保健福祉の現場から

感じるままに

医療保護入院の撤廃

2009年07月31日 | Weblog
地域保健の現場では、精神保健福祉のウエイトが高くなっていると思われるが、最も悩ましいのは緊急時の対応であろう。家族力・地域力が低下し、治療中断ケースや典型的ではない境界域が少なくない。現場ではまさに臨機応変に対応しているであろう。さて、こうした中、気になる記事が出ている。

「医療保護入院の撤廃求める声が相次ぐ-厚労省検討会」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/23483.html)。<以下一部引用>
<厚生労働省は7月30日、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」(座長=樋口輝彦国立精神・神経センター総長)の第21回会合を開き、精神保健福祉法の課題について意見交換を行った。意見交換では、精神障害者自身が入院を拒否しても、保護者が同意すれば入院させることができる医療保護入院について、改善や撤廃を求める声が相次いだ。>

保健・衛生行政業務報告(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/07/index.html)をみると、医療保護入院は年々増加している(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/07/kekka1.html)。最近10年間で倍増以上で平成19年度は17万5624件である。そういえば、先日の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」では、精神保健医療福祉の改革ビジョンの新たな目標値案として統合失調症による入院患者数を平成26年までに15万人程度(17年比4.6万人減少)とされている(http://www.mhlw.go.jp/za/0721/a09/a09-02.pdf)が、関連するのであろうか。仮に、医療保護入院が撤廃された場合、現場は大きな影響を受けるのは間違いない。今後の行方が注目されるところである。家族力・地域力が低下している中で、果たして、医療保護入院に代わる受け皿はどうなるであろうか。
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新型インフルエンザワクチンの副反応

2009年07月30日 | Weblog
先日、新型インフルエンザワクチンについてブログ(http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/a10c5e0f25961fb42f46c1a474c4dee2)ったが、気になるネット記事が出ている。

「インフルエンザ強制予防接種の恐怖 」(http://tanakanews.com/090729flu.htm)。
「ワクチン接種に関する賠償責任」(http://www.kimuramoriyo.com/moriyotsubuyaki-medicine/immunity_from_tort_liability.html)。

豚インフルエンザワクチンでは、過去に副反応で問題になったことは認識しておきたい。

「1976年の豚インフル:集団予防接種で副作用による死者多発」(http://wiredvision.jp/news/200904/2009043022.html)。

また、最近では天然痘ワクチンで重篤な副反応が問題になったこともある。
 
「天然痘ワクチンで重篤な副作用」(http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/256966.html)。

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、重篤な副反応は少ないであろうが、予防接種後副反応報告書集計報告;平成19年度(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/04/s0401-5.html)、18年度(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/01/s0101-1.html)、17年度(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/s0701-4.html)にあるように、稀に重篤な副反応が出ることがある。以前、こんな記事もある。

「インフルエンザ予防接種副作用?102人」(http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20061020ik06.htm)。

要は、海外も含めたワクチンに関する徹底的な情報の収集と提供が不可欠であろう。
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DPCと再入院

2009年07月30日 | Weblog
DPC病院の収入を保証してきた調整係数が平成22年改定から段階的に廃止される。新たな機能評価係数が導入され、1日あたり点数の設定方法も見直しされる(医事新報7月25日号参照)。DPCに関しては以前何度かブログ(http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/65ff5760d239f4d183a0f13c5871db18)(http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/f99c6d37bad58df3d5b57961dc2ec7a7)(http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/5b486382029cc6b03af4eb72d8aa1e00)ったが、①DPCの5つの努力目標(集中治療、救命救急、病理、麻酔、画像診断)を一つでも多く実現する、②地域での得意科目を持つ(できれば医療計画で定めるもの)、③救急を積極的に実施する、④在院日数を短くする、⑤標準レジメンや診療ガイドラインの遵守を病院全体で徹底する、ような病院が係数が高く設定されるようである。中央社会保険医療協議会・診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会(http://www.mhlw.go.jp/shingi/chuo.html#soshiki)の行方が注目されている。しかし、DPC(Diagnosis Procedure Combination);診断群分類(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%BA%E6%96%AD%E7%BE%A4%E5%88%86%E9%A1%9E%E5%8C%85%E6%8B%AC%E8%A9%95%E4%BE%A1)について、保健福祉関係者にはどれほど理解されているであろうか。入院期間に応じた包括点数が設定(入院基本料、手術前後医学管理料、検査、画像診断、投薬、注射、処置、病理診断など)(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/d035763d565d894e4925752000106686/$FILE/20081215_2shiryou3-2.pdf)されていることは理解しておくとともに、医療機能情報提供制度(http://www.ultmarc.co.jp/iryo-pref/index.html)によって、DPC病院がどこか知っておく必要があるかもしれない。ところで、DPC病院は、入院期間における包括点数である。高額な検査の場合は、外来で行うか入院で行うか、病院の収入と患者さんの自己負担を考えると、悩ましい場合があるようである。一時退院ケースも聞くが、病院によっても対応が異なるかもしれない。そういえば、DPC評価分科会における特別調査(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/41b1e97ff0a6a83d49257601000beeee/$FILE/20090728_2shiryou.pdf)において、3日以内及び4~7日以内の再入院の割合について、他の病院と比べて大きな違いがある病院や再転棟の割合が多い病院について調査されるという。
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地域保健

