保健福祉の現場から

感じるままに

AIと医療・福祉

2019年05月21日 | Weblog
NHK「AI 早期肺がん94%見分ける CT画像から 米研究グループ」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190521/k10011923291000.html?utm_int=news_contents_news-main_004)。<以下引用>
<AI=人工知能に、CT画像での肺がんの特徴を学習させたところ、90%を超える正確さで早期の肺がんを見分けることができたと、大手IT企業、グーグルなどの研究グループが発表し、将来、医師の診断に生かせる可能性があるとして注目されています。グーグルやスタンフォード大学などの研究グループは、AIがCT画像から肺がんを見つけられるか調べた結果を20日、アメリカの医学雑誌「ネイチャー・メディシン」に発表しました。研究グループはまず、4万2000枚余りの肺のCT画像を使ってAIに肺がんの特徴を学習させました。そのうえで6700枚余りのCT画像をAIに解析させた結果、がんを見落とすケースやがんではないものを誤ってがんと判断するケースが少なく、早期の肺がんを94%の正確さで見つけたということです。専門の医師と比べると、経過を示す複数の画像を解析した場合では同じ程度の正確さでしたが、経過がわからない1枚の画像からでは、医師よりもやや高い正確さをみせたということです。肺がんは日本やアメリカなど各国で最も多くの人が亡くなるがんで、早期に正確に診断することが課題となっていて、将来この分野でAIが生かせる可能性があると注目されています。>

未来投資会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/index.html)の厚労相資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai25/siryou3-1.pdf)p3「医療・福祉サービス改革プラン;今夏に向けて策定」では、「ロボット・AI・ICT等、データヘルス改革」がある。保健指導リソースガイド「乳がん検診に「人工知能(AI)」を導入 マンモグラフィの欠点を克服」(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2018/007762.php)、朝日新聞「囲碁の次は…AIで乳がん診断 画像学習で兆候見つける」(https://www.asahi.com/articles/ASLB44D16LB4UBQU00C.html?iref=com_apitop)、朝日新聞「乳がんの見落とし、人工知能で防ぐ 大阪市立大が開発」(https://www.asahi.com/articles/ASL4C22S8L4CUBQU003.html?iref=com_apitop)、朝日新聞「大腸ポリープ、AIが自動判別 内視鏡検査の見逃し防げ」(https://www.asahi.com/articles/ASL887TNTL88UBQU020.html?iref=com_apitop)、朝日新聞「心筋梗塞、AIで発見 2万件の検査画像活用、開発へ」(https://www.asahi.com/articles/ASL9M5J9FL9MTIPE01W.html?iref=com_apitop)、メディウォッチ「AI搭載したロボットが高齢者グループの会話を誘導し、認知症予防に―保健医療AI開発加速コンソーシアム」(https://www.medwatch.jp/?p=24918)が出ていたが、医療現場での「人工知能(AI)を用いた診療支援」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000468448.pdf)や介護分野の人工知能(AI)活用(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000468145.pdf)(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000469779.pdf)(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000468143.pdf)は今後ますます進むのは間違いない。保健福祉分野でも、科学技術部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127724.html)の「2019年度 厚生労働科学研究費補助金(一次公募)課題(案)一覧」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000452863.pdf)に「児童虐待対応におけるリスクアセスメントのためのデータ収集基盤構築とAIを活用したリスク評価に向けた研究」があったが、保健医療福祉領域でのリスクアセスメントはAIによって今後急速に発展するように感じる。「保健医療分野AI開発加速コンソーシアム」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kousei_408914_00001.html)においても、レセプト審査の精緻化としてAIの活用は積極的に検討されるべきと感じる。また、社会・援護局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/dl/tp0115-s01-01-03.pdf)の医療扶助適正化は、後発医薬品の普及、頻回受診の適正化、生活習慣病の予防・重症化予防であるが、「AI活用による医療扶助レセプト審査」は検討されないであろうか。以前「生活保護受給者に心臓カテーテルを強制、相次ぐ匿名告発」(https://judiciary.asahi.com/fukabori/2013102300002.html)が出ていたが、自己負担がない「医療扶助」において、高額検査、高額薬剤、高額処置のAI審査が導入されても良いように感じる。特定の医療機関における医療扶助による高額検査、高額薬剤、高額処置の集中チェックは容易であろう。また、重複薬剤や重複検査などもAI審査は威力を発揮するであろう。医療扶助も電子レセプトが普及しているなかで、なぜ、福祉事務所ごとの医療扶助レセプトの審査が継続されているのか、疑問に感じる方が少なくないかもしれない。
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高齢独居世帯数

2019年05月21日 | Weblog
保健指導リソースガイド「65歳以上の世帯の1人暮らしは2040年には3割超 高齢者世帯は42都道府県で増加」(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2019/008215.php)が目にとまった。先月出た「国立社会保障・人口問題研究所は『日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)』(2019年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-pjsetai/j/hpjp2019/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-pjsetai/j/hpjp2019/gaiyo/data.asp)の「表Ⅱ-17-1 都道府県別 家族類型別世帯主75歳以上の世帯数の推移[単独世帯]」「表Ⅱ-20 都道府県別 75歳以上人口における独居率(75歳以上人口に占める単独世帯主の割合)」等は注目である。市町村別の高齢独居世帯数は、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で公表されていることは常識で、日医総研「地域の医療介護提供体制の現状-市区町村別データ集(地域包括ケア関連)-(2018年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_669.html)とセットでみておきたい。地域包括ケアシステム(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)の第一歩は地域住民が自分たち地域の実情や将来に関心を持つことのように感じる。厚労省「これからの地域づくり戦略~集い・互い・知恵を出し合い」(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000490107.pdf)をどうするかは、地域のデータなしでは進めにくいであろう。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)・地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)、地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)は都道府県であるが、地域包括ケアシステムは都道府県と市町村が連携して推進する必要がある。大都市における地域包括ケアをつくる政策研究会「保険者シート」(http://www.zaitakuiryo-yuumizaidan.com/link/201711daitoshi_hokenjya)は興味深い。昨年度からの介護保険「保険者機能強化推進交付金制度」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/info/saishin/saishinkako580_625.files/jouhou_622-1.pdf)(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/ki/ki_v622.pdf)の自治体評価項目の見える化が必要と感じる。
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障害児施設

2019年05月21日 | Weblog
障害児入所施設の在り方に関する検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_321418_00001.html)では「発達支援機能」「自立支援機能」「社会的養護機能」「地域支援機能」について協議されている(https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000476615.pdf)。現状(https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000476785.pdf)がどうなっているか、障害福祉サービス等情報(http://www.wam.go.jp/sfkohyoout/)で把握しておきたい。
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認知症対策の見える化を

2019年05月21日 | Weblog
朝日新聞「認知症、基本計画策定を政府に義務づけ 自民の法案骨子」(https://www.asahi.com/articles/ASM5K54Y9M5KUTFK01D.html)。<以下引用>
<自民党の社会保障制度調査会・介護委員会は17日、「認知症基本法案(仮称)」の骨子を公表した。認知症に関する施策を推進するための基本計画の策定を政府に義務づけ、首相がトップの推進本部を設置すると定める。公明党と協議し、今国会に共同提案する方針。骨子では、施策にあたっての基本理念として「認知症の人が地域において尊厳を保持しつつ他の人々と共生すること」を掲げる。政府の基本計画は、認知症の人や家族らの意見を聞いた上で策定することとし、都道府県や市町村の計画策定は努力義務とした。取り組むべき施策として、交通の安全確保や見守り体制の整備などを進める「地域づくりの推進」を挙げた。「認知症の予防」では、予防に関する活動の推進や情報収集、早期発見・対応に向けた医療体制の整備などが必要だとした。政府は来月、認知症対策の指針となる大綱を決定する予定。「共生」と「予防」を2本柱とし、予防促進に向けて、70代に占める認知症の人の割合を2025年までに6%減らすとの数値目標を盛り込む。基本法が成立すれば、大綱を基本計画と位置づける方向だ。>

認知症施策推進関係閣僚会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ninchisho_kaigi/index.html)の資料「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の進捗状況及び今後の方向性」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ninchisho_kaigi/dai1/siryou4.pdf)に示すように「共生」と「予防」が柱になっている。厚労省「「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072246.html)が打ち出されているが、わが国の認知症対策では、認知症の診断・治療の観点が弱いように感じる。平成30年度からの「保険者機能強化推進交付金」(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/ki/ki_v622.pdf)では自立支援、重度化防止等に資する施策の推進として、「(1)地域密着型サービス」「(2)介護支援専門員・介護サービス事業所」「(3)地域包括支援センター」「(4)在宅医療・介護連携」「(5)認知症総合支援」「(6)介護予防/日常生活支援」「(7)生活支援体制の整備」「(8)要介護状態の維持・改善の状況等」が評価指標となっているが、それらが各自治体においてどうなっているか、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で明らかにされるべきであろう。3年ごとに実施される「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)は評価指標として活用される必要がある。認知症総合戦略を推進するためには、地域のデータ・資料に基づくPDCAが不可欠と感じる。「「認知症施策等総合支援事業の実施について」の一部改正」(http://www.toyama.med.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/04/osirase_iryoukikan_kai_7.pdf)により、「本人や家族の悩みを共有するための相談支援や悩みを共有するための認知症当事者同士の交流会の開催等を行うピアサポート活動支援事業」「認知症サポーターのさらなる活躍の場を整備するための認知症サポーター活動促進事業」、「認知症疾患医療センターにおける日常生活支援機能の実施」などが追加されているが、自治体で取り組まれなければ意味がない。認知法対策は、道路交通法等の改正(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/law/index.html)とも密接に絡んでいる。ところで、「介護サービス情報公表制度の活用等について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115405_1.pdf)にあるように、介護保険法改正で「市町村は地域包括支援センターと生活支援等サービスの情報を公表するよう努めなければならない」と規定され、平成27年10月から、介護サービス情報公表システム(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)を活用して公表できるようになったが、生活支援サービスが入力されていない市町村が少なくない。法改正・制定や通知・事務連絡だけでは変わらない。約100団体が参画する「日本認知症官民協議会」(http://www.jcma.or.jp/news/association/post_926.html)の動向も注目である。
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妊婦医療

