保健福祉の現場から

感じるままに

HPVワクチンの行方

2015年03月31日 | Weblog
キャリアブレイン「HPVワクチン報道に医療者が批判の声明- 副反応患者らは救済要求書を提出 」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/45366.html)。<以下引用>
<子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)をめぐり、産婦人科医らでつくる団体「HPV JAPAN」は3月31日、「HPVワクチンの不安のみをあおる報道は日本の将来に大きな禍根を残す」などとする声明を発表した。一方、「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」も同日、治療支援や救済を求める要求書を厚生労働省などに提出した。HPV JAPANの声明では、「HPVワクチンが多くの子宮頸がんを予防できるベネフィットを考えると、接種の勧奨が行われなくなっていることは非常に大きな損失」と指摘。接種後に生じたさまざまな症状に焦点を当てた報道に関して、「あたかもHPVワクチンの被害であることを示唆するような報道記事やテレビ番組の内容は遺憾」「日本を含む世界中の研究において、このような例とワクチンとの因果関係は証明されていない」と慎重な報道を求めている。その上で、副反応症状の診療体制の整備とワクチン接種を同時に進めるべきだと主張している。一方、「被害者連絡会」は厚労省に対し、健康被害を引き起こした法的責任を認めることのほか、▽ワクチン接種者と非接種者で症状の発生率を比較する疫学調査の実施▽医療費の無償化▽被害回復のための賠償-などを要求。さらに、HPVワクチンを定期接種の対象から除外し、原因究明のための第三者機関を設置することなどを求めた。HPVワクチンを製造販売するグラクソ・スミスクラインとMSDの2社にも同様の要求書を提出した。>

朝日新聞「子宮頸がん問題で意見書 薬害対策弁護士連絡会」(http://apital.asahi.com/article/news/2015040100017.html)。<以下引用>
<子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に健康異常が生じたのは国と製薬会社に法的責任があるとする意見書を、薬害エイズなどの集団訴訟にかかわってきた「薬害対策弁護士連絡会」(鈴木利広代表)がまとめた。問題の解決に時間がかかる訴訟を回避しつつ、早期救済を強く促すのが狙いだ。>

毎日新聞「子宮頸がんワクチン:被害者連絡会が救済の要求書を提出」(http://mainichi.jp/select/news/20150401k0000m040062000c.html)。<以下引用>
<子宮頸(けい)がんワクチン接種後に痛みを訴える女性が相次いでいる問題で、被害者や家族でつくる全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会(松藤美香代表)は31日、厚生労働省や製薬会社に対し、原因を究明するための第三者機関の設置や治療支援の充実、医療費の無償化などを求める要求書を提出した。同ワクチンは2013年4月に定期接種となり、2カ月後に接種勧奨を中止。厚労省は副作用報告のあった接種者全員を対象に、症状のその後の状況を確認するため追跡調査している。被害者連絡会は追跡調査を全接種者に広げ、接種者と接種していない人での症状の発生状況を比較するための疫学調査を要求。同ワクチンを定期接種から外し、記憶障害などの症状にも対応した治療体制の整備や、回復のための賠償を求めた。>

全国健康関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000078305.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000078259.pdf)p83~86「HPVワクチンの接種後の症状に関する新たな医療体制の整備と調査」が出ており、p86「HPVワクチンの接種後の症状の追跡調査(平成26年3月31日時点で合計2,475例)」で、「平成27年2月末日までに情報の提出を求めており、整理した上で専門家に検討していただく」とあり、行方が注目である。
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母子保健

2015年03月31日 | Weblog
今月、日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドラインー産科編2014」(http://www.jaog.or.jp/news/img-31020320.pdf)が出ているが、母子保健担当者にも周知が必要と感じる。全国児童福祉主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000078234.html)の母子保健課資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000078220.pdf)p525、p537、p547「地域における切れ目ない妊娠・出産支援の強化について」、p528、p542「妊婦健康診査について」、p531「妊娠期から育児期に係る支援体制の充実について」、p530、p544「習慣性流産等(いわゆる不育症)に対する支援について」p533、p548「健やか親子21について」にも目を通しておきたい。そういえば、昨年の母子保健に関する世論調査(http://survey.gov-online.go.jp/h26/h26-boshihoken/index.html)では「「健やか親子21」について知っていたか聞いたところ,「知っていた」とする者の割合が13.3%(「知っていた」6.7%+「言葉だけは知っていた」6.6%),「知らなかった」と答えた者の割合が86.0%」とあった。
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食品表示

2015年03月31日 | Weblog
西日本新聞「機能性表示食品 消費者を惑わせぬように」(http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/159354)。<以下引用>
<売る側には商品PRの強力な武器になるだろう。だが、買う側にはどう映るか。消費者を惑わせるような運用は避けるべきだ。「目や鼻の調子を整える」「骨の健康を保つ」-。こうした効果をうたった食品が、間もなく登場することになりそうだ。食品が体にどう良いかを国の許可なく表示できる「機能性表示食品制度」が4月から始まる。これまで食品の効能で表示できたのは、ビタミンとミネラルの機能に限定した栄養機能食品と、消費者庁が許可した特定保健用食品(トクホ)だ。トクホは審査に費用や時間がかかるため、小規模な業者は利用しにくかった。新制度は安倍晋三政権の成長戦略の一つで、政府の規制改革会議が2013年に創設を答申した。健康維持・増進の効能に関する表示が可能となり、肝臓など体の特定部位への効果も宣伝できるようになる。「肉体改造」や「美白」など健康維持の範囲を超えたり、「糖尿病の人に」など病気の予防や治療に有効と思わせたりする表現は認められていない。アルコール類は除き、生鮮、加工食品を含む全食品が対象だ。表示の科学的根拠を示す臨床研究結果や論文などを消費者庁に届け出れば、60日後には販売できる。健康食品市場は年間売り上げが2兆円ともいわれる。業界関係者が「市場拡大のチャンス」と捉えるのも当然だろう。JAかごしま茶業(鹿児島市)が茶葉「べにふうき」を機能性表示食品として売り出す準備をするなど、九州でも動きがある。特産品づくりで地域の活性化を目指す取り組みにも追い風になるかもしれない。ただ、届け出だけで済む点に、消費者団体から不安の声も出ている。不確かな根拠で効果をうたう商品が出回る恐れもあるからだ。消費者庁は制度開始後に市販される商品を買い取り、抜き打ちチェックをして正しく表示されているか監視するという。不適切な表示は積極的に取り締まる必要がある。問題点が明らかになれば、制度の見直しも検討すべきだ。 >

