保健福祉の現場から

感じるままに

がんの標準治療

2017年11月30日 | Weblog
朝日新聞「がん標準治療率、平均72% 13年調査、4ポイント増」(http://www.asahi.com/articles/ASKCW6F5FKCWUBQU029.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<国立がん研究センターは29日、全国の病院でがんの標準治療を受けた患者は平均72%だったと発表した。標準治療は、科学的な根拠に基づく現時点で最良とされる治療。2013年にがんと診断された約45万人のうち、胃がんや肺がんなど9項目の治療・検査を調べた。同様の調査結果が初めて公表された12年分と比べて4ポイント増えた。全国のがん診療連携拠点病院など297施設が協力。がんの種類やステージなどを集めたがん登録と、その患者が受けた治療や検査のデータをもとに分析した。拠点病院の参加率は68%(前回55%)だった。最も高かったのは肝臓がんの手術前検査で92・3%。最も低かったのは乳房の切除手術後に再発リスクが高い患者が受ける放射線療法の36・9%。いずれも前回調査の最高と最低と同じだった。国立がん研究センター東病院乳腺・腫瘍(しゅよう)内科の向井博文医長は、放射線療法の実施率の低さについて「施設ごとに病理検査の手法が違い、再発の危険性が高い患者でも放射線療法を不要と考える医師がいるためではないか」と話す。>

国立がん研究センター「がん医療水準の「均てん化」を評価する体制構築に向けがん診療連携拠点病院などでの2013年治療実態を調査」(https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2017/1129/index.html)には目を通しておきたい。ところで、以前、東京新聞「高齢者の抗がん剤治療指針を作成 延命効果を調査 厚労省方針」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017042802000115.html)では「肺がんでは、七十五歳未満で抗がん剤治療による明らかな延命効果が見られたが、七十五歳以上は抗がん剤治療を受けた患者と受けていない患者の生存期間に大きな差はなかった。(中略)胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんでも調べたが、統計的に意味のある結果は出なかった。」と出ていた。M3「高齢者のがん治療…本人の意思考慮し選択」(https://www.m3.com/news/general/567154)とあったが、病院側の意向だけで治療を行うべきではないように感じる。「がん対策加速化プラン」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107743.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000107766.pdf)p11「診療ガイドラインに記載されている標準的治療は、一般的ながん患者に推奨できる治療法を示したものであり、高齢者や他疾患を持つ患者が増えている中、これらの患者に対して実施された場合の有効性・安全性等の検証は十分に実施されていない。」とあったが、「高齢者のがん診療指針」の普及徹底が不可欠と感じる。日本老年医学会「高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言」(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/proposal/pdf/definition_01.pdf)では、「75歳~89歳を高齢者」「90歳以上を超高齢者」と提言されているが、エビデンスがはっきりしない高額薬剤について、公的医療保険のあり方について検討されても良い感じがする。一方で、がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=355813)の「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会開催指針の改正について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000168738.pdf)p10「チーム医療の観点から、看護師、薬剤師等の医療従事者が受講可能となるよう、研修会の内容・体制を検討する。」、p11「専門的緩和ケアへの「つなぎ方」の追加• 意思決定支援(アドバンス・ケア・プランニングを含む)の充実• コミュニケーションスキル(対患者・家族、対医療従事者)に関するプログラムの充実• グリーフケアの追加• 医療用麻薬の使い方に関するプログラムの充実• 緩和的放射線療法の充実• がん以外の疾患に対する緩和ケアの追加」は注目であるが、p13「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会開催指針の改正に関する今後のスケジュール(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000168738.pdf)では、完全施行は平成31年度からである。昨年4月に「緩和ケア推進検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000168747.pdf)が出ていたが、もう少し早められないのであろうか。
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医療介護連携の強化

2017年11月29日 | Weblog
メディウォッチ「ケアマネは入院3日以内に情報提供を、集中減算は3サービスに限定―介護給付費分科会(3)」(http://www.medwatch.jp/?p=17175)。<以下引用>
<医療機関と居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)との連携を強化するため、介護支援専門員(ケアマネジャー、以下ケアマネ)からの「入院後3日以内の情報提供」を新たに評価する。入院時の情報提供は対面で行うか否かに関わらず一律に評価する代わりに、退院時の連携は「対面カンファレンスにケアマネが参加する」場合の評価をより手厚くする―。11月22日の社会保障審議会・介護給付費分科会では、居宅介護支援に関するこうした見直し案についても議論しました。厚生労働省はそのほか、▼【特定事業所集中減算】の対象事業所を判定する際の居宅サービスを、訪問介護・通所介護・福祉用具貸与の3つに絞る ▼【訪問介護(生活援助中心型)】の利用回数が著しく多い場合に、ケアプランを地域ケア会議などで検証する―といった見直しも提案しています。「受け手に有益な情報」が伝わりやすい様式例も提示 自宅などで療養する要介護者が、心身の状況や希望、置かれた環境に応じて適切な居宅サービスを利用できるように、ケアマネが居宅サービス計画(ケアプラン)を作成します。ケアプランを作成し、それに基づくサービスが実施されるように居宅サービス事業者と連絡調整を行ったりすることが、居宅介護支援の基本報酬(居宅介護支援費、月1回算定)で評価されています。在宅療養中に急性増悪を起こして入院した要介護者が、スムーズに在宅復帰するためには、病院とケアマネ事業所との連携が不可欠です。また、ケアマネは利用者の心身の状況などを把握しているので、その情報が病院側にしっかり伝われば、治療や退院に向けた調整がやりやすくなります。そうしたことを踏まえて居宅介護支援費には、▼【入院時情報連携加算】(入院した利用者の情報を、医療機関の職員に提供することを評価) ▼【退院・退所加算】(病院などを退院・退所する利用者のケアプランを、病院などの職員と面談して作成し、居宅サービス利用に必要な調整を行うことを評価)―といった加算が設定され、医療機関との連携が促されています。11月22日の介護給付費分科会で厚生労働省は、医療機関との連携をさらに強力に推し進めるために、これらの加算を見直してはどうかと提案しました。まず前者の【入院時情報連携加算】については、「入院後3日以内」の情報提供を新たに評価する方向性を示しました。今は、「入院後7日以内」の情報提供が要件ですが、情報提供のスピードに応じて単位数を2区分に分けるイメージです(「3日以内の情報提供」と「4―7日の情報提供」)。なお、現在は情報提供の方法で単位数が分かれています(医療機関「訪問」: 200単位、ファクスなど「訪問以外」:100単位)が、見直し後には、情報提供の方法が「訪問」でも「訪問以外」でも一律にする方針が示されています。一方、後者の【退院・退所加算】(1回300単位、入院・入所期間中3回まで)について厚労省は、新規にケアプランを作成する利用者に算定する【初回加算】(1回300単位)よりも高く評価する方向性を提示(【初回加算】と【退院・退所加算】は併算定できない)。さらに、▼医療機関や介護老人保健施設(老健)などとの連携回数が多いほど高く評価する ▼医療機関におけるカンファレンスに参加したら上乗せで評価する―としています。このうち、カンファレンスへの参加を上乗せで評価する厚労省の提案は、診療報酬の【退院時共同指導料2】(1回400点、退院後の療養に関する患者への説明や指導を、退院後の在宅療養を担う医療機関の医師らとのカンファレンスを開いて共同で行うことなどを評価)と、介護報酬の居宅介護支援への評価とを連動させるものです。具体的には、病院側が開いたカンファレンスにケアマネが参加して利用者の情報を収集した場合の評価を、単に病院などの職員と面談して情報収集した場合の評価より高くするようです。現在もカンファレンスに参加した場合に限って【退院・退所加算】を3回(通常は2回まで)算定できますが、カンファレンスへの参加がより手厚く評価されることになります(カンファレンスにケアマネなど3者以上が外部から参加すると、病院側が算定する診療報酬の【退院時共同指導料2】は2000点加算される)。厚労省は、老健からの退所に向けたカンファレンスにケアマネが参加する場合は、この上乗せの対象にしない方針ですが、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、「(ケアマネが)医療機関の退院時カンファレンスには行くが、老健のカンファレンスには行かないという事態を招かないか」と指摘しています。また厚労省は、【入院時情報提供連携加算】と【退院・退所加算】の様式例を示して、情報の受け手(入院時は医療機関、退院時はケアマネ事業所)にとって有用な情報が、伝わりやすくする方向性も示しています。このうち【入院時情報提供連携加算】の様式例には、患者の「住環境」や「入院時の要介護度」「在宅生活に必要な要件」などの記載欄を設けます。一方、【退院・退所加算】は様式例の項目を大幅に見直し、「退院後に必要な事項」を、看護やリハビリテーションの視点から、それぞれ記載できるようにします。様式例の見直し案について齋藤訓子委員(日本看護協会副会長)は、「多角的な状態把握のための様式例。(これを使えば)多職種の『目』が入るケアプランにつながりやすい」などと高く評価しました。一方で、独自の様式が定着している地域があることもあり、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)や佐藤保委員(日本歯科医師会副会長)は、あくまで「例示」という位置付けにとどめるべきだと強調しています。医療・介護連携の強化策として厚労省はこのほか、(1)ケアマネが日頃から、利用者・家族に対して「入院した際、医療機関の職員に担当ケアマネの連絡先を伝えてほしい」と依頼する(2)訪問介護員から聞いたり、モニタリングの際に把握したりした利用者情報(口腔に関する問題や薬剤状況など)を、ケアマネから医師に伝える(3)訪問看護や通所リハビリテーションなどの医療サービスを利用者が希望して、ケアマネが医師らに意見を求めた場合には、作成したケアプランを医師らに交付する―ことを、運営基準で義務付ける方向性も示しています。(1)は、「入院先の病院職員が担当ケアマネにすぐ連絡でき、担当ケアマネが、患者(利用者)の情報をすぐ病院に伝えられる」という効果を期待したものです(病院側から連絡がなければ、利用者の入院にケアマネが気付かない)。委員からは、「ケアマネの名刺を健康保険証に挟んでおく」といった具体的な工夫が必要だという指摘もありました。特定集中減算は3サービスのみに限定、訪問看護などは免除  11月22日の介護給付費分科会で厚労省は、【特定事業所集中減算】(1か月につき200単位を減算)について、訪問看護や訪問・通所リハビリテーション、短期入所生活介護などの集中率が高い事業所に対する減算を免除する方針を示しています。現在のルールでは、訪問看護などを含む17種類の居宅サービス・地域密着型サービスについて、それぞれ集中率を算出し、80%を超えるサービスが1つでもあれば減算が適用されます。例えば、訪問介護を含むケアプラン100件中、「X法人の訪問介護事業所」を位置付けたケアプランが90件なら集中率は90%となります。判定は半年ごとで、減算対象の事業所では半年間、すべての居宅介護支援で減算が適用されます。「ケアマネは、利用者の立場に立って公正中立にケアプランを作成すべきで、ケアマネ事業所側の事情でケアプランに位置付ける事業所などを偏らせるべきでない」ことから設定されていますが、ケアマネ事業所にとっては厳しいペナルティーです。また、この減算に対しては、「むしろ一部のケアマネ事業所では弊害を生じさせる要因となっている」といった指摘もあります。例えば「本来なら、X事業所が利用者のニーズに合っているが、減算を避けるためにわざわざY事業所にする」といった弊害です。そうした状況を踏まえて厚労省が示した見直し案は、集中率を算定する居宅サービスを3種類(訪問介護・通所介護・福祉用具貸与)に限るというものです。鈴木委員らは賛成していますが、伊藤彰久委員(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)は、対象の居宅サービスを絞ったとしても弊害が起こる可能性が残るとして、検証していく必要性を指摘しました。公正中立な居宅介護支援を確保する方策として厚労省は、▼ケアプランに位置付ける居宅サービス事業所として、複数事業所の紹介を求めることができること ▼ケアプランに位置付けた事業所の選定理由の説明を求めることができること―を、ケアマネが利用者に伝えることを徹底させ、実施しないケアマネ事業所には【運営基準減算】(居宅介護支援費の半分を減算)を適用してはどうかとも提案しています。生活援助の頻度高いケアプランを多職種で検証 厚労省はさらに、【訪問介護(生活援助中心型)】の回数が「通常の利用状況と著しく異なる」場合に、ケアプランを検証する仕組みを導入する方針を示しています。著しく頻回の【訪問介護(生活援助中心型)】には、「利用者の状態に沿った効率的なサービス提供が行われていない可能性がある」といった指摘があり、財務省側が、「訪問介護費の算定回数に1日当たりの上限を設定してはどうか」と提案していました。厚労省案は、【訪問介護(生活援助中心型)】の月当たりの算定回数が、要介護度別の「全国平均利用回数」を「2標準偏差」を超えて多い場合に、ケアプランを市町村で検証するものです。検証は市町村が単独で行うほか、地域ケア会議を開催し、より適切な居宅サービスの有無を含めて多職種で話し合います。厚労省は、要介護度別の基準回数を来年(2018年)4月に示した上で、10月から検証をスタートさせたい考えです。ただし、「行き過ぎた指導が行われれば、要介護者が必要な回数の訪問介護を利用できなくなる」と懸念した田部井康夫委員(認知症の人と家族の会理事)が、「良いところが一つもないと思える対応案で、採用しない以外に選択の余地がない」などと厳しく批判しました。これに対して厚労省老健局老人保健課の鈴木健彦課長は、「多職種で検証してケアマネを支援しようという内容だ。場合によっては他のサービスもあるなど、(利用者にとってもサービスを)より良くする趣旨だ」と理解を求めています。また本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)は、「内容が適切かチェックするのは保険者機能として当然だ」と厚労省の案に賛同した上で、「不適切なものがあれば、確実に是正される仕組みを構築してほしい」と要望しています。末期がんの利用者のケアプランを変更するプロセスを簡素化 そのほか厚労省は、(1)利用者が末期のがんと診断され、日常生活上の障害が1か月以内に出現すると医師が判断した場合の居宅介護支援のプロセスを簡素化させる(2)質の高いケアマネジメントを推進するため、研修を受けた「主任ケアマネ」であることをケアマネ事業所の管理者要件とする―といった見直し案も示しています。(1)は、末期がん患者では急激に状態が変化することから、短期間でのケアプラン変更が求められる実態を踏まえたものです。具体的には、医師から助言を得た上で「サービス担当者会議」で支援の方向性などを確認した場合に、その後の利用者の状態変化に応じたケアプランの変更時、「サービス担当者会議」の開催などの省略を認めるとしています。そうした患者のケアプラン変更の必要性を確認するためには、ケアマネが利用者を頻回にモニタリングする必要があることから、厚労省は「モニタリングで把握した利用者の心身の状況などの情報を記録し、医師や居宅サービス事業者に提供することを、新たな加算で評価してはどうか」とも提案しました。しかし、「ケアマネが末期の状態をモニタリングするのは難しい」(東委員)、「医師には、サービス提供者から具体的な情報が入る。ケアマネから情報が入っても重複する」(齋藤訓子委員)など、加算の新設に慎重な意見が出ています。一方、(2)はケアマネ事業所の管理者を「主任ケアマネ」に限定する案ですが、「2021年3月末まで通常のケアマネの管理者を認めてはどうか」とも提案しています。さらに、「主任ケアマネ」の常勤専従配置は現在、【特定事業所加算】(1か月につき300―500単位)で評価されていますが、「他法人が運営するケアマネ事業所の研修会などの支援」を算定要件に加える方向性も示しています。>