2009年07月29日 | Weblog
先日の保健師中央会議資料(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/vAdmPBigcategory30/3550ABE5179A683449257601001DAB07?OpenDocument)が公開されている。出席者は都道府県等の代表者のみである(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/3550abe5179a683449257601001dab07/$FILE/20090728_3shiryou1~2.pdf)が、現場の方々が理解しておく必要がある。ザーッと目を通してみた。気になったのは資料6の地域保健の動向である。地域保健の総合的な見直しの方向性(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/3550abe5179a683449257601001dab07/$FILE/20090728_3shiryou6_3.pdf)が示されているが、平成17年5月の「地域保健対策検討会 中間報告」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0523-4.html)から進展しているようには感じられない。先日ブログ(http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/85357382fc847e28cc9136b8aaf7667c)ったように、「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の改定は必要である。基本指針は用語の整理を除いて15年を最後に改正されていない。基本指針の改定は、最近出された全国保健所長会から国への要望書(http://www.phcd.jp/kuni/H22_youbou_teishutsu.pdf)のトップ項目でもある。今年3月の提言(http://www.phcd.jp/katsudou/kihon_shishin_minaoshi_teigen.pdf)(http://www.phcd.jp/katsudou/kihon_shishin_minaoshi_teigen_shiryou.pdf)や昨年3月の提言(http://www.phcd.jp/katsudou/iinkai/H19_juujitsu_kyouka_teigen.pdf)を踏まえて早急な対応を期待したいところである。なお、厚生労働省が「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」を平成21年度内にも見直しの方向性をまとめる考え示し、基本指針とともに「地域における保健師の保健活動の指針」を改正する意向とのことである(保健衛生ニュース8月3日号)。そして、S先生の「保健所保健師への期待」(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/3550abe5179a683449257601001dab07/$FILE/20090728_3shiryou6_3.pdf)をみて、昔の保健所時代が懐かしく感じられた。健康危機管理も企画調整も、①24時間・365日のオンコール、②様々な分野・レベルのネットワーク、③現場に出向く機能(訪問、監視等)、④中立・公平で身近な専門機関、である保健所だからこそ担えることを実感する。S先生の資料にある、「ビジョンを語れるか」「評価ははじめに計画」「地域を捉えているか」「ディスカッションの機会をつくる」「人材育成は公衆衛生の基盤」等は、頷けることばかりである。今後の地域保健は、多職種協働の取り組みも期待したいところである。
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がん予防キャンペーン

2009年07月29日 | Weblog
先日、若い女性での子宮頸がんの急増についてブログ(http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/77d32945cc60a73c805df2547c604a0f)った。子宮頸がん予防のキャンペーンは「オレンジクローバーキャンペーン」(http://orangeclover.org/)として行われている。乳がん予防の「ピンクリボンキャンペーン」(http://pinkribbon.yahoo.co.jp/)とともに、拡がりを期待したいところである。しかし、他にもある。例えば、大腸がん撲滅キャンペーンの「BRAVE CIRCLE」(http://www.bravecircle.net/)、前立腺がん予防の「ブルークローバーキャンペーン」(http://www.nmp.co.jp/public/clover.html)(http://www.asahi.com/blueclover/)、すい臓がんの「パープルリボン活動」(http://pancan.jp/content/view/132/94/)(http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/information/2009in81.html)などである。行政担当者にはどの程度認知されているであろうか。
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外来管理加算5分ルール