夕刊フジ「新制度“機能性表示食品”銘柄に熱視線 小売り関連で活躍余地膨らむ」(http://www.zakzak.co.jp/economy/investment/news/20150331/inv1503311201002-n1.htm)。<以下引用>
<4月から、食品表示に関する新制度がスタートし、食品の成分が体にどう良いかを表示する「機能性表示食品」が近く店頭に並ぶ。「第3の健康食品」とも呼ばれる機能性表示食品の登場は消費者にアピールするのは確実で、株式市場でも別表のような関連銘柄が熱い視線を集めている。これまで健康食品の機能性表示は、消費者庁からの認可が必要な「特定保健用食品(トクホ)」と、ビタミンやカルシウムなどの栄養成分について各企業が指定する「栄養機能食品」にのみ認められてきた。今回の規制緩和により、科学的根拠を立証した論文や製品情報を消費者庁に提示すれば、食品について「目の調子を整える」「美肌になる」といった効果を明確に表現が可能となることになる。トクホは審査期間が数年間にわたることもあり、大企業以外は参入しにくいという問題もあった。機能性表示食品では企業の自己責任で実施できるうえ、販売開始の60日前までに届け出を行えばよいため、「中小企業を含めて市場の裾野が広がりやすく、食品業界にとっては追い風」(流通担当アナリスト)と期待されている。実際、米国では1990年代に同様の規制緩和によってサプリメントや健康食品の市場が急拡大した実績があり、日本でも同様の効果に期待が集まる。商品は早くて6月ごろから出回ることになりそうだが、株式市場では一足先に相場がスタートしている。健康食品やサプリメントを手掛けるファンケルや小林製薬、サントリー食品インターナショナルなどは同関連の有力関連銘柄とされる。機能性ヨーグルトが人気の明治ホールディングスのような企業も、より明確に機能性が表示できることになるメリットは大きい。また、小売り関連では、ツルハホールディングスやクスリのアオキなどドラッグストア関連企業にも売り上げ拡大の恩恵が期待できる。さらに、ファーマフーズのような機能性食品素材の提供企業にも、活躍余地が膨らみそうだ。>

消費者庁「食品表示」(http://www.caa.go.jp/foods/)(http://www.caa.go.jp/foods/index18.html#m01-17)(http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150331_kijyun-gaiyo.pdf)(http://www.caa.go.jp/foods/index23.html)は正確に理解しておきたい。食育(http://www8.cao.go.jp/syokuiku/index.html)の一環として、学校教育(http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/index.htm)での周知のほか、食品衛生監視での対応も考えられるであろう。食品衛生法施行令(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S28/S28SE229.html)第九条第4項で、食品衛生監視員の資格として「栄養士で二年以上食品衛生行政に関する事務に従事した経験を有するもの」が規定されていることは意外に知られていないように感じる。ところで、食品等不適切表示問題(http://www.caa.go.jp/representation/syokuhyou/index.html)の行方も気になるところである。なお、日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128609)の報告書(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000059931.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000059935.html)に基づき、「健康な食事認証マーク」が今年4月からスタートすることになっていたが、直前ストップになっている(https://twitter.com/nhk_kabun/status/579844791774490624)。
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紹介率・逆紹介率

2015年03月31日 | Weblog
キャリアブレイン「疑義解釈で長期処方の減算ルールなど明確化-厚労省、その13を事務連絡」(http://www.cabrain.net/management/article.do?newsId=45354)。<以下一部引用>
<厚生労働省は、2014年4月に改定した診療報酬の算定方法の疑義解釈(その13)を事務連絡し、紹介率・逆紹介率が低い大病院で、30日分以上の長期処方に対する評価を減算するルールの運用方法などを明確化させた。外来医療の機能分化を進めるため、紹介率と逆紹介率が一定の基準を満たさない大病院を対象とする減算ルールは、14年度診療報酬改定でより厳しく見直された。具体的には、減算ルールの対象となる大病院を、許可病床500床以上かつ一般病床200床以上のすべての病院に拡大。特定機能病院などは紹介率と逆紹介率がどちらも50%未満の場合、それ以外は紹介率40%未満かつ逆紹介率30%未満の場合に、減算ルールの対象にすることにした。さらに、初診料と外来診療料の減算に加え、処方料と処方せん料、薬剤料に関して、一部の薬剤を除いて30日分以上の投薬の評価を4割引き下げるルールを新設した。これらの見直しは今年4月から適用される。減算の対象になるかどうかは原則、13年度の紹介率・逆紹介率の実績で決まる。>

疑義解釈資料(http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/iryo_hoken/gigi/)に注目である。平成26年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032996.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000037464.pdf)p49~「紹介率・逆紹介率の低い(紹介率40%未満かつ逆紹介率30%未満)500床以上の病院における初診料・外来診療料・処方料の適正化」は今年4月実施である。初診料・外来診療料・処方料の適正化に伴い、保険外併用療養費(選定療養)が活用されるかどうか注目である。しかし、紹介率・逆紹介率の要件を満たせば、適正化されない。また、「医療保険制度改革骨子」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/pdf/kettei_h270113_1.pdf)に出ているように、今後の医療保険制度改革では紹介状なしで大病院を受診した際の負担金の新設が予定されていることも認識したい。ところで、日本医師会から「かかりつけ医機能と在宅医療を中心とした診療所調査結果」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1831.html)(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20141217_3.pdf)が出ていたが、主治医機能の評価として導入された「地域包括診療料/加算」は2014年9月末時点で診療料を算定した診療所0.1%、同加算6.5%にとどまる(医事新報1月10日号)と報道されていた。平成26年度診療報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)のp51~「主治医機能の評価」(糖尿病、高血圧症、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上を有する患者が対象)について、資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20141217_3.pdf)p7「地域包括診療料・加算は、院内処方を原則」であるが、p6「院内処方の診療所の割合は全体で37.5%」である。これもネックの一つであろう。かかりつけ医療機関を中心に医療連携を本当に推進するのであれば、主治医機能の評価を限定的にすべきではないであろう。また、かかりつけ医における、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、認知症等の診療の質の確保・向上が不可欠であるのはいうまでもない。
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スマートフォンアプリで介護サービス情報公表

2015年03月31日 | Weblog
厚生労働省から介護保険最新情報vol.436「介護サービス情報公表システムに係るスマートフォンアプリ「介護事業所ナビ」の開発について」(http://www.caremanagement.jp/index.php?action_news_detail=true&storyid=12896)が発出されたが、医療機能情報公表制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)や薬局機能情報公表制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/)でも期待したい。情報通信白書(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/pdf/index.html)(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/pdf/n2300000.pdf)p250によると、平成24年末におけるインターネット利用率は、60~64歳で71.8%、65~70歳で62.7%で、高齢者のネット利用が急速に伸びており、団塊世代では大きく変わるように感じる。
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未届け老人ホーム

2015年03月31日 | Weblog
朝日新聞「無届けホーム、全国に961施設 行政の対応追いつかず」(http://apital.asahi.com/article/news/2015040200002.html)。<以下一部引用>
<名古屋市の無届け有料老人ホームで、入居者へ暴行したとして介護ヘルパーの男3人が逮捕された事件は、増え続ける無届け施設に行政の対応が追いついていない実態を浮き彫りにした。無届けホームは全国に900以上あり、専門家は「安心・安全な居住の場を増やす仕組みを」と訴える。このホームは同市名東区の「ケアホームひまわり」。3人は入居女性(93)の鼻や口に指を入れるなどしたとして暴行容疑で愛知県警に逮捕された。老人福祉法では、特別養護老人ホーム(特養)など介護保険施設をのぞき、入居する高齢者に介護や食事などを提供する場合、「有料老人ホーム」として自治体に届ける必要がある。しかし、「ひまわり」は届け出をしていなかった。無届けのホームは珍しくない。厚生労働省の昨年10月時点の調査では、無届けは全国に961施設。各自治体が把握する分だけの集計で、実態はさらに多いとみられる。愛知県は68施設で都道府県別で2番目に多く、うち名古屋市は35だった。また、2013年10月時点で無届けだった911施設のうち、1年間に届け出たのは164にとどまり、591は1年後も無届けのままだった。>