介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)の「居宅介護支援の報酬・基準について(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000185792.pdf)p7「利用者やその家族に対して、利用者が入院した場合に担当ケアマネジャーの氏名や 連絡先等の情報を入院医療機関の職員等に提供するよう協力を依頼することについて、 運営基準で明確化してはどうか。 ・ 入院時情報連携加算について、現行の入院後7日以内の情報提供に加えて、入院後 3日以内に利用者の情報を医療機関に提供した場合を新たに評価するとともに、情報 提供の方法(訪問又は訪問以外)による差は設けないこととしてはどうか。また、よ り効果的な連携となるよう、入院時に医療機関が求める利用者の情報を様式例として 示してはどうか。」p8「退院・退所後の円滑な在宅生活への移行に向けた医療機関や介護保険施設等との連携 を促進する観点から、退院・退所加算の評価を充実させてはどうか。具体的には、以下 の仕組みとしてはどうか。 ・ 退院・退所時におけるケアプランの初回作成の手間を明確に評価 ・ 医療機関等との連携回数に応じた評価 ・ 加えて、医療機関におけるカンファレンスに参加した場合を上乗せで評価 また、退院時にケアマネジャーが医療機関等から情報収集する際の聞き取り事項を整 理した様式例について、退院・退所後に必要な事柄(医療処置、看護・リハビリの視点 等)を充実させることによって、退院・退所後の在宅生活へのより円滑な移行に資する よう、必要な見直しを行ってはどうか。」「平時からの医療機関との連携の促進を図る観点から、 ・ 利用者が医療系サービスの利用を希望している場合等は、利用者の同意を得て主治の 医師等の意見を求めることとされているが、この意見を求めた主治の医師等に対して ケアプランを交付することを、運営基準で明確化してはどうか。 ・ 主治の医師等が適切な判断を行えるよう、訪問介護事業所等から伝達を受けた口腔に 関する問題や薬剤状況等の利用者の状態や、モニタリング等の際にケアマネジャー自 身が把握した利用者の状態等について、ケアマネジャーから主治の医師等に必要な情 報伝達を行うことを運営基準で明確化することで、主治の医師等がケアプランに医療 サービスを位置付ける必要性等を判断できるようにしてはどうか。」は歓迎であるが、ますは、p19「入退院時の医療・介護連携に関する報酬」を理解しておきたい(特に病院スタッフ)。「B007 退院前訪問指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b007.html)、「B007-2 退院後訪問指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b007-2.html)、「A246 退院支援加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a246.html)、「B005-1-2 介護支援連携指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b005-1-2.html)、「B004 退院時共同指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b004.html)、「H003-2 リハビリテーション総合計画評価料入院時訪問指導加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_7_1/h003-2.html)など、急性期病院も在宅医療に深く関わる時代である。「A240 総合評価加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a240.html)の施設基準(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/shisetsu/kishi0008.html#kishi00080340000)には「当該保険医療機関内で高齢者の総合的な機能評価のための職員研修を計画的に実施すること」があり、医療介護連携の強化研修も必要であろう。
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介護施設の差別化と情報公開

2017年11月28日 | Weblog
メディウォッチ「老健の基本報酬、在宅機能に応じたメリハリ強く―介護給付費分科会(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=17143)。<以下引用>
<介護老人保健施設(老健)の役割が在宅復帰・在宅療養の支援であることを踏まえて、基本報酬にさらにメリハリを利かせる。また、かかりつけ医との合意に基づく入所者の減薬や、感染症の診断などに必要な医療機関との連携を評価する―。11月22日の社会保障審議会・介護給付費分科会では、老健の介護報酬の見直しに関するこうした方向性も固まりました。そのほか、▼利用者の医療資源病名を介護給付費明細書に記載するルールの対象(現在は療養機能強化型の介護療養型医療施設のみ)を拡大させる▼食堂がない有床診療所でも、短期入所療養介護を提供可能にする―といった見直しについても、おおむね合意しています。在宅復帰を支援するほど経営苦しい“逆転現象”の解消目指す 老健には、病院から退院した要介護者を受け入れ、リハビリテーションなどを提供して在宅復帰させる役割などが期待されています。今年(2017年)6月に公布された改正介護保険法(地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)では、老健が入所させるべき利用者が「在宅復帰・在宅療養支援が必要な要介護者」であることを明確化しており、来年度(2018年度)介護報酬改定でも、こうした機能への評価が注目されています。現時点でも、「在宅復帰率50%超」などの要件を満たす【在宅強化型】の老健の基本報酬は、そうではない【従来型】と比べて高く設定されています。また、【従来型】の施設が「在宅復帰率30%超」などをクリアすれば【在宅復帰・在宅療養支援機能加算】(1日につき27単位)を算定でき、いわば「入所者の在宅復帰を支援する老健ほど、入所者1人当たりの単価が高くなる報酬体系」になっています。一方で、在宅復帰に力を入れる施設ではベッドの稼働率が低下しやすいというデータもあります。全国老人保健施設協会の調査では、【在宅復帰・在宅療養支援機能加算】を算定する施設の収支差率が低く、実際のところ、この加算を取得しない【従来型】の施設よりも「経営が厳しい」と指摘しています。こうした状況を踏まえて厚生労働省は、「在宅復帰・在宅療養支援機能をさらに推進する観点から、必要な報酬体系の見直しを行ってはどうか」と提案しました。具体的には、▼【従来型】のうち「一定の在宅復帰・在宅療養機能を有する施設」を【基本型】と位置付け、基本報酬にメリハリを利かせる ▼【在宅強化型】のうち、「在宅復帰・在宅療養支援をより進めている施設」をさらに評価する―といった方向性を示しています。これは、「在宅復帰・在宅療養の支援に力を入れない施設」の方が経営上有利になる“逆転現象”の解消を目指す案だと言え、委員から明確な反対意見は出ませんでした。「入所後の取り組み」を評価指標に加える一方で、退所後に向けた指導の加算は廃止 さらに厚労省は、(1)在宅復帰・在宅療養支援機能の評価指標に、「入所後の取り組み」や「リハビリテーション専門職の配置」などを加え、よりきめ細かく機能を評価する(2)老健退所時の取り組みを評価している加算を原則廃止し、基本報酬に包括化する―といった見直し案も示しています。(1)の「入所後の取り組み」が何を指すのかはまだ定かでありませんが、11月22日の介護給付費分科会で厚労省は、老健での「リハビリテーションマネジメントの状況」の調査結果を資料として示しています(「サービス開始時のアセスメントの実施」や「リハビリテーションに関する本人・家族の希望確認」、「リハビリテーション計画書の本人・家族への説明」の有無など)。老健には以前、「リハビリテーションマネジメント加算」(1日25単位)が設定され、「入所者ごとのリハビリテーション実施計画の作成」や「入所者の状態の定期的な記録」「必要に応じた当該計画の見直し」などが評価されていましたが、2009年度介護報酬改定で基本報酬に包括化された経緯があります。他方、訪問・通所リハビリテーションには同名の加算が残っており、2015年度介護報酬改定で、「リハビリテーション計画の説明を医師が行うこと」などを高く評価する見直しが行われました(リハビリテーションマネジメント加算(II))。老健でも、同様の取り組みが改めて評価される可能性がありそうです。一方(2)の案で厚労省は、【退所前訪問指導加算】(入所中1回460単位)と【退所後訪問指導加算】(退所後1回460単位)、【退所時指導加算】(入所中1回400単位)を基本報酬に包括化してはどうかと指摘しています。これらの加算は、施設職員(医師ら)が入所者・家族に「退所後の療養上の指導」を行うことを評価するものです。厚労省老健局老人保健課の鈴木健彦課長は、そうした指導が老健の「本来業務」で、入所者全員に対して行うものなので、基本報酬に包括化すべきではないかと説明しています(【退所時指導加算】のうち「試行的な退所」の際の指導への評価は、そうした指導が必要ない利用者もいることから継続)。入所中の減薬や、肺炎などの診断に必要な医療機関との連携を評価 さらに厚労省は、(1)入所者への多剤投薬を解消させる取り組み(減薬)を評価する(2)肺炎などの感染症が疑われる入所者の診断に向けた医療機関との連携を評価する―といった方向性も示しています。このうち(1)は、利用者の入所中の処方方針について、老健の医師が、かかりつけ医との間で入所前に合意しておくことが評価の条件となります。かかりつけ医による外来患者の内服薬の調整は現在、診療報酬で評価されています(【薬剤総合評価調整管理料】:月1回250点)。来年度(2018年度)の診療報酬・介護報酬の同時改定で、老健との連携に対する診療報酬の評価が新設されれば、それに対応した介護報酬の評価が老健側にも設定されることになるでしょう。(2)は、入所者に対する肺炎などの治療(投薬や検査など)を評価する【所定疾患施設療養費】(1日につき305単位)の評価体系を改める提案です。厚労省は、「老健で行うことができない専門的な検査」が必要なケースもあることから、そうした場合の医療機関との連携などの「手間」に応じて評価してはどうかと指摘しています。さらに、専門的な診断などのために短期間(1週間以内)入院する利用者を、退所者として扱う現行ルールも見直すとしています。老健の在宅復帰・在宅療養支援機能の指標である「在宅復帰率」が低くなる(在宅復帰できなかった退所者としてカウントされる)ためで、こうした案にも明確な反対意見は出ていません。「科学的介護」確立へ、介護医療院などの医療資源病名を収集  11月22日の介護給付費分科会で厚労省は、介護保険施設の利用者のデータ収集をさらに進めるための見直し案も示しています。具体的には、利用者の医療資源病名(医療資源を最も投入した傷病名)をレセプト(介護給付費明細書)に記載するルールの対象を広げるもので、「療養機能強化型以外の介護療養型医療施設」や、来年度(2018年度)介護報酬改定で新設される「介護医療院」の「I型」(「療養機能強化型の介護療養型医療施設」相当の施設サービス)のレセプトにも、医療資源病名の記載を求めるとしています。レセプトに記載された情報は、介護保険総合データベースに格納され、一定の分析が可能です。例えば、今年(2017年)7月審査分のデータを分析すると、療養機能強化型の介護療養型医療施設の入院患者の医療資源病名(MDC分類)は、「神経系疾患」が7割弱(66.8%)を占めるほか、「循環器系疾患」(6.8%)と「外傷・熱傷・中毒」(6.0%)を合わせて1割超を占めることなどが分かりました。厚労省では現在、「○○という状態の利用者に●●というサービスを提供すると状態を改善させやすい」といったエビデンスの構築(「科学的介護」のための方法論の確立)を目指しており、医療資源病名のデータは今後、それに向けた分析に活用されると考えられます。食堂なくても短期入所療養介護を提供可、ただし報酬は低く設定 11月22日の介護給付費分科会で厚労省は、短期入所療養介護の指定基準を緩和させる案も示しています。短期入所療養介護は、居宅療養中の要介護者を短期間入所させ、医学的管理の下で介護や機能訓練などを提供する居宅サービスです。老健あるいは病院(療養病床あり)、診療所での提供が認められますが、老健の82.9%で実施しているのと比べて、病院(5.6%)や診療所(1.7%)ではほとんど実施されていません。厚労省の提案は、特に有床診療所からの参入を促すもので、具体的には、(1)「療養病床を持つ有床診療所」は、短期入所療養介護の基準をすべて満たすことから、指定の申請などを免除する(「みなし指定」にする)(2)「食堂」がなくても短期入所療養介護を提供できるルールにする―としています。このうち(2)は、「一般病床のみの有床診療所」が基本的に食堂を持たないことを踏まえた対応です。内科や外科が主な診療科の有床診療所に対しては、経営安定化のため、空床を利用して介護サービスを提供する「地域包括ケアモデル」への転換を促す方向性が中央社会保険医療協議会などで確認されており、要件を緩める見直しはその一環だと言えます。ただし厚労省は、食堂がある短期入所療養介護の事業所と比べて、報酬を低く設定してはどうかとも提案しています。>