2009年07月29日 | Weblog
全国保険医団体連合会が「外来管理加算5分ルールの特集ページ」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/gairai-kanri/index.html)を何度も更新している。「外来管理加算で240億円の算定根拠についての要請書」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/090609gairai.html)をみると、結果よりも、導入に至る過程で行政に対する根強い不信感が感じられる。誠実さが感じられず、国に「騙された」という思いなのかもしれない。算定の240億円が800億円とも1000億円以上ともいわれている。ネット公開されている中央社会保険医療協議会の資料や議事録(http://www.mhlw.go.jp/shingi/chuo.html#soukai)もみれば、経緯はだいたいわかるかもしれない。この問題は、現場の医師からも何度か聞いたことがある。現場では毎日の診療の中で必然的に繰り返し意識せざるを得ないのかもしれない。
さて、先日、県医師連盟支部からアンケート調査が届いた。総選挙における推薦候補者をアンケートの最多得票数で決定するとのことである。現場の様々な思いが、他県でみられるような政治的な動き(http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009073100381)(http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2009072902000271.html)(http://www.kahoku.co.jp/news/2009/07/20090729t21025.htm)(http://www.daily-tohoku.co.jp/news/2009/07/29/new0907290904.htm)(http://www.asahi.com/national/update/0509/TKY200905080431.html)(http://senjukaihomepage.web.fc2.com/090515ketubetu.html)にも反映されるのかもしれない。

「外来管理加算1053億円減収―保団連がメディアスから推計」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/23500.html)。
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マンモグラフィの充足度格差

2009年07月28日 | Weblog
民間の経済研究所から、「乳がん検診に関する調査結果 2009」(http://www.yano.co.jp/press/pdf/501.pdf)が出ており、目を通しておきたい。「女性特有のがん検診推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan10/index.html)(http://www.gov-online.go.jp/pr/theme/joseitokuyu_gantaisaku.html)(http://www.mhlw.go.jp/za/0723/a18/gan_kensin.html)にあわせた調査である。2009年乳がん検診無料対象者数は、全国で約447万人と推計されるというが、この方々の受診行動は、今後のがん対策に大きな影響を及ぼすかもしれない。しかし、一方で、2009年都道府県別マンモグラフィーの充足度合いは最上位(徳島県)と最下位(埼玉県)で2倍に近い格差(http://www.yano.co.jp/press/press.php/000501)であるのが気になる。機器の整備と平行して、診療放射線技師(女性)や視触診・読影医師(外科医)等の専門スタッフが欠かせず、なかなか容易ではないであろう。果たして、全国平均を下回っている都道府県では、認識はされているであろうか。
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自殺者最悪ペース

2009年07月28日 | Weblog
警察庁が今年6月末現在の都道府県別・月別自殺者数(暫定値)を公表した(http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki81/210727tsukibetsujisatsusya.pdf)。早速マスコミでも大きく報道されている。

「<自殺者>上半期1万7076人 最悪ペース 警察庁公表」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090727-00000115-mai-soci)。<以下引用>
<警察庁は27日、6月の自殺者数が2822人だったと公表した。今年上半期(1~6月)は昨年同期比768人増の1万7076人となり、このペースで推移すれば、統計の残る78年以降で最多だった03年の3万4427人と同水準になる可能性が出てきた。昨秋以降の大不況で、経済的要因での自殺が増えているとみられる。警察庁によると、今年の自殺者数は▽1月2660人▽2月2482人▽3月3084人▽4月3048人▽5月2980人▽6月2822人。月別の自殺者数を初めて公表した昨年と比べ、いずれの月も上回った。上半期の自殺者全体のうち、男性が1万2222人(昨年同期比712人増)で約72%を占めた。自殺者は98年以降、11年連続で3万人を超えているが、09年上半期の月平均は2846人で、単純計算すると年間では3万4152人となり、08年を約1900人上回り、03年とほぼ同水準となる見通しだ。遺体が発見された都道府県別(上半期)では、東京都が1569人で最も多く、次いで大阪1057人、埼玉971人だった。最少は鳥取の85人だった。自殺問題に取り組むNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表は「自殺者数が高止まりしているのは、現場で支援を必要としている人たちに政府の対策が届いていないことの表れだ」と話している。>

