メディウォッチ「地域医療構想の調整会議、地域で中核となる病院の機能の明確化から始めてはどうか―地域医療構想ワーキング(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=10230)。<以下引用>
<地域医療構想を策定した後、地域の医療提供体制の機能分化・連携などを進めていくための議論を地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で進めていくが、その際、まず「医療機能の役割分担」の明確化を行い、次いで「機能分化・連携に向けた方策」の検討に入り、さらに「地域住民への啓発」に関する議論を行ってはどうか―。厚生労働省はこうした調整会議の進め方に関する一例を、31日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(「医療計画等の見直しに関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で紹介しました。都道府県などからの「調整会議をどのように進めればよいのか」といった問い合わせに答えるための一例ですが、構成員からは「表現を見直すべきである」という意見が相次いでいます。「医療機能の役割分担の明確化」をした後、具体的な機能分化・連携を検討してはどうか 地域医療構想策定は策定がゴールではなく、2025年に向けてあるべき医療提供体制を構築することが最重要テーマとなります。そのため、構想策定後に幅広い関係者(診療に関する学識経験者の団体、その他の医療関係者、医療保険者など)で構成される調整会議を開き、構想実現に向けた議論を行っていくことが重要です。東京都や大阪府、青森県などすでに地域医療構想の策定を終えた都道府県がある中で、自治体からは「調整会議をどのように進めればよいのか」という問い合わせが厚労省に寄せられていると言います。このため、厚労省は31日のワーキングに「調整会議の進め方」に関する一例を提示しました。今年(2016年)3月にも、厚労省は調整会議の具体的な進め方を例示しており、さらに具体化したものと言えます。そこでは、調整会議の役割として(1)医療機能の役割分担(2)病床機能分化・連携に向けた方策の検討(3)地域住民への啓発―の3点をあげ、それぞれについて議論の内容や進め方を具体的に示しました。まず(1)の「医療機能の役割分担」を明確化することが重要です。この点について厚労省は、(a)公的医療機関などの役割の明確化(b)(a)以外の医療機関の役割の明確化(c)新規参入や増床を行う医療機関への対応(d)方向性を共有した上での機能分化・連携の推進―という進め方のイメージを示しました。(a)は「公立病院では、『新公立病院改革ガイドライン』に沿って各病院が2015・16年度に改革プランを策定するため、機能が明確になる」こと、「日赤病院や済生会病院などの公的病院は比較的大規模であり、地域で中心的な役割を果たす(地域の中核となる)ケースが多い」ことを踏まえて、まず「公的医療機関などの役割を優先的に明確化してはどうか」と提案したものです。しかし、「公的医療機関を優先」という表現について多くの構成員からは批判が相次ぎました。中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「構想区域の中心が公的病院であるという点に納得できない」とコメント。また相澤孝夫構成員(日本病院会副会長)は「公的医療機関が民間病院の経営を圧迫するケースもある。公的・民間の双方が共調して地域医療提供体制を構築していくことが重要である。病院を設立母体別に考える手法は時代遅れではないか」と指摘しました。一方、今村知明構成員(奈良県立医科大学医学部教授)は、「医療崩壊が叫ばれ、これを再生するために公的病院は資源投入して急性期に特化するなどの体制整備を行ってきた。ここに来て『慢性期や回復期機能に移ってくれ』となると困ってしまう」と述べ、「公的医療機関を優先」という表現について、「公的医療機関について急性期から回復期・慢性期機能への移管を優先的に進める」と受け取られ兼ねないとの考えを述べています。この点、厚労省は前述のように「公立病院で先んじて機能が明確になる」「大規模な公的病院が地域医療の中核となっているケースがある(地域全体の機能を考える際には、まず核を定めるほうが進めやすい)」ことを勘案した提案であり、さらに「あくまで一例である」ことを説明しましたが、構成員は「自治体の担当者は、文面どおりに受け取り『公的病院中心になる』可能性が高い」として、表現の修正を求めています。>
「地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「協議の場(地域医療構想調整会議)での議論の進め方について(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135118.pdf)p14「都道府県知事の権限の行使の流れ」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135118.pdf)はわかりやすい。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)と並行する「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)は今年度までの策定であるが、同プランの最終年度は平成32年度(2020年度)であり、まさに、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の前半のハイライトといえる。新公立病院改革プランが進まないのに、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)が進むわけがない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135118.pdf)p13「地域医療構想の実現に向けた都道府県知事の権限一覧」にあるように、公的医療機関に対しては法的に命令・指示(公的以外は要請)であることから、まずは公的病院の「稼働していない病床」の検討を優先する方法もあるように感じる。