介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)の「介護老人保健施設の報酬・基準」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000185793.pdf)、「介護療養型医療施設、介護医療院の 報酬・基準」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000185794.pdf)、中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「療養病棟入院基本料」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000185231.pdf)はセットで理解する必要がある。一口に「老健」「介護療養」「医療療養」といっても各種加算の有無で、提供内容がかなり異なっている。ここにさらに複数類型の「介護医療院」が入ってくる。厚労省の介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)での施設情報の公表は、医療法に基づく医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)と同様に詳細な情報公開が必要と感じる。また、各介護施設において、各種医療的ケアがどこまで対応できるかの情報公開があった方がよい。「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)p12「ア)地域の医療・介護の資源の把握」の中身が問われる。
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社会保障分野改革工程表

2017年11月28日 | Weblog
キャリアブレイン「社会保障分野44の改革、工程表見直しへ」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171127181156)。<以下引用>
<「経済・財政再生計画」(財政健全化計画)に沿って社会保障など各分野の改革を円滑に進めるため、政府は改革工程表の見直しを進めている。工程表の見直しは昨年末にも行っており、新たな工程表が決まるのは今年も12月下旬ごろだとみられる。経済・財政再生計画の工程表は、この計画のアクション・プログラムに盛り込まれた政策ごとの実施時期や具体化の時期などを盛り込んだスケジュール。政策が計画通りに実現したかどうかや、実現したなら、それによってどれだけ効果があったのかを評価できるように成果目標(KPI)も盛り込んだ。工程表を見直すのは、1年間の政策の進展と、それまでの議論や政府予算案の編成作業で見えてくる政策の方向性を反映させ、新たな改革メニューを打ち出すため。最新版の「アクション・プログラム2016」がまとまったのは昨年12月21日で、今年度の政府予算案が閣議決定される前日だった。「アクション・プログラム2016」には、▽「かかりつけ医」を普及させるための診療報酬上の対応▽後発医薬品がある特許切れ先発薬への評価の見直し―など医療や介護を含む社会保障関連の44の政策が並んだ。このうち「かかりつけ医」の普及策は、紹介状がない外来患者からの定額負担の徴収を義務付ける対象病院の拡大と、「かかりつけ医」以外を受診した際の新たな定額負担の導入の2段階。まずは定額負担の徴収を義務付ける対象病院の拡大について、社会保障審議会と中央社会保険医療協議会で年末までに話し合う。また、特許切れ先発薬の評価の見直しは、▽後発薬の保険給付額との差額を患者負担にする▽後発薬まで薬価を引き下げる―の2案を軸に、社保審と中医協で対応を話し合っている。政府は当初、今年6月ごろに結論を出すとしていたが、患者やメーカーに負担を求めることへの慎重論が強く、年末に先送りした。来年度には診療報酬や介護報酬の改定などが控え、これらの行方もぎりぎりまで見守る必要がある。このため新たな工程表がまとまるのは今年も12月下旬ごろだとみられる。経済・財政再生計画では、来年度までの3年間を「集中改革期間」に位置付け、政府は来年、中間評価を行う。ただ内閣府によると、どのタイミングでどのような評価を行うのかなど具体的なことは何も決まっていない。「それよりもまずは年末の歳出改革」と担当者。気になるのは、19年度以降の政府予算で社会保障費の自然増がどう扱われるかだ。財務相の諮問機関「財政制度等審議会」の分科会が10月4日に開いた会合後の記者会見で、田近栄治・分科会長代理は、ここへの対応も中間評価を踏まえて改めて検討することになるとの認識を示した。>

「経済・財政再生計画 改革工程表 2016改定版」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/1221_2/shiryo_03-1-2.pdf)p3のKPI「地域医療構想の2025年における医療機能別 (高度急性期、急性期、回復期、慢性期)の必要病床数に対する都道府県ごとの進捗率 【2020年度時点での十分な進捗率を実現】」が地域医療構想の評価指標とされており、注目である。しかし、政府の「未来投資戦略2017」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai9/siryou2.pdf)の中短期工程表「健康・医療・介護①」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai9/siryou3_3.pdf)のデータ利活用基盤の構築では、2017年度から2019年度にかけて「在宅医療・介護分野における多職種が共有すべき情報項目等の標準化の推進」で「2020年度からの本格稼働」とあったが、既に3年前の厚労省資料(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/0416/shiryo_09.pdf)p5で、「ネットワークの標準モデルの確立、普及」「在宅医療・介護を含めた標準規格の策定・普及」「クラウド技術の活用等による費用低廉化」があり、とにかく遅すぎる。また、「経済・財政再生計画 改革工程表」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281027/03.pdf)には精神医療関係はないし、財政制度等審議会財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「社会保障② 年金、生活保護、雇用、障害福祉、医療提供体制)」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281027/01.pdf)、資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia271009/02.pdf)p9「経済・財政一体改革における社会保障の改革検討項目」の44項目でも、なぜか精神医療関係は出てこない。財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の資料(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia291025/01.pdf)の医療費適正化や生活保護適正化でも精神医療は全く出ていない。財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)が精神医療を全く勘案しない理由は果たして何なのであろうか。
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産前・産後サポート事業、産後ケア事業の見える化を

2017年11月27日 | Weblog
保健指導リソースガイド「【健やか21】産後うつ予防リーフレット・動画公開(文京学院大学)」(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2017/006940.php)が目にとまった。厚労省「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドラインについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/sanzensangogaidorain.pdf)に基づく、市区町村別取り組み状況の「見える化」が不可欠と強く感じる。母子保健医療対策総合支援事業(国庫補助率1/2)の平成28年度補助金申請は産前・産後サポート事業182市町村、産後ケア事業で179市町村(保健衛生ニュース平成29年8月14日号)とのことであったが、自分たちの地域における取り組みはどれほど知られているであろうか。里帰り分娩も多く、広域的な調整も必要である。厚労省「妊婦健康診査の公費負担の状況にかかる調査結果について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000176691.html)が出ているが、産前・産後サポート事業、産後ケア事業に関する情報公開が必要と感じる。産前・産後サポート事業、産後ケア事業を本当に推進するのであれば、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)や「保険者データヘルス全数調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/dhcs28/)のような、「見える化」が徹底されるべきかもしれない。「全世代型社会保障」がかけ声だけではいけない。厚労省「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/sanzensangogaidorain.pdf)がいくら出されても、自治体で取り組まれなければ全然意味がない。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「平成30年度予算の全体像に向けて」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0714/shiryo_03-1.pdf)p2「医療・介護分野のサービス内容や受診行動等の地域差、地方行政サービスの地域差や地方単独事業の費用対効果、大学教育の質や成果などの「見える化」を一層促進し、課題認識の共有や行動の変容につなげる。さらに、先進・優良事例の全国展開の促進を図る。」とあったではないか。なお、「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/senta-gaidorain.pdf)に示す「主な業務;①妊産婦及び乳幼児等の実情を把握する、②妊娠・出産・子育てに関する各種の相談に応じ必要な情報提供・助言・保健指導を行う、③保健医療又は福祉の関係機関との連絡調整を行う」は従来から保健センターが行っているものである。平成28年度全国厚生労働関係部局長会議(http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/01/tp0117-1.html)の雇用均等・児童家庭局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/01/dl/tp0117-k02-01-01p.pdf)p37「母子保健法を改正し子育て世代包括支援センターを法定化(平成29年4月1日施行)(法律上は「母子健康包括支援センター」)。➢ 実施市町村数:296市区町村(720か所)(平成28年4月1日現在) ➢ おおむね平成32年度末までに全国展開を目指す。」とあったが、「平成32年度末まで」でなく、前倒しできないものであろうか。平成28年度全国児童福祉主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000152990.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000152978.pdf)p83「市区町村における児童等に対する必要な⽀援を⾏う体制の関係整理」にある「⼦育て世代包括⽀援センター(⺟⼦健康包括⽀援センター)」と「子ども家庭総合支援拠点」の一体的展開が不可欠であり、p97「子育て世代包括支援センターの法定化、市区町村子ども家庭総合支援拠点の整備(改正母子保健法第22条及び改正児童福祉法第10条の2)」もタテワリであってはならない。
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ひきこもり支援

2017年11月27日 | Weblog
朝日新聞「ひきこもり10年、警察頼った親恨み「心の内伝えたい」」(http://www.asahi.com/articles/ASKCM3FPDKCMUCLV002.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<10年間ひきこもった経験のある編集長を筆頭に、当事者と経験者だけでつくる「ひきこもり新聞」が今月、創刊1周年を迎えた。自分たちと思いがすれ違う親世代や支援者に、心の内を伝えたい。当事者をつなぎたい。そんな気持ちで紙面を作っている。編集長の木村ナオヒロさん(33)は、通算10年間ひきこもった経験がある。ひきこもって9年目。木村さんの一人暮らしの家に、突然警察官2人と保健所の職員2人が現れた。木村さんを心配した両親が連れてきたのだが、事前に何の話もなかった。警察官たちの姿に驚いた木村さんはパニック状態に陥り、その場で両親と怒鳴り合いになった。結局、誰も部屋に入れずに追い返した。「この出来事で親を恨むようになり、関係が悪化しました」  ひきこもる最初のきっかけは、大学受験に失敗したことだった。突然ベッドから起き上がるのがしんどくなった。調子が良ければ起き出すが、横になったまま天井を見て過ごす日も多かった。病院に行く気は起こらず、通販サイトのアマゾンで評価の高い心理学の本を買っては読みあさったり、サプリメントを50種類ほど試したりしたが改善しなかった。不調の理由が分からず、苦しかった。そういう状態でも、「自分がひきこもりだと思っていませんでした」と振り返る。9年目に警察官が来たときも、まだ自分をひきこもりだとは思っていなかった。「テレビに映っている、散らかった部屋でゲームをしているイメージと自分はほど遠く、絶対違うと思っていた」 自分とひきこもりを重ね合わせたのは、2年ほど前。精神科医の斎藤環(たまき)さんのカウンセリングを受けるようになってからだ。斎藤さんのひきこもりについての著書も読み、登場する当事者の状況や気持ちが自分と似ていると気づき、自覚したという。同じころ、自立や就労のためと称して支援団体が当事者の部屋に押し入り、意に反して寮などに連れ去る様子がテレビで肯定的に特集されているのを見た。自分の体験を思い出した。「当事者から親、支援者に現状や心の内を発信しなければ」 そんな思いに駆られた。斎藤さんのすすめで当事者の集まりにも出るようになっていた。集いで「発信したい気持ち」を話し、共感してくれた仲間とともに昨年11月、「ひきこもり新聞」を創刊。紙媒体の新聞を選んだのは、ネットが苦手な親世代にも届くと考えたからだ。新聞は隔月刊で毎号、「当事者発」の記事が紙面を埋める。>
 
生活困窮者自立支援及び生活保護部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=443308)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000164399.pdf)p14「内閣府関係調査;広義のひきこもり状態にある者54.1万人、狭義のひきこもり状態にある者17.6万人」「厚生労働省関係調査;ひきこもり状態にある世帯数約26万世帯」とあった。将来を見据えて、ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006i6f.html)に基づく対応を推進する必要があるように感じる。自立支援業者に関する情報共有ネット」(http://bit.ly/johokyoyunet)を通じた情報公開も期待される。以前、キャリアブレイン「非正規雇用で生活保護20兆円-シンクタンク試算」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15814.html)も出ていた。第二次ベビーブーム世代の高齢化も意識したいところかもしれない。そういえば、NHK「ひきこもりの高年齢化 深刻な実態を報告」(http://www.nsoku.net/archives/12440)が報道されていた。
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地域医療構想の推進