2019年05月20日 | Weblog
メディウォッチ「報酬評価や研修、情報提供の仕組み整え、妊婦のコモンディジーズを多くの医療機関で診る体制を―妊産婦保健医療検討会」(https://www.medwatch.jp/?p=26462)。<以下引用>
<妊婦の診療に積極的な「産婦人科以外の診療科」を評価するなどし、妊婦に対する風邪などのコモンディジーズを多くの医療機関で診る体制を整備していく必要がある。その際には、「妊婦への診療」に関する研修受講を求め、また「産婦人科のかかりつけ医への情報提供」を十分に行うことが必要である。なお、「自己負担」については助成制度を検討することも必要ではないか―。5月16日に開催された「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった点が確認されました。6月予定の次回会合で意見とりまとめを目指し、その後、中央社会保険医療協議会などで「診療報酬」に結びつける議論が行われると予想されます。妊婦の4割が他診療科を受診するが、6割で産婦人科医への情報提供がない 妊産婦の診療については、通常よりも慎重な対応や胎児・乳児への配慮が必要となることから、診療に積極的でない医療機関が存在することが指摘されています。例えば、妊婦が風邪等で内科診療所などを受診した場合、「当院では妊産婦の診療は難しい。産婦人科のクリニックや、産婦人科のある病院を受診してほしい」と要請されるケースもあるといいます。こうした事態を放置すれば、妊産婦が安心して医療を受けることが難しくなり、また減少を続ける産科医療機関の負担が過重となり、産科の医療提供体制の縮小にもつながりかねません。これでは「安心して子供を生み、育てられる社会」の構築が困難です。そこで妊産婦への適切な保健医療サービス提供を確保するために、検討会で、「妊婦」「産婦」も含めた保健・医療のあり方を幅広く議論し、2020年度の次期診療報酬改定論議などに結びつけることになりました。検討会では、これまでに専門家のヒアリング等を行い、また「妊産婦の医療や健康管理等に関する調査」を実施し、「妊産婦への保健医療サービスにおける課題」を整理するとともに、「改善・対応のための方向性」を議論しています。医療(診療・治療等)について焦点を合わせてみましょう。まず、出産年齢の上昇に伴って、▼周産期死亡率や妊産婦死亡率が上昇する▼「糖尿病」「甲状腺疾患」などの妊娠と直接関係しない「偶発合併症」が増加傾向にある―ことが学会等のデータから明らかになっています。一方で、▼産婦人科医師の医師数の増加率は低い▼病院勤務の産婦人科医では労働時間が長い▼分娩取扱施設は年々減少している―ことから、妊婦が妊婦健診以外で産科以外を受診するケースも少なくありません。厚労省調査では「38.4%の妊婦が産婦人科以外の診療科を受診している」ことが分かりました。受診理由としては、▼感染症状▼口腔症状▼持病―などが多く、▼内科▼歯科・歯科口腔外科▼耳鼻咽喉科―にかかる妊婦が多いようです。このように、妊婦の診療を積極的に行う他診療科の医師・医療機関があることが分かりますが(必ずしも十分ではない)、「産科医への情報提供・連携」という点で課題のあることが明確になりました。厚労省調査では、「風邪やインフルエンザ、花粉症などで他診療科にかかった場合、当該医師から産婦人科医に対し、診療情報提供書が書かれる」ケースは少なく、「産婦人科以外の診療科を受診した妊産婦の58%が産婦人科医への情報提供等はなかった」と回答しています。こうした状況を踏まえて検討会では、▼より多くの医療機関が妊婦の診療を積極的に行う▼産婦人科医との連携を密にする―ことが重要とし、たとえば次のような方向性を探っています。▽偶発合併症をもつ妊婦の増加を踏まえ、産婦人科と他診療科との連携拡充が必要▽妊婦健診時以外にも、妊産婦自身から母子健康手帳を提示してもらい、診療などを進める必要がある(妊娠時には、▼診察時の体勢に制限がある▼薬剤や放射線検査の「胎児への影響」を妊娠週数に応じて考慮する必要がある―ため)▽産婦人科医の負担軽減のため、「直接出産に関係しない妊産婦の診療」について、地域ごとに連携体制をあらかじめ決め、連携先医療機関を明示しておく(とくに「医療資源の乏しい地域」「分娩施設へのアクセスに困難がある地域」で重要)▽産婦人科以外の診療科で「妊産婦の風邪等のコモンディジ―ズへの対応」ができるよう、妊産婦の診療への配慮や理解を深めていく必要がある▽産婦人科における妊産婦の健康管理に当たり「他診療科との情報共有」が必須で、歯科も含めた診療科間の情報共有として、より簡便なもの(スマートフォン・母子健康手帳・お薬手帳等の利用)を考える必要がある また、産婦人科以外の診療科の医師が妊婦を診療するとなった場合、「妊婦の特性」や「胎児への配慮」などへの理解を進めておく必要があります。この点への知識等が不足していることが「妊婦の敬遠」につながっているとも考えられるためです。そこで検討会では、▼産婦人科以外の診療科の医師が妊産婦のコモンディジーズを診療できるような「教育」「研修」の仕組みを構築する▼研修にあたっては、e-ラーニングや動画等を活用するなどして、「受講しやすい」体制とする▼産婦人科以外の診療科が妊産婦の診察をできるよう、「産婦人科医師によるサポート体制」や「診療科間の連携体制」を構築する▼「妊産婦の診察を行う医師」や「妊産婦の診察に積極的な医療機関」を評価する―ことが重要との考えを示しています。最後の「評価」は、2018年度の診療報酬改定で新設され、現在、凍結されている【妊婦加算】(初診料や再診料などの加算)とも関連し、今後、中医協でその在り方を議論していくことになるでしょう。その際には、「研修や教育を受けていること」や前述の「産婦人科の主治医に情報提供を十分に行っていること」などが重要な要素(要件)の1つとなってきそうです。もっとも、「研修」等があまりにハードな内容であったり、また研修可能な施設数が限られていては実効性が上がりません。鈴木俊治構成員(日本産婦人科医会常務理事、葛飾赤十字産院副院長)は、「研修受講が当然」となるくらいの受講しやすい環境整備などが必要と指摘。また平川俊夫構成員(日本医師会常任理事)は、「かかりつけ医研修の一環として実施してはどうか」と提案しており、これが実現すれば相当な戦力となることでしょう。また中井章人座長代理(日本産科婦人科学会代議員、日本医科大学多摩永山病院院長)は、「研修修了者をリスト化し、そのリストに産科医や妊婦自身がアクセスできるようにしてほしい」「とくに妊婦の精神疾患を診てくれる医療機関が分かると現場は非常に助かる」と要望しています。母子手帳活用した情報提供や、妊婦の自己負担を助成する仕組みも検討せよ また「情報提供」の方法について、正確性などを考慮すれば「診療情報提供書」などを用いることが望まれますが、鈴木構成員や中井章人座長代理(日本産科婦人科学会代議員、日本医科大学多摩永山病院院長)らは「合併症や長期の疾患では診療情報提供書などが必要であろうが、風邪やインフルエンザなどの場合には、医師や患者の負担にも考慮し『母子健康手帳』などを活用した簡易な情報提供も認めるべき」と提言しています。ただし、この点について厚労省子ども家庭局母子保健課の小林秀幸課長は、「母子健康手帳の活用に当たっては、プライバシーに配慮する必要がある(例えば児の傷病情報などの機微情報も記載されることがある)」点を指摘。例えば「希望者に対しては、母子健康手帳に他診療科からの情報を記載する」などの運用が望ましいと考えられます。ところで、【妊婦加算】凍結の背景には、患者側の「自己負担が高くなるが、それに見合った医療サービスを受けていない」という意識がありました。この点、新たな診療報酬を作ったとしても「自己負担増」は避けられず、患者側から「反対」の声が出てくる可能性もあります。優れた医療サービスを受けるためには、それなりの「対価」(自己負担)が必要ですが、診療報酬制度に詳しくない一般の患者・国民には「この構図」が見えにくいことも事実です。そこで検討会では、平川構成員らから自治体による「妊産婦への医療費助成」制度創設が提案されています。現在、すべての自治体では「子供への医療費助成」が何らかの形で実施されており、これを「妊産婦へも拡大してはどうか」という考えです。こうした仕組みが整えば、「妊娠した女性のほとんどが、自治体にアクセスし、妊婦を自治体サイドで把握できるようになる」でしょう。その場合、「妊産婦健診の受診勧奨」の実効性も高まる(副次的な効果もある)など、魅力的な提案と言えます。ただし、医療費助成は「国が実施を指示する」ものではなく、自治体が独自に判断して実施を決めるものである点には留意が必要です。妊婦の多くが歯科・口腔外科を受診、妊婦健診でも「歯科」項目追加を検討せよ 前述のように、妊婦がよく受診する診療科の1つとして「歯科」「口腔外科」があります。▼妊娠中は、「口腔清掃の困難さ」「嗜好の変化」「ホルモンバランスの変化」等により、むし歯や歯周病が進行しやすい▼歯周病は、早産や低体重児出生と関連するとの報告がある―ことから、妊婦の口腔管理は非常に重要と言えます。しかし、▼妊婦健康診査の「望ましい基準」告示には、歯科項目の記載がない▼妊産婦に対する歯科健診の受診率は低調である(保健センター等での集団健診を受診者は約7.5%、クーポン券等を活用した歯科診療所等での個別健診受診者は約23.6%)―という状況です。このため検討会では、▼妊婦への歯科健診の充実▼産婦人科医師や助産師から妊婦に対する「歯科医療機関受診時にも、母子健康手帳を提示する」といった勧奨―などを求める声が出ています。なお、凍結されている【妊婦加算】は、歯科診療報酬には設定されていませんが、歯科を受診する妊婦の多さなどを踏まえて、中医協では診療側委員から「歯科における妊婦診療の評価」を求める声が出てきそうです。「妊娠と薬情報センター」を全医療機関で活用できる体制の整備が必要また妊婦および産婦への医療提供においては「薬剤」の投与が非常に重要となります。例えば、ある薬を妊婦に投与してよいのか(胎児毒性はないのか)、産婦に投与してよいのか(母乳への影響はないのか)などといった点への配慮です。この点、妊産婦が医薬品を処方・調剤された場合、「自己判断で内服を中止してしまう」ケースも少なくないと指摘されます。こうした点を重くみて、国立成育医療研究センター等が中心となり、各都道府県に「妊娠と薬情報センター」の整備が進められています(2017年度に全都道府県に「「妊娠と薬情報センター」の拠点病院を整備」。ただし、▼相談件数は年間2000件程度にとどまっている(2009年以降横ばい)▼センターでの相談対応には人手と時間を要し、「適時の回答」が困難―という課題もあります。また、医薬品の添付文書における「妊産婦への使用に関する内容」と、「学術的に許容されている内容」とにギャップがあることも知られています(「妊娠と薬情報センター」からメーカーに対し、集積データ等を添付文書に反映する取り組みを実施している)。こうした状況を踏まえて検討会では、▼医師が科学的エビデンスに基づいた処方を行えるよう、「妊娠と薬情報センターの活用」や「研修」「処方前からの薬剤師との連携」などを進める▼「妊娠と薬情報センター」に、全ての医師がアクセスしやすい体制を整備する▼医薬品のリスクにナーバスになっている妊産婦へ、配慮した説明ができるよう、医療者側のコミュニケーションに関するトレーニングを行う▼妊娠中の服薬等に関する、妊産婦本人への教育や情報提供も行う―ことが重要との方向を固めつつあります。産婦人科以外で受診する機会の多い、内科や耳鼻咽喉科では医薬品を処方されるケースが多く、処方医はもちろん、調剤薬局においても、十分な配慮と分かりやすい情報提供がなされることが期待されます。>