キャリアブレイン「「未届け」増加、5年で2.5倍に- 厚労省、有料老人ホームを調査」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/45350.html)。<以下引用>
<老人福祉法で必要とされる届け出をしていない有料老人ホーム(未届け有料老人ホーム)が、昨年10月時点で全国に961施設あることが、厚生労働省の調査で明らかになった。2009年10月段階と比べ、おおよそ2.5倍に増加している。また、前払い金の保全措置を講じていないホームが100施設を超えていることも分かった。この結果を受け厚労省では、都道府県や政令指定都市、中核市の担当部局に、届け出の促進の取り組みの徹底などを求める通知を発出した。有料老人ホームを運営する事業者には、▽開設前の都道府県への所定事項の届け出▽帳簿保存および情報開示▽前払い金の保全―などが義務付けられている。また、指導監査を担う行政には、立ち入り検査の権限が与えられている。ただ、未届け有料老人ホームについては、行政によるサービスの実態把握が難しく、安全性やサービスの質を確保する上で課題とされている。厚労省の調査によると、昨年10月段階で届け出があがった全国の有料老人ホーム数は9941施設。一方、未届け有料老人ホームは961施設あり、前回調査(911施設)と比べると50施設増加していた。さらに09年の同じ調査(389施設)との比較では、未届け有料老人ホームは、およそ2.5倍まで増えた=グラフ=。また、前回調査で未届け有料老人ホームとされた施設の64.9%に当たる591施設が、今回の調査でも未届けのままだった。都道府県で未届け有料老人ホームが最も多かったのは北海道(458施設)で、以下は愛知(68施設)、神奈川(47施設)、大阪(43施設)、沖縄(39施設)などが続いた。■前払い金の保全措置なしは、117施設 入居一時金などの前払い金に関する調査では、06年度以降に設置された有料老人ホーム7930施設のうち、前払い金を受け取っているのは1260施設。銀行や親会社による連帯保証といった保全措置を講じていたのが1143施設だった一方、117施設では保全措置を講じていなかった。こうした状況を受け、厚労省では、未届け有料老人ホームや、前払い金の保全措置を講じていない有料老人ホームへの指導の徹底を要望する通知を発出した。通知では、検査の拒否や改善命令に対する違反などがあった事業者に対しては、罰則適用を視野に入れた上で、対応の徹底を図ることも求めている。>

全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000076417.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000076380.pdf)では介護施設に対する適切な指導・監督(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000076380.pdf)が要請されている。「指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護等以外のサービスを提供する場合の事業の人員、設備及び運営に関する指針について(案)」に対する意見の募集について(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140532&Mode=0)も出ているが、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000066571.pdf)p27「通所介護事業所等の設備を利用して宿泊サービスを実施する場合の届出制の導入等」、p28「通所介護等の設備を利用して宿泊サービスを実施する場合のガイドラインの骨子案」、p30「お泊まりデイサービスへの対応(案)」、p31「介護サービス情報公表制度の見直し」に期待したい。お泊まりデイサービスは意外に身近にあるが、未届けの老人ホームすべてについて、情報公開の徹底が重要と感じる。未届け老人ホームでの安全管理や虐待防止はどうなっているであろうか。
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介護保険の市町村調査

2015年03月31日 | Weblog
東京社会保障推進協議会資料(http://www.tokyo-syahokyo.net/03kaigi/pdf/2015/150317_03.pdf)で「全国市町村介護保険改定に関する緊急調査」「地域支援事業への移行時期調査」が出ている。公表は回答自治体に留まっているが、住民(特に代表者である議員)は自分たち自治体の第6期介護保険事業計画の具体的内容は知っておきたい。
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医療事故調査制度の行方

2015年03月31日 | Weblog
M3「院内調査報告書の交付「努力義務」、松原日医副会長 支援団体、刑事訴追など事故調関連の質問多々」(http://www.m3.com/news/iryoishin/308020)。<以下引用>
<日本医師会副会長の松原謙二氏は、3月29日の第134回臨時代議員会で、10月から開始する医療事故調査制度について、院内調査の報告書は、合理的な理由がある場合以外は、努力義務として患者遺族に渡すべきという考えを表明した。「合理的な理由」としては、内部で意見が食い違い、調査が結論に至らない場合などを挙げた。医療事故調査制度について説明する、日医副会長の松原謙二氏。 院内調査の報告書をめぐっては、省令・通知案を議論していた厚労省の検討会で、最後まで意見が分かれた点であり、最終的には、「口頭または書面、もしくはその双方の適切な方法により行う」「調査の目的・結果について、遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない」との表現に落ち着いた(『“事故調”の説明、「遺族が希望する方法で」』を参照)。厚労省検討会の委員でもある松原副会長の発言は、これらの表現を「報告書を渡す努力義務」と解釈したものだ。努力義務と解釈すべきかどうかは、通知案では必ずしも明確ではなく、厚労省は今後、現場の混乱を招かないためにも明示することが必要だろう。そのほか、29日の代議員会では、医療事故調査制度に関しては、幾つかの質問が出た。支援団体の在り方について、日医常任理事の今村定臣氏は、都道府県医師会に指定を受けるように要請し、地域に複数の支援団体がある場合には、医師会が主導的役割を果たし、例えば、「○○県医療事故調査等支援団体連絡協議会」を設置し、相互に連携できる体制を構築すべきとした。また支援団体の費用については、国に対し、補助を求めていくことも説明。異状死体の届け出を定める医師法21条、業務上過失致死罪を定める刑法211条との関係を質問したのは、静岡県代議員の紀平幸一氏。紀平氏は、第三者機関である医療事故調査・支援センターは、「民間の調査機関と同じ扱い」であるとし、「患者が訴えるとすぐ警察がそのまま介入する。(2008年に厚労省がまとめた)前の大綱案は、まずは第三者機関に届け出る仕組みであり、警察に訴えられても、一応任せていた。そこで、問題があったら、(警察が)対処するという案だった。今回の制度は、警察の介入を招いてしまう」と質問。兵庫県代議員の西田芳矢氏も、医師法21条と刑法211条について質した。これに対し、今村常任理事は、「今回の制度には、司法へのアクセスをリジェクトする仕組みは設けられていない」と説明。まずは新制度を機能させ、国民の信頼を得ることが必要とし、同時に医療事故調査は法律公布の2年以内に見直すことになっているため、その際の議論の俎上に載り得るとした。松原副会長も、「我々の医療は、患者からの信頼がなければ絶対的にできない。その信頼を失わないように、そして現場が混乱しないように、きちんと制度を動かすために、幾つかの仕掛けを作っている」と説明、省令・通知等がまとまれば、各地に説明に赴くとした。「予期せぬ死亡」、手続き論で整理 医療事故調査制度について、個人質問したのは、和歌山県代議員の山田和毅氏と、岡山県代議員の清水信義氏。山田氏は、小規模の病院や診療所では、事故直後は管理者も錯綜することもあり、院内調査には困難を伴うことから、最初から支援団体のメンバーを加えて行う「拡大院内事故調査」の義務付けを提言。また、第三者機関に報告する医療事故の定義のうち、「予期しない死亡」の解釈が一番迷うとし、日医が各医師会から質問を募り、Q&A形式で解説するほか、説明会などの開催を求めた。清水氏は、「第三者機関についてはほぼ役割が決まったが、支援団体に関しては、ほとんど何も議論されていない」と指摘。各都道府県に設置が想定される支援団体には、都道府県医師会が主導的役割を果たすとし、その設立に関する日医の役割や、支援団体の運営経費について質問。両氏のほか、関連で出た質問に対する松原副会長と、日医常任理事の今村定臣氏の主な回答は、以下の通り。◆医療事故の定義について 松原副会長:今回の制度については、幾つかの大きな問題があった。まずどのようなものを対象にするかだ。厚労省は、ネガティブリストとポジティブリストを作ることも検討していたが、「これは報告すべきかどうか」など、どこかに聞かないと分からず、これでは現場が混乱する。厚労省の法令(担当)と議論し、手続き論で対応することにした(編集部注:(1)患者等に対し、医療の提供前に、死亡または死産が予期されることを説明、(2)医療の提供前に、死亡または死産が予期されることをカルテ等に記載、(3)管理者が、当該医療者への聴取等で、提供前に死亡または死産が予期されていると認めた――という3項目の「いずれにも該当しない」場合が、「予期しない死亡」と定義。『事故調査、「個人の責任を追及せず」』を参照)。◆院内調査の報告書の取り扱いについて 松原副会長:確かに勤務医の中には、院内の報告書が十分にできていなくて、冤罪を受けた気の毒な先生方が何人かおり、その先生方の意見を聞いた。さらに患者からの信頼を受けなければ何も意味がないので、そのところを調整し、(院内調査の)報告書が出た時には、努力義務としてなるべく出す(遺族に渡す)。ただし、例えば、内部で意見が食い違っていて、結論に至っていないものを説明すると大変なことになるので、幾つか合理的な理由がある場合には、それを義務としないということで、最終的な決着を付けた。◆支援団体について 今村常任理事:中央に医療事故調査・支援センターが配置されるが、その業務の一部を委託される機関として支援団体が、厚労大臣に指定されることになっている。支援団体は、法文上は、新たに組織が設立されるのではなく、医師会や病院団体など、既存の機関や組織が指定されると理解している。各都道府県医師会は、支援団体の指定を受けてもらいたい。また各地において、医師会以外にも、病院団体、大学なども指定を受ける可能性が考えられる。これらのさまざまな支援団体がそれぞれ単独に動き出すことなく、連携を保ちながら、有効に機能していくためには、地域の核としての都道府県医師会の役割が大変重要になると認識している。医療事故が発生し、調査などの支援が必要な場合には、各支援団体がどのように対応するかなどについて、医師会を中心として、さまざまな支援団体が日ごろから十分に打ち合わせをして、問題点を洗い出し、解決する協議の場を設けることが重要。例えば、「○○県医療事故調査等支援団体連絡協議会」といった会議を定期的に開催し、日ごろから「顔が見える関係」を築くことが有効であると考えている。医師会の支援団体としての運営経費に関する懸念は十分理解している。今回の法律成立の際の付帯決議の中でも、「制度運営に要する費用の公的費用補助等も含め確保」とうたわれている。国は、第三者機関である医療事故調査・支援センターには、5億3900万円の財政的に補助を行う予定としているが、支援団体もセンター業務の一部を委託されることになるので、相応の財政補助を国に対して働きかけるなど、日医としてもできる限りの取り組みをしていく。なお、院内調査にかかる費用、例えば解剖、Ai、外部委員に対する謝金など、本来医療機関が負担すべきとされる出費については、各医療機関の経済的な負担を軽減する仕組みを作るため、損保会社と協議をしている。損保会社は、金融庁との調整に入っている。1件当たりの調査費用は、恐らく数百万円と考えられるため、損保会社との調整の中では、上限500万円程度で考えている。数カ月のうちに、(各医師会に対し)連絡できると思う。◆医師法21条、刑法211条について 今村常任理事:この制度自体が、医師の自主的な取り組みを中心的に考えられているので、医療提供側は心して、この制度の運用に取り組まなければいけない。刑事事件化する例があれば、それに対しても、真摯に対応をすることが求められる。(医療事故調査制度に関する医療法は)法律公布後2年以内に見直すことになっている。その期限は、来年の6月であり、法施行のわずか9カ月後だ。医師法21条あるいは刑法211条の問題は、直ちにこの制度の運用にかかる問題として浮上してくると考えている。医師法21条、刑法211条は、本制度と直接関係するものではないが、明らかにこれらの問題は、制度の延長線上に浮かび上がってくる。私どもとしても、直ちに検討していくことになるだろう。なお、この仕組みの中で、司法へのアクセスをリジェクトする仕組みは設けられていない。患者や遺族はいつでも司法に訴えることができる。この制度が本当に機能し、国民の信頼が得ることになれば、恐らく司法としても、この制度を尊重して、ここ(医療事故調査制度)での結論がそのまま見解になろうかと思う。そのためにも制度をうまく作り上げていくことが必要。>

