保健福祉の現場から

感じるままに

院内感染と施設内感染

2014年12月31日 | Weblog
今月、通知「医療機関における院内感染対策について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20141219_01.pdf)が出されている。注目されたのは、「報告を受けた保健所等の対応」が明記されたことで、「( 1 ) 医療機関から院内感染事案に関する報告又は相談を受けた保健所は、当該医療機関の対応が、事案発生当初の計画どおりに実施されて効果を上げているか、また、地域のネットワークに参加する医療機関の専門家による支援が順調に進められているか、一定期間、定期的に確認し、必要に応じて指導及び助言を行うこと。その際、医療機関の専門家の判断も参考にすることが望ましいこと。(2) 保健所は、医療機関からの報告又は棺談を受けた後、都道府県、政令市等と緊密に連携をとること。とりわけ、院内感染の把握に当たり、薬剤耐性遺伝子に関する検査や複数の菌株の遺伝的同一性を確認するための検査が必要と考えられるものの、各医療機闘が独自に行うことが技術的に困難である場合には、地方衛生研究所がこれらの検査において中心的な役割を担うことが望ましいこと。ただし、地方衛生研究所は、それぞれの地域の実状に合わせて、国立感染症研究所などの研究機関に相談することも含め、保健所の助言を得つつ調聾することが望ましいこと。また、これらの検査においては、大学病院などの中核医療機関の役割は、保健所、地方衛生研究所、国立感染症研究所などの行政機関・研究所の役割に対して補完的なものであるが、それぞれの地域の実状に合わせて柔軟に判断されることが望ましいこと。」とされた。医療機関に対しては、立入検査でもチェックされているであろうが、普段からのコミュニケーションが重要である。平成24年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021ei1-att/2r98520000021ele.pdf)p149~で、感染防止対策チームを持つ医療機関と300 床未満の医療機関との連携、及び感染防止対策チームを持つ医療機関同士が相互に感染防止対策に関する評価を行った場合や連携して院内感染対策に当たった場合の評価が行われており、保健所の関与も必要と感じる。平成26年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032996.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000037464.pdf)p191にあるように、感染防止対策加算1ではJANISへの参加が必須になり、参加医療機関(https://www.nih-janis.jp/hospitallist/index.html)は増えるであろう。感染防止対策加算2でも重症患者の診療にあたる医療機関が多く、加算2のJANISへの積極的参加が必要である。しかし、院内感染以上に気になるのは施設内感染である。例えば、改訂「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/)、「結核院内(施設内)感染予防の手引き(平成26年版)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000046630.pdf)、改訂「インフルエンザ施設内感染予防の手引き」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/tebiki.pdf)、「保育園サーベイランス」導入のための自治体向け手引書(http://www.syndromic-surveillance.net/hoikuen/tebiki/hoikuen_surveillance_lg_tebiki.pdf)、「(改訂版)保育所における感染症対策ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku02.pdf)は周知徹底しておきたい。
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成田市医学部の行方

2014年12月30日 | Weblog
東京圏国家戦略特区における医学部新設問題について、全国医学部長病院長会議の反対声明(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20141224_g2.pdf)、日本医師会の記者会見資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20141224_g1.pdf)をみておきたい。東京圏国家戦略特別区域会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/tokyoken/dai2/shiryou.html)では、成田市における「国際的な医療人材の育成のための医学部等の新設に関する検討について「極めて重要かつ緊急性が高い」とされていたが、現在、東北薬科大学(http://www.tohoku-pharm.ac.jp/new/index.cgi)での医学部新設の動向が注目されている中で、さらに、成田市医学部が「極めて重要かつ緊急性が高い」と感じない方が少なくないかもしれない。ネット記事(http://yoshiko-sakurai.jp/2013/05/09/4677)では「2023年までに日本の医学教育が国際標準に改められない限り、日本の医学部の学生は米国の医師国家試験を受けられなくなる」とあるが、米国からの外圧があるとすれば悲しいことである。法科大学院定員割れ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E5%AE%9A%E5%93%A1%E5%89%B2%E3%82%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C)と同じ轍を踏んではいけないであろう。
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養鶏場での鳥インフルエンザ

2014年12月29日 | Weblog
NHK「山口でも「H5型」鳥インフル検出 4万羽近く処分へ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141230/t10014360321000.html)。<以下引用>
<山口県長門市の養鶏場で、20羽余りのニワトリが死んでいるのが見つかり、県が詳しい検査を行った結果、「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。山口県は、この養鶏場で飼育されているおよそ3万7000羽のニワトリすべての処分を始めました。山口県によりますと、長門市の養鶏場で28日から29日にかけて、合わせて21羽のニワトリが死んでいるのが見つかり、県が詳しい遺伝子検査を行った結果、検査した5羽すべてから強い毒性を持つおそれがある「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたということです。これを受けて、山口県は職員を現地に派遣し、この養鶏場で飼育されているおよそ3万7000羽のニワトリすべての処分を始めました。山口県は30日夕方までにすべてのニワトリを処分したうえで、鶏舎や周辺の消毒作業を終えたいとしています。また、山口県はこの養鶏場から半径3キロ以内にある養鶏場9か所に対して、ニワトリや卵の移動を禁止するとともに、半径3キロから10キロ以内にある養鶏場18か所に対しても、域外への出荷などを禁止する措置を取りました。さらに、半径10キロ以内の13か所に消毒ポイントを設置して、通行車両に対する消毒を行い感染の拡大を防ぐ対策を進めることにしています。首相 防疫措置の徹底指示;山口県長門市にある養鶏場で飼育されていたニワトリが死に、山口県が行った遺伝子検査で「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたことを受けて、安倍総理大臣は、農林水産省など関係省庁に対し、現場の情報をしっかり収集すること、緊密に連携し、徹底した防疫措置を迅速に進めること、それに国民に対して正確な情報を迅速に伝えることの3点を指示しました。また、政府は30日午前、総理大臣官邸で関係閣僚会議を開くことにしています。>

NHK「出水平野のツルから新たに鳥インフル検出」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141230/k10014364751000.html)。<以下引用>
<国内最大のツルの越冬地、鹿児島県の出水平野で見つかった死んだナベヅル1羽から、新たに強い毒性を持つ鳥インフルエンザウイルスが検出されました。出水平野で強い毒性を持つ鳥インフルエンザウイルスが検出されたのは、今シーズン5例目です。鹿児島県によりますと、今月24日、鹿児島県出水市の出水平野の水田でナベヅル1羽が死んでいるのが見つかり、鹿児島大学で詳しい検査を行った結果、強い毒性を持つ「H5N8型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。出水平野は国内最大のツルの越冬地で、先月以降、マナヅルやナベヅル、それにツルのねぐらの水から、相次いで「H5N8型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されていて、今回で今シーズン5例目となります。鹿児島県によりますと、県内の養鶏場では異常は見つかっていないということで、環境省は引き続き、現場から10キロの範囲で野鳥の監視を強化するとともに、死んだ鳥などに素手で触らないように呼びかけています。>