「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_553056_00007.html)の「これまでの議論の整理(案)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000509222.pdf)では「○ 妊産婦に対する相談・支援の在り方について (1)妊娠前・妊娠中の相談・支援及び健康管理について (2)産後の相談・支援について (3)支援を必要とする女性の相談・支援について」「○ 妊産婦に対する医療提供の在り方について (1)妊産婦の診療・治療等について (2)妊産婦への診療の質の向上について (3)妊産婦の口腔の健康について (4)妊産婦と薬剤について」「○ 妊産婦を支える体制等について (1)妊産婦に関する行政機関と関係機関の連携について (2)母子健康手帳の活用について (3)妊産婦の健診や診療に係る自己負担について」が項目にあがっているが、「年代別・世代別の課題(その1)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000500775.pdf)p65「妊婦加算」が凍結(http://www.hospital.or.jp/pdf/14_20181219_01.pdf)された直接のきっかけは自己負担増によるものだったであろう。この際、妊婦の医療費の自己負担を引き下げるべきと感じる方が少なくないかもしれない。公的医療保険では6歳未満は3割ではなく2割負担であり、さらに、「平成29年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000213116.html)、平成28年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」結果(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000169981.html)、平成27年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」結果(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000126115.html)、平成26年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」結果(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000078806.html)にあるように、乳幼児医療費助成は年々拡充していることを踏まえて、乳幼児医療費を「妊婦医療費=胎児医療費」まで拡充させると考えれば良いかもしれない。その財源として、妊婦の身体によくないものとして、タバコ税の引き上げも悪くないかもしれない。また、公的保険における超高齢者(例えば90歳以上)の革新的高額薬剤の制限も考えられるかもしれない。財務省資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia310423/01.pdf)p38「近年国内外で登場した⾼額医薬品等の例」の「オプジーボ点滴静注;約3,500万円(体重60kg,1年間の場合)」「ハーボニー配合錠;約670万円(12週間)」「ステミラック注;約1,500万円(1回投与)」「キムリア点滴静駐;【⽶国の例】約5,300万円(1回投与)」「イエスカルタ(リンパ腫治療薬);約4,200万円(1回投与)」「ラクスターナ(遺伝性網膜疾患治療薬);約9,500万円(両眼1回投与)」はこれからも続くであろう。オプジーボ(https://www.opdivo.jp/)に関して「オプジーボの保険適用範囲は?」(http://kenkotai.online/?p=235)で「肝細胞がん;2019年6月に第Ⅲ相試験(フェーズⅢ)終了予定」とあり、適用が拡大されるようであるが、革新的医薬品を無制限に公的医療保険適用とするわけにはいかないであろう。また、がん検診のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128563)の「がん検診で推奨されている年齢の国際比較」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000208397.pdf)が出ていたが、超高齢者に対する制限は考えられないであろうか。超高齢者に対する社会保障を妊婦に少しシフトさせることに、世論の抵抗はどれほどであろうか。ところで、医師臨床研修部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-idou_127790.html)の報告書「医師臨床研修制度の見直しについて」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000200876.html)(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000201187.pdf)にある「方略は、内科、救急、地域医療に加え、外科、小児科、産婦人科、精神科を必修化し、一般外来の研修を含むことを追加」は注目したい。資料「年代別・世代別の課題(その1)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000500775.pdf)p50「産婦人科を標榜する医療機関数と分娩取扱い実績医療機関数の推移」では、分娩数の減少とともに、産婦人科・産科を標ぼうする診療所・病院、分娩取扱診療所・病院は減少している。妊婦医療は、産婦人科だけが担う時代ではないであろう。
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公民連携と地域包括ケア

2019年05月20日 | Weblog
保健指導リソースガイド「大阪・大東市で民間事業者が地域包括支援センターを運営、日本初」(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2019/008209.php)が目にとまった。地域包括「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)では、地域包括支援センターに関する詳細情報のほか、介護保険料や認定状況についても出ていることは常識としたい。地域包括ケアシステム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)では、日経BP「新・公民連携最前線」(https://project.nikkeibp.co.jp/ppp/health/)のような公民連携も期待されるであろうが、アウトカム指標がどうなるか、注目される。さて、「全国高齢者医療主管課(部)長及び国民健康保険主管課(部)長並びに後期高齢者医療広域連合事務局長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=252919)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000192093.pdf)p13「【共通指標④(1)個人へのインセンティブの提供の実施】」には「商工部局との連携、地域の商店街との連携等の「健康なまちづくり」の視点を含めた事業を実施しているか」も評価指標になっており、留意事項には「商工部局との連携とは、例えば、健康づくりを「まちづくり」と結びつけて展開し、地域の民間企業を活用するため、庁内で商工部局との議論の場を設け、検討を行うこと等を指す。地域の商店街との連携とは、例えば、各種検診受診者、健康づくりの取組参加者に、商工会発行のポイントを付与し、ポイントが貯まると、市町村内店舗で使える商品券とする。等の取組を進めるため、地域の商店街等と議論の場を設けること等を指す。」とあり、「商工部局との連携」にもっと目を向ける必要があるように感じる。「個人インセンティブ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000124579.html)は、ブロック会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170677.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000170676.pdf)p11保険者インセンティブ「保険者共通の指標」であり、被用者保険者でも取り組まれるのは間違いない。また、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_553056_00001.html)(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000428884.pdf)というのであれば、介護予防の自助や互助を含めても良いであろう。「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakaihosyou.html?tid=368203)の「地域包括ケアの深化・地域共生社会の実現」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000130500.pdf)には、「住民」「事業者」「保険者、行政」の自立と協働のトライアングルが必要であり、情報共有と戦略的取り組みが欠かせないであろう。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000179571.pdf)p133~135通知「地域づくりに資する事業の一体的な実施について」が出ていたように、地域包括ケアの推進では事業の弾力化を図る必要があるように感じる。
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医療的ケア児支援の見える化を

2019年05月20日 | Weblog
「保育所での医療的ケア児受け入れに関するガイドライン」(https://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/pdf/h30kosodate2018_0102.pdf)が目にとまった。一昨年、「医療ケア児保育地域差入所全国で337人、7県ゼロ」(http://www.mcnet.or.jp/download/pdfdata/20170821%20tokyo%20news02.pdf)と報道されており、その後が気になる。医療的ケア児(http://iryou-care.jp/problem/)支援について、「医療的ケア児とその家族への支援制度」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000365180.pdf)がそれぞれの自治体でどうなっているのか、「見える化」が必要と感じる。そういえは、「医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000191192_00004.html)の「平成30年度医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議事前提出資料「取組報告」シート」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000366037.pdf)は自治体別の取り組み状況が出ていた。中医協総会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html)の資料「年代別・世代別の課題(その1)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000500775.pdf)p37~39「小児への訪問看護」も地域差が大きいかもしれない。厚労省・文科省「家庭と教育と福祉の連携「トライアングル」プロジェクト ~障害のある子と家族をもっと元気に~」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000191192.html)から、昨年5月に通知「教育と福祉の一層の連携等の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000208387.pdf)が発出され、今年3月には文科省「学校における医療的ケアの今後の対応について(通知)」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1414596.htm)発出されているが、いくら国で予算化され、通知やガイドラインが発出されても、それぞれの自治体で取り組まれなければ全然意味がない。なお、「障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業の提供体制の整備並びに自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針の一部を改正」(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160374&Mode=0)では「平成30年度末までに、各都道府県、各圏域及び各市町村において、保健、医療、障害福祉、保育、教育等の関係機関等が連携を図るための協議の場を設置することを基本とする。」であった。
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医療と介護の連結

2019年05月20日 | Weblog
メディウォッチ「医療ニーズの高い要介護者のケアマネジメント、訪問看護師等がケアマネ支援を―日看協」(https://www.medwatch.jp/?p=26452)。<以下引用>
<要介護者・要支援者の医療ニーズが多様化する中、介護支援専門員(ケアマネジャー)からの疑問等に訪問看護師等が答え、また相談に乗り、さらに必要に応じて利用者のもとを同行訪問することなどが重要である―。日本看護協会は5月16日に、こういった内容を盛り込んだ「『医療ニーズを有する利用者のケアマネジメントに関する看護師による介護支援専門員への相談支援事業』実施の手引き」を公表しました。利用者の医療ニーズが多様化する中、訪問看護師が相談・支援を、さらに同行訪問を 公的介護保険サービス利用の大きな流れは、▼市町村で要介護判定を受け、「要介護」「要支援」との認定を受ける → ▼介護支援専門員(ケアマネジャー)がアセスメント(利用者の状態等の評価)を行い、介護支援計画(ケアプラン)を立てる → ▼介護サービス事業者からサービス提供を受ける → ▼効果等を踏まえケアマネジャーがプランの見直しを行う―と概括できます。このうちケアマネジャーによるアセスメントやケアプラン作成は「ケアマネジメント」と呼ばれ、高度の専門性が要求されます。ところで、昨今、「在院日数の短縮」や「在宅医療の充実」などにより、医療ニーズの高い介護保険サービス利用者が増加しています。こうした利用者に適切なケアマネジメントを行うには「医療に関する知識」が不可欠です。例えば、末期のがん患者が「最期を自宅で過ごしたい」として、在宅療養を送るケースがあります。末期がん患者の多くは要介護状態にあり介護保険サービスを利用しますが、併せて「疼痛管理」などの医療的ケアが必須となります。この場合、医療保険の訪問看護を利用することができますが、「医療保険の在宅サービス」と「介護保険の居宅サービス」とを連動させることが重要で、そのためにはケアマネジャーが医療に関する知識」を一定程度保有し、医療職(医師や看護師)と密接に連携することが不可欠となるのです。一方、ケアマネ側には「医療ニーズへの対応」に不安を覚えるケースも決して少なくないようです。そこで日看協では、主に▼ケアマネ、訪問看護師をはじめ、在宅医療・介護サービス提供や調整に携わる医療職・介護職▼自治体の在宅医療・介護の体制整備事業の担当者▼医療・介護職種を対象とした相談支援事業や教育研修事業に携わる担当者・事業者―を対象に、「ケアマネが利用者の医療ニーズに関する課題を地域の訪問看護師等に相談し、支援・助言を円滑に受けられる」ことを目指し、手引きを作成しました。まず手引きでは、日看協の実施した「電話相談や同行訪問によりケアマネに支援・助言を行う相談支援モデル事業」(267件:電話相談142件、対面相談49件、同行訪問63件、 メール・FAX13件)の中から事例を紹介しています。利用者の抱える主な疾患としては、▼認知症(アルツハイマー病を含む):32.6%▼悪性新生物:24.0%▼脳血管疾患(脳梗塞、くも膜下出血など):18.0%▼精神疾患(うつ、統合失調症):14.2%―などが多く、医療的処置(複数)としては▼服薬管理(薬の飲みすぎ、飲み忘れへの対応等):38.6%▼排便コントロール:11.2%▼酸素療養:7.9%▼カテーテル(留置カテーテル等の管理):6.7%▼褥瘡の処置:6.7%▼注射・点滴の管理:6.4%▼創傷処置:5.2%―などがなされている状況です。 ケアマネからの相談事項(複数)としては、▼疾患や治療方針の理解:46.9%▼訪問看護サービス導入の必要性の判断:39.7%▼医師(入院・外来診療)との連携:39.1%▼訪問看護師との連携:30.2%▼利用者や家族・介護者への訪問看護の必要性の説明:26.8%▼利用者のアセスメント及びケアプラン作成:23.5%―などとなっています。訪問看護は、上述したように「医療保険サービス」と「介護保険サービス」の双方にまたがり、また利用者の状態等によって利用可能回数が異なるなど、複雑な制度となっています。また、具体的にどういった内容のサービス提供が可能なのか把握しにくい場合もあるようです。あるケアマネからは「通院で点滴を受けている利用者がいるが、歩行に支障がある。訪問看護での点滴は可能か」との相談があったといいます。これに対し、「利用者・家族が訪問看護に同意し、主治医から指示書が交付されれば点滴の実施は可能である」ことを答えるとともに、「通院困難であれば他の支援も必要かもしれない。一度、訪問看護師による面談とアセスメントを行ってはどうか」と助言しています。またアセスメントに関しては、あるケアマネから「がんに罹患した要介護者について、依然はデイサービスを利用していたが体調不良で中止してしまった。主治医受診に同行したが、病状を十分に把握できなかった。在宅サービス再開について助言が欲しい」との要望がありました。この相談に対しては、▼病状は安定している▼認知症があり昼夜が逆転しがちである―という情報も踏まえて、「デイサービスを再開して日中の活動量を増やし、夜間に睡眠できるようにしてはどうか」「病状管理や家族の介護相談のためにも、週に1回程度の訪問看護を導入してはどうか」とアドバイスしたといいます(家族の同意を得て、訪問看護を後に導入)。さらに状態悪化で入院し、治療終了後に退院する場合には、▼本人の疾患・状態の把握▼今後の変化予測▼本人や家族の意向確認▼退院した病院との情報共有▼在宅でのサービスの利用調整―など、ケアマネの役割が非常に多岐にわたります。この点、やはり訪問看護師等の支援によって、ケアマネ負担を軽減するとともに、安心してケアマネジメントを行うことが可能になります(結果、ケアの質向上にもつながる)。例えば、認知症の要介護者ががんで入院治療し、退院する際に、あるケアマネから「廃用症候群で移動や排せつに一部解除が必要である。退院カンファランス当日に退院し、退院時サマリーもない」として、訪問看護師に相談がありました。これを受け、看護師から病院に情報提供を依頼するとともに、利用者宅を同行訪問し、「がんの進行で痛みや腹水貯留などが生じる恐れがあり、訪問看護の導入でこれらに対応できる」「福祉用具の導入も検討してはどうか」とアドバイスしています。こうした相談・支援事業に対し、現場ケアマネは▼今後の自身の行動や判断に活かせる助言が得られた:50.3%▼疾患や治療方針に対する理解を深められた:49.2%▼訪問看護サービス導入の必要性の判断ができた:36.3%▼利用者の病状の変化に伴うプラン変更の判断ができた:36.3%▼医師(入院・外来診療)との連携ができた:36.3%▼利用者や家族・介護者に訪問看護の必要性を説明できた:27.9%▼.自分が把握していなかった課題を発見できた:27.9%―などの効果を感じています。効果に鑑みれば、医療機関や訪問看護ステーション、地域包括支援センターなどに、ケアマネから日常的に相談・支援を行える環境の整備、さらには個別ケースに十分に対応できるよう「必要に応じて訪問看護師等が同行訪問する」環境の整備が必要と考えられます。日看協では、相談・支援を「モデル事業」にとどめず「事業化する」ことも併せて提言しています。この点、山梨県では県看護協会に委託し、2017年度からの5か年計画で、県内の訪問看護師等を対象とした「トータルサポートマネジャー養成事業」を実施。トータルサポートマネジャーは、これまで見てきたようなケアマネ等への相談・支援を行うもので、全国で参考にすべき事例と言えます。>