なお、地域によって、中核的病院は公的病院とは限らない。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000088510.pdf)p6「医療需要に対する医療供給(医療提供体制)の検討」は主な疾病ごとに検討することになっており、各種の政策医療(がん診療連携拠点病院、救命救急センター、周産期母子医療センター、災害医療センター、認知症疾患医療センター、地域リハビリテーション広域支援センター等)を勘案したい。とにかく、①隔年の診療報酬改定、②病床機能報告の定量的基準、③療養病床転換施設の具体的設計が、今後の病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)による各病院からの病棟単位の報告(現状、6年後)の行方を大きく左右するのは間違いない。そういえば、「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=327739)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000114071.pdf)p85「地域医療構想の策定や、今後の構想を踏まえた調整会議での検討にあたっては、病床数の議論に終始せず、以下の検討を行った上で、調整会議等でしっかりと課題分析することが重要である。ア データを活用した分析を行う ①DPC データを活用した分析例 ・当該医療圏で欠けている医療機能はないかを確認(特に、5疾病5事業に関わる主要疾患) ・各病院の機能が年度間で安定しているかを確認 ・圏域内の各病院の機能分化の状況を把握 ②NDB データを活用した分析例 ・医療行為別の患者の流出入の把握 ③消防庁データを活用した分析例各二次医療圏や圏域をまたいだ救急搬送時間の把握。例えば、DPC データ等で補完することで、患者の医療機関へのアクセスに係る課題の分析が可能 ④ 年齢調整標準化レセプト出現比(SCR) を活用した分析例 ・地域ごとの疾患毎レセプトの出現状況を全国平均と比較 イ分析結果から課題を抽出する」とあった。データに基づき、関係者の意見交換がしっかりなされなければいけない。「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)の「地域医療構想の実現に向けた取組についての留意事項(案)」((http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000111451.pdf)p4「地方自治体の取組体制や人材育成の必要性【課題の検討案】地域医療構想の策定・進捗評価等にあたっては、NDBやDPCデータを活用するための専門知識が必要である。また、都道府県において策定する医療計画と、市町村において策定する介護保険事業計画との整合性を図り、総合的な企画立案を行うためには、取組体制の充実強化が必要不可欠であると考えられる。また、保健所を始めとする公衆衛生を担う人材には、これまで以上に地域の調整を行う役割を拡大していく事が望まれる。」とあった。
<地域医療構想を策定した後、地域の医療提供体制の機能分化・連携などを進めていくための議論を地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で進めていくが、その際、まず「医療機能の役割分担」の明確化を行い、次いで「機能分化・連携に向けた方策」の検討に入り、さらに「地域住民への啓発」に関する議論を行ってはどうか―。厚生労働省はこうした調整会議の進め方に関する一例を、31日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(「医療計画等の見直しに関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で紹介しました。都道府県などからの「調整会議をどのように進めればよいのか」といった問い合わせに答えるための一例ですが、構成員からは「表現を見直すべきである」という意見が相次いでいます。「医療機能の役割分担の明確化」をした後、具体的な機能分化・連携を検討してはどうか 地域医療構想策定は策定がゴールではなく、2025年に向けてあるべき医療提供体制を構築することが最重要テーマとなります。そのため、構想策定後に幅広い関係者(診療に関する学識経験者の団体、その他の医療関係者、医療保険者など)で構成される調整会議を開き、構想実現に向けた議論を行っていくことが重要です。東京都や大阪府、青森県などすでに地域医療構想の策定を終えた都道府県がある中で、自治体からは「調整会議をどのように進めればよいのか」という問い合わせが厚労省に寄せられていると言います。このため、厚労省は31日のワーキングに「調整会議の進め方」に関する一例を提示しました。今年(2016年)3月にも、厚労省は調整会議の具体的な進め方を例示しており、さらに具体化したものと言えます。そこでは、調整会議の役割として(1)医療機能の役割分担(2)病床機能分化・連携に向けた方策の検討(3)地域住民への啓発―の3点をあげ、それぞれについて議論の内容や進め方を具体的に示しました。まず(1)の「医療機能の役割分担」を明確化することが重要です。この点について厚労省は、(a)公的医療機関などの役割の明確化(b)(a)以外の医療機関の役割の明確化(c)新規参入や増床を行う医療機関への対応(d)方向性を共有した上での機能分化・連携の推進―という進め方のイメージを示しました。(a)は「公立病院では、『新公立病院改革ガイドライン』に沿って各病院が2015・16年度に改革プランを策定するため、機能が明確になる」こと、「日赤病院や済生会病院などの公的病院は比較的大規模であり、地域で中心的な役割を果たす(地域の中核となる)ケースが多い」ことを踏まえて、まず「公的医療機関などの役割を優先的に明確化してはどうか」と提案したものです。しかし、「公的医療機関を優先」という表現について多くの構成員からは批判が相次ぎました。