NHK「H5型・鳥インフルエンザウイルス検出 宮崎」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141229/t10014349111000.html)。<以下引用>
<宮崎市の養鶏場でニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、宮崎県が詳しい検査を行った結果、「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。宮崎県は、この養鶏場で飼育されているおよそ4万2000羽のニワトリすべての処分を進めています。宮崎県によりますと、宮崎市高岡町にある養鶏場で28日、30羽のニワトリが死んでいるのが見つかり、県が詳しい遺伝子検査を行ったところ、数羽から「H5型」の強毒性のおそれがある鳥インフルエンザウイルスが検出されました。県や市などは29日午前0時から200人余りの態勢で、この養鶏場で飼育されているおよそ4万2000羽のニワトリすべての処分を始めました。宮崎県は、処分したニワトリを養鶏場の敷地に埋め、鶏舎を消毒する作業を29日中に終える方針です。また、宮崎県はこの養鶏場から▽半径3キロ以内にある5か所の養鶏場と1か所の食肉処理場でニワトリや卵などの移動を禁止にしたほか、▽半径3キロから10キロ以内の54か所の養鶏場に対しても域外への出荷を禁止する措置をとりました。さらに周辺の10か所に通行車両に対する消毒ポイントを設置し、感染の拡大を防ぐための対策を進めています。宮崎県では今月16日、北部の延岡市の養鶏場から「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されています。安倍首相 徹底した防疫措置を迅速に;宮崎市にある養鶏場で飼育されているニワトリが死に、宮崎県が行った遺伝子検査で「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたことを受けて、安倍総理大臣は、▽現場の情報をしっかり収集すること、▽農林水産省をはじめ関係各省が緊密に連携し、徹底した防疫措置を迅速に進めること、それに▽国民に対して正確な情報を迅速に伝えることの3点を指示しました。>

鳥インフルエンザ関係閣僚会議」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/influenza/index.html)資料が出ればみておきたい。環境省HP(http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/index.html)に出ている野鳥等での検出状況から、かなり広範囲に鳥インフルエンザが拡散しているであろう。養鶏場での鳥インフルエンザ(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/)はどこで発生してもおかしくはないであろう。平成23年10月1日の農林水産省(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/)「高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/hpai_guide.pdf)p30~にある、患畜又は疑似患畜は、病性の判定後「24時間以内に」と殺完了、「72時間以内に」焼却又は埋却の規定について、各自治体で対応できるかどうか、至急検証が必要である。
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医療費適正化計画の見直しと健康増進計画

2014年12月29日 | Weblog
財政制度等審議会「平成27年度予算の編成等に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia261225/index.htm)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia261225/02.pdf)p20「都道府県は地域医療構想と整合的な医療費適正化計画とを両者一体のものとして速やかに策定する必要がある。そのため、来年度の医療保険制度改革において、医療費適正化計画の在り方を見直し、地域医療構想と整合的な医療費の水準に関する目標や、平均在院日数や後発医薬品の使用割合等の医療の効率的な提供に関する目標を明確に位置づける必要がある。さらに、これらの目標が達成できない場合の改善措置の策定など、PDCA サイクルの実効性を高める措置が必要である。医療費適正化計画は地域医療構想と一体のものであり、地域医療構想を27・28 年度中に策定した上で、28 年度(遅くとも29 年度)には各都道府県が医療費適正化計画を新制度の下で見直すべきである。」とされた。昨年8月、厚生労働省が「国民の健康寿命が延伸する社会に向けた予防・健康管理に関する取組の推進」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000019326.html)で5兆円規模の医療費・介護費の抑制目標を発表(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401250-Hokenkyoku-Iryouhitekiseikataisakusuishinshitsu/0000019923.pdf)、(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401250-Hokenkyoku-Iryouhitekiseikataisakusuishinshitsu/0000019922.pdf)し、「①レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進」「②特定健診・特定保健指導等を通じた生活習慣病予防の推進」「③たばこをやめたい人を支援するたばこ対策の推進」で医療費約2.4兆円強の効果額が目標とされたが、医療費適正化計画と健康増進計画の一体的推進を図れないものであろうか。
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地域医療構想と療養病床の行方

2014年12月28日 | Weblog
地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)の25日会合(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000069925.html)の「医療資源投入量による各医療機能の需要の推計について(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000069916.pdf)別添2「地域の実情に応じた慢性期と在宅医療等の需要推計の考え方」では「在宅医療等へ移行する患者数については、在宅医療の充実等により、現在では療養病床で入院している状態の患者は、2025年には在宅医療等での対応となる(療養病床の入院受療率の低下)ものとして、推計する。その際、現状、療養病床の入院受療率には地域差があることから、この差を補正していくこととするが、地域の在宅医療や介護施設等の整備の見込みなどを踏まえて、地域が一定の幅の中で補正する目標を設定することができることとしてはどうか。」とし、入院受療率の補正目標の設定案として、A案(全ての二次医療圏が全国最小レベル(県単位)まで入院受療率を低下する。)、B案(最も受療率の高い二次医療圏を全国中央値レベル(県単位)にまで低下させ、他の医療圏も全国最小との差を等比的に低下する。)が提示されている。療養病床の都道府県別の性・年齢階級調整入院受療率(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000068531.pdf)には大きな都道府県格差があり、入院受療率が高い地域では地域医療構想での目標設定がどうなるか、注目である。しかし、「療養病床の入院受療率の低下」には、在宅医療だけではなく、介護サービスの充実が不可欠であり、介護保険事業(支援)計画とセットで検討されなければならない。しかし、一口に「療養病床」といってもピンキリである。中医協資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031001.pdf)p65では、回復期リハビリテーション病棟入院料算定の49.5%が療養病床で、一般病床よりも多いことが出ていた。また、平成26年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032996.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)p38の地域包括ケア病棟入院料は、「療養病床については、1病棟に限り届出することができる」とされ、地域包括ケア病棟を考える療養病床も出てくる。「療養病床=慢性期」ではない。
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病床機能報告の情報公開と地域医療構想

2014年12月27日 | Weblog
キャリアブレイン「6年後も45%が急性期、病床報告速報値- 「現在」と同水準」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44578.html)。<以下引用>
<厚生労働省は25日、病床機能報告制度で医療機関が都道府県に報告した情報の集計の速報値を公表した。それによると、病院と有床診療所(有床診)の病床の44.5%が、6年後も「急性期」機能を担うと想定。現在(今年7月1日時点)の医療機能を急性期と報告したのは47.0%で、ほぼ同じ水準だった。厚労省が同日の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」の会合に示した集計の速報値によると、現在の医療機能別の病床割合は、「高度急性期」が16.4%、「急性期」が47.0%、「回復期」が9.1%、「慢性期」が27.5%。また6年後の病床割合は、高度急性期が17.1%、急性期が44.5%、回復期が11.8%、慢性期が26.6%だった。今年10月にスタートした病床機能報告制度では、先月30日までに、病院6808施設(報告対象の91.6%)と有床診5395施設(同66.5%)が報告した。25日に公表された速報値は、このうち今月19日時点でデータクリーニングが終わった病院5181施設(同69.7%)と有床診3774施設(同46.5%)の情報を集計したもの。集計対象となった合計病床数は、「現在」が約93万4000床、「6年後」が約93万6000床だった。また速報値によると、任意の報告項目となっていた2025年7月1日時点の病床割合は、高度急性期が19.5%、急性期が42.0%、回復期が12.6%、慢性期が25.9%だった。報告のあった病床数は約47万9000床だった。>