日本看護協会「医療ニーズを有する利用者に対応する介護支援専門員への看護に関連する療養上の相談支援のあり方に関する試行的調査研究事業」(https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/30_sodanshien_handbook.pdf)が出ている。訪問看護は医療保険と介護保険の両方(https://hoken-room.jp/nursing/2478)があることは医学生や看護学生教育から周知しておきたい。介護支援専門員(ケアマネジャー)が医療系(看護師、薬剤師、医師等)か福祉系(社会福祉士、介護福祉士等)か、現場では気になる声が聞かれるが、平素からの多職種連携の取り組み(会議、研修、普及啓発、調査)が問われるであろう。「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」(https://www.mhlw.go.jp/content/198-01.pdf)による「NDB、介護DB等の連結解析」もスタートするが、レセプト情報(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_129210.html)や介護レセプト(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken_520284.html)の分析には、行政(国、自治体)、大学、研究機関、民間シンクタンクの連携・協働が必要と感じる。未来投資会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/index.html)の厚労相資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai25/siryou3-1.pdf)p3「医療・福祉サービス改革プラン;今夏に向けて策定」は地域保健福祉にとっても無縁ではないように感じる。
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保健所管理栄養士

2019年05月20日 | Weblog
保健所管理栄養士(http://www.hc-kanri.jp/)の活躍場面が増えているように感じる。例えば、食品表示(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/)(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_summary.html)や配食事業の栄養管理(http://www.hc-kanri.jp/99/html/topics_20170330.html)は食品衛生との連携が不可欠であるが、食品衛生法施行令(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78331000&dataType=0&pageNo=1)第九条第4項で、食品衛生監視員の資格として「栄養士で二年以上食品衛生行政に関する事務に従事した経験を有するもの」が規定されていることも認識しておきたい。「受動喫煙対策」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html)(https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/)に関して、「改正健康増進法の施行に関するQ&A」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000506828.pdf)「11-1 施設等の管理権原者等には、喫煙禁止場所における喫煙器具・設備等の設置の禁止、たばこの煙の流出を防止するための技術的基準の遵守等が義務づけられているところ、相談や情報提供があった場合や他法令・他制度に係る業務において事業者との接点がある場合に、保健所において義務違反の有無を確認することとなります。管理権原者等が法の義務を履行しない場合、まずは適切に助言、指導等が行われ、それに応じて法違反状態を是正していくことが必要です。これに応じず法違反状態が継続される等の場合には、義務違反の内容に応じて、公表、命令、過料が適用されることがあります。」とあるが、来年4月施行の飲食店でも期待されるかもしれない。そういえば、「地域における行政栄養士による健康づくり及び栄養・食生活の改善の基本指針」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/chiiki-gyousei.html)では「⑤ 健康増進に資する食に関する多領域の施策の推進;食に関する施策を所管する部局は、健康増進のほか、子育て支援、保育、教育、福祉、農政、産業振興、環境保全など多岐にわたることから、健康増進が多領域の施策と有機的かつ効果的に推進されるよう、食育推進に係る計画の策定、実施及び評価等について、関係部局と調整を図ること。特に、健康増進と産業振興との連携による施策の推進に当たっては、健康増進に資する良質なものが普及拡大するよう、科学的根拠に基づき、一定の質を確保するための仕組みづくりを進めること。」とあった。地域包括ケアシステム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)でもそうかもしれない。
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病院経営と地域医療構想

2019年05月20日 | Weblog
河北新報「<宮城・涌谷町長選>国保病院、財政を圧迫 赤字穴埋め年6億円超す 厳しい運営の続く涌谷町国保病院」(https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201905/20190519_11017.htm)。<以下引用>
<財政非常事態宣言が1月に出された涌谷町は、4月に現職町長が急死し、トップが不在になるなど、町政の混乱が続いている。農業を基幹とする人口1万6000人の町は平成の大合併で単独立町を選んだ。立て直しが急務とされる町財政を、住民の健康を守る町国保病院への支出が圧迫する。少子高齢化の進行で、自主財源は減り、社会保障費は増える一方。町はこの悪循環によって2021年度に町財政が赤字になると試算した。大橋信夫前町長は生前「(実質的な赤字経営の続く)町国保病院の負担が年々増えている」と要因を口にしていた。町国保病院は恒常的に医師不足に悩み、ベッド稼働率は7割超と目標の9割に届かない。一般会計から病院への年間繰り出し額は、15年度以降ずっと4億円を超え、18年度は6億円に膨れ上がった。町の標準財政規模約50億円の1割以上に当たる額に上っている。民間への業務委託や規模縮小、リハビリや介護などの療養部門への特化などを模索するが、打開策は見つからない。病院存続を望む声は根強いが、ある町幹部は「小さな自治体で今後も運営していけるのか不安だ」と漏らす。平成の大合併の際、町は旧小牛田、南郷両町との合併議論を進めたが、最終的に合併しない道を選んだ。町内には、合併していれば病院経営の苦境は緩和されたのではないかとの声もくすぶる。当時の合併協議会事務局関係者は「旧南郷町の南郷病院(現美里町)と診療科の分担や医師の交流などができたかもしれない」と話す。大橋前町長は、玄米食専用品種「金のいぶき」のブランド化や、黄金山地区への工業団地建設による企業誘致などの産業活性化策に力を入れ、活路を見いだそうとしていた。しかし、金のいぶきの生産量はまだ目標の4割にとどまり、工業団地への進出企業は1社のみだ。町内で会社を経営する男性は「産業を盛り上げるにも、町の財政が安定しない限り絵に描いた餅になる」と不安を口にした。大橋前町長の死去に伴う涌谷町長選は21日告示される。ともに無所属で元町長の安部周治氏(71)と新人で元町議会議長の遠藤釈雄(とくお)氏(68)の2人が立候補を表明。投票は26日に行われ、即日開票される。>

瀬戸内海放送「さぬき市民病院 医師不足で 7月に分娩休止 香川」(https://www.ksb.co.jp/newsweb/index/13485)。<以下引用>
<さぬき市民病院が医師不足を理由に2019年7月で分娩を休止することになりました。これによって香川県東部の東かがわ市とさぬき市では分娩に対応した医療機関がなくなります。さぬき市民病院ではこれまで産婦人科に常勤医が2人在籍し、分娩に対応していました。 しかし、3月に1人が定年退職し体制の確保が難しくなったため「分娩の休止」を決めたということです。さぬき市民病院は県東部の東かがわ市とさぬき市で唯一分娩を受け付けている医療機関でした。7月15日までに出産予定日を迎える人は対応しますが、それ以降は三木町の連携している病院を紹介するなどします。妊婦の検診は引き続き受け付けます。さぬき市民病院は2018年度、223件の分娩に対応していました。今後は常勤医師の確保に努め、体制が整い次第分娩を再開するということです。>

毎日新聞「京丹後市内の病院で出産できない状態続く 市立病院の医師急死」(https://mainichi.jp/articles/20190514/k00/00m/040/072000c
)。<以下引用>
<京都府京丹後市内の病院で出産できない状態が続いている。市内で唯一、24時間態勢で出産に対応してきた市立弥栄病院の産婦人科部長の大田美則医師が3月10日に急死して以来、出産に対応できなくなっているためだ。市は一日でも早く医師を確保して出産に応じる態勢を再開しようと懸命だが、「八方手を尽くしても過疎地に来てくれる医師はなかなかいない」という。再開のめどは立っておらず、三崎政直市長が「子育て環境日本一」を掲げる中で少子高齢化が進む過疎地の厳しい現実を映し出している。市によると、弥栄病院の産婦人科の医師は従来、常勤2人、非常勤2人の計4人。24時間態勢で出産に対応してきた。出産は高いリスクを伴うケースがあり、緊急時にも対応できる態勢を取ってきた。しかし、大田医師の急死でこの態勢が取れなくなり、出産に応じることができなくなった。市内の出産は年間300件ほどあり、与謝野町の府立医科大付属北部医療センターや兵庫県豊岡市の豊岡病院などに行ってもらうよう依頼している。市によると、市内には市立弥栄、久美浜病院、丹後中央病院、丹後ふるさと病院の4病院があるが、現在産婦人科があるのは弥栄病院だけ。産婦人科の開業医はいない。500平方キロを超える広大な市域がある中、それぞれの病院が地域医療を支えていると説明している。全国的に小児科と産婦人科の医師確保がとりわけ困難になる中、市は小児科と産婦人科医師を目指す医学部生には奨学金支給を加算する制度を創設するなど医師確保に全力を挙げているが、医師の確保は非常に難しくなっているという。上田雅彦医療部長は「医師確保が肝。市としてはお願いする立場で、安心してお産できる態勢を一日でも早く再開したい」と話している。>