2017年11月27日 | Weblog
メディウォッチ「7対1・10対1基本料を再編・統合し、新たな入院基本料を創設へ―中医協総会(1)」(http://www.medwatch.jp/?p=17094)。<以下引用>
<現行の7対1・10対1一般病棟入院基本料を大幅に組み替え、「看護配置などに応じた基本部分」と「診療実績に応じた段階的な評価」を組み合わせた報酬体系に組み替えてはどうか。また現在の7対1と10対1の「中間的な水準」の評価を設け、7対1から10対1への円滑な移行を支援してはどうか―。11月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、厚生労働省がこういった提案を行いました。看護配置などに基づく「基本部分」と、診療実績に応じた「段階的評価」を組み合わせ 高齢化に伴って疾病構造が変化し、今後「多くの医療資源投入が必要」な医療ニーズは減少し、「中程度の医療資源投入が必要」な医療ニーズが増加してくと考えられます。「医療ニーズに基づいて看護職員を配置し、これを診療報酬で評価する」という、現行の入院基本料の考え方に照らすと、もっぱら「前者は7対1、後者は10対1」と考えられ、つまり7対1ニーズが減少し、10対1ニーズが増加していくと考えることができそうです。翻って入院基本料の点数を見ると、7対1は1591点、10対1は1387点(看護必要度加算を含む)と設定されており、1日につき204点の差があります。これは、200床の病院で、稼働率が100%とした場合、年間で1億5000万円近い収益の格差が生まれることを意味し、病院経営という観点でみれば「ニーズが減少していくからといって、簡単に7対1から10対1への移行はできない」という考えにつながってきます。さらに、現在、7対1病院には「重症患者(一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者)割合25%以上」などの施設基準が設けられ、この基準をクリアできなければ7対1を届け出ることはできません。一方、10対1では「病棟ごとの重症患者割合に応じた加算」(看護必要度加算)が設定されており、7対1と10対1で「重症患者割合」の活用方法が大きく異なっています。中医協の下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」では、重症度、医療・看護必要度のA・B・C項目の性質などに遡った検討を行い、▼B項目は「入院による管理の必要性・患者の状態の変化を横断的に把握する」手法として優れている ▼看護必要度A・C項目は「変動的な要素」を評価する手法として優れている—との結論を得ました。こうした状況を踏まえ厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、「7対1と10対1を組み替え、『看護配置などに応じた評価(基本部分)』と『診療実績に応じた段階的な評価』を組み合わせた、急性期の入院基本料を検討してはどうか」と、極めて大胆な提案を行っています。現時点では、まだイメージにとどまっていますが、次のような仕組みが考えられそうです。▼(1)看護職員配置や平均在院日数などを施設基準とする「急性期の入院基本料の基本部分」を設定する(例えば10対1看護など) ▼(2)重症患者割合などの診療実績に応じた「急性期の入院基本料の段階的評価部分」を設定する これら(1)と(2)を組み合わせた「急性期の入院基本料」を何種類か設定することが考えられ、迫井医療課長は「現在の7対1と10対1の中間的水準の評価を設定する」(7対1から10対1への円滑な移行を可能とするため)、「診療実績が最も高い病院では、現行報酬との整合性を考慮して、7対1看護配置を求める」、「評価の単位は『病院単位』が好ましいのではないか」といった考えも示しています。ここからメディ・ウォッチでは、例えば次のような報酬設定が考えられるのではないかと見通しました(数字や名称などを含め、すべてメディ・ウォッチ編集部の単なる「想像」です)。【急性期入院基本料1】7対1看護配置、平均在院日数18日以内、重症患者割合27%以上:1591点 【急性期入院基本料2】10対1看護配置、平均在院日数18日以内、重症患者割合25%:1489点 【急性期入院基本料3】10対1看護配置、平均在院日数18日以内、重症患者割合20%:1387点 この提案に真っ向から反対する意見は11月24日の中医協総会で示されておらず、今後、「どのような基準を設定するのか」(診療実績として何を指標とするのか)、「何段階の評価を設け、具体的な点数をどうするのか」といった論議が行われます。診療実績では「看護必要度評価票のA・C項目のみを勘案する」、「看護職だけでなく、リハビリ専門職など多職種の配置を勘案する」といった検討も行われるかもしれません。委員からは、さまざまな提案・注文が付いていますが、診療側委員はこぞって「大きな改革であり、(後述する)重症度、医療・看護必要度の見直しなどはせず、現行基準のまま報酬体系を見直すべき」と主張しました。看護必要度の内容や重症患者割合が見直されるだけでも対応に時間がかかり、同時に報酬体系の見直しまで行われては、医療現場は対応できず大混乱になる、と強く訴えています。これに対し、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「最も高い評価(メディ・ウォッチの想像した急性期入院基本料1)では、重症患者割合が30%程度となるように設定すべき」と述べ、診療側委員の主張とは真逆の「重症患者割合の厳格化」を要望しています。この点、診療側委員の主張にも頷けるところがあり、「まず報酬体系の見直しを行って、7対1と10対1の考え方を揃え、その後の病院の動向などを踏まえながら、2020年度以降の診療報酬改定で、重症患者割合など『診療実績に応じた評価』の見直しを段階的に行っていく」ことが病院側の理解を得る近道かもしれません。なお、この報酬体系の大幅見直しは、現在の「看護配置による評価」から「重症患者の受け入れ実績などに基づく評価」への転換にもつながると考えられます。米国では、患者の重症度や医療提供内容によって報酬が決まっており、「看護配置に基づく報酬設定」という概念が理解されません。診療報酬体系の面でも、近く「国際水準」が達成されそうです。C項目の開腹手術、該当日数を「5日間」より短縮してはどうか 前述したように、迫井医療課長は▼看護必要度評価項目の見直し ▼重症患者割合の計算における「診療報酬請求区分」の導入—も提案しています。前者は、2016年度の前回診療報酬改定の効果・影響を検証する中で「B項目の危険行動などに該当する場合、評価日のすべてでA項目1点以上に該当する患者が多い」「救急車やドクターヘリ以外での救急搬送される、状態の不安定な患者も一定程度いる」「開腹手術後の患者の2割近くは、C項目に該当する5日より前に退棟している」という状況が明らかになったことを踏まえたもので、具体的には次のような見直し案が提示されています。▼B項目の「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」に該当し、A項目1点以上の場合には「重症患者に該当する」こととする ▼A項目の救急搬送後入院(2日間)について、「救急医療管理加算(加算1・2の双方)の算定患者」(2日間)へ見直す ▼C項目の開腹手術(5日間)について、所定日数を短縮する これらの見直しには、診療側委員から「(上述の)報酬体系と同時に見直すことは、現場の混乱を招き、認められない」旨の主張が相次いでいます。とくに島弘志委員(日本病院会副会長)からは、「開腹患者もさまざまであり、見直すのであれば疾病別・術式別にC項目該当日数を設定する必要があるのではないか」、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)からは「救急医療管理加算を算定していない患者であっても、救急搬送では手間がかかる」といった具体的な指摘がなされています。医療機関の選択で、DPCデータに基づく重症患者割合計算も可能としてはどうか 後者の重症患者割合の計算方法は、現在の「重症度、医療・看護必要度評価票に基づく測定」から、「診療報酬請求区分(DPCではEF統合ファイル)に基づく計算」への見直しを検討してはどうかというテーマです。▼看護必要度の測定をするためには、一定の研修を受けることなどが求められ、評価結果が測定者によって異なる ▼測定は毎日行わなければならず、看護現場からは負担が重いという声が出ている—といった課題の解消をも目指すものです。もちろん、両者は異なる性質のものであり、完全な置き換えはできませんが、入院医療等の調査・評価分科会で一定のロジックに基づいた分析を行ったところ、「バラつきはあるものの、相当程度の重なりがある」ことが判明しました。さらに、厚労省が追加ロジックを踏まえて行った検証では、「重なり」度合いがより大きくなることも分かっています。もっとも急激な置き換えは、現場の混乱を招くため迫井医療課長は「これまでの実績から一定の基準を満たす医療機関が希望する場合については、EF統合ファイルによる判定を用いてもよい」こととしてはどうか(医療機関による選択制)と提案しています。ただし、厚労省の追加ロジックに基づく検証では、EF統合ファイルを用いた場合「重症患者割合が低くなる」ことが分かっています(看護必要度評価票を用いると平均28.8%だが、EF統合ファイルを用いると23.3%となる)。このため、EF統合ファイルによる判定を選択する場合には、現行であれば25%以上の基準値を「低めに設定する」などの補正が行われることになるでしょう。この提案については、看護職の立場で参画している菊池令子専門委員(日本看護協会副会長)から「慎重に検討すべきで、2018年度の次期改定での導入は難しい」との見解が示されました。しかし、診療・支払双方の委員は「乖離がある項目もあり、慎重な検証をすべき」との注文を付けたものの、具体的な反対意見は述べていません。医療機関が選択するものゆえ、2018年度での導入を進めるべきではないでしょうか(医療機関が「否」と判断すれば、現行どおり、看護必要度評価票を用いればよい)。>
 
メディウォッチ「地域包括ケア病棟の評価を2分、救命救急1・3でも看護必要度を測定—中医協総会(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=17105)。<以下引用>
<2018年度の次期診療報酬改定においては、地域包括ケア病棟について、より状態が不安定で濃厚な医療提供が求められる自宅などからの患者受け入れを評価するために【救急・在宅等支援病床初期加算】の評価を2分してはどうか。また「救命救急入院料1・3や脳卒中ケアユニット管理料の算定病室でも、看護必要度の『測定』を要件化」してはどうか―。11月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点も議題に上がりました。地域包括ケア病棟の【救急・在宅等支援病床初期加算】、自宅等患者で評価を手厚く 地域包括ケア病棟については、中医協総会や下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」において、「自宅などから入棟する患者」(いわゆるsub acute患者)と「急性期病棟から入棟する患者」(いわゆるpost acute患者)とで評価を分けてはどうか、という議論が行われてきました。前者のほうが、医療の必要性が高く、状態が不安定なためです。この点について厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長は【救急・在宅等支援病床初期加算】に着目し、前者(自宅などからの患者)と後者(急性期病棟からの患者)とを区別して評価する考えを明示しました。どのような評価とするかは今後の議論を待つ必要がありますが、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「財政中立としてほしい」と注文を付けています。仮に「自宅などからの患者」の加算を引き上げるのであれば、それによる医療費増分を「急性期病棟からの患者」の加算引き下げで賄うよう求めるものです。ところで、両者を分けて評価する手法としては、例えば「自宅などからの入棟患者割合が高い地域包括ケア病棟で、基本報酬(入院料)を引き上げる」などの手法(病棟単位の評価)も考えられます。この点について迫井医療課長は、「自宅などからの入棟患者を数多く確保できる大都市などでは病棟単位の評価も可能であろうが、地方では難しい。運用の硬直化を避けるためには、初期加算に着目した患者単位の評価(上述)が良いのではないか」とコメントしています。また地域包括ケア病棟については、▼介護保険の「訪問系サービス」の提供も届け出要件の選択肢に加える ▼在宅医療、介護サービス提供など、地域包括ケアシステム構築により貢献できるよう、これらサービスの提供実績を評価する—考えも示されています。前者は、地域包括ケア病棟の届け出要件として、「▽在宅療養支援病院 ▽在宅療養後方支援病院 ▽二次救急医療施設 ▽救急告示病院—のいずれかであること」という選択要件の中に、「通所リハビリなどの訪問系サービスの併設」などを加えてはどうかという提案です。前者、後者ともに「地域包括ケア病棟が、より多様なサービスを提供し、地域包括ケアシステムの中心的な役割を担う」ことを期待するものです。今後の中小規模病院の地域での役割を指し示していると考えることもできそうです。なお、この点に関連して診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は「200床未満の病院に限って評価すべき」と、同じく今村聡委員(日本医師会副会長)は「地域包括ケア病棟と、地域のかかりつけ医療機関(主に診療所)との連携を必須とすべき」といった注文を付けています。かねてより日医は「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を設置することは好ましくない」と主張し、2016年度の前回診療報酬改定で新設制限が設けられました。2018年度の次期改定でも新設制限がさらに強化される可能性もあり、今後の議論に注意が必要です。救命救急1・3と脳卒中ケアユニット、まず「看護必要度の測定」を求める 高度急性期医療を提供する特定集中治療室(ICU)やハイケアユニット(HCU)などには、より適切な患者の入室が求められます(医師や看護師などの医療資源が限られ、報酬も高額に設定されているため)。このため、各ユニットの特性に応じた「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の評価票が作成され、この基準に該当する患者(重症患者)が一定割合以上でなければ高額な特定入院料を届け出ることができません(例えばICUでは8割、または7割以上が重症患者でなければならない)。しかし、救命救急入院料の1と3、SCU(脳卒中ケアユニット)では、看護必要度の測定が義務付けられておらず、当然、重症患者割合の施設基準も設定されていません。このためか、SCUなどでは「重症度患者割合が低い」ことが分かっています ただし、救命救急入院料1・3やSCUの7割程度では看護必要度測定が任意で行われており、迫井医療課長は、この状況を踏まえて「まず看護必要度の測定を義務化(要件化)してはどうか」と提案しています。例えば、▼救命救急入院料1・3ではICU用 ▼SCUではハイケアユニット用—などが考えられますが、厚労省保険局医療課の担当者は「影響が大きくならないよう」配慮する考えで、今後の検討を待つ必要があります。また2018年度には導入されませんが、近い将来「重症患者割合」の基準も設けられる可能性があります。迫井医療課長は、▼ICUではDPCデータの中に「入室時の患者の生理学的スコア」(APACHE IIや、SOFA:Sequential Organ Failure Assessmentなどのスコア)の記載を求める ▼安全性を確保した上で、ICU入室早期からの「離床に向けた取り組み」を評価する ▼ICUにおいて、「重症患者に対するケア」に関する研修を受けた看護師配置を義務化(要件化)する ▼ICUやHCUなどの設備・器具について、柔軟に保有できる(共有化できる)よう要件を見直す—考えも示しています。APACHE IIなどは、ICU入室患者について▼入室から24時間以内の生理学的指標(動脈圧やクレアチニン)▼年齢▼慢性併存疾患—を踏まえて「重症度を指数化」するもので、施設間の医療の質(標準化死亡比:予測死亡率に対して、実際にどれだけ死亡したのかの比率)をベンチマークすることが可能です。ただし、APACH IIとSOFAでは項目も異なることから、診療側の今村委員からは「科学的に確立されていると言えるか疑問である。いきなり記載を義務化することは難しいのではないか」との疑問の声も出されています。また専門研修を受けた看護師配置の義務化(要件化)については、すでに9割のICU設置病院で配置実績があることを踏まえた見直しですが、診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)らから「1割の病院では未設置であり、十分な準備期間を設定してほしい」との要望が出ています。専門研修には受講枠もあり、また研修受講期間中の代替要員確保にも一定の困難が伴うためです。自院の他病院への転棟患者、「在宅復帰」にカウントしないことに 11月24日の中医協総会では、「在宅復帰」率についても議論が行われました。在宅復帰率はさまざまな病棟で施設基準の1項目となっており、7対1病棟についても2014年度改定で導入されました(2016年度に基準を80%に引き上げ)。現在、この基準に苦しんでいる病院は極めて稀で、7対1病院の4分の3では、基準値をはるかに上回る「90%」超となっています。この状況を踏まえ幸野委員らは「在宅復帰率は急性期入院医療を評価する指標の意味をなしていない」と厳しい指摘を行っていますが、迫井医療課長は「在宅復帰率の計算式、定義に問題があるのではないか」と考えているようです。現在、例えば7対1病棟では、「自宅」や「居住系介護施設」などのほか、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟なども「在宅復帰」先としてカウントされていますが、この点を整理する必要がるようです。この点、迫井医療課長は「在宅復帰の中に『自施設内での移動』は想定されていないのではないか」とし、「自院の他病棟への転棟患者」は在宅復帰のカウントから外す考えを示しました。この見直しでどの程度の影響が出るのかは未知数ですが(自院の他病棟への転棟割合などのデータがない)、基準値を満たせなくなる病院も一定程度生じる可能性があります。各病院におかれては、早急に「退棟後の行先」を可能な限りチェックする必要があるでしょう。さらに▼療養病棟については、在宅復帰機能強化加算の算定有無に関わらず、在宅復帰先としてカウントする ▼自宅などへの退院患者と、他医療機関への退院患者とを区別して報告してもらう—との見直し案も提示しています。しかし前者について猪口委員は「療養病棟や老健施設では、7対1からの在宅復帰先として選定されるために、在宅復帰機能強化加算を目指して努力する。加算なしでも在宅復帰先にカウントされるとなれば、療養病棟などからの在宅復帰の流れを阻害しないか」との懸念を示しています。なお、在宅復帰率に関しては、▼介護医療院の取扱い(在宅復帰率に含めることにはなるが、同一建物の介護療養が介護医療院に転換する場合などをどう考えるか) ▼名称(地域医療連携率や自宅等退院率などが浮上)―を検討するとともに、「地域包括ケア病棟・回復期リハビリ病棟の基準値引上げ」も行うことになりそうです。>
 