「上半期の自殺者1万7076人 史上最悪ペース 警察庁まとめ」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090727-00000563-san-soci)。<以下引用>
<今年上半期(1~6月)の全国の自殺者数は1万7076人(暫定値)で、前年同期比で768人(4・7%)増加したことが27日、警察庁のまとめで分かった。月平均で2846人となり、このまま推移すると、年間で最多だった平成15年(3万4427人)に迫る水準となる。警察庁によると、6月の自殺者数は2822人(暫定値)。前年同月(2769人、確定値)よりも53人増え、1・9%増となった。性別では男性が1994人で全体の70・7%を占めた。上半期の各月で最も自殺者が多かったのは3月の3084人(前年同期比145人、4・9%増)。次いで4月の3048人(同194人、6・8%増)。今年はこれまで、毎月、昨年を上回っている。都道府県別で最も多かったのは東京で1569人。これに大阪(1057人)、埼玉(971人)、神奈川(938人)、愛知(844人)、千葉(757人)が続いている。前年比で139人増加した埼玉や、千葉(94人増)、沖縄(77人増)などが目立つ。特定非営利活動法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表は「年間で最多になりかねない切迫した状態だ。自殺の要因は不況だけではないが、企業決算期をまたぐ3、4月に一気に増加し、高止まりしている。早急な対策のため、警察庁には年代、職業などの細かいデータを速やかに開示してもらいたい」と話している。>

さて、9月10日は「世界自殺予防デー」で9月10日からの一週間を自殺予防週間として設定されている(http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/kou-kei/week.html)。今年は、大綱に示される「気づき」、「つなぎ」、「見守り」の三要素に重点を置いた広報ポスター(http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/kou-kei/h21/poster.html)であるが、他のポスターを見慣れている方は、これはポスターというよりもパンフレットの印象を持たれるかもしれない。要綱(http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/kou-kei/h21/youkou.html)には、標語やキャッチコピーもない。そういえば、いきる「自殺予防総合対策センター」のHPのアドレスが変更されている(http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/index.html)。せめて以前のアドレス(http://www.ncnp-k.go.jp/ikiru-hp/)からジャンプするような配慮がほしいところである。
人口動態統計特殊報告による自殺統計(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/suicide04/1.html)は、ここ数年公開されていないが、最近の自殺状況に関する詳細な分析が至急行われ、公開されるべきであろう。最悪ペースの自殺状況の中で、9月10日の世界自殺予防デーに合わせて公開されるのではないか、と期待する方が少なくないかもしれない。
「あの世で再チャレンジ」では寂しい限りである。
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児童虐待の急増

2009年07月27日 | Weblog
先日の会議資料(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/0/e82cc800147c3150492575f5001874d9/$FILE/20090716_1shiryou_all_1.pdf)p5に出ているように、平成20年度に全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数は4万2662件である。グラフをみると、この10年間で急増していることがわかる。児童虐待防止法(http://www.ron.gr.jp/law/law/gyakutai.htm)が平成12年に施行されて、表面化しやすくなった点は否定できないが、最近の増加傾向には異様な雰囲気を感じる。単年での評価はできないが、増加率の高い神奈川県、宮崎県、千葉県、長崎県では件数が増えた要因はどうなのであろうか。また、資料(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/0/e82cc800147c3150492575f5001874d9/$FILE/20090716_1shiryou_all_1.pdf)p13には、子ども虐待による死亡事例等の検証結果が出ている。平成19年1月1日~平成20年3月31日における児童虐待による死亡事例115例142人に関する分析である。「若年妊娠」、「望まない妊娠」、「母子健康手帳未発行」、「妊婦健診未受診」、「乳幼児健診未受診」の割合が高く、実母に心理的・精神的問題等を抱える場合が多いことからみて、地域保健の果たす役割が大きいかもしれない。しかし、問題ケースを抱える現場では悠長な雰囲気はないであろう。関係機関・関係者(内部も含めて)とのネットワークを駆使し、できるだけの対応をするしかない。担当者は逃れたい誘惑に駆られるかもしれないが、「譲り合い」や「非難」では解決しない。およそ「市場原理」「効率性」からは程遠い世界である。
とにかく、この問題は、単に母子保健・児童福祉の問題というよりも社会全体の課題であることの認識が不可欠であることは間違いないであろう。
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女性特有のがん対策とマニフェスト