地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)の25日会合(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000069925.html)で「病床機能報告制度における機能別病床数の報告状況【速報値】」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000069923.pdf)が出ているが、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000052610_1.pdf)p20「医療機能を選択する際の判断基準は、病棟単位の医療の情報が不足している現段階では具体的な数値等を示すことは困難であるため、報告制度導入当初は、医療機関が、上記の各医療機能の定性的な基準を参考に医療機能を選択し、都道府県に報告することとする。」とあるように、今後、病床機能報告の判断基準の変更が予定されている。11月6日の社会保障制度改革推進会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/dai3/siryou.html)では「定量的な基準を示す段階がくる」(保健衛生ニュース11月24日号)とされている。病床機能報告制度の報告項目(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000058910.pdf)の多くがレセプトを活用しており、おそらく、それは診療報酬改定に合わせることになるのかもしれない。病床機能報告は、報告マニュアル(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000058910.pdf)p4「来年以降は10月31日までとなります。」とあるように、毎年の報告であることは認識したい。なお、「病床機能報告制度において報告される情報の公表のあり方等について(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000069917.pdf)では「病床機能報告制度ホームページ公表フォーマットイメージ」が出ている。日本病院会「地域医療構想(ビジョン)ガイドライン策定に関しての要望」(http://www.hospital.or.jp/pdf/06_20140917_01.pdf)では「病床機能報告制度により渉猟したデータは地域医療構想、(ビジョン)の作成、評価に必須のものであり、協議の場に参加するものに限らず、すべてのものに公開すること。」とあったが、地域医療構想では、地域における関係機関・職能団体との情報共有がカギになるような気がする。医政局「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=141464&name=2r98520000036flz.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036854.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036855.pdf)のNDB分析の情報共有も必要と感じる。ところで、財政制度等審議会「平成27年度予算の編成等に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia261225/index.htm)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia261225/02.pdf)p19~「医療介護総合確保推進法に基づき、都道府県は2025年における機能毎の必要病床数を定めることとなっており(地域医療構想)、この算定方法について今年度中に国がガイドラインを示すこととなっている。この将来の必要病床数の算定方法については、社会保障制度改革推進本部の下に設置されたワーキンググループで検討がなされているが、単に現状を投影した医療需要を推計するだけではなく、データ等に基づき客観的に求められた地域毎のあるべき病床数、平均在院日数を踏まえた医療提供体制の在り方、さらには、地域差の分析を踏まえて認められる不合理な差異(例えば入院受療率)を解消した医療提供体制の在り方をそれぞれ示す必要がある。その上で、不合理な差異を解消した医療提供体制の在り方を「目指すべき医療提供体制」と明確に位置づける必要がある。都道府県によるこれらを盛り込んだ地域医療構想の策定は、医療提供体制の改革に向けた出発点であり、30年の医療計画の改定に間に合わせるスケジュール感ではなく、極力27年度中、遅くとも28年度中には策定すべきである。」とされた。
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医療保険制度改革の行方

2014年12月26日 | Weblog
NHK「国民健康保険 平成30年度から移管で調整へ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141226/k10014294361000.html)。<以下引用>
<厚生労働省は、赤字が続いている国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県に移す時期について、平成30年度から移す方向で調整を進めることになり、国民健康保険の財政基盤を強化するため、来年度予算案に1700億円を計上することにしています。自営業者らが加入する国民健康保険は、高齢者の比率が高いことなどから年間およそ3500億円に上る赤字が続いており、現在、運営主体を市町村から都道府県に移すなどの改革案が検討されています。厚生労働省は、少子高齢化が進展するなか改革を先送りできないとして、平成30年度から運営主体を都道府県に移す方向で、都道府県や市町村の代表らと調整を進めることになりました。そして、移管に向けて国民健康保険の財政基盤を強化しておく必要があるとして、来年度予算案に1700億円を計上することにしています。さらに厚生労働省は、国民健康保険の赤字を補うため、大企業の従業員らが加入する健康保険組合の保険料を段階的に引き上げることで1700億円程度の予算を捻出することを検討するとしています。厚生労働省は、これらの改革案を年明けにまとめ、来年の通常国会に必要な法案を提出することにしています。>

キャリアブレイン「高齢者医療と介護の給付、伸び率半分に- 財政審が建議取りまとめ」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44584.html)。<以下引用>
<「財政制度等審議会」(財政審、会長=吉川洋・東大大学院教授)は25日、来年度予算の編成などに関する建議を取りまとめた。建議では、政府の財政健全化に関する目標と整合性を取るために、社会保障制度で2020年度までの歳出・歳入両面の改革が不可避だと強調。後期高齢者医療制度や介護保険制度の給付費の「自然増」の伸び率を、年6%程度から半分の約3%程度に近づけていくことなどが必要だとしている。建議では、来年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げが延期されたことから、来年度に国と地方の基礎的財政収支の赤字の対GDP比を10年度と比べて半減させるという政府の目標の達成が相当厳しいものとなると指摘。その上で、徹底的な歳出削減や歳入確保により目標を達成することが、来年度の予算編成を「意義あるものとする」と強調している。社会保障に関しては、後期高齢者医療給付費と介護給付費の伸びには、高齢人口の伸びによる側面と、それ以外の要因による側面とがあり、それぞれ毎年3%程度の伸びに影響していると主張。少なくとも、高齢化以外の要因による伸びは抑制する必要があるとして、医療や介護に関する改革の具体策を提案している。■財務相、社会保障の改革「しっかりやる」 同日に記者会見した吉川会長は、建議を提出した後に社会保障制度の改革が特に大事だと麻生太郎財務相に伝え、「しっかり、もちろんやると言っていただいた」ことを明らかにした。また社会保障制度の改革では、支えるべき対象を年齢で一律に区分すべきでないという考え方が前提になると強調。「高齢者の中には大きな会社の社長さんもいるし、現役世代でも、職がなく、小さな子どもができたという人も当然いる」と説明した。そのほか、消費税率引き上げの先送りと、社会保障の充実の関係にも言及。「消費税というのは、社会保障をファイナンスするために必要な税で、地下鉄に乗るときの地下鉄の料金に当たる。それを上げないという判断であれば当然、充実する方の見直しも必要だ」とした。>

キャリアブレイン「財政審の建議、医療・介護適正化の具体策は」(http://www.cabrain.net/management/article.do?newsId=44585)。<以下一部引用>
<財政制度等審議会(財政審)が25日に取りまとめた建議では、後期高齢者医療給付費と介護給付費の「自然増」には、高齢化とは別の要因によるものが半分程度あると指摘し、それを適正化するための具体策を列挙した。例えば、医療介護総合確保基金について、地域医療ビジョンを早期に策定して、積極的に医療提供体制の再構築を進める都道府県に優先して配分することを提案。また、介護報酬のマイナス改定や、軽度者に対する介護サービスの地域支援事業への移行の検討なども必要だとしている。財政審の建議は、来年度予算の編成や、今後の財政運営に関する基本的な考え方をまとめたもの。国と地方の基礎的財政収支を2020年度までに黒字化させ、その後も債務残高の対GDP費を安定的に引き下げるといった政府の目標の達成に向けて、具体的な取り組みなどを示している。来年度の予算編成に向けては、同年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げが延期されたことに言及。その上で、財政健全化に関する進ちょくの目標をクリアするため、徹底的な歳出削減や歳入確保が必要だと訴えている。社会保障制度の改革では、「自然増」とされる伸びのうち、高齢化以外の要因によるものを「高度化等」による伸びと規定し、少なくとも改革の対象にすべきだと主張。改革の3つの柱として、▽保険給付の範囲の見直し・重点化などの徹底した合理化・効率化 ▽年齢や制度で区分しない経済力に応じた公平な負担の確保 ▽合理化・効率化や公平な負担の確保に取り組んだ上での、新たな政策課題に対応するための真に必要な財源の確保―を列挙し、それに基づいて具体策を提案している。>