メディウォッチ「療養病床の人員配置標準、緩和を6年延長―社保審・医療部会(1)」(http://www.medwatch.jp/?p=17121)。<以下引用>
<療養病床に関する医療法上の人員配置標準などを緩和する経過措置の期限を、来年(2018年)3月末から2024年3月末へと6年間延長する。また、この経過措置の対象病院が介護医療院への転換を前向きに考えられるように、地域医療介護総合確保基金などで転換支援を行う―。社会保障審議会・医療部会は11月24日、厚生労働省が示したこうした方向性を、おおむね了承しました。この経過措置は、病院が配置する看護職員の員数について、本来であれば「療養病床の入院患者4人に対して1人(4対1)以上」としなければならないところを、「6人に対して1人(6対1)以上」と緩めるほか、廊下幅の基準を緩和しているものなどです。ただし、6年後に再び延長することになるのを防ぐために厚労省では、病院・診療所の介護療養病床の介護医療院などへの転換に向けた協議を、地域医療構想調整会議で2021年3月末までに行うよう都道府県に求めていく方針です。療養病棟入院基本料2の見直しにも関係する人員配置標準の経過措置 病院や診療所の療養病床に要介護者を長期入院させ、必要な医療を提供する介護療養病床には、「病床の役割としてふさわしくない」といった指摘があり、廃止が決まっています。具体的には、設置期限が来年(2018年)3月末と定められていましたが、介護療養病床の入院患者の受け入れ先(廃止される介護療養病床の転換先)となる「新しい介護サービス」が必要なため、来年(2018年)4月に介護医療院を創設した上で、転換期間を6年設けることになりました。つまり、現存する介護療養病床には事実上「2024年3月末まで存続が認められる」ことになっています(改正介護保険法:地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)。一方、医療法では病院や診療所に対し、「都道府県が条例で定める員数」の看護職員(看護師と准看護師)の配置を義務付けています。その員数の標準を厚労省は、「療養病床の入院患者4人に対し1人」(4対1)以上と定めていますが、▼介護療養病床の指定を受けている ▼看護配置4対1に満たない―などの病院・診療所に対しては、来年(2018年)3月末までに限って「6対1」以上に緩める経過措置が設けられています。この経過措置が予定通り終了すると、介護療養病床(看護配置「6対1」以上)の存続は、来年(2018年)4月から認められなくなってしまい、上記の改正介護保険法と矛盾します。また、医療保険が適用される医療療養病床のうち、看護配置「6対1」(診療報酬の基準は常時配置「25対1」以上)を「病棟単位」で満たせば算定できる【療養病棟入院基本料2】の、2018年度診療報酬改定での取り扱いにも影響を及ぼします。そのため、看護職員の人員配置標準の経過措置を延長するのかどうか、などが注目されていました。新設の療養病床などは経過措置の対象外 11月24日の医療部会で厚労省は、▼医療法施行規則における人員配置標準の経過措置を2024年3月末まで延長する ▼経過措置の対象は2012年までに届け出ていた病院・診療所のみで、新たに増やさない―という考えを示しました。現在、人員配置標準の経過措置はそもそも、「介護療養病床がある」「看護配置が薄い」ことなどを都道府県に届け出た病院・診療所のみに適用されています。その届け出の期限(所定期日)は原則2012年6月末で、計1677施設(1269病院と408診療所)が該当します。このうち、今年(2017年)10月時点で「4対1」以上の看護配置を満たさないのは計400施設弱(山梨・石川・福井3県を除く44都道府県で計377施設)と考えられます。そうした実情を踏まえ、新設の療養病床などを経過措置の対象としない厚労省の案に対して、医療部会の委員から明確な反対意見は出ていません。6年後の再延長をめぐって委員らの意見に隔たり ただし、2024年4月以降の経過措置の取り扱いをめぐっては、委員らの意見に隔たりが見られました。井上隆委員(日本経済団体連合会常務理事)は「6年間の中で確実に、病院も診療所も転換を図ってほしい」、伊藤彰久参考人(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長、平川則男委員:日本労働組合総連合会総合政策局長の代理出席)は「延期がないように、高齢化の時代を乗り切れるように取り組んでほしい」と述べ、「6年限りの延長」だと強調しました。これに対して中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「経過措置の延長が良くないことのように聞こえるが、地域医療を混乱させない観点から考えると延長は決して悪いことではない」と主張。さらに「6年間延長以上でも以下もない。そうしてほしい」と述べ、2024年4月以降に「再延長を検討する」選択肢を残す必要性を指摘しています。再延長せずに済むよう2020年度中に調整会議で協議し、基金で転換支援 厚労省は、2024年3月末まで6年間延長してはどうかと提案した理由を、「診療報酬・介護報酬の同時改定かつ、医療計画・介護保険事業計画の改定を行うタイミング(2024年度)で再度検討を行うことが必要」だからだと説明しています。とはいえ、2024年4月以降の再延長を黙認したわけではありません。厚労省は、看護配置「4対1」を満たさない病院・診療所がなくなるように、介護療養病床などの介護医療院への転換を促進する必要性を指摘。その具体案として、(1)遅くとも2021年3月末までに、地域医療構想調整会議において、各区域における療養病床の転換について協議を行うこととする(2)2021年度を「ひとつの目処」として、地域医療介護総合確保基金などを活用した転換支援を行う―考えも示しています。このうち、(1)に対しては、加納繁照委員(日本医療法人協会会長)が「期限を設けるのは違和感がある。『遅くとも』ではなく『原則』にしてほしい」と要望しましたが、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、▼今年(2017年)6月に閣議決定された骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)で、地域医療構想調整会議での「2年程度での集中的な検討」が促されている ▼地域医療構想調整会議での検討は、主として【高度急性期機能】や【回復期機能】について行われることが多いが、【慢性期機能】を含めてしっかり議論してもらいたい―なとど説明し、「遅くとも2021年3月末まで」と期限を設けることへの理解を求めています。ちなみに(2)の地域医療介護総合確保基金には医療分(毎年度904億円)と介護分(同724億円)がありますが、介護医療院への転換のうち、医療療養病床からの転換は医療分、介護療養病床からの転換は介護分の基金で支援されるようです。>
 
地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)に関して、「各都道府県の地域医療構想について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000164337.pdf)p31~「各構想区域における4機能ごとの病床の必要量」が出ているが、具体的な推進は、①中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)での診療報酬改定議論と、②医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126719)での制度改正によるところが大きい。「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「地域医療構想を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)も、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000151974.pdf)p16「都道府県知事の権限」が行使される前に、ダウンサイジングする必要があるように感じる。また、療養病床は、ここのところ、「介護療養⇒医療療養」、「医療療養2⇒医療療養1」の現場の動きがあり、まずは療養病床の「見える化」を徹底した方が良いように感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000182011.pdf)p17「慢性期の病棟におけるデータ提出項目に関する課題;療養病棟は平成26年からデータ提出加算の提出対象病棟となっているが、療養病棟を有する医療機関のうちデータを提出しているのは許可病床200床以上の約40%、許可病床200床未満の約24%であり、病床数は療養病床全体の約25%にあたる。」では全然ダメである。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000167354.pdf)p60にあるように、平成28年度診療報酬改定で、基本料1では「医療区分2・3の患者が8割以上」、基本料2では「医療区分2・3の患者が5割以上」の要件が設定されたが、診療報酬基準を満たすために、中心静脈栄養や気管切開など、医療区分2・3の割合を意図的に引き上げるようなことをしてはよくない。まさに「胃ろう」が「中心静脈栄養」に変わっただけのようである。財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の資料(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia291025/01.pdf)p73「地域医療構想の⽅向性と整合的に療養病床の転換を進めるとともに、効率的な医療・介護サービスの提供体制を構築するため、患者の状態像にそぐわない20対1病床への転換の防⽌のための医療必要度の要件の厳格化等や、介護医療院について、⼈員配置や費⽤⾯での効率化が進むよう報酬・基準を設定するとともに、療養病床の⼊院患者のうち医療の必要度の低い患者については、在宅医療等で対応を進めるような改定内容とすることを検討すべき。」とあった。療養病床については、地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)による転換誘導が期待される。
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これからのがん対策