2009年07月27日 | Weblog
政府広報の「女性特有のがん対策」(http://www.gov-online.go.jp/pr/theme/joseitokuyu_gantaisaku.html)に続き、厚生労働省HPでも掲載されている(http://www.mhlw.go.jp/za/0723/a18/gan_kensin.html)。県内でも一部の市町村で無料クーポンが配布され始めた。この事業は、Q&A(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan10/pdf/gan_women11.pdf)問8で、「平成21年度限りの措置」とされていたが、厚生労働省からは来年度以降も継続する方針が示されている。
なお、K党のマニフェスト(http://www.komei.or.jp/policy/policy/pdf/manifesto09.pdf)では、「がん検診クーポンを継続・拡充し、がん検診率を2012年に50%に引き上げ」とされている。M党の政策集(http://www.dpj.or.jp/news/files/INDEX2009.pdf)(http://www.izai2.net/minsyu.html)では、「乳がんや子宮頸がん、大腸がん、肺がん、胃がんなど有効性が高いがん検診の受診率を大幅に向上させるよう、受診しやすい体制を整備します」とされ、新しいマニフェスト(http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf)では、「乳がんや子宮頸がんの予防・検診を受けやすい体制の整備などにより、がん検診受診率を引き上げる」とされている。
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社会保障政策の転換

2009年07月27日 | Weblog
「社会保障、「今が分かれ目」」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/23398.html)。<以下一部引用>
<今まで数年間、医療や介護の費用は抑制策が取られていたが、「潮目が変わってきた」としたほか、15年や20年後の社会保障をつくっていく上で「今が分かれ目」とし、この1、2年でどう決断するかが重要と述べた。(中略)「政府が将来の財政支出規模を削ろうということはあったが、増やそうとしたのはこれが初めてではないか」と述べた。その上で、増やした部分については、保険料や公費を上げることで補うという話は出てくる>

社会保障政策が大きく転換されるのではないか、というのは最近聞いた講演の中でも出ていた。記事をみると内部でもそういう方向らしい。平成18年度に打ち出された医療制度改革(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/index.html)も大きく変わるのかもしれない。中でも療養病床転換や後期高齢者医療制度についての声を聞く。その場合、5月に示されていた「社会保障の機能強化の工程表」(http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2009/0521/item3.pdf)(http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2009/0521/item1.pdf)は、改められるのであろうか。2012年の医療報酬・介護報酬の同時改定に向けて、記事にもあるように、おそらく負担増の話が出てくるのであろう。その際は、保険料だけではなく、公費も含めて、制度全般にわたる説明の徹底が不可欠と感じる。後期高齢者医療制度のときのようなことがあってはならないであろう。
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協会けんぽの特定健診と事業主健診の懸念

2009年07月24日 | Weblog
全国健康保険協会運営委員会で平成20年度の被保険者の特定健診受診率は35.9%だったという(http://www.wic-net.com/search/search1111-2.html)。協会けんぽ(旧 政府管掌健康保険)の特定健康診査等実施計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info03g-1.html)p3では、平成20年度の被保険者の特定健康診査実施率目標は60%と設定されていた。ちなみに、平成20年度の被扶養者の特定健康診査実施率目標は40%と設定されていたが、どうだったのであろうか。いろいろ聞くところでは、むしろ被扶養者の方が気になる。というのは、被保険者は、労働安全衛生法による健診の機会がある(特定健診受診とみなされる)のに対して、被扶養者は、平成19年度まで市町村の基本健診を受診していたものが、保険者の特定健診に切り替わったからである。しかし、被保険者の特定健診受診率がこれだけ低いとなると、事業所での労働安全衛生法の定期健診(事業主健診)がかなり危惧されるのではないか、と感じる方が少なくないかもしれない。労働衛生の大家の方々はどのような見解であろうか。
そして、平成20年度の特定保健指導の実施率の目標は、被保険者は28.2%、被扶養者は20%とされていたが、どうだったのであろうか。高齢者医療確保法(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83b.pdf)第百二十条2項によるペナルティが気になるところかもしれない。
計画は社会保険庁のときだから、というわけにはいかないであろう。
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若い女性の子宮頸がん急増