厚労省「医療事故調査制度の施行に係る検討会」における取りまとめについて(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000078202.html)が出ており、目を通しておきたい。全国厚生労働関係部局長会議資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2015/02/tp0219-1.html)の医政局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2015/02/dl/tp0219-03-02p.pdf)p37~p40、全国医政関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=180575)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000077058.pdf)p5~6にあるように、今年10月に医療法による医療事故調査制度が施行される。「医療事故調査制度の施行に係る検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=228657)の資料も参考になる。なお、日本病院会「平成26年度 医療安全に係わる実態調査報告書(抜粋)」(http://www.hospital.or.jp/pdf/06_20150306_01.pdf)p18「全国規模への推計;「患者が死亡、あるいは重篤な後遺障害を残した医療事故の経験数」」で、「全国;2506件/年[病床規模別発生件数の合計で算出]、1施設当り;0.65件/施設/年[全国を同一規模とした場合の平均]」とある。全国医政関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000077064.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000077058.pdf)p44「管下医療機関に対し、管理上重大な事故等が発生した場合は、保健所等へ速やかに連絡を行うよう周知いただくとともに、立入検査等を通じ、必要な指導等を行うようお願いする。」とあり、重大事故の際には保健所にも連絡が入るよう、要請されている。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000077058.pdf)p5に示すように対象となる医療機関は病院・診療所・助産所であることは理解したい。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002woxm-att/2r9852000002wp5m.pdf)p172に出ているように、医療法改正で平成19年4月からすべての医療機関での医療安全確保措置が義務づけられている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000039685.pdf)p195「診療所・助産所への立入検査についても、3年に1回程度の立入検査を実施するようお願いする。」とあり、以前、総務省「医療安全対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000245532.pdf)も出ていた。8年前からの医療法による全ての医療機関での医療安全確保措置、そして、今年10月からの医療法による医療事故調査制度は医療行政従事者にも重く受け止める必要があるように感じる。
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地域医療構想の行方