2017年11月24日 | Weblog
朝日新聞「これからのがん対策」(http://www.asahi.com/articles/SDI201711227898.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<第三期がん対策推進基本計画(以下、基本計画)が2017年10月24日に閣議決定しました。6月2日に協議会での議論自体は終了していますから、そこから約5カ月。2012年の第二期がん対策推進基本計画の閣議決定が6月8日だったことを考えれば、実に約4か月も遅れての成立です。今回は、この第三期基本計画の中から「就労」に関してどのような事柄が盛り込まれたのかをまとめてみます。●予防・治療・共生を3つの柱に、がんの克服を目指す対策 今回の基本計画は、予防、治療・研究、共生の3つの柱のもと、「がんの克服」を目指していくことが策定されています。①予防:科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実 ②治療・研究:がんの手術療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法の充実 ③共生:尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築  「がん患者等の就労を含めた社会的な問題」は、第二期の基本計画から新規で盛り込まれました。これにより、病院でハローワークの出張相談が始まったり、働くことに関する専門家が配置されたり、調査研究がスタートするなど、様々な事業が進められてきました。そこから5年が経ちましたが、静岡がんセンターによる調査「2013 がんと向き合った4,054人の声(がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査 報告書)」(https://www.scchr.jp/book/houkokusho/2013taikenkoe.html)でも、私たちの調査でも、離職状況はほとんど改善されていないことがわかっています。そこで、第三期の基本計画では、医療現場だけではなく、企業や地域への「にじみだし」がある様々な対策が書き込まれています。これは、昨年12月に改正された「がん対策基本法」の改正で、「社会的環境整備」という言葉が刻まれたことが大きく影響しています。また、内閣府で行われた「働き方改革実現会議」も影響しています。「働く」ことの課題解決には、病院だけが頑張れば良いのではなく、企業を含めた社会、つまり、受け入れ先の意識改革がとても重要ということです。●医療機関では相談支援の充実や支持療法、アピアランスケアの徹底を 病院の中ですべき就労支援とは一言で何?と聞かれたら、私はすぐに「患者がもっているボールを拾って、つないでください」と答えています。ここでいう「ボール」とは、「患者が抱え込んでいる悩みや不安などの困りごと」を言います。そして、ボールのつなぎ先は「がん相談支援センター」です。治療の進歩は生存率の向上という恩恵とともに、様々な副作用や後遺症などの身体の悩みを増やしています。患者は、たくさんの情報の渦の中でひとりぼっち。診断直後は心の中は不安でいっぱいです。以前、紹介した私たちの調査でも分かるように(http://www.asahi.com/articles/SDI201608033659.html)、離職の背景として、副作用や後遺症などの医学的課題は大きく影響しています。そして、その結果としてのメンタル低下も起きているのです。私は「びっくり退社」と言っていますが、診断早期に離職をしている人を予防するためにも、病院では、是非に次のことを徹底して欲しいと思います。①生活者としての患者に興味を持つこと ②容姿など外見のケア(アピアランスケア)を含めた支持療法を徹底すること ③早期からの相談支援の利用と質を確保すること この3つは「本来なら」病院ですべきことです。「今やっていることを、より深めていってください」と私はいつも伝えています。●一歩先行く企業の取り組みを応援、健康経営の実践 病院での支援を充実させても、働く現場、つまり、企業の協力なくして離職を防ぐことはできません。そうしたことから、第三期の基本計画では、企業側を応援する取組がたくさん書き込まれました。例えば、以下の3つのことがあります。①両立支援コーディネイターの育成 ②がんばっている企業にインセンティヴ(誘因)を与えること ③大人へのがん教育(社会教育) 最近では、大企業を中心に、「一歩先へ行くがん対策を行う企業」による様々な取り組みが発信されていますが、こうした取り組みを誉めて、伸ばし、新しいムーブメントを作っていくことが大切です。そして、その波を中小企業にも広げていこうというのが今回の狙いです。企業向けの取り組みは、第二期の基本計画ではあまり書き込みができなかった事項ですが、第三期にはたくさんの記載があります。これらが一つひとつ実行され、これからは、企業の大きさに関係なく、そして、非正規雇用にも、働き方改革の風が届くことを願っています。●地域の就労支援体制の構築や、法制度の改正も明記 地域ごとに産業や人口は違いますから、地域の産業特性を活かした支援策を考えていくことも大切です。例えば、水産加工業や観光業が中心の地域もあるでしょうし、機械などの製造業を中心とした地域もあります。東京などは従業員1000人以上、複数の産業医を常勤で配置しているような企業もありますが、地方では産業医すらいない企業が大部分を占めるでしょう。でも、どんな地域でも、産業保健総合支援センターやハローワーク、若者サポートステーションなどの資源があり、企業や患者を支援してくれます。ただ、その資源と人を結ぶ「線」が可視化されていませんでした。そこで、今期の基本計画では、これらの資源の明記、位置づけや、独立行政法人労働者健康安全機構との連携といった言葉も明記されました。こうして、地域の中で、地域に応じた総合的な支援体制がつくられていくと思います。また、連載でも提言した傷病手当金制度の変更についても検討を行うことが明記されました(http://www.asahi.com/articles/SDI201703211654.html)。この制度が変われば、病気の種類に寄らず、もっともっと働く人が使いやすい休暇制度、社会保障制度の選択肢が増える可能性があります。時間はかかるかもしれませんが、とても重要です。がん対策基本法の改正にも盛り込まれたサバイバーシップの考え方。つまり、がんと診断されてからの患者・家族の生き方への支援の目線は、今期の基本計画に活かされています。「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」には、予防から治療、そして、家族支援に至るまで、連続した対策が大切です。>
 
第3期がん対策推進基本計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000181704.html)を踏まえた都道府県がん対策推進計画が重要と感じる。同時に策定されている第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)でもがん対策は柱の一つである。また、介護保険の特定疾病(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html)には、末期がんも含まれており、第7期介護保険事業計画でもがん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=355813)を踏まえて、取り組まれるべきである。例えば、「在宅医療・介護連携推進事業について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)p12「(カ)医療・介護関係者の研修」、p13「(キ)地域住民への普及啓発」においても緩和ケアを推進するべきと感じる。がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=355813)の「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会開催指針の改正について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000168738.pdf)p10「チーム医療の観点から、看護師、薬剤師等の医療従事者が受講可能となるよう、研修会の内容・体制を検討する。」、p11「専門的緩和ケアへの「つなぎ方」の追加• 意思決定支援(アドバンス・ケア・プランニングを含む)の充実• コミュニケーションスキル(対患者・家族、対医療従事者)に関するプログラムの充実• グリーフケアの追加• 医療用麻薬の使い方に関するプログラムの充実• 緩和的放射線療法の充実• がん以外の疾患に対する緩和ケアの追加」は注目である。がん診療連携拠点病院(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_byoin.html)と地域保健の連携した取り組みを推進できないものであろうか。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000179571.pdf)p126「保健所・市町村保健センター」「がん相談支援センター」の解説は偶然ではないかもしれない。さて、がん情報サービス(http://ganjoho.jp/reg_stat/news/index.html)の「全国がん検診実施状況データブック」(http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/scr_databook.html)では市町村別にもプロセス指標値データが出ている(http://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/Cancer_Screening_Performance_Measures_2016.pdf)ことは常識としたい。がん検診(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html)は「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000111662.pdf)に基づいているが、市町村が行う健康増進事業だけではない。がん検診のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128563)の「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=458290)に注目である。保健師のがん対策はがん検診受診率向上だけではない。
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訪問看護の医師研修を

2017年11月24日 | Weblog
神奈川県訪問看護ステーション協議会「訪問看護活用マニュアル」(https://www.kanagawa-stkyougikai.jp/manual/)の医療機関との連携編よくできており、病院・診療所の医師対象に周知したいところである。しかし、医師向けの研修は容易でないことが少なくない。例えば、「A240 総合評価加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a240.html)の施設基準(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/shisetsu/kishi0008.html#kishi00080340000)には「当該保険医療機関内で高齢者の総合的な機能評価のための職員研修を計画的に実施すること」があり、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)・地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)による「在宅医療等」、介護保険事業(支援)計画による「医療介護連携」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000060713.html)や「地域包括ケアシステム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)を推進する一環で、訪問看護の医師研修が企画されてもよいであろう。また、診療所医師には、出席率の高い「介護保険主治医研修会」の活用がよいかもしれない。しかし、それよりも、到達目標(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000182365.pdf)には「地域包括ケアの概念と枠組みを理解し、医療・介護・保健に関わる種々の施設や組織と連携できる。」とある医師診療研修(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=211764)であった方がよい。訪問看護の医師研修が義務化されてもよいかもしれない。訪問看護ステーションによる訪問看護は医療保険よりも介護保険による実績が高いことは常識としたい。
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在宅死亡割合

2017年11月24日 | Weblog
Newaポストセブン「橋田壽賀子さん 「うまく死なせる医療」があってもいい」(http://www.news-postseven.com/archives/20171123_630659.html)。
 
全国在宅医療会議ワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=406570)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000181366.pdf)p4~5で示すように在宅医療は医療計画の柱の一つであり、p2地域医療構想に伴う今後の需要に対応する必要がある。第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の地域医療計画課長通知(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159904.pdf)p127~「在宅医療の体制構築に係る指針」では、①退院支援、②日常の療養生活の支援(訪問診療、訪問看護、訪問歯科診療、訪問薬剤管理指導)、③急変時の対応、④在宅での看取りの観点から体制構築が図られていることは認識したい。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)にある「在宅医療にかかる地域別データ集」では平成26~平成28年の各市町村の数値が公表されており、市町村別の自宅死亡割合もわかる。なお、第6次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei2.pdf)p11「別表11 在宅医療の体制構築に係る現状把握のための指標例」では、在宅死亡者数(市区町村別)【人口動態統計(個票解析)】はアウトカム指標(推奨指標)であった。しかし、今回の第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159906.pdf)p1「別表11 在宅医療の体制構築に係る現状把握のための指標例」では在宅死亡者数はアウトカムではなく、プロセス指標となり、重点にもなっていない。むしろ、「在宅ターミナルケアを受けた患者数」が重点である。中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「在宅医療(その3)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000184390.pdf)p40「看取りについては様々な希望があることから、在宅で療養している患者が、在宅の主治医と病院との連携の下で、本人や家族の希望に基づき、最期を入院で看取った場合の評価を検討してはどうか。」も注目である。ところで、「在宅医療にかかる地域別データ集」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)は11月22日付で修正されている。
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在宅復帰率の見直し

2017年11月24日 | Weblog
中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「入院医療(その7)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000185819.pdf)p126「在宅復帰率の算出方法」について、p128「自院の他病棟への転棟患者は、指標の目的を踏まえ、評価対象(分子)に含まない取り扱いとする」「在宅復帰率の名称については、本評価項目の評価内容をより的確に反映する観点から、評価対象に医療機関を含む場合は「地域医療連携率」や自宅等のみの場合は「自宅等退院率」などといった名称に見直してはどうか。」は当然であろう。「地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「病床機能報告の項目の追加・見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000166638.pdf)p3「報告項目の追加・見直しについて(案)」では「「入院前・退院先の場所別の患者数」、「退院後に在宅医療を必要とする患者数」について、報告対象期間を、現在の1か月間から、1年間に見直してはどうか。」とあり、今後、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)のデータベース化による病棟単位の詳細な分析が普遍化されるように感じる。
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医師偏在対策の見える化が不可欠

2017年11月24日 | Weblog
医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126719)の「制度改正に向けたこれまでの医師偏在対策の議論のまとめ」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000185883.pdf)p4「各都道府県において定量的な現状分析に基づく実効的な医師確保対策が進められるよう、医療計画において、・都道府県内における医師の確保方針・医師偏在の度合いに応じた医師確保の⽬標・目標の達成に向けた施策内容という一連の方策を記載することを、明確に法律上に位置付ける。」「医療計画におけるこの医師確保に関する事項を、運⽤上「医師確保計画」と呼称する。」、p5「医師偏在の是正のためには、まず、都道府県内の⼆次医療圏・診療科別医師数、医療施設・医師配置状況、⼈⼝や医療需要(ニーズ)の変化等の分析を踏まえ、あるべき医師確保の方針を定める。」、p14「・都道府県が地域医療⽀援事務を⾏うに当たって、必ず⼤学医学部・⼤学病院との連携の下に⾏われるよう、地域医療対策協議会における協議に基づいて実施 ・特に、医師の派遣先の決定に当たって、地域医療対策協議会での協議を経ることにより、理由なく公⽴病院・公的病院などに派遣先が偏らないようにする、地域医療構想との整合性を確保するなど、医師派遣の⽅針を整理・明確化 ・さらに、今後増加する地域枠の医師については、地域医療対策協議会での協議を経て、都道府県主体で派遣方針を決定することを明確化 ・全ての都道府県でキャリア形成プログラムを策定することを徹底 ・派遣医師の負担軽減のための援助(適切な休暇取得や能⼒開発等が可能な労働条件の確保等)を地域医療⽀援事務において⾏うことを明確化」とされているが、最も重要なのは、医師偏在対策の見える化のように感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000184790.pdf)p2~3「地域枠の導入状況(大学別一覧)」が出ているが、地域枠出身医師の研修先・プログラムはどれほど知られているであろうか。また、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000184790.pdf)p5~6「臨床研修を修了した地域枠医師数の見込み」をみれば、今後、地域枠出身医師が急増するが、派遣ルールはオープンになっているであろうか。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000184790.pdf)p12「都道府県が指定する地域密着型病院(仮称)」の公表はいうまでもなく、派遣先(地域、診療科)の情報公開が不可欠であろう。都道府県から多額の奨学金を与える地域枠医師(自治医大も含めて)に関する情報公開すら満足にできないようではいけない。自治体ごとに、どのような仕組みで直接的公費投入医師の派遣先が決定されているか、検証されるべきと強く感じる。
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介護医療院とその周辺

2017年11月24日 | Weblog
キャリアブレイン「介護医療院のサービス、「療養病棟単位で提供」厚労省案、小規模は療養室単位も可能に」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171204182745)。<以下引用>
<厚生労働省は、介護医療院の施設などに関する基準案をまとめた。サービスの提供単位については、介護療養病床(療養機能強化型)相当のI型と、介護老人保健施設相当以上のII型に分け、いずれも「療養病棟単位で提供できることとする」としている。介護医療院は、今年度末に設置期限を迎える介護療養型医療施設(介護療養病床)の転換先として来年4月に創設される。厚労省によると、I型とII型のサービスについては、介護療養病床で病棟単位のサービスが提供されていることを踏まえ、療養病棟単位で提供する。ただし、規模が小さい場合は「療養室単位でのサービスを可能とする」としている。療養室については、定員4人以下とし、1人当たりの床面積を8平方メートル以上とした。療養環境を充実させるため、4人以下の多床室でも「プライバシーに配慮した環境」を推奨。療養室以外の設備基準についても、▽診察室▽処置室▽機能訓練室▽臨床検査設備▽エックス線装置―などの設置を求めている。身体的拘束の適正化も図る方針だ。身体的拘束を行う場合は、その態様や入所者の心身の状況などを記録するとした。また、身体拘束に関する委員会を3カ月に1回以上開催し、その結果を介護職員らに周知する必要性を挙げている。厚労省は、基準案に関するパブリックコメントを12月30日まで募集している。>