10月10日の医療介護改革推進本部(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000060857.pdf)資料1-2「医療と介護の一体改革に係る今後のスケジュール」では、医療保険制度改革法律案が平成27年通常国会に提出され、必要な措置が平成29年度までに順次講じられるとされていた。医療保険制度改革スケジュール(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000044082.pdf)では、国保の都道府県移管のほかに様々な項目が挙がっており、厚労省資料「療養の範囲の適正化・負担の公平の確保について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061272.pdf)では、①紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担、②入院時食事療養費・生活療養費の見直し、③後期高齢者の保険料軽減特例の見直し、④高齢者の自己負担の見直し、⑤標準報酬月額の上限引上げなどがあることは知っておきたい。今年5月の財政制度等審議会「財政健全化に向けた基本的考え方」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia260530/index.htm) の資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia260530/02.pdf)のp35「受診時定額負担」「70歳以上の高額療養費制度における外来特例の廃止(患者負担上限の特例;一般所得者の場合12,000円を見直す必要。)」「市販類似薬品の更なる保険適用除外;湿布、漢方薬など」、p36「逆評価療養(一旦保険適用とされた医療技術等についても費用対効果が低いものは保険適用から外し保険外併用療養の対象とする)」「柔道整復師の数の急増の抑制・保険適用(多部位請求など)の厳格化」「混合介護の普及・促進」、p40「レセプトデータを活用した「支出目標」の導入(費用面を含め、人口・年齢構成や疾病構造等に対応する合理的かつ妥当なあるべき水準の医療需要を地域ごとに算定)」、p45「後期高齢者支援金加算・減算率0.23%から大幅に引き上げ」、p48「介護納付金への総報酬割の導入」「後期高齢者医療の保険料軽減特例措置の廃止」「低所得者の定義の見直し」「介護保険被保険者年齢の引下げ」などが出ていた。先日の財政制度等審議会「平成27年度予算の編成等に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia261225/index.htm)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia261225/02.pdf)では、p22「後発医薬品が存在する先発医薬品について、その保険給付額を後発医薬品の価格に基づいて設定し、それを上回る部分については患者負担」「在宅療養等との公平性の観点から入院患者の食事代を見直す」「市販品類似薬について、公平性の観点から保険給付の対象から除外する取組みを加速化」「紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担の仕組みを導入」、p23「高額療養費の外来特例の廃止や後期高齢者医療の保険料特例措置の段階的廃止」「標準報酬月額等の上限引上げ」などが列挙されている。当面、社会保障審議会医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f07.html#shingi126706)の動向から目が離せない。
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介護報酬マイナス改定の行方

2014年12月26日 | Weblog
毎日新聞「社説:介護報酬改定 地域福祉をつぶすな」(http://mainichi.jp/opinion/news/20141226k0000m070155000c.html)。<以下引用>
<来年度からの介護報酬改定が2〜3%減を軸に政府内で調整されている。家族がなく経済的にも苦しい高齢者が急増する一方、職員の確保に窮している事業所が多いことを考えると、マイナス改定は問題が多い。地域で暮らすお年寄りを支える介護サービスは小さな非営利組織(NPO)が担っているところが多く、もともと経営が弱い地域福祉の基盤を崩してしまう恐れがある。財務省は当初6%の大幅減を打ち出した。安倍政権が消費増税を見送ったためである。消費税10%時に医療・介護の充実には約1.6兆円が投じられる予定だった。ところが、財源不足の手当ては子育てや基礎年金の国庫負担増が優先されることになったため、介護は一転して減額を強いられることになった。膨張する財政赤字を考えれば財務当局の危機感はわかるが、全産業の平均月収より10万円以上も少ないのが介護職である。今回の改定では月収約1万円増の職員の待遇改善が実施される予定だが、それでも他産業より大きく見劣りする現状は変わらない。団塊世代は戦後の3年間で800万人を超える出生数があり、突出して人口が多い。この世代が10年後には75歳を超える。その後も独居で介護を家族に頼れない高齢者は増え続ける。バブル崩壊後の就職氷河期でよい職に就けず、結婚できなかった世代が高齢期に差し掛かるころには、無年金・低年金の高齢者が大量に現れる。今のうちに介護サービスを拡充し、質の良い職員を育成し確保しておかねばならないのだ。特養ホームが多額の内部留保を持つことがとかく問題視されているが、地域でヘルパー派遣や小規模多機能型デイサービスなどを行っている小さな事業所は経営の体力がないところが多い。このタイミングでの報酬減は大打撃だ。介護報酬と連動して障害者支援の報酬も厳しい改定が迫られているが、高齢者介護よりさらに小さなNPOが多いのが障害者支援の特徴だ。担保も内部留保もなく銀行からの借り入れで事業展開しているところもある。これまでの報酬改定でプラスが続き、収益率も良いため銀行の融資を受けられているのだ。マイナス改定によって収益率が下がると、借入金の返済に行き詰まる事業所が出てくる恐れがある。介護や障害者のサービスを利用しながら働いている女性は多い。公的介護の拡充は、安倍政権の女性活用政策にも通じる。介護報酬の削減は介護離職に拍車を掛け、労働力不足をさらに悪化させるだろう。成長戦略の足をも引っ張りかねないマイナス改定はやめた方がいい。>

財政制度等審議会「平成27年度予算の編成等に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia261225/index.htm)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia261225/02.pdf)p25「介護報酬の基本部分については、サービス類型ごとの収支状況を適切に反映させ、全体としては一般の中小企業並みの水準となるよう、少なくとも▲6%程度の適正化を図るべきである。」「社会福祉法人の内部留保が現在の水準から更に蓄積しないよう、特別養護老人ホームなどの報酬の基本部分を大幅に引き下げる必要がある。」「介護報酬の基本部分について、平均収支差率を現在の+8%程度から一般の中小企業並みの水準(+2~3%)まで▲6%程度引き下げたとしても、全体として適正な収支差率は確保されることから、現行の人件費の水準に影響を与えるものではなく、国民負担の軽減と介護職員の更なる処遇改善の両立を図ることができる。」とされた。キャリアブレイン「マイナス改定と処遇改善のセットに異論噴出」(http://www.cabrain.net/management/article.do?newsId=44552)、WSJ「「介護が見せしめに」=増税先送りで早くも警戒—「年末年始は返上」・霞が関」(http://jp.wsj.com/articles/JJ10458325072415174479316642618742155247639?tesla=y&tesla=y&mg=reno64-wsj)、キャリアブレイン「介護報酬大幅削減「地域経済にも影響大」- 厚労省の三浦老健局長」(http://www.cabrain.net/news/article/44234.html)、キャリアブレイン「「事業所が半分つぶれる介護サービスも」- 日慢協・武久会長、財務省の改定案に」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/43968.html)と報道されており、「介護報酬大幅削減」が介護現場の人手不足に拍車をかけないか懸念される。今年6月20日に「介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律」(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/housei/pdf/186hou10siryou.pdf/$File/186hou10siryou.pdf)(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g18601010.htm)(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/43056.html)が成立しているが、介護報酬のマイナス改定で、従事者の処遇改善がどこまで進むか、注目である。
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産科医療補償制度の変更