2015年03月31日 | Weblog
M3「「過剰病床、削減の仕組みにあらず」中川副会長、地域の実情に合った地域医療構想を強調」(https://www.m3.com/news/iryoishin/307855?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150330&dcf_doctor=true&mc.l=94368837)。<以下引用>
<日本医師会は3月29日、第134回臨時代議員会を開催、副会長の中川俊男氏は、4月から開始する地域医療構想について「不足している病床機能を手当てする仕組みであり、過剰な病床を削減する仕組みではない」と強調、地域医療構想の達成目標を2025年でなく2030年に延ばす措置もあるなど、病床が強制的に削減される事態は生じないことに理解を求めた。地域医療構想をめぐっては、「慢性期」機能に当たる療養病床の入院受療率の地域格差を是正する方針が打ち出され、療養病床の削減を危惧する声は根強い。中川副会長は「ある構想区域において、既存の慢性期機能の病床数が、必要病床数よりも上回っている場合、それを理由に、県の要請や指示・命令によって、病床機能の転換や削減を強制されることはない」と説明。地域医療構想の4つの病床機能のうち、「慢性期」については「在宅医療等と一体的に推計する」と記されている。中川副会長は、「在宅医療ありき」ではなく、構想区域によっては療養病床が、反対に別の構想区域では在宅医療等が、それぞれ「慢性期」の主体になる地域医療構想があり得るとした。それでもなお、三重県代議員の青木重孝氏からは、「楽観にすぎると思う」という手厳しい指摘も出た。小泉政権下の社会保障費の伸びの年2200億円抑制、37万床の精神科病床の削減に続く施策が、地域医療構想であるとし、今後の診療報酬改定でさまざまな施策が打ち出され、地域医療構想が定める4つの病床機能への誘導が図られるとの見通しを語った。「この点を分かった上で、どう手を打つかを考えるのは日医の役割」(青木氏)。青木氏以外からも、「地域医療構想は、病床機能再編の強力なツール」との危機感が伺える発言が相次いだ。これに対し、中川副会長は、地域医療構想は、各病床機能の目標に向けて「じっくり、ゆっくり、自主的に収斂させていく」ものであり、「あくまで医療法に基づく仕組みとして作った」と強調、その上で、中央社会保険医療協議会の委員も務める立場から、次のように語った。「診療報酬と地域医療構想をリンクさせると、その時点で大幅な医療費削減をもくろむ病床削減の仕組みに変質し得る。全力で診療報酬とリンクすることがないよう主張していく。ただ、政府は2020年のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化に向けて、大幅な公費削減を主張しており、診療報酬自体の削減を求める動きが出てくる。この点については別途、中医協で戦っていく決意だ。楽観すぎるとは思っていない」。地域医療構想については、原則2次医療圏単位となっている構想区域が実態に合わないとの指摘も出た。中川副会長は、「東京都全域での構想区域の設定も十分に可能」と答弁し、各地域の実情にあった医療提供体制の構築を目指し、地域医療構想も地域に応じて柔軟に策定していくべきとの考えを示した。地域医療構想を実現するための「地域医療構想調整会議」についても、柔軟な運用が可能で、複数の構想区域や都道府県で合同開催する方法もあり得るとした。厚生労働省が示す地域医療構想策定ガイドラインは「参考」にすぎないとし、「地域医療構想は、47都道府県あれば47通りあり、さらに県内でも構想区域ごとに色々な特色があり得る」(中川副会長)。ブロック代表、2人が地域医療構想で質問 地域医療構想についてブロック代表質問をしたのは、福井県代議員の池端幸彦と、東京都代議員の猪口正孝氏。池端氏が問題視したのは、慢性期の医療必要量の推計方法。地域医療構想は、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つの機能別に、2025年の医療必要量を推計する。「慢性期」については、療養病床の入院受療率の地域差が大きいことから、最低でも今の全国最大値が全国中央値レベルまで縮小させる方針(『地域医療構想策定ガイドライン、了承』を参照)。池端氏は地域差の理由を明らかにしないまま、地域差の縮小を進めれば、「地域によっては大きな混乱が生じる」と指摘、「慢性期」の医療資源投入量などの分析を行った上で、必要量を計算することが必要だとした。猪口氏は、大都市圏、特に東京都では、交通網の発達から患者が2次医療圏を超えて受診する場合が多いことから、この問題を解決する一案として、「地域医療構想の構想区域を、2次医療圏単位ではなく、全都とする」ことを提案した。地域医療構想と医療計画の整合性を図るためにも、まず初めに都道府県レベルのグランドデザイン、つまり地域医療構想の上位概念である医療計画を策定し、その上で地域医療構想を作る必要性を指摘した。福井、「療養病床、2800床から1500床に減少」 中川副会長は、池端氏の質問に対しては、「地域医療構想については3つの重要な点がある」と説明。(1)2025年に向けて各構想区域における4つの病床機能ごとに医療需要を推計し、構想区域内で不足している病床機能を手当てするための仕組みであり、医療機関自体が必要病床数を参考に自主的に収斂させていく、(2)地域医療構想策定ガイドラインは、あくまで都道府県の取り組みを支援するものであり、構想は地域の実情に応じて策定する、(3)構想策定の主体となる都道府県医療審議会では都道府県医師会が、地域医療構想調整会議では都道府県と郡市区の医師会が、それぞれ主導的役割を果たす――だ。その上で、中川副会長は、療養病床の65歳以上人口1000人当たり病床数は、全国平均10.7床に対して、最大が高知県の29.2床、最小の宮城県が5.8床と大きな開きがあるものの、この地域差は医療機関へのアクセス、入院に対する地域の考え方なども大きく影響しているとした。療養病床については、入院受療率が高く、高齢者の単身世帯が全国平均よりも大きい構想区域では、地域医療構想の達成目標を2030年に延ばす措置もあると説明するなど、療養病床が急減かつ強制的に削減される事態は生じないことに理解を求めた。現行法では、介護療養病床については2018年3月31日での廃止が予定されている。「今後、医療や介護が必要な高齢者は増加する。介護保険制度で長期療養が必要な人を受け入れる施設として、医療機関を残すべき」と中川副会長は述べ、介護療養病床を存続させる必要性を指摘。池端氏の質問に対しては、関連で同じ福井県の代議員、奥村雄外氏も質問。福井県は、「慢性期」の病床機能は現在2800床だが、2025年の目標として1500床という数字を出しているという。1300床の削減が求められる可能性について、奥村氏は危機感を呈した。中川副会長は、地域医療構想を策定する場は、都道府県医療審議会であり、医師会が参画し、意見を言うべきと促した。「調整会議、議長は医師会代表がふさわしい」 中川副会長は、猪口氏の質問に対しては、地域医療構想の構想区域を設定する際には、(1)2次医療圏を原則とするが、患者の受療動向、将来の疾病構造の変化、人口規模などを勘案、(2)現行の2次医療圏と異なる構想区域を設定することも可能、(3)最終的に2次医療圏と構想区域とを整合性を持って運用する――の3点が重要になると説明した。「2018年の第7次医療計画、さらに2025年以降を見据えて、まずはあるべき地域医療構想区域を設定する。その上で、2次医療圏をその構想区域に合わせていくという手順になる」(中川副会長)。さらに厚労省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」において、同省から、「ガイドライン自体も、地方の自主性を生かせるようにする」との確認を得ているとした。既に医療計画に定める5疾病・5事業については、2次医療圏と異なる区域を設定している県もある上、今の2次医療圏の対象人口は、200万人を超える圏域がある一方、3万人に満たない圏域もあり、構想区域の全てに4つの病床機能、特に「高度急性期」の機能を持つ必要がないなど、地域の実情を勘案する必要性を重ねて強調。構想区域ごとに設定し、地域医療構想の実現に向けて関係者が協議する場である「地域医療構想調整会議」については、地域医療構想の策定後ではなく、策定段階から設置するほか、広域的な病床の機能分化・連携が求められる場合には、複数の構想区域や、複数の都道府県で調整会議を合同開催したり、反対に地域や参加者を限定した形での開催も可能と説明。関連で質問した広島県代議員の檜谷義美氏は、やはり今の2次医療圏単位で議論が進むことを懸念し、地域医療構想策定のプロセスを改めて質した。中川副会長は、「主たる土俵は、都道府県の医療審議会であり、そこで構想区域の設定なども行う」と繰り返し説明、医療審議会や調整会議に、都道府県や郡市区の医師会が入ることにより、構想区域の設定も柔軟になるとした。宮城県代議員の橋本省氏は、「地域医療構想調整会議」の議長について質問。中川副会長は、議長候補として、都道府県の関係機関と医師会の代表が並列に書かれると説明し、「病院代表は当事者すぎるので、医師会代表がふさわしい」と述べた。>