地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)に関して、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)が優先的に再検証される。「地域医療構想に関するワーキンググループ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000509328.pdf)p4「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」、p5「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」について、p5「厚生労働省において、2019年年央までに分析を完了し、都道府県及び地域医療構想アドバイザーを通じ、公立・公的医療機関等をはじめとする関係医療機関等に対し、分析結果を提供することとする。」「また、地域医療構想調整会議の構成員以外の医療関係者等にも情報が行き届くよう、厚生労働省において、分析結果をわかりやすく可視化し、公表するよう努めることとする。」とされ、p6「「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」は、構想区域の医療機関の診療実績や将来の医療需要の動向等を踏まえて、代替可能性があると分析された役割について、他の医療機関に機能を統合することの是非について協議し、遅くとも2020年3月末までに結論を得ること。」、p6~7「「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」は、構想区域の医療機関の診療実績や将来の医療需要の動向等を踏まえて、他の医療機関と統合することの是非について協議し、遅くとも2020年9月末までに結論を得ること。」は注目である。まずは、「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000509328.pdf)p9「公立・公的医療機関等の補助金等の投入・活用状況について、十分に可視化されておらず、地域医療構想調整会議の協議に活用されていないとの指摘があることから、補助金等の情報を適切かつ分かりやすく可視化するために必要な対策について検討を進める必要がある。」を徹底すべきであろう。「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)の再検証のためには、公立・公的病院への補助金投入状況の「見える化」が不可欠と感じる。医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349458.pdf)p7「平成30年2月7日付け医政地発0207第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知」では「都道府県は、個別の医療機関ごと(病棟ごと)に、以下の内容を提示すること。①医療機能や診療実績 ②地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金等の活用状況 ③公立病院・公的病院等について、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報など」とあるが、各地域の地域医療構想調整会議でデータ・資料が示されているであろうか。ところで、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)に出ている「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」の若年人口をみると、分娩数の減少は避けられそうにない。平成30年(2018)人口動態統計の年間推計(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei18/index.html)の年次推移(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei18/dl/2018toukeihyou.pdf)によると、2018年の出生数は92.1万人で、対前年2.5万人余減少しているが、気になるのは、2018年の婚姻数59万件で対前年1.7万弱減少していることである。人口動態統計月報年計(概数)の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai17/dl/h1.pdf)では、婚姻件数は60万531組(対前年-1万3668)で平成25年から5年連続で減少しているのが非常に気になる(婚姻件数は最近5年間で6万件以上減少)。少子化社会対策白書(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2018/30pdfhonpen/pdf/s1-3.pdf)p14「50歳時の未婚割合の推移と将来推計」では2020年の50歳男性未婚26.7%、50歳女性未婚17.5%と予想されている。総務省「統計トピックスNo.120 我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで- (「人口推計」から)」(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1200.html)(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/pdf/topics120.pdf)p5「参考表2 各国におけるこどもの割合」では、わが国の子どもの割合12.1%は先進各国の中でダントツに低いことは認識したい。今後、分娩数の減少によって、医療機関の経営が厳しくなることが予想されるが、①運営費の公費助成で分娩施設を支える、②産科セミオープンシステムを推進する、などの対応が考えられるであろう。なお、産科セミオープンシステムの推進のためには、医療法(https://www.ron.gr.jp/law/law/iryouhou.htm)の「第二十一条 病院は、厚生労働省令(第一号に掲げる従業者(医師及び歯科医師を除く。)及び第十二号に掲げる施設にあつては、都道府県の条例)の定めるところにより、次に掲げる人員及び施設を有し、かつ、記録を備えて置かなければならない。」の「十 診療科名中に産婦人科又は産科を有する病院にあつては、分べん室及び新生児の入浴施設」を見直すべきと感じる。「分娩はやらないが、妊婦健診を実施する病院」は少なくないであろう。
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HTLV-1

2019年05月17日 | Weblog
HTLV-1対策推進協議会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou_128528.html)の「HTLV-1水平感染キャリアの疫学調査」(https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000509845.pdf)p8「男性での新規感染率が有意に上昇。 女性の新規感染率は高止まり 傾向。」は気になるところである。厚労省通知「特定感染症検査等事業について」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/pdf/hourei-140331-1.pdf)では、保健所等で行う検査は、HIVだけではなく、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、梅毒、淋菌感染症、HTLV-1、肝炎ウイルス、風しん抗体検査が位置付けられているが、保健所によって検査項目は異なっている。保健所での検査は、①無料・匿名、②他の性感染症検査も合わせて実施、③保健師による相談などメリットが小さくないように感じる。HTLV-1(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou29/)はブックマークしておきたい。日本産婦人科医会から、「HTLV-1抗体陽性妊婦の全国調査結果報告とお願い」(http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/01/HTLV-12014.pdf)が出ていた。エイズ動向委員会(http://api-net.jfap.or.jp/status/index.html)の定期発表では、「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」が公開されているが、妊婦や献血者の抗体検査陽性率を地域ごとにまとめて情報公開されてもよいように感じる。HTLV-1対策推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128528)の資料も参考になる。
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かかりつけ医機能と外来医療計画

2019年05月17日 | Weblog
メディウォッチ「外来医療の機能分化に向け、「紹介状なし患者の定額負担」「かかりつけ医機能の評価」など議論―中医協総会(2)」(https://www.medwatch.jp/?p=26440)。<以下引用>
<「患者の満足度を高める」という視点でも外来医療の機能分化が重要である。大病院へのアプローチとして「紹介状なし患者の定額負担」があるが、効果は十分でなく、対象病院(現在、特定機能病院と許可病床400床以上の地域医療支援病院)の拡大等を検討すべきではないか。また「かかりつけ医機能」を果たしているが、診療報酬で評価されていない医療機関も少なくない。この点をどう考えていくべきか―。5月15日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった議論が行われました。紹介状なし患者割合は若干低下、定額負担対象を拡大すべきか 2020年度の次期診療報酬改定に向けて、中医協総会では「夏までを総論を行う第1ラウンド」に位置付け、▼患者の年代別・年代別の医療課題▼働き方改革など昨今の医療と関連の深いテーマ―について横断的に議論を実施。その結果を、秋以降の第2ラウンド(個別テーマ)の議論に結び付けていきます。5月15日の中医協総会では、後者「昨今の医療と関連の深いテーマ」の第1弾として「患者・国民に身近な医療の在り方」をピックアップ。(1)患者・国民から見た医療(2)かかりつけ医機能等の在り方(3)患者にとって必要な情報提供や相談支援の在り方―が具体的な論点として取り上げられました。まず(1)では、我が国の医療に対する「患者・国民の満足度」は上昇傾向にあるものの、「診療までの待ち時間」などで不満を感じる患者・国民が少ないことが厚労省保険局医療課の森光敬子課長から紹介されました。「待ち時間」が長くなる原因の1つに「混雑」があるでしょう。軽症患者が大病院に集中すれば、重症患者はもちろん、軽症患者自身もアクセスが阻害されます。厚労省では、こうした点も踏まえて「外来医療の機能分化」、つまり▼大病院は紹介・専門外来を担う▼一般外来は中小病院や診療所が担う―という体制の構築を進めています。この点、大病院に対するアプローチとして「紹介状なく大病院を受診する外来患者」への特別負担が、2016年度の診療報風改定で新設され、2018年度改定で対象病院の拡大が行われました。具体的には、▼特定機能病院▼許可病床400床以上の地域医療支援病院―において、紹介状を持たずに外来を受診した患者から、▼初診:5000円(歯科は3000円)以上▼再診:2500円(歯科は1500円)以上―の定額負担を徴収することを義務付けるものです(緊急その他やむを得ない事情がある場合については定額負担を求めない)。この仕組みは、「まず地域のかかりつけ医療機関を受診し、そこから必要に応じて大病院の紹介を受ける」という流れを作ることが目的です。厚労省が2018年10月時点の「紹介状なし患者」割合を調査したところ、▼2018年度改定前から定額負担徴収義務のある病院(特定機能病院・500床以上の地域医療支援病院):34.7%(2017年10月に比べ3.0ポイント減少)▼2018年度改定から定額負担徴収義務が課せられた病院(400-499床の地域医療支援病院):42.7%(同4.4ポイント減)―などという状況です。また、「紹介状なし患者」割合は、2009年以降、特に大規模病院を中心に減少していることも森光医療課長から報告されました。また、定額負担の金額は、▼2018年度改定前から定額負担徴収義務のある病院:5000円以上6000円未満が96.6%、6000円以上が3.4%▼2018年度改定から定額負担徴収義務が課せられた病院:すべて5000円以上6000円未満―となっています。こうした調査結果に対し、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)や宮近清文委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)らは、「効果が十分でない。定額負担徴収義務を課す病院の対象を拡大すべき」との指摘が相次ぎました。つまり「400床未満の病院」にも、紹介状なし患者の外来受診では定額負担を義務付けよという提案で、幸野委員は「軽症患者の多くは、5000円未満でも定額負担が発生するのであれば、大病院を選択しないと考えている」との厚労省調査結果を重視しています。かかりつけ医機能を果たしているが、診療報酬で評価されない医療機関が少なくない 外来機能分化を進めるための、診療所や中小病院に対するアプローチとしては、「かかりつけ医機能の評価」があげられます。かかりつけ医機能については、日本医師会と四病院団体協議会が、▼患者の生活背景を把握した上での適切な診療・保健指導の実施▼地域の医師、医療機関等と協力した解決策の提供▼地域の医師、医療機関等と協力した休日・夜間の対応体制構築▼各種の健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健などへの参加▼在宅医療の推進▼患者・家族への分かりやすい情報提供―といった考え方を示しており、支払側や公益代表、行政をも含めた「共通の理解」となっています。こうした「かかりつけ医機能」は診療報酬での評価も進んでおり、例えば2014年度の診療報酬改定では、▼慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師の配置▼健康相談実施▼24時間対応薬局との連携▼在宅医療の提供―などの体制を整備した診療所や200床未満の病院が、複数の慢性疾患を抱える外来受診患者に適切な診療・指導を行うことを評価する【地域包括診療料】が創設されました。その後、2016年度・18年度の改定で「施設基準の緩和」「認知症患者を対象した【認知症地域包括診療料】の創設」などが行われています。2017年6月時点では、186診療所・34病院が【地域包括診療料】の施設基準届出を行われており、2018年度の施設基準緩和により「取得医療機関が増加しているのか」などが注目されますが、「まだまだ少ない」という印象はぬぐえません。この点について診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、「日本医師会の『かかりつけ医機能研修』修了者は延べ3万人にのぼるが、診療報酬で評価されない医療機関が多数ある」と指摘。例えば【地域包括診療料】では、上述のように「24時間対応薬局との連携」や「常勤医師の複数配置」など、さまざまな施設基準がありますが、「こうした施設基準こそ満たしていないが、日医・四病協の定義するかかりつけ医機能は果たしている」医療機関は少なくない、と今村委員は指摘しているのです。診療報酬を算定するためには、「人員配置や構造設備などの施設基準」(施設基準が設定されていない診療報酬項目も少なくないが)を満たした上で、「診察・指導等の実施などの算定要件」を満たす、ことが必要です。今村委員の指摘の背景には、「かかりつけ医機能の評価においては、前者の施設基準(つまり体制)よりも、後者の算定要件(つまりどのような医療行為等を行ったか)がより重要である」との考えがあると思われます。ここからは「施設基準の緩和」という論点が導かれ、秋以降の議論につながっていくことでしょう。なお診療報酬では、評価指標として▼structure(どのような体制を敷いているか)▼process(どのような行為を行ったか)▼outcome(どのような結果が得られたか)-の3要素がありますが、「我が国の診療報酬はstructure評価に偏っている」と指摘されることも少なくありません。一概には言えませんが、施設基準は主に「structure」を、算定要件は主に「process」を評価する指標と考えることもでき(もちろん混在している)、今村委員の指摘は「structure評価からprocess・outcome評価へのシフト」に関する検討を要請するもの、と受け止めることもできそうです。また2018年度の診療報酬改定では、かかりつけ医機能を評価する診療報酬として、新たに【機能強化加算】が創設されました。地域包括診療料などを取得する医療機関では、初診時に「患者の背景」(家族や既往歴等)などの情報を詳しく収集する必要があると考えられ、これらを経済的に評価するために初診時に80点を算定できるものです。この【機能強化加算】については、支払側委員から「見直し」を求める意見が相次いでいます。宮近委員は「【機能強化加算】を取得する医療機関と、取得していない医療機関とで、診療内容がどう異なるのか、患者にどのようなメリットがあるのか、などをデータを踏まえて検討していく必要がある」と指摘。また幸野委員は「【機能強化加算】取得医療機関では、初診時の患者負担が高くなり、『そうであれば別の医療機関(加算を取得していない医療機関)にかかろう』となり、かかりつけ医の受診促進に逆行するのではないか。算定要件などを見直していくべきである」とも指摘しています。この点に関連して、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「【機能強化加算】を取得していることの院内掲示などを進めているが、さらに『患者への分かりやすさ』を考えていく必要がある」との考えを示しています。患者への情報提供のための文書、医療機関の負担軽減に向けた工夫はできないか 医療においては、様々な場面で「患者等への情報提供」が重要になってきています。例えば、患者が医療機関を選びやすくなるよう、「医療機関が都道府県に各種の情報を提出し、都道府県が整理して公表する」医療機能情報提供制度があります。利用状況は芳しくありませんが、「利用者の満足度は非常に高い」と森光医療課長は紹介しています。また、診療の場面では、病状や治療方針についての説明と同意(インフォームド・コンセント)が極めて重要になっていることは述べるまでもありません。これを診療報酬でも後押しするために、各種の診療報酬では算定要件の1つに「文書の交付、文書による説明」が必要となっています。口頭での説明では、医療知識の乏しい患者・家族には十分な情報提供がなされない(また誤解もある)ため、文書の交付・文書による説明の必要性を疑う人はいません。ただし、多忙な医療現場では「文書」が大きな手間になっていると診療側の今村委員や島弘志委員(日本病院会副会長)は指摘。島委員は、「電子カルテに格納されている文書を印刷し、そこに患者にサインしてもらい、それをスキャンして電子カルテに格納する」という作業の煩雑さを軽減するために「電子署名などの活用ができないのか検討してほしい」と要望しています。「医師の働き方改革」として、今後、5年間で協力に労働時間短縮を進める必要があり、非常に重要な視点の1つと言えるでしょう。なお、森光医療課長は、情報提供以外にも「患者・国民が、住み慣れた地域で継続して生活できるような相談・支援の在り方」「医療安全対策の評価」なども今後の重要論点となるとの考えを示しています。例えば、円滑に入院し、入院医療を受け、早期の在宅復帰を可能とする「入院前からの支援」を評価する【入院時支援加算】(医療機関サイドから見れば、Patient Flow Management:PFMの評価)や、退院時における関係機関の連携などの評価が、2020年度改定でも重要テーマになることでしょう。>