2014年12月26日 | Weblog
産科医療補償制度(http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/)に関して、「出産育児一時金及び家族出産育児一時金の金額の見直しにおける事務の取扱いについて」の一部改正(http://www.jaog.or.jp/news/img-z26095228.pdf)が出ている。来年1月からの補償対象は、現行の「在胎週数33週以上であり、かつ、体重が2000g以上」から「在胎週数32週以上であり、かつ、体重が1400g以上」に拡充され、在胎週数28週以上のいずれかの要件では、「心拍数基線細変動の消失」「心拍数基線細変動の減少を伴った高度徐脈」「サイナソイダルパターン」「アプガースコア1分値が3点以下」「生後1時間以内の児の血圧ガス分析値(pH値が7.0未満)」が追加されている。対象者数の年間推計571人で、掛金は現行3万円から1.6万円に引き下げられる(医事新報平成26年12月27日号)。産科医療補償制度に関する委員会資料(http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/outline/committee.html)は公開されているが、見直しにあたっては注目すべき意見が続出した。ネットでは「政策部長談話 「産科医療に激震、帝王切開の大幅点数引き下げの『中止』を求める 産科医療補償制度の『負の連鎖』と不明朗金へもメスを」」(http://www.hoken-i.co.jp/outline/h/post_130.html)が出ていた。資料(http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/committee/pdf/obstetric_meetingf_22_1.pdf)p18では、制度変動リスク対策費(医療水準向上(出生時の救命率上昇)等に伴い脳性麻痺児の生存率が統計データ取得時点より上昇するリスク、統計データ母数が少ないため推計値が大幅に外れるリスク、長期に渡る補償金支払い業務に伴う予期できない事務・システムリスク等に対応する費用)として、平成24年度に保険会社に15.71億円が支払われていることが示されていたが、昨年7月の社会保障審議会医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ye0.html)では、運用益が機構に返還せず損保会社の収益であることや、損保会社に運用益のほかに制度変動リスク対策費が支払われていることに「まるで損保会社を儲けさせるための制度だ」として疑問が呈されていた(医事新報8月3日号)。以前から「官から民へ」が叫ばれている(http://www.daimon-mikishi.jp/ronbun/data/roudou0609.htm)が、「民間の保険会社が過大な利益を上げる構造」が許されるとは思えない。
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未届け老人ホーム

2014年12月26日 | Weblog
朝日新聞「未届け老人ホーム、4割が是正指導 うち半分は違法状態」(http://apital.asahi.com/article/news/2014122500021.html)。<以下引用>
<全国で届け出のない有料老人ホーム913施設のうち、43%にあたる392施設が、防火扉や避難経路がないなどとして、建築基準法違反で自治体の是正指導を受けたことが24日、国土交通省の調査で分かった。392施設のうち52%の202施設が10月末時点で違法状態が続いていた。国交省は、10月末の状況を都道府県から報告を受けた。それによると、届け出のない有料老人ホームは、北海道が289、神奈川県85、沖縄県80、大阪府55などだった。一方で、ゼロという報告が山形、新潟、石川、福井、滋賀、鳥取、徳島の7県からあった。報告数のばらつきについて、国交省建築指導課の担当者は「調査の態勢や法律の解釈など自治体によって実態把握の取り組みに温度差がある」とみる。ゼロと報告した7県などでは違反が把握できていない可能性があるとして、国交省は実態を把握するよう通知を出す。>

全国の未届け老人ホーム913施設には、いわゆるお泊りデイサービス(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052702.pdf)は含まれているのであろうか。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000066571.pdf)p27「通所介護事業所等の設備を利用して宿泊サービスを実施する場合の届出制の導入等」、p28「通所介護等の設備を利用して宿泊サービスを実施する場合のガイドラインの骨子案」、p30「お泊まりデイサービスへの対応(案)」、p31「介護サービス情報公表制度の見直し」に期待したい。お泊まりデイサービスは意外に身近にあるが、未届けの老人ホームすべてについて、情報公開による質確保が重要と感じる。
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成田市医学部新設の行方

2014年12月26日 | Weblog
M3「「質の悪い医師増える」と高久氏、成田の医学部新設で 日医、医学会なども改めて反対を表明」(http://www.m3.com/open/iryoIshin/article/280855/?category=report)。<以下引用>
<千葉県成田市における国家戦略特区による医学部新設の検討を受けて、日本医師会、日本医学会、全国医学部長病院長会議は12月24日、医師養成数の過剰や現在の構想の不十分さを指摘した上で、「反対」を明言する会見を開いた。新設の影響について、会見者から「(募集停止する大学が相次ぐ)法科大学院のようになってはいけない」「質の悪い医師が増える」といった意見が出た。132人に1人が医師になる可能性;会見には、3団体から9人が出席。日医の横倉義武会長が強調したのは、医師養成数の問題。2008年度から2015年度にかけて、年間の医師養成数は1509人増加している点や、地域枠で入学した学生全員がまだ臨床現場に出ていない点を指摘して、「医師養成数に一定のめどがつきつつある」と述べた。さらに、人口減少の中で、1976年には437人に1人が医師になっていたのに対して、2014年には162人に1人となっているグラフを示し、現状の医学部定員数でも「2030年には132人に1人になる」として、医師過剰になるとの認識を示した。横倉会長は、医師1人の養成費用や地元医師会の反対にも言及した上で、「(成田への医学部新設は)反対。人口が減る中で、今後の医師養成数を検討した上で浸透に対応する必要がある」とした。「医師養成数を検討して対応」との表現について、「他の団体より表現が弱いのでは」との指摘に対して、横倉会長は、「トーンの違いはない」と足並みがそろっている点を強調した。加えて、横倉会長が紹介したのは、法曹界の規制改革で、募集停止が多発している法科大学院。合格率に課題がある法科大学院は、入学者が9割減り、募集停止校が、74校中20校に上っている点を踏まえ、「医学部は、(法律系の大学と比べて)設備が極めて重い。法科大学院のようにならないようにと、強く申し上げたい」と話した。「質の悪い医師増加、国民幸せでない」;日本医学会の高久史麿会長は、医学会の幹事会において、全員が新設に反対した点に言及し、「(現在までの定員増加で)医学生の質の低下を指摘するデータも出ている。質の悪い医師が増えるのは国民にとって幸せではない」とした。地域偏在などの問題について、高久会長は、「国として考えていかないといけない問題」とした上で、地域医師会と大学で、協働して取り組む姿勢の重要性も強調した。全国医学部長病院長会議副会長の甲能直幸氏は、成田市や国際医療福祉大学が示している「国際医療への貢献」「グローバルスタンダードの医療施設提供」などについて、「既存の大学で対応できる」と、同会議の従来の主張を繰り返し、新設医学部が不要である点を指摘した。同会議相談役の寺野彰氏は、国際医療福祉大学について、「栃木で計画があったときの目的は『地域医療』、神奈川の時『先端医療』だった。どこまで真剣なのか」と、同大学の姿勢を批判した。「成田の高度医療提供問題ない」;同じく同会議相談役の河野陽一氏は、千葉県の実情を紹介。成田市のある印旛保健医療圏について、既に基準病床数を満たしている上に、成田赤十字病院と2つの大学病院の分院がある点を指摘して、「近くに高度医療病院が存在していて、高度医療の提供に問題はない」と述べた。成田市に600床規模の大学病院ができた際の影響について、「地域医療提供や看護師確保からすると、プラスよりアンバランスになる側面がある」と指摘した。>