総合研究開発機構;NIRA「社会保障改革しか道はない-今こそ、財政健全化への決意を示すとき-」(http://www.nira.or.jp/president/opinion/entry/n150119_756.html)、「社会保障改革しか道はない(第2弾)-財政健全化に向けた具体策はここにある-」(http://www.nira.or.jp/president/opinion/entry/n150216_761.html)による具体策(http://www.nira.or.jp/pdf/opinion14.pdf)では、医療;病院・診療所の再編、入院・外来診療の標準化として「病床数の多い地域での病床数の全国平均並みあるいは全国最低県並みまでの削減を含む」とある。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)では、各都道府県において、厚労省が示す推計方法(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000078122.pdf)に基づき、構想区域圏ごと、2025年の医療需要と各医療機能の必要量が推計される(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000078175.pdf)が、すでに公表されている経済産業省「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」報告書(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001.html)(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001e.pdf)での地域の医療需要推計(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001a.pdf)(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001a.pdf)(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001c.pdf)(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001d.pdf)、日医総研「地域の医療提供体制の現状と将来─都道府県別・二次医療圏別データ集─(2014年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/no_553.html)、病院情報局「入院患者数の将来予測値と既存病床数とのギャップ試算」(http://hospia.jp/wp/archives/244)をみれば、「病床数が多い地域」と思われる地域が少なくないであろう。地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)の「地域医療構想策定ガイドライン(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000078175.pdf)では、p17「平成25年(2013年)のNDBデータによる療養病床の入院患者数のうち、医療区分1の患者の70%を在宅医療等で対応する患者数として見込む」、「療養病床の入院受療率における地域差の解消」が示されており、療養病床の大幅削減が打ち出される地域も少なくないであろう。平成27年度介護報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000073617.pdf)p56~介護療養型医療施設の機能に応じた評価の見直しと基本報酬の見直し「療養機能強化型」の要件クリアが厳しい病院が少なくないであろう。今後、隔年の診療報酬改定や3年毎の介護報酬改定が各機能の病床のあり方に大きな影響を及ぼすのは間違いないであろう。また、「地域医療構想策定ガイドライン(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000078175.pdf)p43「稼働していない病床への対応;病床過剰地域において、公的医療機関等が正当な理由がなく病床を稼働していないときは、都道府県医療審議会の意見を聴いて、当該病床の削減を命令することができる。なお、公的医療機関等以外の医療機関にあっては、病床過剰地域において、かつ医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合において、正当な理由がなく病床を稼働していないときは、都道得府県医療審議会の意見を聴いて、当該病床の削減を要請することができる。また、実際には、病床の稼働状況は病床機能報告制度において病棟単位で把握することが可能であることから、病棟単位で病床が稼働していないことについて正当な理由がない場合に、当該対応を検討することが適当である。」とされている。各都道府県の医療機能情報HP(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)では、各医療機関の病床区分ごとの許可病床数及び前年度1日平均患者数が公表されており、病床稼働率がわかる。総務省資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343695.pdf)p5「公立病院の運営費に係る地方交付税措置(病床当たり単価;707千円)の算定基礎を、許可病床数から稼動病床数に見直す」とあり、影響が大きい公立病院も少なくないであろう。「病床数の多い地域での病床数の全国平均並みあるいは全国最低県並みまでの削減」は地域医療構想だけによるものではないであろう。
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人生の最終段階における医療

2015年03月31日 | Weblog
3月25日の厚労省通知「終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインの改訂について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20150325_01.pdf)、事務連絡「終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインの改訂について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20150325_02.pdf)で、「終末期医療」に代えて「人生の最終段階における医療」に変更されている。10日の全国医政関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=180575)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000077058.pdf)p38「終末期医療の名称変更について」で「公文書、広報等において可能なものから、「人生の最終段階における医療」という名称を使用いただきたい。」とあった。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000077059.pdf)p197~もみておきたい。厚労省専用HP(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/index.html)は「患者の意思を尊重した人生の最終段階における医療体制について」であり、リーフレット(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000078983.pdf)では「患者の意思尊重」をもう少し前面に出しても良い感じがしないでもない。そういえば、緩和ケア推進検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128561)の先月会合(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000075674.html)の議事録資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000075661.pdf)で「地域包括ケアシステムは、今後増加していく認知症高齢者の生活を支えることを中心に想定されたシステムであり、終末期のがん患者を地域の中で支えていくための体制は、地域の状況に応じて別途検討する必要がある。」「地域包括ケアシステムに、対象疾患として「がん」を入れるのかどうかの検討が必要である。」とあるようでは、「人生の最終段階における医療」の普及・普遍化は厳しいかもしれない。さて、平成27年度からの介護保険地域支援事業の「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000077428.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/tebiki.pdf)で、ア.地域の医療・介護の資源の把握、イ.在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討、ウ.切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築推進、エ.医療・介護関係者の情報共有の支援、オ.在宅医療・介護連携に関する相談支援、カ.医療・介護関係者の研修、キ.地域住民への普及啓発、ク.在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携が実施される。「人生の最終段階における医療」について、それぞれの地域における実態がどうか、あまりに知られていないように感じる。例えば、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の「在宅医療の体制構築に係る現状把握のための指標例」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei2.pdf)では「在宅死亡者数(市区町村別)【人口動態統計(個票解析)】」はアウトカム指標とされているのであるが、肝心の各市町村の在宅死亡割合が一般には非公表とされているのはあまりに変であろう。厚労省リーフレット(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000078983.pdf)「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(平成25年3月)の結果が出ているが、専門スタッフでも「全く話し合ったことがない」「ガイドラインを知らない」の割合はかなり高い。
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2025年までの中長期的なサービス給付・保険料水準の推計

2015年03月31日 | Weblog
朝日新聞「神奈川)65歳以上の介護保険料、県内全市町村で値上げ」(http://apital.asahi.com/article/news/2015032800003.html)。<以下引用>
<4月に改定される65歳以上の介護保険料について、県内の33市町村に朝日新聞が調査をしたところ、全市町村で保険料の基準となる額が増え、平均で月561円値上がりすることが分かった。最も保険料が高いのは横浜市で5990円、次いで三浦市が5716円だった。逗子市と大磯町は千円以上保険料が上がる。高齢化を背景に、今後も上昇は避けられない見通しだ。各市町村ごとの今年度までの保険料の基準月額(2012~14年度)の合計を市町村数で割って算出した県平均は4413円で、5千円以上は横浜、川崎の2市のみ。海老名、南足柄、綾瀬の3市と大井、松田の2町は3千円台だった。だが新年度~17年度の平均は4975円。3年前の改定では値下げや横ばいの自治体があったが、今回はすべてで保険料が値上がりする。5千円を超えるのは16市町村に広がり、町村部でも上昇が相次ぐ。3千円台は綾瀬市だけとなった。>