中医協総会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html)の「患者・国民に身近な医療の在り方について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000510068.pdf)のp11「紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担」について、p18「徴収を認められない患者及び徴収を求めないことができる患者」は理解しておきたい。「患者・国民に身近な医療の在り方について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000510068.pdf)p26「「かかりつけ医」と「かかりつけ医機能」 」は、今年度策定の「外来医療計画」(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/608324_5100337_misc.pdf)でも重視される。通知「医療法及び医師法の一部を改正する法律の施行について」(http://www.pref.okayama.jp/site/361/608324.html)(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/608324_5100334_misc.pdf)の「4 外来医療に係る医療提供体制の確保に関する協議の場に関する事項」では、「イ 病院及び診療所の機能の分化及び連携の推進に関する事項」もある。「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/608324_5100334_misc.pdf)p16「検討すべき外来医療機能」として、「ア 夜間や休日等における地域の初期救急医療の提供体制」「イ 在宅医療の提供体制」「ウ 産業医、学校医、予防接種等の公衆衛生に係る医療提供体制」「エ その他の地域医療として対策が必要と考えられる外来医療機能」が列挙され、都道府県による独自調査としてp29「6. 地域で議論した外来医療機能について、現時点で担っている医療機関における今後の継続意向等」「7. 地域で議論した外来医療機能について、現時点で担っていない医療機関における今後の実施意向等」があり、①初期救急医療、②在宅医療、③公衆衛生業務(産業医、学校医、予防接種)などにかかるアンケート調査が行われるようであるが、データに基づく地域の実情を踏まえた外来医療計画の策定が重要と感じる。3月14日通知「医療機能情報提供制度実施要領の一部改正及び医療機能情報提供制度の実施に当たっての留意事項の一部改正」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_4.pdf)で、診療所には、かかりつけ医機能(地域包括診療加算・診療料、日常的な医学管理と重症化予防、地域の医療機関等との連携、在宅療養支援・介護等との連携など)が公表されることになっており、「外来医療計画」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000479929.pdf)では「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)の活用が欠かせない。
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病院併設型の訪問看護ステーション

2019年05月17日 | Weblog
メディウォッチ「訪問看護の裾野広げる「機能強化型3訪問看護ステーション」、中小民間病院で設置意向が強い—日看協」(https://www.medwatch.jp/?p=26425)。<以下引用>
<2018年度診療報酬改定で新設された、地域医療機関の看護職員受入れ等を実施し、言わば訪問看護の裾野を広げていく役割を負う「機能強化型3の訪問看護ステーション」は、病院全体の0.5%にしか設置されていないが、今後4.1%で設置意向がある。取得意向は200床未満の民間病院で強い―。日本看護協会が5月15日に公表した「2018年 病院看護実態調査」結果速報から、このような状況が明らかになりました。中小の個人・民間病院で看護職員の離職率が依然として高い 日看協は毎年、病院看護職員の需給動向や労働状況、看護業務の実態などを調査(病院看護実態調査)しています。2018年調査では、(1)看護職員の離職率(2)今後の看護職員数の増減予定(3)訪問看護への取り組み状況など(4)看護職員の給与など―の4点に焦点を合わせて調査が行われました。ポイントを絞って調査結果を眺めてみましょう。まず(1)の離職率に関する調査です。2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となることから、今後、地域の医療・介護ニーズが増加していきます。その後、2040年にかけて高齢者の増加スピードは鈍化しますが、高齢者を支える現役世代の数が急速に減少するため、医療・介護提供体制の確保が極めて重大な課題の1つとなります。ここで2017年度における看護職の離職率を見ると、常勤で10.9%(前年度から増減なし)、新卒で7.5%(同0.1ポイント減)となり、過去5年間では大きな変動のないことが分かりました。病院の規模別では、「小規模になるほど離職率が高い」状況も変わっていません。教育・研修体制などの職場環境に由来する部分が大きいと考えられます。また設置主体別では、常勤・新卒ともに個人病院や医療法人病院で高くなっており、一方で「常勤では都道府県立病院や日赤病院、新卒では国立大学病院や都道府県県立病院で低い」状況が分かります。給与面なども含めた職場環境の影響などが大きいと推測され、詳細な分析が期待されます。さらに都道府県別に見ると、常勤では▼東京都(14.5%)▼神奈川県(13.4%)▼京都府(13.0%)▼大阪府(12.9%)―など大都市部で高いことが分かります。「病院が多く転職しやすい」という状況が大きく関係しているように思われます。なお、岩手県では、常勤離職率が2016年度には「12.2%」でしたが、17年度には「7.3%」と大幅に低下しています。2025年度から16年度にかけて5.1ポイント跳ね上がり、16年度から17年度にかけて4.9ポイント下がっているので、16年度が異常値であったと考えられますが、その原因について詳しく分析することが重要でしょう。病棟や退院支援部門で「看護職員の増員」予定、外来で「減員」予定が目立つ 次に(2)の「今後の増員予定」を見てみると、全体では「同程度」が53.7%、「増員予定」が34.5%で、「減員予定」は3.2%にとどまっています。400床以上の大規模病院で、やや「減員予定」のところが多いようです。2018年度の診療報酬改定では、一般病棟入院基本料等の報酬体系を大きく見直し、従前の7対1と10対1の間に、看護配置10対1ながら高点数である【急性期一般病棟入院料2】【急性期一般病棟入院料3】が創設されており、こちらへの移行を睨む病院がどの程度あるのか、今後の動向に注目が集まります。また部門別では、▼病棟▼退院支援・地域連携▼訪問看護―で「増員」を考えているところが多く、減員は「外来」でやや多くなっています。52.3%の病院が、何らかの訪問看護機能を持つ さらに(3)の訪問看護に目を移すと、全体の52.3%の病院が、▼院内に訪問看護部門(訪問看護室)を設置▼訪問看護ステーションを併設▼同一・系列法人に訪問看護ステーションを設置(併設ではない)―など、何らかの訪問看護機能を有していることが分かりました。この「何らかの訪問看護機能」を有する割合を病床規模別にみると、▼99床以下:39.9%▼100-199床:60.1%▼200-299床:64.0%▼300-399床:56.8%▼400-499床:52.0%▼500床以上:36.0%―という状況です。また、現在、訪問看護部門や訪問看護ステーションを併設していない病院における「今後の予定」を見ると、「併設を考えている」割合は▼機能強化型1の訪問看護ステーション:1.3%▼機能強化型2の訪問看護ステーション:1.3%▼機能強化型3の訪問看護ステーション:2.1%▼その他の訪問看護ステーション:10.5%―となっています。機能強化型訪問看護ステーションは、常勤の看護職員を手厚く配置し、▼24時間対応▼重症者の受け入れ▼地域住民等への情報提供―などを実施する、いわば「地域包括ケアシステムの要」の機能を果たす訪問看護ステーションです。現在、「機能強化型1(2よりも手厚い人員配置等)」、「機能強化型2」のほか、医療機関と連携して退院指導を行ったり、地域医療機関の看護職員の受入れを行う「機能強化型3」が設けられています。訪問看護の推進に向けた方策の1つとして、「医療機関に勤務する看護職員」が訪問看護ステーションで一定期間勤務し、その経験を医療機関勤務に生かすことに注目が集まっています。例えば、訪問看護ステーションでの勤務で「病棟看護職員が考えているよりも、在宅療養を可能とするハードルは低い」ことが実感でき、これを病棟業務に生かすことで「早期の在宅復帰」が可能になります。こうした点を踏まえ、2018年度の診療報酬改定で「機能強化型3」の訪問看護ステーションが新設されたのです(関連記事はこちら)。今般の調査では、この「機能強化型3」について次のような状況が分かりました。▽設置済は19病院で、全体のわずか0.5%にとどまっているが、設置意向のある病院は149(全体の4.1%)で、今後の増加が期待できる▽設置意向のある病院には、▼200床未満が多い▼医療法人(つまり民間)が多い▼地方都市が多い―という特徴がある▽設置意向のある病院の機能は、▼急性期や回復期、慢性期等複数の機能をもち、ニーズに幅広く対応する(37.6%)▼急性期病院の後方支援やリハビリテーション機能をもち、在宅復帰をめざす患者に対応する(16.8%)▼主に急性期疾患で入院医療が必要な患者や、比較的軽度な急性期患者に対応する(14.1%)▼長期療養が必要な疾患・障害のある患者に対応する(10.7%)▼主に高度・専門的な入院医療を提供し、重度の急性期疾患に対応する(10.1%)―と幅広い 2019年以降の調査結果に期待が集まります。看護職員の平均給与、ベテランではアップ、新卒ではダウン 。最後に(4)の「看護職員の平均給与」を見ると、次のようになっています。▼2019年度採用予定の新卒の初任給(諸手当込み)は、大卒で27万1381円(前年度に比べて2473円減)、高卒+3年課程卒で26万3551円(同2490円減)▼同じく基本給は、大卒で20万6608円(同405円減)、高卒+3年課程卒で19万9894円(同220円減)▼勤続10年・非管理職の給与(諸手当込み)は32万2111円(同1650円増)、基本給は24万4446円(同710円増)  なお「夜勤」の形態を見ると、二交代制(夜勤1回当たり16時間以上)が最も多く、全体の57.8%(前年から1.3ポイント増)、次いで▼変則を含む三交代制(23.7%、同1.7ポイント減)▼夜勤1回当たり16時間未満の二交代制(14.9%、同0.4ポイント増)―という状況です。夜勤手当の平均額は、▼二交代制夜勤で1万1019円(前年より20円増)▼三交代制夜勤で5053円(同13円減)▼三交代制準夜勤で4090円(同59円減)―という状況です。>