キャリアブレイン「医学部新設、成田市構想に日医などが反対- 定員増、医師の質に疑義も」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44560.html)。<以下引用>
<国家戦略特区に指定されている千葉県成田市が国際医療福祉大と連携して進めている医学部新設構想について、日本医師会(日医)と日本医学会、全国医学部長病院長会議は24日、合同記者会見を開き、人口の減少や、医学部の定員増によって毎年1000人以上の医師の就業が見込まれることなどを挙げ、「医学部新設に反対」との考えで足並みをそろえた。会見で、日医の横倉義武会長は、2008年度から15年度までの入学定員の累計増員数が約1500人となっていることを踏まえ、「新設医学部の定員数を従来の100人とすると約15医学部分に相当する」と指摘。「医師数の絶対数の確保には一定のめどが付きつつある」とし、今後の環境変化や勤務医の負担軽減にも対応できるとの見通しを語った。また、日本医学会の高久史麿会長も「質の悪い医師が増えてくるというのは、国民にとっては幸せではない」とし、増員によって医療の質が落ちることに懸念を示した。一方、今月18日に反対の姿勢を表明した全国医学部長病院長会議の甲能直幸副会長も「新設には膨大な費用がかかり、国民への負担が大きい。医療の現場に及ぼす混乱も予想される」と述べた。>

キャリアブレイン「成田市構想を痛烈批判、医学部長病院長会議- “国際”は「隠れみの」、対案準備も」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44525.html)。<以下引用>
<全国医学部長病院長会議の荒川哲男会長(大阪市立大医学部長)らは18日に開いた記者会見で、国家戦略特区に指定されている千葉県成田市が国際医療福祉大と連携して進めている医学部新設構想を痛烈に批判した。同構想が国際的な医療人材の育成をうたっていることについて、定員140人のうち、国際性の高いカリキュラムを受講する「特別国際枠」は20人にとどまるとし、特別国際枠の構想を「隠れみの」として一般臨床医の育成を主目的にしていると批判。また、医師の地域・診療科偏在問題を解消するための「対案」を、日本医師会などと準備していることも明らかにした。特区の医学部新設をめぐっては、東京圏の区域会議の下に設置された、成田市での新設を議論する分科会が17日に初会合を開いていた。全国医学部長病院長会議は、4月にも特区の医学部新設に反対する声明を発表。18日の会見では、改めて反対姿勢を示した。政府は、特区の医学部には、「一般の臨床医の養成・確保を主たる目的とする既存の医学部等とは次元の異なる際立った特徴を有する」必要があるとしている。同会議は、成田市などはこれをクリアするために「国際的な医学部」を強調しているものの、すでに既存の医学部で国際化の取り組みはなされているなどと反論した。会見に同席した小川彰顧問(岩手医科大理事長)は、成田市などの構想について、「本来は普通の医学部をつくりたいという意図があるが、“国際”を打ち出すことで、それを巧妙に隠している」と指摘。国際医療福祉大についても、「これまで何度も他の土地で新設構想を出しているが、そのたびに理念が異なり、ご都合主義だ」と一蹴した。さらに荒川会長は、「特区で一校でも医学部新設が認められると、他の特区からも新設の要求が出されて歯止めが利かなくなる」と危機感を示した。>

キャリアブレイン「医学部新設、特区の成田市分科会が初会合- 附属病院600床、病床規制の緩和要求」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44513.html)。<以下引用>
<国際的な医療人材を育成するための医学部の新設などについて議論する、東京圏国家戦略特別区域会議の下に設けられた「成田市分科会」は17日、初会合を開いた。千葉県成田市の小泉一成市長や、成田市と連携して医学部新設を目指している国際医療福祉大の矢崎義雄総長らが出席。成田市は、医学部新設が認められた場合に600床規模の附属病院をつくるため、病床規制に関する医療法の特例を適用することなどを求めた。東京圏の特区に指定されている成田市は、国際医療福祉大と協力し、国内外の医療需要に対応した国際的な医学部の新設や、国際空港の立地する同市にふさわしい国際水準の病院の設置などを盛り込んだ「国際医療学園都市構想」の実現を目指している。これらは、9日に決まった東京圏の第1弾の区域計画には入らなかったが、医学部新設について検討して結論を得ることは極めて重要で緊急性が高いとされ、同分科会を設置して議論することになっていた。17日の初会合では、成田市が資料を提出し、国際医療学園都市構想の実現のために必要な規制緩和策を具体的に提示。医学部の新設を認めないとする文部科学省の告示による規制の緩和を求めたほか、同市のある二次医療圏の既存病床数が基準病床数に達しており、不足病床数がゼロであることを挙げ、東北地方の医学部新設での公募の事例などから、附属病院の600床規模の病床規制の緩和が必要だとした。また同市は、この附属病院では国際的な医療サービスを提供することも必要だと指摘。そのため、現在は英・仏・シンガポールの3か国に限られている二国間協定に基づく日本国内での外国の医師免許を持つ人の診療業務を、他の国にも拡大した上で、それぞれの国籍の患者に対しての診療しか認められていない現状の規制を緩和し、母国だけでなく、日本を含むさまざまな国の人を診察できるようにすることを求めた。この日の会合には、オブザーバーとして、文科省の高等教育局長や厚生労働省の医政局医事課長らが出席した。今後、成田市と国際医療福祉大は両省とも協議しながら、医学部新設の実現に向けての課題や解決策を整理する。次回の会合では、具体的な課題の解決策や、医学部新設に伴って生じる病床規制の緩和などについて話し合う。>

東京圏国家戦略特別区域会議の成田市分科会資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/tokyoken/naritashi.html)が出ている。12月9日の東京圏国家戦略特別区域会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/tokyoken/dai2/shiryou.html)では、成田市における「国際的な医療人材の育成のための医学部等の新設に関する検討について「極めて重要かつ緊急性が高い」とされていたが、現在、東北薬科大学(http://www.tohoku-pharm.ac.jp/new/index.cgi)での医学部新設の動向が注目されている中で、さらに、成田市医学部が「極めて重要かつ緊急性が高い」と感じない方が少なくないかもしれない。全国医学部長病院長会「国家戦略特区での医学部新設に反対する。」(https://www.ajmc.jp/pdf/kokkasenryakutokku26-4-11.pdf)、日本医師会「東京圏国家戦略特区における医学部新設に改めて反対を表明―横倉会長」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1822.html)も出ている。文科省「医学部(医学科)入学定員の推移」(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2013/11/15/1324090_1.pdf)をみれば、昭和59年~平成15年に655人削減されているが、今後、定員削減の必要が出てくる場面が絶対にないとはいえない。なぜ、柔軟な対応がしやすい大学医学部の定員増加ではなく、医学部新設なのか、よくわからない方が少なくないかもしれない。歯科医師過剰(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E9%81%8E%E5%89%B0%E5%95%8F%E9%A1%8C)や法科大学院定員割れ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E5%AE%9A%E5%93%A1%E5%89%B2%E3%82%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C)と同じ轍を踏んではいけないであろう。将来の懸念だけではなく、「教員確保のため医療現場から多くの医師を引き上げることで、地域医療の崩壊が加速する可能性」(http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2014/m06/r0616.htm)を懸念する方も少なくないかもしれない。「国際的な医療人材の育成」は国立国際医療研究センター(http://www.ncgm.go.jp/)や既存大学医学部等では、なぜダメなのか、オブザーバーとして参加している、文科省の高等教育局長や厚生労働省の医政局医事課長から具体的に明らかにされるべきであろう。政府の国家戦略特別区域会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/tokyoken/dai2/shiryou.html)での医学部新設には何か特別な力が働いているのであろうか。ネット記事(http://yoshiko-sakurai.jp/2013/05/09/4677)では「2023年までに日本の医学教育が国際標準に改められない限り、日本の医学部の学生は米国の医師国家試験を受けられなくなる」とあるが、米国からの外圧がかかっているのであろうか。これまで、医学部新設についてのマスコミ報道(http://biz-journal.jp/2013/06/post_2293.html)では医師会ばかりが反対するような記事であったが、非常に不思議な感じがする。今年6月にはMEDICAL CONFIDENTIAL「成田「医学部新設」浮上で疑心暗鬼の日医会長選」(http://medical-confidential.com/confidential/2014/06/post-714.html)が出ていた。
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がん広域検診