キャリアブレイン「介護医療院、厚労省が施設基準案 入所者と医師の比率、類型Iは48対1に」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171122202923)。<以下引用>
<厚生労働省は22日、社会保障審議会介護給付費分科会の会合に、介護療養型医療施設(介護療養病床)の転換先として来年4月に創設される介護医療院の施設基準案を示した。医師の配置については、「類型I」では入所者48人に対して1人、「類型II」では100人に1人としている。委員から強い反対意見は出なかった。この日の会合で厚労省が示した論点では、長期療養を主な目的としてサービスが提供されることを踏まえ、介護医療院を新規開設する際の人員配置基準は、介護療養病床と介護療養型老人保健施設の基準を参考にすることを提案した。それによると、重篤な身体疾患のある人や身体合併症を有する認知症高齢者らを受け入れる類型Iでは、入所者と医師の比率が48対1、看護職員は6対1、介護職員は5対1、薬剤師は150対1。これに対し、容体が比較的安定した高齢者を受け入れる類型IIでは、入所者と医師の比率が100対1、看護職員と介護職員は6対1、薬剤師は300対1とした。設備面では類型Iと類型IIを分けず、療養室の基準を定員4人以下、入所者1人当たりの床面積を8.0平方メートル以上としている。介護療養病床並みの医療を提供する観点を踏まえ、診察室や処置室、機能訓練室、臨床検査設備、エックス線装置などの整備も求めた。さらに、医療資源の有効活用の観点から、介護医療院を医療機関と併設する場合には、宿直の医師を兼任できるようにするなど、「人員基準の緩和や設備の共用を可能としてはどうか」と提案した。>
 
メディウォッチ「介護医療院の方向性固まる、「1年限りの加算」で転換促す―介護給付費分科会(1)」(http://www.medwatch.jp/?p=17075)。<以下引用>
<来年(2018年)4月に創設される介護医療院の施設基準や基本報酬の水準は、介護療養型医療施設(介護療養病床)と介護療養型老人保健施設(転換老健)を参考に設定する。ただし、療養室の環境を充実させる分、報酬水準を高く設定した上で、医療処置が必要な者や重度者が利用者に占める割合に応じてメリハリを利かせる―。11月22日の社会保障審議会・介護給付費分科会での会合では、こうした方向性を固めました。介護医療院は、「日常的な医学管理が必要な重介護者の受入れ」や「看取り・ターミナル」等の機能と「生活施設」としての機能を兼ね備えた新しい介護保険施設です。介護療養病床などの転換先として期待されており、転換を促すインセンティブとして、「1年限りの加算」を設ける案についても話し合いました。介護療養病床からの転換先として来年4月に創設される介護医療院 全国に約6万床ある介護療養病床は、病院・診療所の療養病床に要介護者を入院させ、必要な医療を提供する施設サービスです。病床であるが故に、医療の必要性が高くない患者を長期入院させることの是非や、医療保険が適用される療養病床(医療療養病床)との役割分担が課題となり2018年3月末での廃止が決まっています(ただし介護医療院への転換期間を6年間設定し、事実上は2024年3月末まで存続可能)。介護療養病床の廃止が延期されてきたのは、介護老人保健施設(老健)などへの転換がうまく進まなかったためです。そこで、介護療養病床が果たしている役割や、入院する患者の状態を踏まえた「新たな転換先」が検討され、介護医療院の創設が決まりました。介護療養病床だけでなく、看護配置が薄い医療療養病床(病院全体で「看護配置4対1以上」などの基準を満たせない)の一部も、介護医療院に転換すると想定されています。介護医療院の宿直医師、「II型」は不要で「I型」は併設病院と兼任可 11月22日の介護給付費分科会で厚労省は、▼介護医療院の基準と報酬▼介護療養病床の基本報酬▼転換老健の基本報酬と療養体制維持特別加算―について、それぞれ具体案を示しました。このうち介護医療院の基準・報酬については、「I型」と「II型」の2区分に分けて提案しています。「I型」は、介護療養病床の【療養機能強化型】のように、医療ニーズに対応可能な人員や設備を備え、医療処置が必要な人や重篤な身体疾患を持つ人を積極的に受け入れるサービスです。これに対して「II型」の人員体制は「I型」ほど充実しておらず、状態が比較的安定した患者の入所が想定されています。具体的には、「I型」の人員基準では「48対1以上(施設で3人以上)」と介護療養病床並みの医師を配置し、看護職員(指定基準は「6対1以上」)のうち2割以上を看護師が占めます。介護職員も原則「4対1以上」と、介護療養病床と同じです。医師の宿直が必要ですが、厚労省は、「併設する医療機関の宿直医師が兼任できる」としています。一方「II型」の人員基準は老健並みで、医師数は「100対1以上(施設で1人以上)」です。看護職員は「6対1以上」、介護職員は通常「6対1以上」で、両者を合わせると老健の基準と同じ(看護職員または介護職員が3対1以上)です。医師の宿直は不要です。厚労省は、「I型」の医師の宿直以外においても、「医療機関と併設する場合には、医療資源を有効活用する観点から人員基準の緩和や設備の共用を可能とする」としています。しかし、齋藤訓子委員(日本看護協会副会長)は、「労働衛生上も、利用者の安全の観点からも、人員が手薄な夜間帯などに看護職員や介護職員が『兼務』するのは、あってはならない」とけん制しています。なお、リハビリテーション専門職や栄養士、放射線技師らの人員基準は、施設全体として配置することを念頭に設定します。床面積8平米以上など求めるが、療養病床からの転換に必要なら基準を緩和  一方、施設や構造の基準として厚労省は、「I型」「II型」の双方とも、介護療養病床や老健よりも充実させる具体案を示しています。例えば、「1人当たり8.0平米以上の居室」(介護療養病床の基準は「1人当たり6.4平米以上」)や、「十分な広さのレクリエーションルームの設置」(介護療養病床には不要)などです。療養室を個室にする必要はありませんが、利用者のプライバシーに配慮しなければならず、例えばパーテーションによる間仕切りなどが考えられます。利用者1人当たりの床面積は、4人部屋を2人部屋にしたり、改修したりしないと拡張できませんが、厚労省は、大規模改修までの間、床面積などの基準を緩和させる方針を示しています(医療療養病床からの転換も緩和の対象)。また介護医療院の基準案では、老健に不要とされている「処置室」や「臨床検査施設」「エックス線装置」などの設置を求めています。医療・介護・生活の3機能を併せ持つ施設であるためと言えるでしょう。この点、転換老健では介護療養病床から転換した際、「臨床検査施設」などを廃止したケースも想定されることから、厚労省は「サービスに支障のない範囲で配慮を行う」としています。なお、介護医療院の指定は「療養棟単位」が原則ですが、療養病棟が2病棟しかない医療機関などには、介護療養病床と同様に「療養室単位」での運営が認められるようです。居室環境の充実踏まえて基本報酬を高く設定、ただし6.4平米の間は減算か 介護医療院の基本報酬について厚労省は、「I型」は介護療養病床の【療養機能強化型】、「II型」は転換老健を参考にしてはどうかと提案。その上で、(1)「I型」「II型」に求められる機能を踏まえ、それぞれに設定される基準に応じた評価を行う(2)一定の医療処置や重度者要件等を設け、メリハリが利いた評価とする(3)介護療養病床と比べて療養室の環境が充実していることも評価する―方針を示しています。療養環境の充実を評価するのは、介護療養病床と比べて1人当たり床面積を広げたり、レクリエーションルームを設けたりさせ、施設サイドに相応のコストが掛かる(あるいは収益が減少する)ためです。ただし、1人当たり床面積が6.4平米のまま、経過措置を使って介護医療院になるケースも想定されます。瀬戸雅嗣委員(全国老人福祉施設協議会理事・統括幹事)は「基準の緩和中は、環境が充実しているとは言えない」と指摘し、基本報酬を減算するよう主張しています。また、「I型」の参考となる介護療養病床の【療養機能強化型】には、医療処置や重度者の要件が設けられ、重度者等の割合に応じて「療養機能強化型A」「療養機能強化型B」の2段階で評価されています(「療養機能強化型A」の方が、ハードルが高く単位数が高い)。「I型」の基本報酬も、「I型A」「I型B」のように数段階で要件と単位数が設定されそうです。一方、「II型」の基本報酬は、転換老健を参考に設定されるわけですが、厚労省は11月22日の介護給付費分科会で、転換老健の基本報酬の見直し案も示していますので、後段で説明します。転換を加算で促す一方で、介護療養病床の基本報酬は「適正化」? 介護医療院の加算について厚労省は、介護療養病床と同様に設けてはどうかと提案しています(一部は名称を変更)。さらに、利用者の緊急時に、医療施設として対応することを別途評価する方針です。具体的には、緊急的な治療・管理として入所者に投薬などを行うと511単位を算定できる老健の【緊急時施設療養費】と同様にするとしています。また、介護医療院に転換した日から1年間だけ算定できる加算を、2021年3月末までの期限付きで設ける方針も示しています。この加算をつくる理由を厚労省は、「療養病床などからの転換前後、サービスの変更内容を利用者・家族に説明したりする手間がかかるため」と説明していますが、転換に対するインセンティブだと言え、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)も「転換を促すには魅力ある選択肢を用意する必要があると言ってきたが、これは魅力的な選択肢の1つだ」と評価しています。その一方で本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)は、転換を促すインセンティブの必要性を認めながらも、介護報酬以外で「対策を講じるべきだ」と述べています。ただし転換を促すためには、介護療養病床の基本報酬を下げる方法もあり得ます。この点、厚労省は単なる引き下げではなく、「医療処置または重度者の割合」に応じてメリハリを利かせる案を示しています。この案については鈴木委員が、「転換へと追い込むべきではない」と、事実上の引き下げにならないようにクギを刺した一方で、本多委員は、重度者などの割合が低ければ報酬を「適正化」させるよう求めました。そのほか厚労省は、認知症の人のみを精神病床で受け入れている介護療養型医療施設(老人性認知症疾患療養病棟)の人員基準(1病棟1人以上の作業療法士や精神保健福祉士など)を満たす介護医療院を、基本報酬の加算で評価する方針も示しています。この加算には、精神科病院との連携などの算定要件も設けられる見通しです。また居宅サービスのうち、▼短期入所療養介護▼通所リハビリテーション▼訪問リハビリテーション▼訪問看護―は、介護医療院でも提供できる仕組みにするようです。転換老健の基本報酬を一本化、【療養強化型】並みの実績は加算で評価 厚労省は11月22日の介護給付費分科会で、転換老健の基本報酬などの見直しも提案しています。転換老健の基本報酬は現在、【療養型】と【療養強化型】に分けて設定されています。「医療処置を行った患者割合」と「重度者の割合」に応じて区分され、ハードルが高い【療養強化型】の方が1日当たりの単位数が高く設定されています(利用者が要介護3以上である場合に限る)。厚労省の見直し案は、転換老健の基本報酬を【療養型】の一本に整理して、報酬体系を簡素化するものです。さらに、来年(2018年)3月末までで廃止する予定だった【療養体制維持特別加算】(1日につき27単位、「介護職員の配置4対1以上」などが要件)を無期限に延長し、「医療処置を行った患者割合」か「重度者の割合」が高い施設に対しては、この加算の単位数を通常より高くするとしています。介護医療院の「II型」の基本報酬は、こうした見直し後の転換老健の基本報酬を踏まえたものになりそうです。>
 
キャリアブレイン「療養病床の転換、経過措置を6年延長へ 厚労省案を医療部会が了承」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171124151432)。<以下一部引用>
<厚生労働省は24日、社会保障審議会医療部会に対し、療養病床の看護配置の経過措置の期間を6年延長する案を示し、了承された。同病床の医療法上の看護配置基準は原則4対1(診療報酬上の20対1)だが、この基準を満たせない病院には6対1(診療報酬上の30対1)の配置が2017年度末までに限って認められている。厚労省は医療法施行規則の省令改正を行い、23年度末まで延長する方針だ。■医療機関の経営面に配慮 厚労省は、介護療養病床の転換期限が23年度末まで6年間延長されたことを踏まえ、医療療養病床と介護療養病床の看護配置の基準を見直す案をまとめた。>
 