老健局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-09-01p.pdf)p6「介護給付と保険料の推移」では今後も介護保険料が上がっていき、2025年度(平成37年度)には65歳以上の基準月額8200円程度と推計されている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000038314.pdf)p165~167に出ているように、各保険者において、平成32、37年の推計値が出されることになっていたはずであり、介護保険事業計画用ワークシートによる推計値の保険者別一覧表の公表を期待したい。3月2~3日の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000076417.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000076368.pdf)に「第6期介護保険事業計画においては、各保険者が2025年までの中長期的なサービス給付・保険料水準の推計等を行った上で、これを踏まえて地域の特性に応じた第6期計画を策定するようお願いしているところである」とされるが、果たして、各保険者による「2025年までの中長期的なサービス給付・保険料水準の推計」は公表されているであろうか。保険料負担だけではない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000064747.pdf)に出ているように、今年8月から、一定以上所得者の利用者負担が1割から2割になる。他にも様々な負担増(https://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/141015kokkai-houan.html)が予定されている。介護保険料が高い市町村・低い市町村は、なぜ高いのか・低いのか、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/sankou5_1.pdf)、国保データベース(KDB)システム(http://www.kokuho.or.jp/hoken/public/lib/kdb_manual_ver.1.1.pdf)による分析結果の公表徹底が必要であろう。各自治体からの地域包括ケア見える化システム(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/sankou5_1.pdf)(http://mieruka.mhlw.go.jp/)への日常生活圏域ニーズ調査(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)のデータ送信がごく一部に留まっているようではいけない。最近はソーシャルキャピタルが流行っているが、情報の公表・活用を伴わないソーシャルキャピタルは「前近代的」と感じる。そういえば、後期高齢者医療制度の平成26-27年度の保険料率」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042811.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12403500-Hokenkyoku-Koureishairyouka/0000042798.pdf)も出ていたが、医療保険もセットで捉えたいものである。
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社会保障改革の行方

2015年03月31日 | Weblog
M3「大学病院と公立病院、急性期削減のターゲット - 土居丈朗・慶應義塾大学経済学部教授に聞く◆Vol.3 保険給付縮小など「負担のつけ回し」避ける」(http://www.m3.com/news/iryoishin/303341?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150329&dcf_doctor=true&mc.l=94342958)。<以下引用>
<――「医療提供体制の改革」においては、入院受療率や入院医療費の地域差に着目されています。先生がメンバーでもある、政府の社会保障制度改革推進本部の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」などで各種データが出ていることから、生じた問題意識でしょうか。土居丈朗氏によると、自己負担増の改革は、「単なる負担のつけ回し」と受け止められるので、今回の提言には含めなかったという。そうですね。――年齢を調整しても、地域により入院受療率、ひいては入院医療費が異なる現状をどう見ておられますか。民間病院も一部は関係しますが、(地域医療構想における)急性期医療の問題は結局、特に高齢者が増えて、若い人が減少する地域における大学病院と公立病院をどうするか、という話がカギなのです。特に公立病院は、パブリックセクターであり、地域医療構想は都道府県が策定するのですから、知事の権限で何とかしてもらいましょう、ということ。医師会などは「知事の権限は、民間病院まで強制的に及ぶのか」と再三けん制していますが、問題となるのは主に公立病院です。もっとも、各都道府県は、これまで医療計画などは作ってきましたが、(地域医療構想により)ここまで大々的に「矢面に立つ」のは初めてなので、少し怯えている一面があります。都道府県は、地域医療構想の策定を通じて、1回レッスンした上で、それを改定する形で、2018年度に第7次医療計画の策定に取り組めば、(基礎的財政収支の黒字化目標である)2020年度、そして2025年度に間に合う。――特に地方では、「○○県立中央病院」「○○市民病院」などが、地域の基幹病院であるケースが多い。その通りです。公立病院は、大学病院ほどには、研究に重きを置いていないこともあり、急性期病床が過剰だったら、回復期や慢性期にシフトすればいいと思うのです。あるいは病床が過剰な地域であれば、減らさなくてはいけない。県立病院であれば、開設者と地域医療構想を策定する権限者(知事)は同じなのだから、「自分で考えて、自問自答する」という、うまく責任が閉じた形になっている。――公立病院が赤字で、一般会計からの繰り入れが多額になれば、知事は自分で自分の首を絞めかねない。そうなのです。賢明な知事なら、過剰なところは、引き締めていくでしょう。地域のニーズに応じた改革を行えばいいのです。――入院受療率の是正は、地域医療構想を通じて進めていけば可能とお考えですか。急性期病床が過剰で、かつ大学病院や公立病院がある地域は、地域医療構想でほぼ何とかなると思います。あとは、特に西日本では、慢性期病床をどうするかという問題はありますが。――先生方の提言の2番目、「後発医薬品の普及」ですが、まだ日本の普及率は低いとみている。スウェーデンは、(医療の財源は)税方式で賄っていることもあり、(薬局において最も低価格の後発医薬品への変更が義務付けられるなど)強制したりしているわけです。――提言では、「調剤医療費の抑制・薬価の適正化」も掲げています。薬価の毎年改定に対しては、製薬企業などからの反対も根強いです。これは、提言を裏付ける試算上のこと。2年に一度の薬価改定による下げ幅を計算するのではなく、年率換算した数字を出したという意味です。共同提言では財政収支をいかに改善するかが目的なので、毎年改定しても、2年に一度の改定でも、結局行きつくところは同じ。実は毎年改定すれば、薬剤費を大幅に削減でき、2020年度の財政収支の大きな改善につながるわけではありません。――医療費の抑制については、他にどんな対策を検討されたのでしょうか。規制改革の議論では、混合診療の解禁、市販薬類似医薬品の保険給付除外などもよく出てくる検討課題です。自己負担の在り方もアイデアとしてありましたが、「単なる負担のつけ回し」という話に聞こえないかと思ったのです。例えば、高齢者医療の自己負担を1割から3割に引き上げたり、受診時定額負担を導入すれば、その分、税金の負担は減りますが、結局、医療費の総額は変わらない。自己負担の増加策は、受診抑制につながるとの批判も強く、その結果、他の施策も含めて、「共同提言はダメだ」と言われるのを避けたいという考えもあり、今回は入れませんでした。――だからこそ、医療提供側の改革にターゲットを当てた。一定の改革を行い、「筋肉質」の体質にした上で、国民の理解を得て、負担増を進めるという流れでしょうか。そうです。だから自己負担増関連の改革案は入れませんでした。――ただ、介護保険については、「要支援1と2、要介護1では全額負担、要介護2~5では1割から2割に自己負担引き上げ」を提言しています。計1.1兆円の公費の削減が可能としていますが、「これらは給付効率化でも代替可能」と書いているように、その程度の金額の給付抑制を行う目安として提示しています。提言したいのは、「負担のつけ回し」ではない意味での介護の改革です。例えば、「軽度者への介護給付を、重症化予防に資するものだけに限定する」と言った時に、「何%の給付がそれに該当するか」と聞かれると、なかなかエビデンスがない。例えば、「ざっくり半分」と言っても、「どこからその数字が出てきたのか」「根拠がない」と言われるので、あくまで目安として額を出しました。なお、自己負担について言えば、医療保険における「現役並み」所得の高齢者という区分は、政治的妥協の産物にすぎず、全くナンセンス(編集部注:70歳から74歳までの自己負担は、「現役並み」所得者の場合は、2014年度から3割に変更)。「課税対象所得」で比較しているからです。夫婦2人世帯で、現役世代と高齢者世代があるとします。「課税対象所得」に控除された分を加えると、「課税前所得」。公的年金の控除が手厚いために、「課税対象所得」は同じであっても、「課税前所得」は高齢者の方が高い。本来なら、この「課税前所得」が「現役並み」の高齢者について、同等の負担を求めるべきです。介護保険では、私が社会保障審議会介護保険部会で問題視したこともあり、「現役並み」所得の高齢者という概念は介護保険では採用されませんでした(編集部注:2015年8月から、一定所得者以上の自己負担は1割から2割に引き上げ)。今後医療保険でもこの定義を改めるべきです。――今回の提言は、誰に読んでもらいたいとお考えでしょうか。医療者だけでなく、広く国民に読んでもらい、理解、納得してもらいたいという思いが強いです。我々は、「弱者切り捨て」とか、「医療や介護の質を落とす」といった考えは全く持っていません。「医療の質を維持しながらも、改めることができる方法がまだ残っていませんか」ということを、申し上げたかった。「絶対に間違っていない」「これ以上、いいアイデアはない」と言いたいわけでもありません。提言の最後に書いてありますが、「これをたたき台にして、いろいろ議論してください」「もっといいアイデアがあれば、出してください」ということです。ただし、現時点の政権は、金額すら出そうとしないし、避けたがっている。覚悟のほどが見えない。今、この3月の時点では、逃げています。だから「逃げてはだめだ」というメッセージも送っています。「それは、無理筋だろう。これは削れない」というなら、別の削減策を出すか、消費税増税を認めるかのどちらかでしょう。先ほども言いましたが、もし国民の大半の人が「医療は削るな」と言い、消費税率を14~15%に上げることに賛成するなら話は別です。けれども、今の雰囲気では、とてもそういう感じではない。財政収支改善のために増税するのはダメというなら、何かを削って増税幅を小さくする。もちろん、無駄な非社会保障支出は削りますが、それは数兆円が出るかどうか。「増税幅をもっと小さくしろ」という話になるなら、社会保障に手をつけることは避けられません。>