日本看護協会「2018年 病院看護実態調査」(https://www.nurse.or.jp/up_pdf/20190515134543_f.pdf)p6「表3 都道府県別・看護職員離職率 」が出ているが、回答病院数が少ないように感じる。さて、訪問看護ステーションの実態に関して、それぞれの自治体では訪問看護ステーション連絡協議会実績報告書をみておくべきであるが、訪問看護は訪問看護ステーションとは限らないため、「医療施設静態調査」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/14/)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/index.html#00450021)の一般診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_ippan.pdf)、病院票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_byouin.pdf)をみれば、医療機関による医療保険・介護保険での訪問看護の実態がある程度把握できることは知っておきたい。病院併設型の訪問看護ステーションが増えているようであるが、地域によっては、積極的に検討されても良いように感じる。また、行政との連携で、医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p82「地域の訪問看護に関わる人材育成等の一定の役割を担う訪問看護ステーションについての評価を新設する。(新) 機能強化型訪問看護管理療養費3」も目指しやすいかもしれない。すでに「B007 退院前訪問指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b007.html)、「B007-2 退院後訪問指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b007-2.html)、A246 入退院支援加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a246.html)、「B005-1-2 介護支援等連携指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b005-1-2.html)、「B004 退院時共同指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b004.html)など、急性期病院も在宅医療に深く関わる時代である。「A240 総合評価加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a240.html)の施設基準(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/shisetsu/kishi0008.html#kishi00080340000)には「当該保険医療機関内で高齢者の総合的な機能評価のための職員研修を計画的に実施すること」があり、看護職員だけでなく、病院全体で、訪問看護をはじめ、医療介護連携の強化研修も必要であろう。
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公立・公的病院の再検証

2019年05月17日 | Weblog
メディウォッチ「公立・公的病院等の機能改革、「医師働き方改革」「医師偏在対策」と整合する形で進めよ―地域医療構想ワーキング(1)」(https://www.medwatch.jp/?p=26401)。<以下引用>
<公立病院・公的病院等の機能改革について、今後、厚生労働省の提示するデータをもとに各地域で「再検証」し、例えば「現状の機能を維持する病院」「一部の機能転換を検討すべき病院」「再編・統合を検討すべき病院」などに区分けし、機能転換や再編・統合を進めていくことになるが、そこでは、「医師の働き方改革」や「医師偏在対策」とも整合する形が求められる―。5月16日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった点が確認されました。厚労省では地域の各病院の診療実績等に関するデータ分析を今夏(2019年夏)にも示す予定で、その後、各地域で積極的な「再検証」を進める必要があります。公立・公的病院等の100%近くで機能改革が合意されたが、「形骸化」の可能性も  2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、医療・介護ニーズが今後、急速に増加していくと見込まれます。このため、医療提供体制を見直し、より効果的・効率的に医療・介護サービスを提供することが求められています。その一環として「地域医療構想の実現」があげられます。2025年の医療ニーズを踏まえて、▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期等―のベッド数がどれだけ地域で必要となるかを推計し、この構想にマッチするように病院・病棟・病床の機能分化を進めていくものです。地域医療構想の実現に向けて、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)において、まず2018年度中(2019年3月まで)に「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」(公立病院・公的病院等でなければ担えない機能への特化)に関する合意を得ることになっています。2018年度末(2019年3月末)の合意状況を見ると、ベッド数ベースで、▼公立病院は95%(2018年12月末から47ポイント向上)▼公的病院等は98%(同38ポイント向上)―となっており、ほぼすべての公立病院・公的病院等で「機能改革」に関する合意ができたように見えます。ただし、機能別の病床数割合の推移を見てみると、次のように2017年度から2025年度にかけて大きな変化は見られません。【公立病院】▽高度急性期:2017年度・20.3% → 2025年度・20.9%(0.6ポイント増)▽急性期:2017年度・65.8% → 2025年度・62.5%(3.3ポイント減)▽回復期:2017年度・8.2% → 2025年度・11.6%(3.4ポイント増)▽慢性期等:2017年度・5.7% → 2025年度・5.0%(0.7ポイント減)【公的病院等】▽高度急性期:2017年度・35.8% → 2025年度・34.5%(1.3ポイント減)▽急性期:2017年度・50.2% → 2025年度・49.7%(0.5ポイント減)▽回復期:2017年度・6.2% → 2025年度・8.1%(1.9ポイント増)▽慢性期等:2017年度・7.8% → 2025年度・7.7%(0.1ポイント減) 公立病院・公的病院等には、地域の基幹病院として急性期医療を担うところも多く、高度急性期・急性期病床の割合が高いことそのものは当然ですが、「公立病院・公的病院等でなければ担えない機能への特化」に向けた議論がどれほど熱心になされたのか、という点で疑問も残ります。ワーキングでは、従前より「合意を急ぐあまり、形だけの機能改革論議や現状追認にとどまっているケースがある」との指摘が相次ぎましたが、5月16日の会合でも「2018年度末のデータからは『議論の形骸化』が裏付けられた」という厳しい意見が出されています。診療実績もとに「公立・公的病院でなければ担えない機能」に特化しているか再検証 このためワーキングでは「合意内容の検証が必要」と判断しており、これまでに次の枠組みで検証を行う方向を固めています。(1)地域の医療提供体制の詳細な分析を行う(2)(1)の分析結果を踏まえ、各調整会議で「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」を再検証・検討する まず(1)では、構想区域ごとに、各医療機関における▼がん手術の実績▼がん化学療法の実績▼心血管疾患の診療実績▼脳卒中の診療実績▼救急医療の実績▼小児医療の実績▼周産期医療の実績―などを洗い出します(厚労省で分析中、2019年夏頃に結果が示される見込み)。また(2)では、(1)のデータをもとに、個々の構想区域を、例えば▼手術等の診療実績が高い公立・公的等病院と民間病院とが各1施設程度存在する▼手術等の診療実績が一定程度ある公立・公的当病院と民間病院が数多く存在する(大都市部など)▼複数の公立・公的等病院が手術等の多くを担っている▼多くの病院に手術症例等が拡散している―などに、まず分類し、そのうえで、個々の公立・公的病院等の機能を次のように見極めていくことが求められます。例えば「胃がん手術について、A公立病院が地域の大多数の症例に対応している」ことが明らかになれば、「胃がん手術」について、A公立病院は「他の民間病院では担えない機能」を担っていると判断することができます(言わば【現在の機能を維持する公立・公的病院等】)。一方、「乳がん手術について、B公的病院とC民間病院とで症例を分け合っている」ような場合には、C民間病院のキャパシティなども考慮した上で、「乳がん手術の機能を、B公立病院からC民間病院へ移管することができないか」といった点を検討することになります(言わば【一部の機能転換を検討すべき公立・公的病院等】)。また、多くの項目について、X公立病院とY公立病院とで「症例が分散している」ことが明らかになった場合には、地理的要素なども考慮したうえで、「病院同士の再編・統合」を検討することが求められます(言わば【再編・統合等を検討すべき公立・公的病院等】)。ワーキングでは、「今般の2018年度末のデータから、こうした再検証の必要性・重要性が再確認された」という点で、意見が概ね一致しています。「医師の働き方改革」「医師偏在対策」も実現する機能改革でなければならない ところで、こうした再検証を行うにあたって、厚生労働省は▼医師の働き方改革▼医師偏在対策―をも考慮しなければならない、との考えを強調しています。前者の「医師の働き方改革」では、2024年4月から▼原則として全病院で個々の勤務医の時間外労働を960時間以下とする▼地域に必要不可欠な救急病院等では、特例的・暫定的にこの勤務医の時間外労働を1860時間以下とする―ことなどが固められています。その際、例えば「地域に救急病院が複数あり、それぞれの病院で救急応需体制をとらなければならいために、医師の時間外労働短縮が難しい」という事情があれば、調整会議で「地域の救急医療提供体制のあり方」(例えば一部の病院に救急機能を集約化するなど)を議論しなければ、「働き方改革」を実現できません。また後者の「医師偏在対策」では、2020年度から各都道府県で「医師確保対策」を策定し、「医師少数の地域」から「医師多数の地域」への医師派遣を促したり、都道府県知事が大学医学部に「地域枠設定」を要請するなどし、医師偏在を段階的に解消していくことが求められます。病院によっては、「医師の働き方改革」を実現するためには、医師の増員が必要となるところもあります。また「高度急性期機能を強化する」病院では、高度なスキルを持つ医師の確保・養成が当然必要となります。このように、▼医師の働き方改革▼地域医療構想▼医師偏在対策―はそれぞれ「深く連関」しているのです。したがって、公立病院・公的病院等の機能改革を地域で再検証する際にも、「機能改革をするにあたり、勤務医の時間外労働上限960時間などをクリアできるか、都道府県の医師確保計画と整合がとれているか」といった視点が非常に重要になってくるのです。5月16日のワーキングでは、この点について時間をかけて確認し、共通認識が形成されたと言えます。ところで、上述(2)の再検証において、例えば「α公立病院が従前どおり救急医療機能を担う」と判断されたとします。しかし、今後、医師の働き方改革の具体的な制度設計を行う中で、「α病院単独では医師の働き方改革を実現できない(医師の時間外労働が1860時間を大きく超過してしまう)」と判明した場合には、「α公立病院が救急医療機能を担う」との判断を見直す必要が出てくるかもしれません。このため、上述の【現在の機能を維持する公立・公的病院等】でも、機能の再検証が必要となる可能性を否定できない点には留意が必要です。機能転換に向けた具体的なプロセス、各種サポートなどを明確化することが必要 また、厚労省は5月16日のワーキングで、上述した【一部の機能転換を検討すべき公立・公的病院等】については「2020年3月末まで」に、【再編・統合等を検討すべき公立・公的病院等】については「2020年9月まで」に、機能転換や再編・統合に関する合意を調整会議で得ることとしてはどうか、と提案しました。「2025年度の地域医療構想実現」というスケジュールを睨み、機能転換等に係る時間を考慮した期限目標と言えます。この点、伊藤伸一構成員(日本医療法人協会会長代行)は、「合意に至るまでのプロセスが重要である」と強調。厚労省は、この指摘を踏まえて、各調整会議での再検証・議論が円滑に進むよう、例えば「●年●月までに再検証を終える」「〇年〇月までに機能転換や再編・統合すべき病院の候補を確定する」「△年△月までに機能転換等に関する協議を開始する」などのプロセスを具体化・明確化する考えを示しています。その結果、「2020年3月末まで」「2020年9月末まで」という期限目標は、今後、変更される可能性があります。また機能転換や再編・統合に当たっては、「技術的助言」や「統合される病院が消滅する地域の医療確保」などさまざまなサポートが必要となることを小熊豊構成員(全国自治体病院協議会会長)は強調しています。実際に、複数の病院を再編・統合し、新たに別の場所で新病院を設けた地域では、地域住民から「医療機関へのアクセスが困難になった」との声が数多く出たことを受け、「跡地にクリニックを開設」したり、「病院へ向かうバス路線を開設」したケースもあります。この点に関連して中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「公的病院等の再編・統合に当たっては「グループ病院の本部」の存在がネックとなるケースもある。『地域医療』が最も重要であり、再編・統合等論議では本部の関与は極力排除すべき」とも指摘しています。民間の地域医療支援病院、公立等と横並びで「機能転換や再編・統合」を求めて良いのか ところで機能改革が求められている「公的病院等」の中には、「民間の地域医療支援病院」も含まれています。もともとは、地域医療構想の実現に向けて、まず「地域の基幹となる病院の機能を確定する」ことが重要なため、基幹病院の一つとして地域医療支援病院にも「改革プラン」を定めるよう指示されたものです。しかし、その後の「骨太方針」(2017・2018)において、「公立・公的病院等でなければ担えない機能」に特化していない場合には、機能転換や再編・統合を進めるという新たな指示がなされるに至ったのです。この点について中川構成員や伊藤構成員は「補助金も投入されず、税制上の優遇も受けられない『民間の地域医療支援病院』を、補助金が投入される公立病院や税制優遇のある公的病院と同列に扱うべきだろうか」との疑問を投げかけました。たしかに、上述(1)(2)のプロセスで、民間の地域医療支援病院について「機能転換や再編・統合が必要」と判断し、強制的に▼機能転換のコストを民間病院に負担せよ▼別の病院と再編・統合せよ―と迫った場合、日本国憲法第29条で保障される「財産権」や第27条から導かれる「営業の自由」を侵害しないのか、という疑問も生じます。厚労省はこうした指摘を踏まえ、「民間の地域医療支援病院」を、今般の機能改革等の対象から除外する方向で検討する見込みです(もちろん、民間病院であっても、データ等を踏まえて自主的に必要な機能改革等をすることが重要である)。さらに、伊藤構成員は、「大学病院(主に私学)の分院」は、学校法人として税制上の優遇(収益事業を除き、法人税が非課税となるなど)などを受けているにもかかわらず、公立・公的病院等の対象には含まれていないことを指摘しています。大学病院分院は、比較的大規模であり、どういった機能を担うかは、地域医療にとって大きな影響を及ぼします。ただし、突然「改革プランを今すぐ作成して調整会議に提出し、機能改革に関する合意を得てください」と求めることが現実的か、厚労省で検討が行われます。>

