メディウォッチ「2017年度立入検査、事故事例教訓とした業務改善の共有や特定看護師業務などを重点に―厚労省」(http://www.medwatch.jp/?p=15522)。<以下引用>
<2017年度に実施する医療機関への立入検査では、▼医療事故事例に基づく改善策の院内での共有▼偽造医薬品対策▼個人情報の保護▼特定看護師の業務―などの項目を重視してほしい—。厚生労働省は25日に、通知「平成29年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」を発出し、こういった点を都道府県知事らに要請しました。重点項目を踏まえ、医療機関も業務の自己点検を 医療法第25条第1項では、▼都道府県知事▼保健所設置市の市長▼特別区の区長―に、必要に応じて、医療機関に立入検査(人員、清潔保持、構造設備、診療録、助産録、帳簿書類など)を行う権限を与えています。今般の通知は、2017年度の立入検査における重点事項を示すものです。逆に医療機関においては、示された事項について、適切な管理がなされているのかを自己点検することが求められていると言えるでしょう。厚労省が2017年度立入検査の柱としているのは、(1)安全管理体制の確保(2)院内感染防止対策(3)最近の医療機関における事件などに関連する事項(4)立入検査後の対応その他―の4本で、これは例年と同じです。まず(1)の安全管理体制に関しては、▼安全管理体制の確保に関する指導▼日本医療機能評価機構への適切な医療事故・ヒヤリハット事例報告が行われているのかの確認・指導▼医療事故調査制度(予期せぬ死亡事故の報告)に関する院内体制が確保されているのかの確認・指導▼医療事故防止対策の取り組み強化に向けた指導▼ドクターヘリに関する安全確保がなされているかの確認・指導▼アスベスト対策に関する指導・命令―を行うよう求めています。とくに「安全管理体制の確保」に関しては、▼事故事例に基づき、改善策が立てられ、院内全体で情報共有できているか▼医薬品業務手順書に基づく予約がなされているか▼緊急を要する医薬品安全性情報などを迅速に取得するためにPMDAメディナビを利用しているか▼医薬品を譲り受ける際に本来の容器などに収められているか▼医薬品の譲り渡し人が販売業許可などを有し、適切な流通経路で入手しているか―などを確認し、不備があれば指導を行うよう要請。特定機能病院(群馬大学病院、東京女子医科大学病院)などにおける事故の発生や、偽造ハーボニー(画期的なC型肝炎治療薬)の流通などの事例を踏まえた内容となっています。また(2)の院内感染防止対策については、MRSAやVRSAなどへの感染防止を徹底するために▼院内感染対策マニュアルの作成・見直しなどが適切に行われているか▼個人用防護具(手袋、マスクなど)の適正使用、処置前の手指消毒の励行などの標準的予防策が、職員に徹底されているか—などを確認し、必要な指導を実施するよう求めています。(3)の最近の事件などに関連する事項としては、▼集団食中毒▼無資格者による医療行為▼臨床研修修了者の医籍などへの登録▼非営利性の確認▼定員超過入院▼診療用放射線の安全管理対策▼診療用放射線の防護▼職員の健康管理▼電子カルテの不具合による薬剤誤投与▼防火対策▼個人情報の適切な取り扱い▼インフォームド・コンセント―などの項目を掲げ、重点的な確認・指導を行うよう要望しています。このうち個人情報の取り扱いについては、改正個人情報保護法に則り、適切に匿名加工などが行われているのか、十分に注意する必要があります。またインフォームド・コンセントについては、とくに自由診療を行う美容整形外科など(例えばレーシック手術や脱毛施術)においてトラブルが多発いていることを踏まえ、▼施術に係る費用や解約条件▼施術の有効性や安全性—などを説明しているか、医学的な必要性が認められないにも関わらず即日施術を強要していないかなどを確認し、適切に指導を行うよう強く求めています。さらに(4)の立入検査後の対応では、「立入検査後に改善状況を逐次把握する」よう求めているほか、▼系列病院・同系列とみなせる医療機関へは同一日に立入検査を行えるよう都道府県間で連携する▼広告などに関して医療法などを順守していない場合には適切な対応を講じる▼診療などに著しい影響を与える業務(検体検査、医療機器などの滅菌消毒、食事提供、患者などの搬送、医療機器の保守点検、医療ガスの供給設備の保守点検、寝具類の洗濯、施設の清掃)の委託先が、医療法施行規則で定める基準に適合しているかを確認する▼医師などの包括的指示の下で一定の医療行為を実施できる「特定行為研修を修了した看護師」が必要な研修を修了しているか、手順書(プロトコル)が作成されているか、特定行為研修の修了者であることが患者・家族・医療関係者などに分かるよう配慮されているかを確認し、適切な指導を行う—ことを要請しています。>