2014年12月26日 | Weblog
朝日新聞「高知)がん広域検診の受診者募集 来年1月から3月」(http://apital.asahi.com/article/news/2014122500002.html)。<以下引用>
<来年1~3月に県内各地で実施するがん検診の受診を県が呼びかけている。居住地以外の勤務先近くでも受診できる広域検診で、昨年度に続いて2回目の実施になる。県健康対策課によると、毎年、がんで亡くなる県民は年間死亡者全体のおよそ4人に1人。一方、がん検診の受診率は働き盛りの40~50代で30~45%程度にとどまっている。県民世論調査では「忙しくて時間がとれない」「受けるのが面倒」との理由が上位を占めているため、昨年度から居住地以外で受診できる広域検診を県が始めた。1月13日から3月15日にかけて、高知市保健福祉センター(同市塩田町)など県内の延べ44会場で実施。全会場で受診できるのは、40歳以上の男女が対象の肺がん、胃がん、大腸がん。40歳以上の女性が対象の乳がんと20歳以上の女性が対象の子宮頸(けい)がんは受診日が限られている。各会場と検診日の詳細は県のホームページ(http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/130401/2014111800136.html)参照。申込期限は各検診日の3週間前に設定されている(初回1月13日の須崎市総合保健福祉センターは既に締め切り)。申し込みは平日の午前8時半から午後5時まで、県総合保健協会(088・832・9691)へ。>

「平成25年度市区町村におけるがん検診の実施状況調査集計結果」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=147922&name=0000013913.pdf)p8に出ているように、市町村によって、がん検診の自己負担額が異なるが、がん広域検診は、検診実施機関がしっかりしていれば、それほど難しくないように感じる。1~3月はがん検診車の配車に比較的余裕がある。がん対策に関する世論調査(http://survey.gov-online.go.jp/h24/h24-gantaisaku/index.html)では未受診理由(http://survey.gov-online.go.jp/h24/h24-gantaisaku/2-2.html)として「受ける時間がないから」の割合が47.4%と最多である。広域検診は受診率向上策の一つの方法かもしれない。「がんの統計2013」(http://ganjoho.jp/data/professional/statistics/backnumber/2013/cancer_statistics_2013.pdf)p70~73に年齢階級別のがん罹患率が出ているように、乳がん、子宮頸がんは勤務世代に多い。「労働者健康状況調査結果概要」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h24-46-50_01.pdf)p12では、過去1年間にがん検診を実施した事業所」は34.3%に留まり、そのうち、「がん検診の種類(複数回答)」は、乳がん検診64.3%、子宮がん検診62.0%とある。大企業の実施率は高く、中小企業は低い。この現実は重く受け止める必要がある。例えば、女性が集まりやすい会場での集団がん検診はどうであろう。全国健康関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/03/tp140313-01.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/03/dl/140313-01_02.pdf)資14で「女性の健康週間実施要綱」改訂が出ているが、一部の自治体では、3月1日から3月8日までの「女性の健康週間」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/woman/index.html)に合わせて、集団女性がん検診が実施されている。集団がん検診は施設がん検診に比べて、大幅に予算を節約できることや、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=147922&name=0000013913.pdf)p2に出ているように、個別検診に比べて単価の低い集団検診の方が情報管理がよいことも考慮されるべきかもしれない。なお、朝日新聞「山口)がん検診デビューを 周南市が2人組みに商品券」(http://apital.asahi.com/article/news/2014052100002.html)、朝日新聞「岩手)がん検診してポイントためよう 遠野市」(http://apital.asahi.com/article/news/2014042200004.html)の報道もあったように、がん検診もインセンティブを考えたいところかもしれない。例えば、比較的単価の安い、集団がん検診を受診した場合であれば、集団検診単価と個別施設での検診単価との大きな差額を考慮すれば、ある程度のインセンティブ付与でも財政的に無理はない気がする。
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高齢者の保険料負担、利用者負担

2014年12月26日 | Weblog
キャリアブレイン「高齢者医療と介護の給付、伸び率半分に- 財政審が建議取りまとめ」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44584.html)。

NHK「後期高齢者 保険料の「特例」縮小方向で調整へ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141225/k10014260261000.html)。<以下引用>
<厚生労働省は75歳以上が加入する後期高齢者医療制度を巡り、年金収入が一定水準以下の人などを対象に保険料が最大で9割軽減されている特例措置について、平成29年度から段階的に縮小する方向で調整することにしています。75歳以上が加入する後期高齢者医療制度では現在、年金収入が211万円以下の人などの保険料を最大で9割軽減する特例措置が取られており、今年度はおよそ865万人が対象になっています。この措置について、厚生労働省は世代間の負担の公平を図るためとして、平成29年度から段階的に縮小する方向で調整することにしています。ただ、特例措置がすべてなくなると保険料が月額、370円から6480円へと17倍以上に引き上げられるケースもあり、自民党内などから低所得者への配慮が必要だという意見も出ていることから、厚生労働省は今後、急激に負担が増えないようにするための方策などを検討する考えです。塩崎厚生労働大臣は近く安倍総理大臣と会談し、こうした方針を説明することにしています。>

日刊ゲンダイ「政府が“究極の庶民イジメ” 2015年は「年金減額」元年の危機」(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/155993)。

高齢者の保険料負担は医療保険だけではなく、介護保険料もある。老健局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-09-01p.pdf)p6「介護給付と保険料の推移」では今後も介護保険料が上がっていき、2025年度(平成37年度)には月額8200円程度と推計されている。現在、各自治体で策定中の第6期介護保険事業計画(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052532.pdf)での来年度からの高齢者の保険料が注目である。既に月額900円アップを表明した自治体(http://apital.asahi.com/article/news/2014120900002.html)もある。保険料だけではない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000064747.pdf)に出ているように、来年8月から、一定以上所得者の利用者負担が1割から2割になる。他にも様々な負担増(https://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/141015kokkai-houan.html)が予定されている。しかし、負担増を嘆いてばかりではいけない。昨年8月、厚生労働省が「国民の健康寿命が延伸する社会に向けた予防・健康管理に関する取組の推進」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000019326.html)で5兆円規模の医療費・介護費の抑制目標を発表(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401250-Hokenkyoku-Iryouhitekiseikataisakusuishinshitsu/0000019923.pdf)、(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401250-Hokenkyoku-Iryouhitekiseikataisakusuishinshitsu/0000019922.pdf)しているが、例えば、厚労省の「後発医薬品の使用促進」での1兆円の医療費抑制目標(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401250-Hokenkyoku-Iryouhitekiseikataisakusuishinshitsu/0000019922.pdf)に向けて、国民全体の意識を高める必要がある。平成25年社会医療診療行為別調査の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa13/index.html)の薬剤の使用状況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa13/dl/yakuzai.pdf)で、p19「薬剤種類数の状況;後期医療の1件当たり薬剤10種類以上は院内処方9.4%、院外処方11.3%」、p22「後発医薬品の使用状況;薬剤点数に占める後発医薬品の点数の割合で総数11.1%、入院9.1%、院内処方11.9%、院外処方10.9%、薬剤種類数に占める後発医薬品の種類数の割合で総数44.8%、入院42.6%、院内処方44.9%、院外処方44.8%」とあるが、医療費適正化の余地は小さくないように感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-2.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-3.pdf)では、都道府県別の市町村国保と後期高齢者医療の実態に関する詳細なデータが順位付で公表されているように、医療提供実態の都道府県格差は大きい。こうした実態が地元マスコミでも積極的に情報公開されるべきであろう。昨年3月の総務省「医薬品等の普及・安全に関する行政評価・監視 <調査結果に基づく勧告>」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/000071649.html)では、後発医薬品の普及の促進が勧告(http://www.soumu.go.jp/main_content/000213386.pdf)(http://www.soumu.go.jp/main_content/000213385.pdf)され、「市町村別の後発医薬品数量シェアを把握・公表し、都道府県に周知すること。」と厚労省に対して勧告されているが、どうなっているであろうか。
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バイオテロの懸念