中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「構想区域の中心が公的病院であるという点に納得できない」とコメント。また相澤孝夫構成員(日本病院会副会長)は「公的医療機関が民間病院の経営を圧迫するケースもある。公的・民間の双方が共調して地域医療提供体制を構築していくことが重要である。病院を設立母体別に考える手法は時代遅れではないか」と指摘しました。一方、今村知明構成員(奈良県立医科大学医学部教授)は、「医療崩壊が叫ばれ、これを再生するために公的病院は資源投入して急性期に特化するなどの体制整備を行ってきた。ここに来て『慢性期や回復期機能に移ってくれ』となると困ってしまう」と述べ、「公的医療機関を優先」という表現について、「公的医療機関について急性期から回復期・慢性期機能への移管を優先的に進める」と受け取られ兼ねないとの考えを述べています。この点、厚労省は前述のように「公立病院で先んじて機能が明確になる」「大規模な公的病院が地域医療の中核となっているケースがある(地域全体の機能を考える際には、まず核を定めるほうが進めやすい)」ことを勘案した提案であり、さらに「あくまで一例である」ことを説明しましたが、構成員は「自治体の担当者は、文面どおりに受け取り『公的病院中心になる』可能性が高い」として、表現の修正を求めています。>
「地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「協議の場(地域医療構想調整会議)での議論の進め方について(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135118.pdf)p14「都道府県知事の権限の行使の流れ」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135118.pdf)はわかりやすい。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)と並行する「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)は今年度までの策定であるが、同プランの最終年度は平成32年度(2020年度)であり、まさに、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の前半のハイライトといえる。新公立病院改革プランが進まないのに、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)が進むわけがない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135118.pdf)p13「地域医療構想の実現に向けた都道府県知事の権限一覧」にあるように、公的医療機関に対しては法的に命令・指示(公的以外は要請)であることから、まずは公的病院の「稼働していない病床」の検討を優先する方法もあるように感じる。なお、地域によって、中核的病院は公的病院とは限らない。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000088510.pdf)p6「医療需要に対する医療供給(医療提供体制)の検討」は主な疾病ごとに検討することになっており、各種の政策医療(がん診療連携拠点病院、救命救急センター、周産期母子医療センター、災害医療センター、認知症疾患医療センター、地域リハビリテーション広域支援センター等)を勘案したい。とにかく、①隔年の診療報酬改定、②病床機能報告の定量的基準、③療養病床転換施設の具体的設計が、今後の病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)による各病院からの病棟単位の報告(現状、6年後)の行方を大きく左右するのは間違いない。そういえば、「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=327739)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000114071.pdf)p85「地域医療構想の策定や、今後の構想を踏まえた調整会議での検討にあたっては、病床数の議論に終始せず、以下の検討を行った上で、調整会議等でしっかりと課題分析することが重要である。ア データを活用した分析を行う ①DPC データを活用した分析例 ・当該医療圏で欠けている医療機能はないかを確認(特に、5疾病5事業に関わる主要疾患) ・各病院の機能が年度間で安定しているかを確認 ・圏域内の各病院の機能分化の状況を把握 ②NDB データを活用した分析例 ・医療行為別の患者の流出入の把握 ③消防庁データを活用した分析例各二次医療圏や圏域をまたいだ救急搬送時間の把握。例えば、DPC データ等で補完することで、患者の医療機関へのアクセスに係る課題の分析が可能 ④ 年齢調整標準化レセプト出現比(SCR) を活用した分析例 ・地域ごとの疾患毎レセプトの出現状況を全国平均と比較 イ分析結果から課題を抽出する」とあった。データに基づき、関係者の意見交換がしっかりなされなければいけない。「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)の「地域医療構想の実現に向けた取組についての留意事項(案)」((http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000111451.pdf)p4「地方自治体の取組体制や人材育成の必要性【課題の検討案】地域医療構想の策定・進捗評価等にあたっては、NDBやDPCデータを活用するための専門知識が必要である。また、都道府県において策定する医療計画と、市町村において策定する介護保険事業計画との整合性を図り、総合的な企画立案を行うためには、取組体制の充実強化が必要不可欠であると考えられる。また、保健所を始めとする公衆衛生を担う人材には、これまで以上に地域の調整を行う役割を拡大していく事が望まれる。」とあった。