総合研究開発機構;NIRAから「社会保障改革しか道はない-今こそ、財政健全化への決意を示すとき-」(http://www.nira.or.jp/president/opinion/entry/n150119_756.html)、「社会保障改革しか道はない(第2弾)-財政健全化に向けた具体策はここにある-」(http://www.nira.or.jp/president/opinion/entry/n150216_761.html)が出ており、目を通しておきたい。具体策(http://www.nira.or.jp/pdf/opinion14.pdf)として、①医療;病院・診療所の再編、入院・外来診療の標準化(病床数の多い地域での病床数の全国平均並みあるいは全国最低県並みまでの削減を含む)、ジェネリック医薬品の普及、調剤薬局技術料・過剰投薬の抑制、薬価の適正化等で1.9兆円~4.0兆円程度の削減、②介護;要支援1・2及び要介護1の給付を真に重度化予防に効果的なものだけに限定(または介護サービスの全額自己負担化)で1.1兆円程度の削減、③年金;公的年金等控除の圧縮で0.4兆円程度の削減が示されている。報道されている自治体病院については、全国都道府県・指定都市公営企業管理者会議(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/oshirase.html)の資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343695.pdf)p5~「公立病院改革の推進」、資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343702.pdf)p4「新たな公立病院改革ガイドラインの方向性について」が出ているように、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)だけではなく、公立病院改革(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)の影響が大きい感じがしないでもない。例えば、資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343695.pdf)p5「公立病院の運営費に係る地方交付税措置(病床当たり単価;707千円)の算定基礎を、許可病床数から稼動病床数に見直す」とある。とにかく、医療(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=180575)、介護(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000076417.html)、生活援護(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077332.html)等の改革が進められているが、自治体の情報公開を徹底し、地域住民の理解と協力がなければうまくいかないような気がする。国レベルの話だけではいけない。特に、医療・介護・生活援護の都道府県・自治体間格差と将来推計に関する情報公開の徹底が欠かせないように感じる。「保健医療2035」策定懇談会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakaihosyou.html?tid=248884)の人口ピラミッド・年齢別人口推移(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000076784.pdf)による各都道府県の状況も理解したい。また、以前発表された、予防・健康管理による医療費・介護費の抑制(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000019326.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401250-Hokenkyoku-Iryouhitekiseikataisakusuishinshitsu/0000019923.pdf)、(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401250-Hokenkyoku-Iryouhitekiseikataisakusuishinshitsu/0000019922.pdf)があってもよい感じがする。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p11~15、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)では、それぞれ保健事業による大幅な医療費適正化事例が紹介されているように、保健事業による医療費適正化はけっして夢物語ではないであろう。保健事業指針改正(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000044053.pdf)によるデータヘルスはまさにこれからであろう。
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ストレスチェック制度

2015年03月31日 | Weblog
日本産業保健師会から「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度における実施方法及び保健師の活用について(要望)」(http://sangyohokensi.net/pdf/20150325_youbou_01.pdf)が出ている。今年12月からの労働安全衛生法によるストレスチェック制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000069013.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000075495.html)(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140355&Mode=0)について、事業所現場での検討が進んでいるであろうが、気になる点として、年度途中からの制度スタートによる平成27年度の取扱いである。改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会報告書(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000069013.html)を踏まえ、「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案及び心理的負担の程度を把握するための検査の実施者に関し厚生労働大臣が定める研修案に関する意見募集」(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140355&Mode=0)が出ていたが、労働政策審議会安全衛生分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei.html?tid=126972)にも目を通しておきたい。そういえば、一昨年3月の総務省「「自殺予防対策に関する行政評価・監視」の結果に基づく勧告に対する改善措置状況(回答)の概要」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000209709.pdf)p5に、「医療計画でのかかりつけの医師等と精神科医との連携(GP連携)」、「地域・職域連携推進協議会での取組」があった。ストレスチェック制度の創設は、医療計画や地域・職域連携を推進する機会にしたいものである。
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医療需要と医療機能必要量推計

2015年03月30日 | Weblog
地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)では、各都道府県において、厚労省が示す推計方法(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000078122.pdf)に基づき、構想区域圏ごと、2025年の医療需要と各医療機能の必要量が推計される(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000078175.pdf)。内閣府「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai.html)の医療・介護情報の分析・検討ワーキンググループでも同様の手法で推計される(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai4/siryou2.pdf)といい、参考にされるという。また、既に経済産業省「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」報告書(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001.html)(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001e.pdf)でも別の手法により地域の医療需要が推計されている(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001a.pdf)(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001a.pdf)(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001c.pdf)(http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001d.pdf)し、日医総研「地域の医療提供体制の現状と将来─都道府県別・二次医療圏別データ集─(2014年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/no_553.html)や病院情報局「入院患者数の将来予測値と既存病床数とのギャップ試算」(http://hospia.jp/wp/archives/244)もネット公開されている。今後、医療需要と医療機能必要量推計も参考に、毎年、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)がなされるが、構想自体は柔軟に考える必要があるように感じる。例えば、隔年の診療報酬改定や3年毎の介護報酬改定は各機能の病床のあり方に大きな影響を及ぼすのは間違いない。全国都道府県・指定都市公営企業管理者会議(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/oshirase.html)の資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343695.pdf)p5~「公立病院改革の推進」、資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343702.pdf)p4「新たな公立病院改革ガイドラインの方向性について」が出ているように、公立病院改革(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)の影響も無視できないであろう。
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中核都市と周辺自治体

2015年03月30日 | Weblog
「まち・ひと・しごと創生政策検討推進本部」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakaihosyou.html?tid=225043)の報告書(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/plan.pdf)p8「周辺地域の自治体にあっては、既存の地域の産業・雇用の状況に加え、地域の今後の展望を踏まえた産業創出・雇用創出を図る必要がある。例えば、地方中核都市で働く者の暮らしを支援する地域として位置付けるという観点から、地域の子育て、医療、介護、福祉という暮らしを支える分野の充実を図るための雇用創出を考える必要があるのではないか。その際、高齢者や障害者の就業を活用することも必要である。」とある。「周辺地域の自治体を地方中核都市で働く者の暮らしを支援する地域として位置付ける観点」は今後、都道府県の医療計画、介護保険事業支援計画、障害福祉計画等においても必要となる感じがしないでもない。また、急性期病院がある中核都市では周辺市町村からの患者が多いのが実情である。中核都市と周辺自治体を合わせて医療、介護、福祉を考える時代であろう。
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