通知「平成29年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170825_03.pdf)が出ているが、少々気になる点が2つある。一つは「診療所の立入検査」である。「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=419341)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000155420.pdf)p97【医療の安全に係る立入検査の実施について】で「都道府県、保健所設置市又は特別区における立入検査については、「平成28年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」(平成28年12月19日医政発1219第18号)及び「医療法第25条第1項の規程に基づく立入検査要綱の一部改正について」(平成28年12月19日医政発1219第1号)に基づき実施しているが、特に医療機関において発生した医療事故について再発防止策が院内に周知されているとともに、遵守されていること 医薬品の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医薬品の安全使用を目的とした改善のための方策を講ずることなど医療安全に関する項目について厳正に確認し、必要に応じて指導方お願いする。」「立入検査は、全ての病院に対して少なくとも年1回、診療所・助産所に対しても、3年に1回程度、実施するようお願いする。」とある。また、平成28年度全国薬務関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000152351.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000153580.pdf)p17~「医療用麻薬・向精神薬等については、不正ルート等への横流れ等を防止するため、医療機関等への立入検査等を通じ、指導監督の強化を改めてお願いしたい。」とあり、薬事監視からも診療所を含む医療機関への立入検査が要請されている。総務省「医療安全対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000245532.pdf)p34で「診療所に対する立入検査の実施頻度については、特段の規定がないことから、都道府県等によって区々となっている。調査した37都道府県等(診療所を立入検査の対象としていない1都道府県等を除く。)のうち、有床診療所に対しては、3年に1回としているところが21都道府県等、無床診療所に対しては、特に規定していないところが15都道府県等、5年に1回としているところが14都道府県等となっている。」とあるように、自治体における立入検査の実施状況はかなり異なっていた。二つには「併設施設への立入検査」である。事務連絡「第7期介護保険事業(支援)計画における療養病床、介護医療院等の取扱いに関する基本的考え方について」、「第7次医療計画及び第7期介護保険事業(支援)計画の策定に係る医療療養病床を有する医療機関及び介護療養型医療施設からの転換意向の把握について」(https://www.zenhokan.or.jp/pdf/new/tuuti317.pdf)が出ているが、現状の病院の一部が介護医療院をはじめとする施設に転換されることが想定される。介護医療院が「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170825_03.pdf)の対象外となった場合の対応はどうなるであろうか。
<2017年度に実施する医療機関への立入検査では、▼医療事故事例に基づく改善策の院内での共有▼偽造医薬品対策▼個人情報の保護▼特定看護師の業務―などの項目を重視してほしい—。厚生労働省は25日に、通知「平成29年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」を発出し、こういった点を都道府県知事らに要請しました。重点項目を踏まえ、医療機関も業務の自己点検を 医療法第25条第1項では、▼都道府県知事▼保健所設置市の市長▼特別区の区長―に、必要に応じて、医療機関に立入検査(人員、清潔保持、構造設備、診療録、助産録、帳簿書類など)を行う権限を与えています。今般の通知は、2017年度の立入検査における重点事項を示すものです。逆に医療機関においては、示された事項について、適切な管理がなされているのかを自己点検することが求められていると言えるでしょう。厚労省が2017年度立入検査の柱としているのは、(1)安全管理体制の確保(2)院内感染防止対策(3)最近の医療機関における事件などに関連する事項(4)立入検査後の対応その他―の4本で、これは例年と同じです。まず(1)の安全管理体制に関しては、▼安全管理体制の確保に関する指導▼日本医療機能評価機構への適切な医療事故・ヒヤリハット事例報告が行われているのかの確認・指導▼医療事故調査制度(予期せぬ死亡事故の報告)に関する院内体制が確保されているのかの確認・指導▼医療事故防止対策の取り組み強化に向けた指導▼ドクターヘリに関する安全確保がなされているかの確認・指導▼アスベスト対策に関する指導・命令―を行うよう求めています。とくに「安全管理体制の確保」に関しては、▼事故事例に基づき、改善策が立てられ、院内全体で情報共有できているか▼医薬品業務手順書に基づく予約がなされているか▼緊急を要する医薬品安全性情報などを迅速に取得するためにPMDAメディナビを利用しているか▼医薬品を譲り受ける際に本来の容器などに収められているか▼医薬品の譲り渡し人が販売業許可などを有し、適切な流通経路で入手しているか―などを確認し、不備があれば指導を行うよう要請。特定機能病院(群馬大学病院、東京女子医科大学病院)などにおける事故の発生や、偽造ハーボニー(画期的なC型肝炎治療薬)の流通などの事例を踏まえた内容となっています。また(2)の院内感染防止対策については、MRSAやVRSAなどへの感染防止を徹底するために▼院内感染対策マニュアルの作成・見直しなどが適切に行われているか▼個人用防護具(手袋、マスクなど)の適正使用、処置前の手指消毒の励行などの標準的予防策が、職員に徹底されているか—などを確認し、必要な指導を実施するよう求めています。