2009年07月24日 | Weblog
産婦人科医会の資料(http://www.jaog.or.jp/know/kisyakon/17_081210.pdf)p2、資料(http://www.jaog.or.jp/know/kisyakon/24_090708_b.pdf)p10に出ているように、最近、20代、30代の子宮頸がんが急増している。これは、資料(http://www.jaog.or.jp/know/kisyakon/24_090708_b.pdf)p7にでているような「SEXの低年齢化」が影響しているのであろう。平成19年度地域保健・老人保健事業報告(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/07/index.html)によると、平成19年度の市区町村が実施したがん検診の受診率は「子宮がん検診」18.8%、平成19年国民生活基礎調査(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-19-1.html)で「過去1年間にがん検診を受診した者」は「子宮がん検診」21.2%(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa07/3-8.html)に留まっている。20代、30代の受診率はさらに低いかもしれない。今年は、「女性特有のがん検診推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan10/index.html)によって、子宮頸がん検診受診率の大幅な向上を期待したいところである。政府広報の「女性特有のがん対策」(http://www.gov-online.go.jp/pr/theme/joseitokuyu_gantaisaku.html)がもっと話題になる必要がある。ところで、子宮頚部がん検診には細胞診のベセスダ分類やHPV検査が導入されてきており、理解しておきたい(http://www.jaog.or.jp/know/kisyakon/17_081210.pdf)。厚生労働省の指針(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_kenshin02.pdf)では、子宮がん検診は2年に1回であるが、もはやそう単純なものではないのかもしれない。さらに、資料(http://www.jaog.or.jp/know/kisyakon/24_090708_b.pdf)p10にあるように、先進各国では、公費によるHPVワクチン接種が行われている。わが国における子宮がん対策が、諸外国に比べてかなり遅れていることは、どれほど知られているであろうか。
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妊婦健診体制

2009年07月23日 | Weblog
日本産婦人科医会の資料「新しい妊婦健診体制 オープン・セミオープンシステム」(http://www.jaog.or.jp/know/kisyakon/22_090513.pdf)は目を通しておきたい。産科医療機関の厳しい状況の中で、こうした妊婦健診体制が普遍化していくであろう。しかし、その前に未受診妊婦の問題がある。
 
「未受診妊婦は高リスク!「飛び込み出産」防止へ実態調査 大阪府など」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090720-00000505-san-soci)。<以下引用>
<妊婦健診をほとんど受けない妊婦が分娩に臨む「飛び込み出産」を防ぐため、大阪府は8月から大阪産婦人科医会と共同で未受診妊婦の実態調査に乗り出す。妊婦と医師の双方に大きなリスクが伴う未受診の原因を把握し、具体的な支援策を検討するのが狙い。未受診は飛び込み出産の原因と指摘されているほか、飛び込み出産では入院費用を支払わずに退院するケースもあり、医療機関の経営を圧迫する一因にもなっている。国は妊婦や胎児の健康を確保するため、出産までに14回の妊婦健診を受けることが望ましいとしている。しかし、妊婦健診は健康保険が適用されず公費で助成される回数分以外は全額自己負担になるため、経済的な理由から受診しない妊婦もいるという。未受診では、妊婦の健康状態や胎児の成育状況、感染症や合併症の有無が分からないだけでなく、逆子の場合は帝王切開が必要になることもあり母体への影響が大きい。また医師にとっては出産時の事故で訴訟を起こされるリスクもあるため、使命感から受け入れているのが現状という。厚労省が平成19年度に実施した調査では、妊娠後期に当たる28週以降に妊娠を届け出た妊婦は全国で9717人に上った。府内では、妊娠を届け出た妊婦全体の0.76%に当たる638人で、届け出が遅れた主な理由は、経済的な理由(12.1%)、望まない妊娠(10.5%)、母子家庭(8.6%)だったが、「その他」が58.9%を占めており、詳しい原因の把握が急務となっていた。年間約850件の分娩を扱う府東部の総合病院では、妊娠36週に入って初めて妊婦健診を受ける妊婦が5~10%存在し、1度も健診を受けていない妊婦が救急車で搬送されて分娩するケースも2カ月に1回程度発生しているという。このため、府は分娩施設のある府内の医療機関約160カ所で、未受診妊婦を対象に調査を実施。出産後に医師や看護師、医療ソーシャルワーカー(MSW)が本人に健診を受けなかった理由や必要とする支援などを聞き取る予定で、4月にさかのぼって調査することも検討。妊娠28週まで未受診だった妊婦を対象として想定しているが、何回程度受診した妊婦を対象に含めるかは調整中という。府は調査結果を報告書にまとめた上で、支援策や妊婦健診の受診率の向上を図る具体策を検討する。大阪産婦人科医会の高木哲会長は「未受診や飛び込み出産による、周産期医療の現場の萎縮を防止するという観点からも調査の意義は大きい」としている。>