介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)の「介護療養型医療施設、介護医療院の報酬・基準」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000185794.pdf)p8「介護医療院の人員基準(イメージ案)」では、類型Ⅱで医師、薬剤師の基準が緩くなっている。中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「入院医療(その6)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000185231.pdf)p6「介護療養病床及び医療療養病床(医療法施行規則に基づく人員配置標準の特例の対象となっているもの)については、より入院医療の必要性が高い慢性期患者に対して適切な医療を提供する観点から、入院医療の必要性に応じて、介護施設・在宅医療等における対応への移行を促進していくことが重要である。この移行に向けての期間は、介護療養病床が設置期限を迎える6年後(平成35年度(2023年度)末)を一つの基準としつつ、介護保険事業計画期間や地域医療構想の着実な実施という観点も踏まえ、医療法施行規則に基づく人員配置標準の特例の経過措置(6対1)の取扱い等を検討する必要がある。」とある。事務連絡「第7期介護保険事業(支援)計画における療養病床、介護医療院等の取扱いに関する基本的考え方について」、「第7次医療計画及び第7期介護保険事業(支援)計画の策定に係る医療療養病床を有する医療機関及び介護療養型医療施設からの転換意向の把握について」(https://www.zenhokan.or.jp/pdf/new/tuuti317.pdf)に基づき、各病院に対する転換意向調査がされているが、施設基準と報酬がどうかによるであろう。医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126719)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000185881.pdf)p13「医療療養病床にかかる医療法上の⼈員配置標準の経過措置は、以下のとおりとしてはどうか。・病院については、基本的には終了するものの、転換に必要な準備期間を考慮し、転換が完了するまでの最⼤6年間(平成35年度(2023年度)末まで)延⻑する。・診療所については、地域で果たす役割に鑑み、6年間延⻑する。」「地域医療構想の着実な実施を図るために、以下の措置を併せて講じることとしてはどうか。・まずは、第8期介護保険事業計画期間の開始(平成33年度)をひとつの⽬処として、地域医療介護総合確保基⾦等を活⽤した転換⽀援を⾏う。・遅くとも平成32年度末までに、地域医療構想調整会議において、各構想区域における療養病床の転換について協議を⾏うこととし、地域医療構想の⽅向性との整合を図る。」とあるが、最大の注目は、医療療養病床(医療保険)から介護医療院(介護保険)への転換によって、介護保険料の設定に大きな影響が出ることのように感じる。「遅くとも平成32年度末までに、地域医療構想調整会議において、各構想区域における療養病床の転換について協議を⾏うこととし、地域医療構想の⽅向性との整合を図る。」と示されたことから、今回の第7期介護保険事業計画は少し気楽かもしれない。介護医療院への転換は、やはり、①介護療養、②医療療養2、③医療療養1、④一般病床の優先順位であろう。また、精神病床からの転換も必要になるかもしれないが、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床と療養病床を有する医療機関だけであって精神病床は対象外である。また、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、精神疾患も柱の一つであるが、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)での必要病床では精神病床は除外されている。「経済・財政再生計画 改革工程表」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281027/03.pdf)にも精神医療関係はないし、財政制度等審議会財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「社会保障② 年金、生活保護、雇用、障害福祉、医療提供体制)」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281027/01.pdf)、資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia271009/02.pdf)p9「経済・財政一体改革における社会保障の改革検討項目」の44項目でも、なぜか精神医療関係は出てこない。財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の資料(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia291025/01.pdf)の医療費適正化や生活保護適正化でも精神医療は全く出ていない。財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)が精神医療を全く勘案しない理由は果たして何なのであろうか。
 
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地域包括ケア病棟と地域医療構想

2017年11月22日 | Weblog
メディウォッチ「国・公的の大規模急性期病院、民間を圧迫しないよう機能の明確化を—日医総研」(http://www.medwatch.jp/?p=17025)。<以下引用>
<国立や公的の大規模急性期病院において「7対1病棟などから地域包括ケア病棟への転換」が加速化しているが、診療報酬創設時の想定と異なる姿になっている。地域の実情を踏まえつつ「国・公的大規模急性期病院が担うべき役割」を改めて明確にする必要がある―。日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は、11月16日に発表したワーキングペーパー「国・公的医療機関の地域包括ケア病棟への参入状況と経営状況」の中で、こう訴えています。2016年度の前回診療報酬改定でも同様の主張がなされたことを受け、「ICUなどを持つ病院や、許可病床数500床以上の大病院において、地域包括ケア病棟の新設は『1病棟』に制限する」ことになりました。2018年度の次期診療報酬改定に向けた議論にも留意が必要です。「7対1のみ病院」と「7対1・地域包括ケア併設病院」、経営上の明確な差は見られず 地域包括ケア病棟は、2014年度の診療報酬改定で、(1)急性期後患者の受け入れ(post acute)(2)急性増悪した在宅患者の受け入れ(sub acute)(3)在宅復帰の促進—という3つ機能を持つ病棟として新設されました。従前の「亜急性期病床」からの転換のみならず、7対1病棟からの転換を期待して創設されたものですが、日医総研では「当初は病棟数が少ない中小病院の届出を想定していた」と述懐。2016年度の前回改定論議(中央社会保険医療協議会)では、一部の診療側委員が「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を併設して、民間の中小規模病院の経営を圧迫している」と強く主張し、冒頭に述べた「ICUなどを持つ病院や、許可病床数500床以上の病院において、地域包括ケア病棟の新設は『1病棟』に限定する」との制限規定が設けられました。今般のワーキングペーパーでも、「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を併設して、民間の中小規模病院の経営を圧迫している」との主張を強化しています。なお、国公立・公的病院を「7対1のみの病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」などに分類し、とくに大規模な病院について経営状況を分析していますが、「7対1のみの病院」と「7対1と地域包括ケアの病院」とで、経営状況に特段の傾向(例えば、「地域包括ケアを併設するほうが有利」など)は見られません ▼国立病院:7対1のみの41病院(平均456床)では赤字幅が拡大(医業収益率は2014・15年度の年度マイナス0.2%から2016年度にはマイナス1.0%に拡大)しているが、7対1と地域包括ケアの8病院(平均359床)では、新病棟を設置した舞鶴医療センター(京都府)を除けば、黒字を維持している(舞鶴医療センターを除く医業収益率は2014・15年度にプラス1.3%、16年度にプラス0.2%) ▼労災病院:7対1のみの18病院(平均423床)、7対1と地域包括ケアの7病院(平均353床)のいずれも、2015年度から16年度にかけて医業利益率が改善しているが、「厚生年金基金の代行返上による退職給付費用の減少」という一時的要因によるものである ▼JCH0:7対1のみの15病院(平均348床)では、2015年度から16年度にかけて医業利益率が改善(15年度:プラス0.4%→16年度:プラス0.5%)している。7対1と地域包括ケアの18病院(平均273床)では、2015年度から16年度にかけて医業利益率が悪化(15年度:プラス1.6%→16年度:プラス0.5%)している ▼日赤:7対1のみの46病院(平均442床)、7対1と地域包括ケアの9病院(平均293床)【経営状況は分析されていない】 ▼済生会:7対1のみの31病院(平均358床)、7対1と地域包括ケアの12病院(平均316床)【経営状況は分析されていない】 しかし日医総研では、「病床の機能分化・連携の視点から、地域の事情を踏まえつつ、民業圧迫にならないよう国・公的大規模急性期病院が担うべき機能をより明確にすべき」と主張しています。病床機能報告や地域医療構想では「病棟単位の機能分化」を推進しながら、診療報酬については「病院単位の機能分化」を求めており、一貫性に欠けるようにも思われますが、中医協などで、「大規模急性期病院における地域包括ケア病棟の設置(新設)制限」論が強化される可能性もあり、今後の議論に注目する必要があります。>
 
日医総研「国・公的医療機関の地域包括ケア病棟への参入状況と経営状況」(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP393.pdf)には目を通しておきたい。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)に関して、「各都道府県の地域医療構想について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000164337.pdf)p31~「各構想区域における4機能ごとの病床の必要量」が出ているが、構想区域ごとの2025年の機能別必要病床数は病棟単位ではない。一方で、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は、あくまで病棟ごとに一つの機能を選択するものであるという基本認識が欠かせない。とにかく、「地域医療構想調整会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)での協議は地域の実情を踏まえて、地域全体で進めなければならない。さて、医療介護情報局HP(http://caremap.jp/)では、「医療機関届出情報(地方厚生局)」がデータベース化(http://caremap.jp/cities/search/facility)されており、どこの医療機関が「(地包ケア1)地域包括ケア病棟入院料1及び地域包括ケア入院医療管理料1」「(地包ケア2)地域包括ケア病棟入院料2及び地域包括ケア入院医療管理料2」(http://www.pt-ot-st.net/contents2/cat_medical_treatment26/19)を算定しているかわかる。また、医療法に基づく病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)に関して、地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000088510.pdf)p50~「公表しなければならない項目」には、病棟単位の「算定する入院基本料・特定入院料の届出病床数・レセプト件数」「病室単位の特定入院料の届出病床数・レセプト件数」があり、各病院の詳細な状況が公表されていることは知っておきたい。「地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「病床機能報告の項目の追加・見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000166638.pdf)p3「報告項目の追加・見直しについて(案)」では「「入院前・退院先の場所別の患者数」、「退院後に在宅医療を必要とする患者数」について、報告対象期間を、現在の1か月間から、1年間に見直してはどうか。」とあり、今後、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)のデータベース化による病棟単位の詳細な分析が普遍化されるように感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000175150.pdf)p68「 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)について、求められる機能に応じた医療の提供を推進する観点から、例えば、 ・ 急性期病棟等と連携して患者を受け入れる機能と、・ 自宅等から患者を受け入れ在宅療養を支援する機能、 といった点に着目しつつ、患者の状態や医療の内容に応じた評価を検討すべきではないか。」、p85「地域包括ケア病棟の入院患者について、入棟前の居場所が、自宅等から入院する患者と、急性期病棟から転棟・転院する 患者とで区別して分析すると、患者の状態、入院の理由、検査等の実施状況等に関して、その傾向に一定程度の差があることについて、どのように考えるか」の行方が注目であるが、「入棟前の居場所が、自宅等から入院する患者と、急性期病棟から転棟・転院する 患者とで区別」だけではなく、病院の機能分化・連携の観点から、p64「在宅復帰率の算出方法」で、例えば、7対1病棟での分子「地域包括ケア病棟」について、自施設か他施設か、での差別化があっても良いように感じる。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000102535.pdf)p4「地域包括ケア病棟の主な役割」として、①急性期からの受け入れ、②緊急時の受け入れ、③在宅・生活復帰支援が位置づけられているが、3機能について、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)や地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の推進の観点からは、特に「②緊急時の受け入れ、③在宅・生活復帰支援」を重視すべきと感じる。地域によって、国・公的の大規模急性期病院の地域包括ケア病棟が民間を圧迫してどうしようもなければ、例えば、「高齢者医療確保法第14条」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000179593.pdf)による地域包括ケア病棟入院料の地域別の設定もあり得ない話ではないかもしれない。財務省資料(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia291025/01.pdf)p59「医療費適正化に向けた地域別の診療報酬の活⽤(考えられる例)」には「⼊院医療費の地域差是正等の観点からの、特定の病床が過剰な地域における当該⼊院基本料単価の引下げ」もある。
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TQMと地域医療構想

2017年11月22日 | Weblog
キャリアブレイン「「着実な対応」で紹介率が20ポイントアップ  医療の質改善で地域に必要とされる病院へ(1)」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171120155404)。<以下一部引用>
<京都市立病院では、水曜の朝8時30分から診療管理委員会が行われる。すべての診療科部長、各部署の責任者が集まり、その週の診療科ごとの経営指標、目標達成度、病棟ごとの「重症度、医療・看護必要度」が発表される。毎週訪れる重苦しい時間だ。2018年4月の診療報酬・介護報酬の同時改定を前に、荒波の中でどのように病院の進路を決めていくのか、不安な日々が続いている。しかし、「地域に必要とされる病院」であり続けるための努力をしない限り病院の未来はない。必要とされる病院とは、質の高い医療を提供し、常に改善を続ける病院である。今回は、当院の医療の質改善の取り組みについて地域医療連携を中心に紹介したい。■京都市立病院の概要 京都市立病院は、京都・乙訓医療圏に属している。京都市とその周辺地域が含まれ、医療圏の人口は162万3千人(15年)である。同医療圏の医師数は人口10万人当たり466.37人(全国平均245.93人)と医療過密地域である。当院の病床数は548床(結核12床を含む)、17年度の入院患者数は1万3173人で、平均在院日数は11.2日、病床稼働率は85.8%だった。運営形態は地方独立行政法人で、施設整備・維持管理、医療事務などの運営業務については、PFI(Private Finance Initiative)事業として、特別目的会社(SPC)との長期・包括契約を通じて行われている。■医療の質改善への取り組み 医療の質とは、診療だけでなく、医療機関で行うすべての業務が関わってくる。医療の質をQuality indicatorなどの客観的指標を用いて測定することで、提供している医療を振り返り、改善していくことが可能となる。>
 
メディウォッチ「「今厳しい病院は3年以内に消える」、経営分析システム勉強会で大道日病副会長」(http://www.medwatch.jp/?p=14539)もセットでみておきたい。「TQM(Total Quality Management)」(https://www.juse.or.jp/tqm/)は、「組織全体として統一した品質管理目標への取り組みを経営戦略へ適用したものであるが、医療のTQM(http://tqmh.jp/index.html)はいまや不可欠となってきているであろう。第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)や地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を踏まえた病院経営が不可欠と感じる。DPC係数の平成29年度の病院別の数値は資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000165562.html)からダウンロードできる(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000165685.pdf)。厚労省「DPC導入の影響評価に関する調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049343.html)、医療法に基づく病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)、医療法に基づく医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)、医療機関届出情報(地方厚生局)検索(http://caremap.jp/cities/search/facility)等もみれば、ある程度、各病院の実績がわかることは常識としたい。とにかく、地域全体で医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)・地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を考える時代である。「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「地域医療構想を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)も個別の病院だけで進めてはいけない。「B007 退院前訪問指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b007.html)、「B007-2 退院後訪問指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b007-2.html)、「A246 退院支援加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a246.html)、「B005-1-2 介護支援連携指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b005-1-2.html)、「B004 退院時共同指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b004.html)、「H003-2 リハビリテーション総合計画評価料入院時訪問指導加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_7_1/h003-2.html)など、急性期病院も在宅医療に深く関わる時代である。「A240 総合評価加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a240.html)の施設基準(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/shisetsu/kishi0008.html#kishi00080340000)には「当該保険医療機関内で高齢者の総合的な機能評価のための職員研修を計画的に実施すること」があり、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)・地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)による「在宅医療等」、介護保険事業(支援)計画による「医療介護連携」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000060713.html)や「地域包括ケアシステム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)を推進する一環で、保健所からも院内研修に対して支援・協力しても良いように感じる。
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