(3)の最近の事件などに関連する事項としては、▼集団食中毒▼無資格者による医療行為▼臨床研修修了者の医籍などへの登録▼非営利性の確認▼定員超過入院▼診療用放射線の安全管理対策▼診療用放射線の防護▼職員の健康管理▼電子カルテの不具合による薬剤誤投与▼防火対策▼個人情報の適切な取り扱い▼インフォームド・コンセント―などの項目を掲げ、重点的な確認・指導を行うよう要望しています。このうち個人情報の取り扱いについては、改正個人情報保護法に則り、適切に匿名加工などが行われているのか、十分に注意する必要があります。またインフォームド・コンセントについては、とくに自由診療を行う美容整形外科など(例えばレーシック手術や脱毛施術)においてトラブルが多発いていることを踏まえ、▼施術に係る費用や解約条件▼施術の有効性や安全性—などを説明しているか、医学的な必要性が認められないにも関わらず即日施術を強要していないかなどを確認し、適切に指導を行うよう強く求めています。さらに(4)の立入検査後の対応では、「立入検査後に改善状況を逐次把握する」よう求めているほか、▼系列病院・同系列とみなせる医療機関へは同一日に立入検査を行えるよう都道府県間で連携する▼広告などに関して医療法などを順守していない場合には適切な対応を講じる▼診療などに著しい影響を与える業務(検体検査、医療機器などの滅菌消毒、食事提供、患者などの搬送、医療機器の保守点検、医療ガスの供給設備の保守点検、寝具類の洗濯、施設の清掃)の委託先が、医療法施行規則で定める基準に適合しているかを確認する▼医師などの包括的指示の下で一定の医療行為を実施できる「特定行為研修を修了した看護師」が必要な研修を修了しているか、手順書(プロトコル)が作成されているか、特定行為研修の修了者であることが患者・家族・医療関係者などに分かるよう配慮されているかを確認し、適切な指導を行う—ことを要請しています。>
通知「平成29年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170825_03.pdf)が出ているが、少々気になる点が2つある。一つは「診療所の立入検査」である。「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=419341)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000155420.pdf)p97【医療の安全に係る立入検査の実施について】で「都道府県、保健所設置市又は特別区における立入検査については、「平成28年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」(平成28年12月19日医政発1219第18号)及び「医療法第25条第1項の規程に基づく立入検査要綱の一部改正について」(平成28年12月19日医政発1219第1号)に基づき実施しているが、特に医療機関において発生した医療事故について再発防止策が院内に周知されているとともに、遵守されていること 医薬品の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医薬品の安全使用を目的とした改善のための方策を講ずることなど医療安全に関する項目について厳正に確認し、必要に応じて指導方お願いする。」「立入検査は、全ての病院に対して少なくとも年1回、診療所・助産所に対しても、3年に1回程度、実施するようお願いする。」とある。また、平成28年度全国薬務関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000152351.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000153580.pdf)p17~「医療用麻薬・向精神薬等については、不正ルート等への横流れ等を防止するため、医療機関等への立入検査等を通じ、指導監督の強化を改めてお願いしたい。」とあり、薬事監視からも診療所を含む医療機関への立入検査が要請されている。総務省「医療安全対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000245532.pdf)p34で「診療所に対する立入検査の実施頻度については、特段の規定がないことから、都道府県等によって区々となっている。調査した37都道府県等(診療所を立入検査の対象としていない1都道府県等を除く。)のうち、有床診療所に対しては、3年に1回としているところが21都道府県等、無床診療所に対しては、特に規定していないところが15都道府県等、5年に1回としているところが14都道府県等となっている。」とあるように、自治体における立入検査の実施状況はかなり異なっていた。二つには「併設施設への立入検査」である。事務連絡「第7期介護保険事業(支援)計画における療養病床、介護医療院等の取扱いに関する基本的考え方について」、「第7次医療計画及び第7期介護保険事業(支援)計画の策定に係る医療療養病床を有する医療機関及び介護療養型医療施設からの転換意向の把握について」(https://www.zenhokan.or.jp/pdf/new/tuuti317.pdf)が出ているが、現状の病院の一部が介護医療院をはじめとする施設に転換されることが想定される。介護医療院が「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170825_03.pdf)の対象外となった場合の対応はどうなるであろうか。