ところで、日本産婦人科医会が妊婦健診の公費負担に大きな地域差がある現状(都道府県別の平均は山口県11万1127円~大阪府3万9813円)について、「地方分権の悪しき部分」とコメントしたとされる(医事新報7月18日号)。公費負担の少ない自治体では住民がそれを承知の上で実施されているのであればよいが、報道をみると、どうもそうではないように感じる。地方分権には情報公開が不可欠なのかもしれない。

・「妊婦健診の助成に格差7万円 都道府県平均、厚労省調査」(http://mediajam.info/topic/924062)。
・「自治体に格差「不公平」 妊婦検診 寝屋川14回、守口5回」(http://www.sankei-kansai.com/2009/05/15/20090515-009841.php)。

なお、政府による妊婦健診の公費負担拡充は「平成22年度まで」、出産育児一時金の引き上げは「平成23年3月まで」の暫定措置(http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/03/tp0327-1.html)であることは、しっかりと認識しておきたい。果たして、地方分権なのであろうか。
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新型インフルエンザワクチンの輸入

2009年07月23日 | Weblog
新型インフルエンザに関して、少々気になったネット記事がある。

「WHO医務官、新型インフルワクチン輸入を批判」(http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090716-OYT1T01123.htm)。<以下引用>
<世界保健機関(WHO)の進藤奈邦子医務官は16日、都内で開かれたシンポジウム終了後、記者会見し、新型インフルエンザワクチンの輸入に前向きな姿勢を示している日本の対応について、「国内で製造能力があるのに、国際的に、貴重なワクチンを買ってしまうのは残念だ」と批判した。WHOの新型インフルエンザ対策を進める進藤氏は「ワクチン製造能力を持った国が製造できない国を助けるのが重要」と訴え、「治療薬も大量に備蓄する日本の輸入方針は、国際社会から驚きをもって受けとめられる」と述べた。ワクチンを優先的に接種する候補については、治療を担う医療関係者や重症化が懸念される若年層、妊婦を具体例として挙げた。>

今月9日、与党議員からなる「ワクチンを活用して疾病の予防、罹患率の減少を目指し、国民の健康増進を推進する議員の会」(ワクチン予防議連)が自民党マニフェストへ盛り込むよう申し入れ、その中には、新型インフルエンザワクチンの海外からのワクチンの確保もある(保健衛生ニュース7月21日号)。翌日には、厚生労働相が新型インフルエンザワクチンを海外から輸入(1500万~2000万人分)し、来年3月まで5700万人分確保する予定であることを表明している(医事新報7月18日号)。おそらく、今冬は、通常インフルエンザと新型インフルエンザのワクチン接種で大変かもしれない。新型インフルエンザワクチンは来年3月まで5700万人分確保というが、現在も各地で感染が拡がっている状況を鑑みると、今年中に大流行しないとも限らない。しかし、それよりもネット記事の内容が気になる方が少なくないかもしれない。外交的観点からはどうなのであろうか。

「原田武夫:質も量も不安? 新型インフル・ワクチンへの疑問符」(http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0716&f=business_0716_076.shtml)。<以下一部引用>
<14日(スイス時間)、世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は記者会見の席上で、「新型インフルエンザワクチンの生産能力には限界があるため世界中の人々に接種するにはワクチンが足らず、特に貧困国ではワクチンの入手がさらに困難である」旨述べた。しかしその一方で、新型インフルエンザのワクチンを全国民に接種すべしとの機運が様々な国で高まってきており、そのことが波紋を呼んでいる。>

・「新型患者の届け出基準を改正―24日から集団サーベイに」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/23359.html)。
・「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成21年7月22日)」(http://h-crisis.niph.go.jp/hcrisis/ObjectSiteDetailServlet)。

・「新型インフル再び拡大の恐れ、感染5000人突破」(http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090425-436828/news/20090724-OYT1T00578.htm?from=nwlb)。
・「新型インフル、これまでのウイルスよりも急速に感染拡大=WHO」(http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-10108320090717)。
・「1週間で約10万人が感染の可能性、新型インフルエンザで英国」(http://www.cnn.co.jp/science/CNN200907240029.html)。
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