「地域医療構想に関するワーキンググループ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000509328.pdf)p4「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」、p5「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」について、p5「厚生労働省において、2019年年央までに分析を完了し、都道府県及び地域医療構想アドバイザーを通じ、公立・公的医療機関等をはじめとする関係医療機関等に対し、分析結果を提供することとする。」「また、地域医療構想調整会議の構成員以外の医療関係者等にも情報が行き届くよう、厚生労働省において、分析結果をわかりやすく可視化し、公表するよう努めることとする。」とされ、p6「「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」は、構想区域の医療機関の診療実績や将来の医療需要の動向等を踏まえて、代替可能性があると分析された役割について、他の医療機関に機能を統合することの是非について協議し、遅くとも2020年3月末までに結論を得ること。」、p6~7「「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」は、構想区域の医療機関の診療実績や将来の医療需要の動向等を踏まえて、他の医療機関と統合することの是非について協議し、遅くとも2020年9月末までに結論を得ること。」は注目である。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)に関して、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)が優先的に再検証される。病院再編は、愛知県(http://www.pref.aichi.jp/soshiki/imu/0000035383.html)、兵庫県(https://web.pref.hyogo.lg.jp/bk01/harimahimeji_hp_houjin.html)、広島県(http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/53/chiikiiryourenkeisuishinhoujin-nintei.html)、鹿児島県(https://www.pref.kagoshima.jp/ae01/kenko-fukushi/kenko-iryo/kikan/imu/chiikiiryourenkeisuishinhoujin.html)、福島県(https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045c/chiiki-renkei-suishin-houjin.html)、山形県(https://www.pref.yamagata.jp/ou/kenkofukushi/090013/renkeihoujin.html)でみられる地域医療連携推進法人(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177753.html)も一つであろうが、厚労省期限までの結論には無理があるように感じる方が少なくないかもしれない。「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000509328.pdf)p8「再編統合やダウンサイジングといった公立医療機関の取組の方向性について、地域医療構想調整会議における協議の結果よりも、首長の意向が優先される恐れがあるとの指摘があることから、公立医療機関を有する地方自治体の首長が、地域医療構想調整会議の協議の内容を理解し、地域の合意内容に沿わない取組が行われないようにするために必要な対策について検討を進める必要がある。」とされるが、まずは、「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000509328.pdf)p9「公立・公的医療機関等の補助金等の投入・活用状況について、十分に可視化されておらず、地域医療構想調整会議の協議に活用されていないとの指摘があることから、補助金等の情報を適切かつ分かりやすく可視化するために必要な対策について検討を進める必要がある。」を徹底すべきであろう。毎日新聞「大橋・涌谷町長「病院運営、財政圧迫」 生前、知事に相談/宮城」(https://mainichi.jp/articles/20190409/ddl/k04/010/161000c)、毎日新聞「涌谷町「財政非常事態宣言」 2年後、赤字転落のおそれ/宮城」(https://mainichi.jp/articles/20190201/ddl/k04/010/205000c)の報道があったが、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)の再検証のためには、公立・公的病院への補助金投入状況の「見える化」が不可欠と感じる。医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349458.pdf)p7「平成30年2月7日付け医政地発0207第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知」では「都道府県は、個別の医療機関ごと(病棟ごと)に、以下の内容を提示すること。①医療機能や診療実績 ②地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金等の活用状況 ③公立病院・公的病院等について、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報など」とあるが、各地域の地域医療構想調整会議でデータ・資料が示されているであろうか。また、「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000509328.pdf)p9「厚生労働省において、公的医療機関等の本部とも連携しながら、各医療機関が地域の医療需要の動向に沿って、真に必要な規模の診療体制に円滑に移行するために必要な対策について検討を進める必要がある。」とあり、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000171567.pdf)p3の開設者「・地方公共団体の組合 ・国民健康保険団体連合会 ・日本赤十字社 ・社会福祉法人恩賜財団済生会 ・厚生農業協同組合連合会 ・社会福祉法人北海道社会事業協会」、p4「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)」、p5「独立行政法人国立病院機構」、p6「独立行政法人労働者健康安全機構」に対する国の調整力を期待したいところかもしれない。「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)の推進にあたって、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)に出ている「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」において、急速な人口減少地域では、政策医療を勘案しながら、ダウンサイジングが避けられない。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p23に示すように、必要病床数を計算する際の稼働率は「急性期78%」であるが、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)に出ている「医療機関ごとの病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数」をみれば、かなり利用率が低い一般病床を有する病院が少なくない。保健所では、毎月の病院報告(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/80-1.html)の個票をみれば最新の病床利用率が把握できるであろう。日医総研(http://www.jmari.med.or.jp/)の「医療の需要と供給について」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_672.html)p42「民間病院と競合している区域の公立病院で、病床利用率が低い病院は、需要の縮小を冷静に受け止めるべき」とあった。「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)に関する総務省通知(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)p8では、「過去3年間連続して病床利用率が70%未満」である病院に対して、抜本的な検討が要請され、総務省資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343695.pdf)p5「公立病院の運営費に係る地方交付税措置(病床当たり単価;707千円)の算定基礎を許可病床数から稼動病床数に見直す」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)となっている。日本医師会「医師の働き方改革と救急医療に関する日本医師会緊急調査の結果について」(http://www.med.or.jp/nichiionline/article/008560.html)で「医師の時間外労働上限規制の施行」の影響が今後懸念されるなかで、地域によっては、総務省「自治体戦略2040構想研究会」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/jichitai2040/index.html)の資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000548065.pdf)p17「2040年頃を見据えた自治体戦略の基本的方向性」にある「個々の市町村が行政のフルセット主義を排し、圏域単位で、あるいは圏域を越えた都市・地方の自治体間で、有機的に連携することで都市機能等を維持確保する」も認識する必要があるように感じる。ところで、資料「平成30年度(2018年度)病床機能報告の結果について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000509330.pdf)p2「病床機能報告における定量的な基準の導入について;高度急性期・急性期に関連する項目の診療実績が全くない病棟は、「高度急性期」「急性期」機能を選択することができないこととする。」とあるが、p16「入院2018年度 基本料等届出病床ごとの病床機能」、p17~18「病床機能ごとの平均在棟日数の病棟分布」も参考になるであろう。しかし、資料「平成30年度(2018年度)病床機能報告の結果について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000509330.pdf)p13~15「特定入院料等届出病床ごとの病床機能」には、特定入院料(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_3/index.html)の「A310 緩和ケア病棟入院料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_3/a310.html)がなぜ省いてあるのか理解できない方が少なくないかもしれない。
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報告書放置事案

2019年05月17日 | Weblog
メディウォッチ「病理検査報告書を放置、がん早期治療の機会逃す事例が頻発―医療機能評価機構」(https://www.medwatch.jp/?p=26390)。<以下引用>
<病理診断報告書に「がん」である旨が記載されていたにも関わらず、院内の「確認」等手順が定められていなかったことなどから、その結果を放置し、長期間経過後に「がんが発見されていた」ことに気づいた―。こうした事例が、2012年9月から今年(2019年)3月末までに35件報告されていることが、日本医療機能評価機構が5月15日に公表した「医療安全情報 No.150」から明らかになりました。院内で病理診断報告書の確認・説明の手順を決めて実施せよ 日本医療機能評価機構は、全国の医療機関(国立病院や特定機能病院等では義務)から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故に至る前に防いだもののヒヤリとした、ハッとした事例)の報告を受け付け、その内容や背景を詳しく分析したうえで、事故等の再発防止に向けた提言等を行っています(医療事故情報収集等事業)。さらに事故事例などの中から、とくに留意すべき事例を毎月ピックアップ。内容を簡潔に整理して「医療安全情報」として公表し、医療現場に特段の注意喚起を促しています。5月15日に公表された「No.150」では上部消化管内視鏡検査の病理診断報告書の確認忘れがテーマとなりました。ある病院では、大腸がんの術前検査のために「消化器内科」医師が上部消化管内視鏡検査を施行し、生検を行いました。患者が「外科」に転科した後に病理診断報告書が作成されましたが、「消化器内科」医師は結果を確認しませんでした。一方で「外科」医師は、生検が行われていたことを把握しておらず、また両診療科間では病理診断報告書の▼確認▼患者への説明―について取り決めがなく、検査結果は放置されてしまいました。大腸がん手術から4年後、患者の貧血を精査するため、上部消化管内視鏡検査が実施。その際、「4年前の病理診断報告書に『胃がん』と記載されている」ことに気付いたといいます。また、別の病院では、喉頭がん患者に「重複がんの検査」目的で上部消化管内視鏡検査を施行し、生検を行いました。同院では「病理診断報告書が作成されると、病理検査を依頼した内視鏡検査担当医に通知が出される」仕組みとなっていましたが、内視鏡検査を依頼した主治医には通知されず、主治医は病理診断報告書を確認していませんでした。4年後に患者から「物が飲み込みにくい」という訴えがあり、上部消化管内視鏡検査を行い、検査結果を確認した際に「4年前の病理診断報告書に『食道がん』と記載されている」ことに気付きました。同様の事例が頻発しており、これらは「患者の早期治療の機会を奪ってしまう」重大な医療事故と言えるでしょう。機構では「病理診断報告書の確認と説明の手順を決めて実施する」(例えば、▼病理診断報告書を「誰が見て」「誰が患者に説明するか」を明確にする▼患者に「病理検査を行ったこと」「後日、結果を説明すること」を伝えておく―など)よう強く求めています。>

日本医療機能評価機構「病理診断報告書の確認忘れ-上部消化管内視鏡検査-」(https://jcqhc.or.jp/wp-content/uploads/2019/05/anzen_20190515.pdf)(http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_150.pdf)が出ている。昨年は「画像診断報告書の確認不足」(https://jcqhc.or.jp/wp-content/uploads/2018/05/anzen_20180515.pdf)が出ていた。例えば、公的医療保険の算定要件として、「医療事故情報収集等事業」(http://www.med-safe.jp/index.html)への参加を何らかの形で位置付けられないものであろうか。医療機関への立入検査(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20180730_02.pdf)でのチェックは当然として、一般の方々に対する「医療安全支援センター」(http://www.anzen-shien.jp/center/index.html)の周知も必要であろう。2015年10月からスタートした「医療事故調査制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061201.html)も病院だけではない。医療安全対策(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/i-anzen/index.html)は、がん診療連携拠点病院(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000201832.pdf)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou_128567.html)や特定機能病院・地域医療支援病院(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_127368.html)に限らず、すべての医療機関に求められている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002woxm-att/2r9852000002wp5m.pdf)p172に出ているように、医療法改正で平成19年4月からすべての医療機関での医療安全確保措置が義務づけられていることは認識したい。
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