2014年12月25日 | Weblog

ロシアの声「北朝鮮、「宣戦布告」を宣言」(http://japanese.ruvr.ru/news/2014_12_26/281714882/)。

国民保護(http://www.kokuminhogo.go.jp/pc-index.html)は武力攻撃事態だけではない。国際情勢によっては天然痘(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/j-terr/2004/0514-1/index.html)等のバイオテロが懸念される。今年7月には、読売新聞「絶滅したはずの天然痘、米保健機関にウイルス」(http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=101681)と報道されていたが、天然痘ウイルスの保管は米国機関だけではないであろう。平成15年11月の感染症法改正で、天然痘が一類感染症に位置づけられるとともに、予防接種法の政令改正で法に基づく臨時接種がされることになっているが、世界根絶宣言されている天然痘が法律で規定されるのは、起こりうる可能性が否定できないからである。以前の保健師国家試験(http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/04/dl/tp0419-3-2am.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/04/dl/tp0419-3-2-kaitou.pdf)問69で天然痘が出題されたことがあり、「天然痘では1例でも発生した場合はアウトブレイク」である。保健医療関係者は天然痘研修会資料(http://idsc.nih.go.jp/disease/smallpox/index.html)をみておきたい。天然痘は、①空気感染する、②潜伏期間がやや長い(7~16日)、③全く免疫がない若者が多い(わが国では1975年まで種痘実施)、④致命率が高い(20~50%)、⑤テロ実行者はワクチン接種でリスクが小さい等から、最も警戒したいバイオテロの一つである。以前、ウイルス学者から聞いたところでは、テロとして使用するには凍結乾燥で扱いやすい感染症とのことであった。天然痘(痘そう)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-01-03.html)は、感染症法の1類感染症(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html)であるが、今年話題になったエボラ出血熱(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola.html)の諸準備が役立つことであろう。また、臨時の種痘は、新型インフルエンザ対策(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html)の特定接種、住民接種(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/jumin-sesshu.html)の準備が役立つはずである。「市町村のための新型インフルエンザ等住民接種に関する集団的予防接種のための手引き(暫定版)」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/dl/tebiki_zantei.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/dl/tebiki.pdf)を参考に、市町村行動計画が策定されているであろうが、具体的な検討(接種場所、スタッフ、案内方法等)はどうなっているであろうか。医療機関以外での住民接種に係る巡回診療届出や診療所開設届出(http://www.pref.toyama.jp/branches/1273/main/imu.htm)様式も事前準備しておきたい。なお、政府の「NBCテロ対処現地関係機関連携モデル」(http://www.j-poison-ic.or.jp/ippan/1122nbc.pdf)では「保健所」がしっかり組み込まれていることを認識したい。
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生活保護医療扶助の適正化と生活困窮者自立支援

2014年12月25日 | Weblog
日本経済新聞「生活保護者への向精神薬「多剤処方」、健保加入者の4倍」(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27H6N_U4A221C1CR8000/)。<以下引用>
<生活保護の受給者が、医師から睡眠薬など複数の向精神薬を大量に出される「多剤処方」の割合が、健康保険組合加入者の約4倍に上ることが、厚生労働省研究班の全国調査で分かった。受給者の処方割合を自治体別に見ると、最高は兵庫県西宮市で最低は富山県。都道府県別では関西地方が多かった。生活保護受給者の医療費に自己負担はなく全額が公費。過去に受給者が病気を装って入手した向精神薬がインターネットで転売される事件が発覚するなど、制度の悪用が懸念されている。研究班は「適正な処方に向けてより詳細な分析が必要だ」としている。調査は、厚労省の科学研究費補助金を受けて財団法人「医療経済研究機構」(東京・港)が実施。2011年と12年の各年の主に5月診療分のレセプト(診療報酬明細書)について、生活保護受給者に関しては延べ約228万件、健保組合加入者では全国約50組合の延べ約80万件を分析した。その結果、抗不安薬、睡眠薬などの向精神薬が3種類以上出される多剤処方の割合は、健保組合加入者の0.5%に対し、生活保護受給者は約4倍の2.1%だった。薬物依存になる危険性が高まるとして、睡眠薬などの向精神薬を3種類以上出した場合、医療機関に支払われる診療報酬を減らす改定が今年10月から実施されている。また、受給者の多剤処方の割合を地域別に分析。都道府県と政令指定都市、中核市など107自治体を比べたところ、トップは兵庫県西宮市で、岐阜市、大阪府高槻市と続いた。最低は富山県。都道府県別のみだと上位6位のうち大阪、奈良、和歌山の関西地方が半数を占めた。地域差が生じた理由として、同機構の奥村泰之研究員は、生活保護受給者数が多く精神病床が少ない自治体では、多剤処方の割合が高くなる傾向があると指摘。こうした地域では重症度が高く、入院できない外来患者が多い可能性があるとしながらも、「自治体などが定期的に割合を調査するなど詳細な分析を行い、地域の実情に応じた対策を取る必要がある」としている。>

向精神薬の過剰入手は貧困ビジネス(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9)の一つとされ、「生活保護の医療扶助における緊急サンプル調査の一次調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000gmbj.html)が出ていたことなど、適正化について考える必要がある。財務省資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia241022/01.pdf)p36に出ているように、生活保護医療扶助ではタクシーを利用した受診も交通費として認められ、1片道通院当たりの支給額の全国平均は1,170円であるが、主要都市の平均1片道通院当たりの交通費支給額では、奈良市12,149円、宮崎市10,981円と片道1万円超えていることもどうなのであろうか。そういえば、キャリアブレイン「生活保護、後発薬との差額を自己負担に- 財務省案、490億円削減効果」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44098.html)が出ていたが、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046422.pdf)p43に出ているように、医療保険に比べて生活保護の後発医薬品使用割合が低いことは認識したい。とにかく、社会全体が生活保護の実態(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia241022/01.pdf)に関心を持つべきと感じる。資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia241022/01.pdf)p58にあるように、地域別の保護率に10倍以上の格差があること、p60に出ているように、非求職者、非就業希望者の地域的なばらつきが強いことはどれほど知られているであろうか。なお、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/z-fukushi/gyosei/gyousei05.html)では、「精神入院患者の2割が生活保護受給」とされている。市町村同意による医療保護入院の多くが生活保護医療扶助であろうが、精神障害者対策は生活困窮者自立支援の面からの取り組みが必要と感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-12-01d.pdf)p24~「新たな生活困窮者自立支援制度について」を理解したい。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046438.pdf)p198に出ているように、生活困窮者自立支援法は平成27年4月1日施行であり、生活困窮者自立支援法(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046438.pdf)の関心をもっと高める必要があるように感じる。「生活保護受給者数が多く精神病床が少ない自治体では、多剤処方の割合が高くなる傾向」というが、それぞれが自分たち自治体の状況に関心を持たなければならない。
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