。<以下引用>
<農林水産省は24日、厚生連病院を対象とした検査マニュアル案のパブリックコメントの募集を始めた。医療法に基づく立入検査以外の検査項目を「経営管理態勢」「財務管理態勢」などの分類ごとに記載。地域医療構想を踏まえた病院の機能も検査対象に含めている。同省によると、協同組合連合会や共済組合団体などを対象とした検査マニュアルは整備されているが、厚生連病院を対象とした検査については「個別の検証事項等をチェック形式で整理した検査実施要領が存在するのみで、態勢面の検証に対応したマニュアルが整備されていない」と指摘。マニュアルを制定し、検査の質の向上と改善の取り組みを促す必要があるとしている。マニュアル案では、例えば経営の方針・計画の内容については、地域医療構想を踏まえ、▽病院の機能▽他の病院との連携の在り方▽医師・看護師などの確保の考え方―といった事業の将来的な展望を明確にし、その基本的な枠組みを明らかにしているかどうかもチェックする。また、病院建設などの「大規模投資」に関しては、地域医療圏内における厚生連病院の位置付けに加え、医療従事者の確保策、建設後の病院の収支見通しなどを検査対象に含めている。同省は9月22日までパブリックコメントを受け付ける。>

通知「「地域医療構想を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」について 」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)が出ており、地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「公的医療機関等改革プラン(仮称)(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000171567.pdf)p3の開設者「・地方公共団体の組合 ・国民健康保険団体連合会 ・日本赤十字社 ・社会福祉法人恩賜財団済生会 ・厚生農業協同組合連合会 ・社会福祉法人北海道社会事業協会」、p4「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)」、p5「独立行政法人国立病院機構」、p6「独立行政法人労働者健康安全機構」の公的病院改革プランは、「地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を踏まえたものになる。「救急・災害医療関連の医療機関は9月末まで、そのほかの医療機関は12月末まで、それぞれ策定期限」は少々慌ただしい感じがしないでもないが、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)では、毎年、現状と6年後の病棟機能を示すことになっていることを踏まえたい。そういえば、総務省「公営企業の経営戦略及び新公立病院改革プランの策定状況」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000173.html)が出ていた。今後、公立病院以外の公的病院の「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)に注目である。公的病院の改革プランが具体的に進まなければ、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)は進まない。「各都道府県の地域医療構想について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000164337.pdf)p31~「各構想区域における4機能ごとの病床の必要量」をみれば、「急性期の過剰」とされる区域が多い。急性期病床過剰と判断される地域は、市区町村別の将来人口推計(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson08/5-sai/shosai.html)による人口減少だけでなく、「病床利用率が低い一般病床」の存在が大きいであろう。医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/dl/youryou.pdf)では、医療機関の病床種別の許可病床及び前年度1日平均患者数が出ており、各医療機関の病床利用率がわかり、病床利用率が低い医療機関が少なくない状況にある(特に一般病床)。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000151974.pdf)p16「都道府県知事の権限」が行使される前に、ダウンサイジングする必要があるように感じる。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)による政策医療とも関連するが、もはや、どの病院も医師・看護師を確保して病床利用率を上げる時代ではない。それは「地域住民にもっと重い病気に罹ってくれ、大ケガしてくれ」と要請することにもつながりかねない面もあることは認識したい。
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